評価 ★☆☆☆☆(12点) 全12話
あらすじ 新たなエネルギー「Hybrid Performance Exceed Reacter(通称:ハイパー)」が発見され、環境問題が改善された世界。引用- Wikipedia
大クラッシュ・エンスト脚本
本作品はTVアニメオリジナル作品。
監督は元永慶太郎、制作はStudio A-CAT
レース
この作品は未来のF1を題材にした作品だ。
近未来の日本ではエコなエネルギーが発見され、
そんなエネルギーを利用したハイパーカーが開発され、
500kmを超えるマシンによるレースが大流行している世界だ。
そんな世界なのはわかるものの、フルCGで描かれているせいもあって
かなりクセが強い。誰が主人公なのかもわからないまま、
レースシーンが1話冒頭で描かれてるのだが、
ひたすら退屈だ。
なぞの美少女AI二人がどんなコースかを紹介し、
「キング」や「クイーン」と呼ばれる圧倒的な選手がいるのはわかるのだが、
次々と色々なレーサーをどんどん出している。
一切記憶に残らず、キャラの名前も顔もよくわからないまま、
謎の美女二人が歌い踊り、レースが始まる。
レース自体はドライバーの半数「AI」であり、
そんな中で人間がレーサーになる意味はあるのかなど、
色々と疑問が浮かぶものの、次々とキャラが出ては消えていく。
ソシャゲ原作アニメのようなキャラの出し方は明らかに見せ方が悪い。
CGのクォリティも悪い。PS3くらいの質感の車の描写だけでもきついのだが、
車ではなく「背景」を動かすことでレースを描写しているような
スゥーっとしたレースの描写が本当につまらない。
駆け引きなどもあるのだが、その駆け引きを「実況」と
「解説」で淡々と描いている。
キャラクターがほとんど描写されず、車体ばかりが映されるため、
どういう感情でキャラが操縦しているのかというのがわからない。
そもそもキャラの記憶も残っていないのに、
車体だけ映されても、誰がキングで、誰がクイーンなのかもわからない。
カメラワークも本当に最悪で、ただ面白みもなく車体を移したり、
カメラの上下を反転した映像などを多用するものの、
それが絵としての面白さに一切なっていない。
まるでゲームのように「リボルバースト」と呼ばれる
ブーストシステムが有り、そのシステムの利用回数には制限がある。
そのリボルバーストをいつ使うのかが、
レースに作用するようなのだが、それが見ていて一切伝わらない。
淡々とF1のようなレースが展開されるものの、
スピード感もなく、アニメーションとしての面白みもなく、
そもそも誰が主人公なのかもわからないレースシーンを見せられて
面白いわけがない。最悪な1話だ。
キングやクイーン、ソフィアという名前は出てくるものの、
色々なキャラがとにかく出てきて勝手に喋りまくるが、
起承転結の起が描かれないまま1話が描かれている印象だ。
1話の終盤でようやく主人公が出てくる。
新人
2話になると主人公が新人で予選を突破したことがわかる。
断片的に過去が描かれながら、主人公がレースに参加する過程が
描かれることで見ている側に匂わせているものの、
断片的にしか描かれないため非常に分かりづらい。
同期の二人とともに予選を突破し、本戦に挑む2話。
ここでも1話と同じようなカメラワークで
面白みのかけらもないレースを展開してくれる。
主人公が新人であるがゆえに大スピンをかましたりするのだが、
そのあとは、また実況と解説で
「こういうレースをしています」と言葉で説明している。
車ではなく馬ではあるが、ウマ娘のレースは
同じレースでもきちんと駆け引きが「目」でわかるようになっており、
あくまで実況と解説は補足だった。
しかし、この作品の場合は実況と解説がメインになってしまっている。
やたらアップで車を映してレース模様がわかりづらく、
車の中を映してもキャラはヘルメットをしているため
どんな表情をしているかも、よくわからない。
