関東地方は毎日のようにゲリラ豪雨があって、
うっかり洗濯物を干したまま出かけることもできない
今日このごろ、みなさま、いかがお過ごしでしょうか。
どうも、笠希々です。
7月
さて、毎月恒例になっている近況報告記事。
今回で記念すべき10回目です、なんだかんだで
10回続いたことは自分でも結構驚いています。
7月は振り返ってみると、かなり作品的に重めな作品を
よく観ており、かなりハイカロリーな月だったような気がします。
名作や覇権アニメといわれる作品はたしかに面白いんですが、
面白いだけに心理的負荷のようなものも大きのかなと思います。
しかも7月は風邪を引いてしまったせいで
3日ほど完全にダウンしており、
そこからペースを戻すのに時間がかかってしまいました。
それでも11作品レビューできたので、
最近のペース通りといえば通りなのですが、
8月は世間は夏休みなので色々とコラムやレビューも
多めにお届けしたいところです。
そんなわけで7月に見たアニメを
ランキング形式で振り返っていきましょう。
11位 THE NEW GATE
7月は作画が物凄い良いアニメと、
逆に作画が物凄い悪いアニメの両極端を観てみました。
その中でも1番悪かったのがこの作品です。
ストーリー的にはわかりやすく、そこまで悪い感じは在りません。
いわゆるソードアート・オンラインのようなVRMMOでの
デスゲームが起こった世界で、主人公はラスボスを倒し、
無事ログアウトできるかとおもいきや、謎の光につつまれ、
ゲームの世界と同じ異世界、しかも500年の月日が経過しています。
そんな500年後の世界での変化や、かつてのNPC,
サポートキャラとの出会いなども在りつつ、
俺つえーな展開を繰り広げていきながら、
世界の謎を掘り下げたり、
同じく異世界に飛ばされているプレイヤーとであったりします。
なろう系ではありますが、ストーリー自体は
そこまで悪くない印象なのですが、作画がわるすぎました。
1話の時点から主人公を含め多くのキャラクターの顔のデザインが
落ち着かず、カットがかかるたびに整形したような不安定具合です。
そんな作画のクォリティで戦闘シーンなんて描けるはずもなく、
止め絵や演出、カメラワークでごまかしまくりな
戦闘シーンになんの迫力も在りません。
1話以降のエンドクレジットでは海外の方の名前が
ずらっとならび、作画監督でさえ、そんな外注です。
外注に投げっぱなしな横浜アニメーションラボのひどさを
ひしひしと感じるような作品でした。
10位 ささやくように恋を唄う
この作品もTHE NEW GATEと同じく、
横浜アニメーションラボ制作の作品でした。
つまりは作画が悪いということです(汗)
ストーリー自体は本当に素晴らしいんですよ、
原作は百合姫で連載されている漫画で、
そんな百合姫らしい百合ラブコメが繰り広げられています。
主人公は高校の入学式で先輩に一目惚れします、
しかし、一目惚れは一目惚れでも、あくまで
先輩がバンドでうたうボーカルの歌声に一目惚れしただけで
恋愛感情という意味での一目惚れではありませんでした。
しかし、そんな告白を受けた先輩は勘違いしてしまい、
彼女の告白する姿に一目惚れしてしまう。
このすれ違いからのラブコメ模様は思わずニヤニヤしてしまい、
3話くらいまでは作画もそこまで気になりません、
むしろ素晴らしいと感じるほどです。
しかし、3話、4話と話が進むうちに露骨に作画が悪くなります。
作画ミスもめだち、キャラの顔は崩れ気味になり、
作画枚数をごまかすためのカメラワークや演出も見られ、
7話では完全に崩壊していました。
万策尽きてしまったせいで11話と12話が延期になりましたが、
このクォリティならアニメで見る意味がありません。
ストーリーも中盤から違和感を覚える部分が多かったのですが、
アニメでは原作をかなりカットしながら
9巻あたりまでの内容を描いているようで、違和感が生まれるのは当たり前です。
バンドアニメブームがきていることもあり、
この作品ももう1つのバンドを早めに出して、
バンドアニメとしての要素を強めたかったのかもしれませんが、
素晴らしい原作を台無しにするようなアニメでした。
9位 HIGHSPEED Étoile
本作品はTVアニメオリジナル作品として制作されました。
いわゆるモータースポーツ、未来のF1のようなレースを
描いている作品なのですが、シンプルに脚本の悪さを感じました。
フルCGで描かれるクセの強い作画はあるものの、
キャラクターデザインもそれなりに可愛らしいのですが、
そんなキャラクターの顔がレースではヘルメットのせいで隠れてしまいます。
1話の時点では誰が誰なのかもよくわからないまま、
ルールのよくわからないレースをただ見せられました。
そのレースの描写も虚無です。
500kmで走っているはずのマシンの速さを一切感じず、
実況や解説任せのレース模様のせいで
レースという主軸の部分にのめり込むことができませんでした。
ストーリーも何がしたいのやら。
主人公の才能の見せ方も、ルール違反による追い越しなのに
それを絶賛する周囲の反応もわけがわからず、
どうでもいい日常描写の中でもんじゃ焼き要素を押し出しまくり、
話が盛り上がりそうなところでいちいち話の腰をおります。
例えば主人公が新しいマシンを手に入れてレースに挑んだかと思えば
メカニックが勝手に調整してたせいでまともに走れず、
最終話では落雷のトラブルでレースが一時中止、
盛り上がりそうなところで盛り下げる展開をわざとかのように
挟み込みまくるストーリーは謎でしかありませんでした。
AIとレース、そういったものを描きたかったのはわかるのですが、
主人公の元バレリーナ設定もうまくいかせず、
キャラクターも活かしきれたとは言えず、
色々と見切り発車な印象を受ける作品でした。
8位 劇場版すとぷり はじまりの物語 Strawberry School Festival!!!
