青春

無味無臭「アイドルマスター シャイニーカラーズ」レビュー

1.0
アイドルマスター シャイニーカラーズ 青春
©Bandai Namco Entertainment Inc.
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評価 ★☆☆☆☆(18点) 全12話

アニメ「アイドルマスター シャイニーカラーズ」ティザーPV

あらすじ 私たちは手を伸ばし、空へと飛び立てることを知った――。引用- Wikipedia

無味無臭

本作品はソーシャルゲームとして展開している
アイドルマスター シャイニーカラーズを原作としたアニメ作品。
監督はまんきゅう、制作はポリゴン・ピクチュアズ

フルCG

アイドルマスターシリーズはアニメの歴史も長く、
初代アイドルマスターが2011年に放送され、
13年以上の月日の中、シンデレラガールズ、Side-M、u-149,
ミリオンライブと多くの作品が作られている。

前作である「ミリオンライブ」はフルCGで制作されていたが、
本作品もまたフルCGの作品だ。
ミリオンマスターは白組制作でCG感も強めに感じる部分があったが、
この作品はセルルックスタイルがかなり強く、自然だ。

アイドルマスターシリーズはアニメではプロデューサーも
もう一人の主人公だ。今作のプロデューサーはやり手だ、
短期間に3組のアイドルユニットをデビューさせており、
「WING」という新人アイドル限定のアイドルフェスに
参加させようとしている。

1話序盤からドバドバとすでにユニットを組んでいるキャラ達が「
出てくるのだが、特に自己紹介もなく、
「ご存知ですよね?」という感覚で描かれている。
どかどかとキャラクターが出てくるものの、
原作ゲームをやっていないとどこの誰さん状態だ。

そんな3つのアイドルユニットには入っていない二人がいる。
二人のユニットでデビューさせるか悩んでいる時に、
プロデューサーは一人の少女と出会うというところから
物語が動き出す。

暗い

公園で歌っていた少女にプロデューサーは目をつける。
思わず名刺を渡すものの、少女は断ってしまう。

口元だけを映したり、もじもじする手だけを映したり。
ものすごく「情緒」たっぷりに心理描写をしたいのはわかるものの、
それが面白みにつながっているわけでもなく、
1話の時点からものすごく淡々としている。

まるで尺稼ぎのようにそういった情緒を
感じさせるシーンを入れ込んでいる。
今作の主人公ともいえる立ち位置の「櫻木 真乃」が
歩いて悩み、たそがれる、そういったシーンをたっぷり時間をかけて
描くため、かなりテンポの悪さを感じさせる。

そんなたっぷりと情緒あふれる心理描写をしてるのに、
キャラの心情は伝わりにくい。
1度は断ったアイドルへの誘いを、ウジウジとセリフもなく悩む
シーンを入れた後に、あっさりと受け入れてしまう。
一体どういう心境の変化があったのかよくわからない。

原作のゲームの方ではもう少し詳細に描かれているようだが、
アニメでは情緒あふれる心理描写でセリフもなく描いているため、
ゲーム未プレイの人には伝わらない。

すごく淡々と、粛々と行われている。
1話からアイドルアニメ、アイドルマスタシリーズとは思えないほど
「お葬式」のようなムードが漂っている。
あまり騒いではいけない、余計な言葉は喋らない。

だからこそ暗い。流れているBGMですら暗い。
「櫻木 真乃」がアイドルとしてデビューすることを決めて、
先にデビューしたアイドルユニットのライブを見て、
同じユニットを組む二人と出会い、練習をする。
そんなシーンが淡々と描かれる中でピアノの戦慄が鳴り響く(苦笑)

アイドルアニメとは思えないほどの暗い雰囲気が漂っており、
ユニット名が決まるというシーンですらテンポが悪い。
これは前作でも感じていたことだが、ソシャゲという媒体上、
キャラが多い、そんなキャラの出番を一人でも増やそうと、
無駄に交代交代でセリフを喋らせている。

例えば、ユニット名が決まったよというシーンで、
他のアイドルユニットの場面に切り替わりセリフを一人ひとり喋らせ、
「なんてユニット名?」といった後に、主人公たちが屋上にいるシーンに
切り替わったかとおもえば、ユニット名が決まったシーンに切り替わり
「イルミネーションスターズ」というユニット名であることがわかる。

ユニット名発表というシーンだけで何回カットしてるんだよと思うほど
カットしまくりの場面転換しまくりで、話の腰を折ってくる。
1話からこの調子だが、この作品は全話この調子だ。