500kmをこえるハイスピードなレース模様だからこそ、
アニメーションでそれを表現するのが難しいのはわかるが、
「ヒュンヒュン!」という音とともに、
おもちゃのような車がなんか走っているだけで、
実況と解説がなければレース模様もよくわからない。
主人公も新人なら制作も新人なのか?と野次を飛ばしたくなるほど
アニメーションとしての表現が悪すぎる。
主人公やメインキャラのセリフよりも実況と解説のセリフのほうが多い、
それが,ある意味でリアルなレース描写なのかもしれないが、
アニメとしての面白みはない。
制作のstudio A-CATはもともと制作能力は低い制作会社だ。
「賢者の弟子を名乗る賢者」でも低クォリティなCGを使っていたが、
この作品では若干クォリティは上がっているものの、
最近のフルCGアニメと比べると見劣りしてしまう。
そもそも「オレンジ」や「白箱」のように
CGのクォリティが高い制作会社ではなく、
補助的に、作画の予算を削るためにCGを使っていたような制作会社に
フルCGのアニメ制作以来をしてしまった時点で終わっている。
レーシングカーにはAIが搭載されているようなのだが、
そのAIがレースにどのくらい作用するのかもよくわからず、
レーサーの半分がAIというレースで人間とAIの実力差が
どれくらいなのかもよくわからない。とにかく説明不足だ。
台詞回しも意味不明だ。
主人公はデビュー戦で周回遅れのビリになってしまう。
デビュー戦でビリは嫌だ!と主人公は叫びながら、
自分の前を走るトップをブースト機能を使って抜き去ってしまう。
周回遅れの車体はコースを空けなければならず、
ましてやブーストを使って追い抜くことはルール違反だ。
これなら主人公の性格を描写するエピソードでしか無いのだが、
周りの反応が意味不明だ
「あの野郎!キングを抜きやがった!」
周回遅れでトップを走る2台を抜き去ったことを周りのキャラが
驚いている、この意味が分かる人がいるだろうか?
ルールではやってはいけない行為であり、
トップの2台のレーサーも周回遅れに気を使う必要もない、
ましてやゴール寸前でブーストも使い切っており、
そんな状態で周回遅れの最下位が後ろから迫ってきても
気をきばる必要など無いはずだ。
それなのに抜き去った主人公に対してルール違反ではあるものの
「飛んだ逸材だ!」と褒める。
あまりにも脚本が意味不明すぎて頭が痛くなってくる
周回遅れでもキングと呼ばれる不動のトップを脱いた主人公はすごい!
といいたいのはわかるものの、所詮は周回遅れだ。
タイヤの摩耗具合もブーストの使用の有無も、
技術的な駆け引きの状態もまるで違う。
そんな抜き去った主人公をクイーンが注目しだす。
注目する理由がわからず、作品の世界観やキャラの感情に
見ている側が蚊帳の外だ。
もんじゃ焼き
そんな虚無かつ意味不明なレースを2話連続でお届けしたかと思えば、
3話と4話は日常回だ。
主人公に目をつけたクイーンが主人公たちに接触し、
もんじゃ焼きを食べる。
もんじゃ焼きの作画のクォリティがレースよりも気合が入っているように
見えるほど、レースよりもまだ日常回のほうが見れる。
ただクイーンが主人公に接触した理由が
ルール違反と知らずにブースト機能を使ってキングとクイーンを
抜いたからという理由なのが厄介だ、納得できない。
クイーンがシミュレーションで主人公に勝負を挑んでくる
「まぐれでもなんでもいいわ!キングを抜いた走りを見せなさい!」
その走りは周回遅れのルール違反だ(苦笑)
ルール違反や周回遅れというのをとりあえず置いとくとしても、
ブースト機能のタイミング次第のように見えてしまい、
レーサーの技量の違いがいまいち見えてこない。
その3話と4話でやってることがほぼ同じだ。
3話ではクイーンと知らずにもんじゃ焼きを食べ、
4話ではキングと知らずにもんじゃを食べる。