当サイトにとっては、ある種の因縁を感じる作品です(笑)
このサイトでコメント欄が荒れるということはあまりないのですが、
某歌い手のアニメをレビューした所、叩かれに叩かれました。
そんな経緯もあり、歌い手関係には警戒していたのですが、
映画の評判がそこまで悪くないこともあり見に行くことにしました。
「すとぷり」というグループは大人気のグループです。
紅白にも出場し、YouTubeでも大人気な彼らの初アニメ映画、
彼が通う学校が廃校になることが決まり、最後の文化祭を盛り上げる。
そのため、すとぷりのメンバーが集まり事になりライブをする。
ストーリー自体はよく言えば王道、悪く言えばベタでした。
作画のクォリティも、一部の演出は気になるものの
きちんとしており、ライブシーンも
きちんと盛り上がりどころになってました。
ただファン以外が観ると6人のメインキャラが
交代交代で喋っているような役割分担感や、
グダグダとした日常パートは厳しいものがありました。
一部の人の演技も棒演義とまではいかないものの、
台本を読んでいますという印象が強く残ります。
展開も唐突に歌いだしたり、高校生6人がYouTubeを観ながら
タイヤの修理をしたりと、突拍子もないところが多く、
そのあたりはツッコミどころにもなっているのですが、
気になるのは曲です。
すとぷりの映画なのに意外と曲数が少なく、
だからこそ、すっきりとした作品になった感じもあるのですが、
何よりも謎がのが「すとぷり」という歌い手グループの
初のアニメ映画なのに、そんな映画で初めて流れるのが
何も関係がない女性アーティとの曲でした。
これに関しては配給がブシロードであるがゆえに
ブシロード系の声優さんが歌っているという
大人の事情以外には何も理由がわからず、
ファン向けの映画なのにファンが求めていないことをしているのは
謎な作品でした。
7位 アストロノオト
この作品、TVアニメオリジナル作品として制作され、
やりたいことはわかるものの、結果として好みの分かれる作品に
仕上がってしまった印象のある作品でした。
土台にあるのは「めぞん一刻」や「うる星やつら」など、
あの時代のラブコメをモチーフにしつつも舞台は現代にし、
ジェンダーや昆虫食など、最近何かと話題になりやすい要素をいれています。
ただ、そのあたりがきちんと掘り下げられるわけでもなく、
あくまで主軸はミボー人という宇宙人であるヒロインと
主人公のラブコメなのですが、トントン拍子に話が進み、
最後はロボットアニメになります。
このあたりのゴチャゴチャ感は高松信司監督らしいのですが、
先鋭的なようで古く、面白いようで面白みが薄い。
王道のようでカオスと、色々とぶっ飛んでいるようでぶっ飛んでいない、
この中途半端さ加減が作品のいまいち
パットしない感じにつながっているような印象でした。
1クールで話はまとめっているものの、
癖のあるキャラデザや、いまいち弾ききれてないストーリーなど、
もう1歩色々と足りない作品でした。
6位 ワンルーム、日当たり普通、天使つき。
アストロノオトが昭和のラブコメなら、
こちらは平成のラブコメでした。
まもって守護月天やああ女神さまなど、
あの頃のラブコメを彷彿とさせる要素満載で、
平成オタクにとっては懐かしさすら感じます。
突然空かやってきた天使、そんな天使と同居することになった主人公、
様々な秘密、カッパだったり雪女だったりなヒロインと出会い、
彼女たちに主人公が寄り添うことで恋愛感情につながり、
ハーレムの一員になっていく。
基本はこの繰り返しで1クールではキャラ紹介で
終わってしまった感じはありますが、
どこか懐かしい、これぞ平成リバイバルというような
ベタさが1周回って新鮮に感じる要素で構成されている作品でした。
ただ、終盤はキャラも増えすぎたせいもあって
一部のキャラの陰が薄くなってしまっていることは
やや気になるところで、悪くはないものの、
あくまで悪くない止まりな作品です。
1話が気に入れば最終話までのほほんと見れる、
ノーストレスなラブコメでした。
5位 鬼滅の刃 柱稽古編
鬼滅の刃も4期に突入し、いよいよ次からは
最終章になり劇場版も決定しました。