謎にもんじゃをアピールするアニメとして無駄に記憶には残るかもしれない。
5話
5話で一気にレースの描写が改善する。
特にスピード感にかんしては、1話から4話までのレースは
背景が激しく動いているようにしか見えなかったのだが、
5話からはきちんと車が激しく動いていることを感じさせる。
きちんとハンドルを握るキャラを映し、
そんなハンドルの操作で車が動いていることを感じさせ、
無駄にアップや引きを多用するのではなく、
きちんとレースというものを意識したカメラアングルになっている。
この5話、そして9話は
ベテランのアニメーターである「麻宮騎亜」氏が参加していることが大きく、
ベテランだからこその絵コンテの素晴らしさを感じさせるものだ。
しかし、麻宮騎亜氏が参加していない回は死んでいる。
この5話や9話のクォリティが作品全体にあれば違ったのだが、
本来はきちんと描くべき1話で死んでおり、
5話と9話以外のレースシーンは1話と似たようなものだ。
この5話で主人公の成長も描いているのだが、
彼女の車体に搭載されている「AI」の成長の影響も大きい。
断片的にしか描かれない主人公の過去も厄介で、
物語の起承転結を意識せずに1クールを構成している印象だ。
そもそもレースに参加する半数はAIレーサーのようだが、
そんなAIレーサーと人が操りAIがサポートしているレーサーとの
違いや実力差などもよくわからず、
レース自体のルールもきちんと解説していないため、
ブーストが何回使えるのかなどもわからない。
AIにも個性、機能差があるようで、
主人公の車体のAIは主人公に合わせて成長しているのだが、
他の車体のAIはどうなのかなどが描かれないため、
ただの主人公補正のようにも感じる。
レースシーンは中盤以降見れるものになっているものの、
肝心の脚本が大クラッシュして崩壊している。
レースシーンが5話でようやく盛り上がり、
巻き返すのかと思いきや6話ではまたもんじゃ焼きを食べる。
レースアニメというよりは、もはやもんじゃ焼きアニメだ。
主人公の同期やライバルキャラなど、
出ては来るものの圧倒的に掘り下げ不足だ。
才能
7話では主人公が2位になる展開になるのだが、
これも別に主人公の実力というよりはメカニックのおじいさんの
長年の経験やAIによるものだ。
主人公の凄さの見せ方がとにかく悪い。
作中のレーサーたちが憧れ、抜き去りたいと思っている
「キング」にしても、別に無敗の帝王というわけでもなく
負けることもある。
そのキングの凄さ、なにが特徴的なのかというのも
見ていてまるで伝わっってこない。
ストーリー的にも盛り上がってきそうなところで
話の腰を折る展開が多い。
5話でレースの描写が盛り上がっても、6話では日常回で腰を折り、
もんじゃ焼きをはさみ、7話では主人公が2位になるという展開になったのに、
8話ではマニュアル車での運転で練習し、
時代遅れなマニュアル車を手に入れ主人公の才能を見せつける。
そんな、ある種の修行回とピーキーな車体で
どう主人公がレースに挑むのかと思えば
9話ではメカニックがピーキーな設定をしすぎて、あっさり敗退する。
盛り上がりどころの腰を常におるようなストーリー構成で、
あえて主人公を1位にせずに終盤まで描きたいのはわかるものの、
そのせいでストーリー構成が常にエンストを起こしている。
AI
この作品で描きたいことは終盤で伝わる。
この作品の世界だけでなく未来では当たり前のように
AIが色々なものに搭載され、スポーツやモータースポーツでも
導入されるかもしれない。
AIのほうが優秀で完璧なのは当たり前だ、
しかし、そこに人間という「不確定要素」が介入することで
レースは面白いものになる。
そういうことを描きたいがゆえの
主人公の乗る車体がマニュアル車だったりするのはわかるものの、
常にエンストを起こしているストーリーでは
そこの面白さは伝わりきらない。
終盤でAIと対話し、自分らしい走りをするための車も手に入れ、
自分らしい走りとAIとともに見せる主人公のレース、
ここでもつまらないアニメーションでレースを見せてくる。
実況解説だよりで、特に思い入れもないクイーンやキングと
争っても盛り上がりに欠ける。
終盤になると忘れていた主人公のバレエダンサー設定なども出てくるが、
この設定は果たして必要だったのだろうか。
根本的にキャラクターの掘り下げや印象付け、
見せ方が悪いせいでレースをしても盛り上がらず、
エンストまみれのストーリー構成で最後まで突き進んでいる。
そもそも主人公はレースゲームでトップの実力になり、
そのおかげでレーサーとして引き抜かれているのだが、
それなのにルールもよく知らず、アウト・イン・アウトなど
技術的なことも知らない。
レースもそうだが、レースゲーム自体も舐めている。
それがよくわかるのが最終話だ。
主人公が成長しキングに挑むという状況で
「落雷」が発生し、レースが中断する。
最終話でもエンスト脚本を見せてくれる、話の腰を折るのが天才的だ。
最後の最後まですっきりとしない勝負は
ある意味この作品らしいラストだった。
総評:レース?そんなものより、もんじゃ焼きだ!
全体的にガタガタな作品だ。
1話の時点ではろくに世界観もキャラクターも紹介せずに、
実況解説だよりな盛り上がりに欠けるレースを展開し、
多くの視聴者を失ったことを感じさせる最低の1話だ。
2話でようやく主人公が出てくるものの、
主人公がトップのレーサーや周囲に注目される原因が
「ルール違反を犯してトップレーサーを追い抜いた」という
意味不明な原因でしかなく、主人公がなぜ注目されるのかという部分に
見ている側として一切納得できない。
日常回や日常シーンになると「もんじゃ焼き」要素を何度も
押し付けてくるのも意味不明かつ不快でしかなく、
面白くないネタを天丼されても不愉快なだけだ。
レースシーンに関しては5話などはしっかり描けているものの、
それ以外のレースシーンの描写はカメラワークや演出など
見せ方が悪すぎる上に実況解説だよりなため面白みが薄い。
CGのクォリティ自体がそこまで高くないのに
レースシーンを描こうとしてもこうなることは当たり前とも言える。
キャラクターに関しても無駄に多い割にはろくに掘り下げもできておらず、
キングやクイーンなどのキャラの掘り下げも甘く、
主人公の同期や他のライバルキャラなどの存在感も薄い。
ストーリー構成も致命的だ。
盛り上がりそうになると、わざとかと思うほど話の腰を折る。
最終話でも落雷だのミスだので話の腰を折る展開で
盛り上がりどころを作ろうとしているのはわかるが、
エンストしてる車のようにガクガクだ。
多くの企業が協賛し、タイガー&バニーのように
企業ロゴが車体やレース会場に貼り付けられていたが、
タイバニは宣伝効果もあったかもしれないが、
この作品では逆効果でしか無いだろう。
AIとレース、そういったものを描きたかったのはわかるが、
主人公の元バレリーナ設定といい、
色々と見切り発車でストーリーを作り上げた感じのある作品だった。
個人的な感想:パズルゲーム…?
この作品はソーシャルゲームもサービス開始予定であり、
そちらとの兼ね合いもあってのキャラクター数だったのかもしれない。
それ自体はメディアミックスの一巻であることはわかるのだが、
アニメ自体はレースアニメなのだが、ソシャゲはパズルゲームのようだ。
意味がわからない(苦笑)
マリオカートのようなレースゲームとまでは言わないが、
ウマ娘のような育成ゲームのようなものを想像する人も多いはずだ。
しかし、なぜかパズルゲームである。
ゲーム紹介を見る限り、パズドラのようなゲームだが、
なぜレースアニメのゲームでパズルなのだろうか。
メディアミックスまでわけのわからない作品だった。
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