この作品はそんな最終章にはいる前の一休み、
日常と修行パートを1クールかけて描いている作品でした。
この部分のストーリーは原作で言えば1巻分のストーリーでしかなく、
アニメでそのままやるなら3話、やれても5話でしょう。
しかし、この作品は全8話で1話と最終話はSP構成になっており、
実質10話か11話分くらいの尺になっています。
そんな尺だからこそ、かなり原作から水増しされています。
この4期までに出番のなかった柱達の掘り下げや日常、
原作のちょっとしたシーンをこれでもかと
引き伸ばして描いているストーリー構成は、
普通なら欠点になる所、本気の水増しを噛ましてきます。
鬼滅の刃だからこそ、Ufotableだからこそ、
この尺稼ぎとしか言いようのないストーリー構成を
1つの作品として成立させています、
ある種の力技ではあるのですが、
それを作画や演出、キャラクター愛で黙らせているような作品でした。
特に終盤のラスボスたる無惨の入場シーンは
まるでプロレスラーの入場シーンのごとく、
尺たっぷりに描かれており、ちょっと笑ってしまうほどでした。
無限城編の前のちょっとした平和なひととき、
無限城編が楽しみになる4期でした。
4位 ダンジョン飯
ああ、ダンジョン飯。
これぞハイファンタジーという完成された作品でした。
基盤にあるのは王道なファンタジー作品やTRPG作品であり、
だからこそ、メインキャラクターたちはチートな能力を盛っておらず、
簡単に死が隣り合わせに存在します。
そんな中でメインキャラたちは空腹のままドラゴンに出会い、
主人公の妹はドラゴンに食べられ、パーティーも二人脱退、
妹が完全に消化され、うんこになる前に助け出されば
蘇生魔法で助けることがデキるという状況から物語が始まります。
しかし、彼らはお金がありません。
だからこそ、本来はゲテモノ食なダンジョンの魔物を食べながら
ダンジョンの深層に潜っていく物語が描かれていました。
いわゆる飯テロな作品です。
魔物、ファンタジーなモンスターなのに料理されると
私達の世界の馴染み深い素材へと切り替わり、
その味に舌鼓をうつメインキャラたちの姿に
思わずよだれを誘われます。
そんな中で描かれるのは弱肉強食な世界です。
生きることは食らうこと、しかし、栄養を取るだけならば
料理しなくても人は生きていきます。
しかし、人は罪深い生き物、命を奪うだけでなく、
美味しく食べようとする。
それは人が持つ原罪であり、欲望です。
ダンジョンという欲望の中に、生態系の中に
冒険者たちも組み込まれ、深く潜れば潜るほど、
欲望も、その代償も強くなっていく。
完成された世界観だからこそ、キャラクターがそこに生きており、
更にTRIGGERが描くダイナミックな作画が戦闘シーンを盛り上げ、
冒険の中の一時、食卓を囲む姿に和ませる。
非常に完成された作品でした。
2期も決定しており、原作の完結まで
アニメでも描いてくれることを
期待したいところです。
3位 ガールズバンドクライ
世はまさにガールズバンド時代と言いたくなるほど
最近のアニメ業界にはバンドアニメブームの波が来ています。
そんな中で生まれたこの作品はフルCGで描かれている作品でした。
ぬるぬると動きコロコロと変わる表情はまさにCGアニメらしい
アニメーションの魅力を感じさせてくれるのですが、
特にライブシーンはCGだからこそできる立体的な動きの
カメラワークをこれでもかと見せてくれます。
そんなロックを感じるアニメーションに対して
ストーリーもロックでした。
なにせメインキャラの殆どが高校中退(笑)、
主人公は正論モンスターであり、そんな怪物だからこそ、
悪いのは自分ではなく、自分を理解してくれない周囲であり
社会だと叫ぶような主人公でした。
あまりにもロックな精神を持っている主人公は、
どこか昭和や平成初期のロックバンドのような暴れっぷりです。
そんな彼女がひめた思いをロックにぶつける。
あまりにも不器用な彼女が不器用に叫ぶ姿が、
気持ちの良いくらいのロックンロールな生きざまを見せてくれる作品でした。
社会に馴染めない陰キャではなく、
社会に馴染めない不良の生き様、不良の減った令和の時代に
昭和のような生きざまを見せてくれるような主人公に
振り回されながら、刺々しいストーリーを魅せてくれる作品です。
2位 ルックバック
原作はチェンソーマンでおなじみの藤本タツキ先生による漫画作品で、
単行本1巻しかない作品を60分の映画に仕上げている作品でした。
なにより驚くのが作画です。
冒頭からシーンとしては地味なのですが、
この作品、あえて手書きによるブレや書き手のクセのようなものを
残すことで最近のアニメとは真逆と言ってもいい雰囲気を感じさせます。
あえて荒々しさを残し、人が書いたことを感じさせる
「線」を残すことで、書き手であるアニメーターを
創作者というものを作画でも生々しく
感じてもらおうとしたのかもしれません。
ストーリーはまさに創作論の話でした。
二人の天才、一方は漫画の天才、もう一方はそんな天才が
負けたと感じた背景の天才。
二人の天才が出会い、二人で漫画をかきあげる。
孤独に自らの創作に向かい合った二人が初めて理解者にであい、
1つの作品を作り上げる工程は微笑ましいものでした。
しかし、そんな時間もまた孤独な時間に戻ってしまいます。
ときに創作は人を救い、人を殺す。
孤独な創作が報われる人もいれば報われない人もいる。
孤独故に心をやみ、孤独故に間違いを犯してしまう。
もし、あのとき違った道を歩んでいれば
失わなくても良い生命だったかもしれない。
そんな後悔を感じつつも、それでも描き続ける。
その理由と、創作という孤独を描ききった60分でした。
原作からして素晴らしい作品でしたが、
それをアニメという表現に落とし込む際に、
制作側も本気で挑んでおり、監督自身が作中の原画の
5割を手掛けています(苦笑)
どこか今敏監督さんのイズムを感じる映画的演出や
パロディもありつつ、1度観たら忘れられない、
抜けない楔を打ち込まれたような作品でした。
1位 窓ぎわのトットちゃん
1年中、色々なアニメ映画が公開される昨今。
みたいなとは思いつつも忙しくて映画館に行けなかったり、
そもそも予告編の時点でピンとこずに
見に行かなかったり、みなさんも色々だと思います。
私は久しぶりに劇場にいかなかったことを後悔しました。
この作品は黒柳徹子さんの自伝的小説をアニメ映画化したものなのですが、
本当に素晴らしい名作でした。
戦時中の日本、そんな中で生まれたトっとちゃんは
今で言えば発達障害やADHDと診断されるような女の子です。
普通の学校では問題児扱いされ、悪い子と大人からも
同級生からも言われてしまう。
そんな子供が、今で言えばフリースクールのような学園である
「トモエ学園」に入ることで世界が変わります。
トモエ学園の校長先生は子供に劣等感を抱かせないように、
自由な教育方針を持っています。
そんな彼がトっとちゃんにささやく一言。
「君はいい子なんだよ」
この言葉で彼女の世界は代わり、彼女自身も
トモエ学園に通う同級生の世界を変えてくれます。
子供が観てる世界の変化、その変化を自由な絵柄の変化と
色彩でアニメーションで「見せて」描いている作画や
演出は本当に素晴らしく、どこかジブリ的ですらありました。
繊細に描かれる背景で説明せずとも見て伝わる部分も多く、
ろくにキャラの名前もわからない背景のモブキャラでさえ
生き生きとこの戦時中の日本で生きていることを感じさせます。
そんな中で近づいてくる戦争の足音、
トットちゃんの両親の変化や、町中にいる軍人の描き方で
戦争の気配を感じさせる、多くは言葉で説明しません。
見せて伝える、アニメーションの真髄を感じるような作品でした。
ハイカロリー
7月はちょっと作品として名作や重い作品が多く、
ハイカロリーな月でした。
8月はそういう作品も踏まえつつ、15レビュー+
アニメコラム記事1本のペースに戻したいなと思っておりますので、
8月もよろしくお願いいたします。
みなさん、毎日、暑い日が続きますが、熱中症などに気をつけつつ、
クーラーの効いた部屋でアニメでも見て過ごしましょう(笑)
最後までお読みいただきありがとうございました。
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