1クールのお葬式が始まる。

ミュージックビデオ

2話になってもお葬式ムードは変わらない。
この作品は致命的にBGMが悪い、1話のピアノの戦慄もそうだが、
2話でも別に暗いシーンでもない、明るい音楽でも流しておけばいいのに
淡々とした曲を流してしまっているため、暗い印象を受ける。

普通ならリズミカルな明るい曲をかけるようなシーンですら、
アンビエントな眠くなるような曲ばかりかけている。
だからキャラクターたちが明るく喋っていても、
その明るさがストレートに伝わらない。

そんな中で2話では1話でできたばかりのユニットではなく、
別のユニットのMVを撮る話がメインになる。
1話の主人公ユニットの掘り下げもろくにしてないのに
別のユニットの話になられても困惑するしかなく、
ろくに自己紹介もしていないため、
2話の時点でもキャラの名前は把握しきれない。

1話も2話も、話の起伏と呼べるものもなく、
特になんのトラブルもなく、ギャグもなく、
淡々とアイドルとしての日常を描いている。
キャラクターのそもそものファンならば楽しめるが、
それ以外の人は楽しみづらい淡々とした日常が描かれてしまっている。

無味無臭だ。
2話ではミュージックビデオを撮ることになり、
有名な監督に撮ってもらうことで彼女たちの魅力を引き出そうとしたものの、
雨が降ってしまう。停電までしてしまい大変だったけど、
飴の中で撮るという機転でMVを撮りました。

それで終わりだ。
あまりにも1話1話の話が薄い上に、BGMも悪く、
話の抑揚も抑えてしまっている。

盛り上がらない

本当に特に面白くないストーリーでしかなく、
フルCGで描かれる飴の中のライブシーンのクォリティは高いのだが、
そんなライブシーンの曲と同じ曲をノンボーカルのEDで
また聞かされる構成は本当に意味不明でしか無い。
3話も別のユニットが描かれるものの、話は薄味なままだ。

プロデューサーも居ても居なくてもどうでもいいほど存在感がなく、
各ユニットの回のラスト辺りで「このユニットの色はこれだ!」と
決めセリフをいうものの、一切決まっていない。
シャイニーカラーズというタイトルだからこそ色に絡めたいのはわかるが、
それがうまいこといっておらず、空回りしている。

キャラクターの深い掘り下げがないのも特徴的だ。
あくまでユニットごとの掘り下げであり、各キャラの掘り下げではない。
だからこそ、各ユニットの話をやられても、
序盤はろくにキャラクターの印象もつかず、
淡々とアイドルの日常が描かれてしまう。

アイドルたちが抱えている問題や悩みをプロデューサーが向き合って解決し、
アイドルとして成長していく。
それはアイドルマスタシリーズの
基本的な部分だったはずなのだが、この作品はそれもない。

4話

各ユニットの紹介が終わるのが4話だ。
4話までも薄味だが、4話も薄味なのは間違いない。

ヒーローショーに参加することになったユニットの話なのだが、
肝心のヒーローがスケジュールを把握しておらず来られない。
アイドルだけでヒーローショーをやることになる。
この段階でかなり無茶があり、ヒーロー衣装すら着てない
アイドルのヒーローショーで子どもたちが盛り上がってくれる。

特に思い入れのないキャラの日常が盛り上がらないというのは
1話から3話まで同じではあるものの、
CGのクォリティが高いからこそライブシーンや、
ヒーローショーでのアクションシーンが見どころにはなっている。

思い返せば、序盤はまだ各ユニットの顔見せという中身があったが、
中盤からは更に中身が薄まっていく。

メインユニット

一応は主人公的な立ち位置に居るはずの「櫻木 真乃」なのだが、
基本的に影が薄く、彼女のユニットも影が薄い。
5話ではそんなユニットとキャラクターが掘り下げられる。
序盤から不穏なムードが漂っていたものの、
そんな不穏なムードもあっさり解消される。

この作品はとことんシリアスを嫌っている。
アイドルマスタシリーズはシリアス回があることが
ファンの人にとっては賛否両論分かれる部分もあったが、
だからこそなのかもしれないが、この作品はそこを徹底的に避けている。

本来ならもっとギスギスした状況になってもおかしくはないが、
そういう状況の一歩手前であっさり解決する。
だからこそ話も薄くなるうえに起伏も無いため面白みも薄く、
いつまでたってもキャラの印象も深まらない。

中盤を過ぎると当初からの目的だった「WING」という
新人アイドルのフェスの物語へと舞台が移っていく。
ユニット同士、同じ事務所のアイドルたちが争うことになる。

WING

WINGへの参加は当然のように全ユニット決まるものの、
そこから虚無だ。密着番組が始まり、ドキュメンタリーを互いでとりあう。
淡々と平坦な日常を描き、アンビエントなピアノなBGMで盛り下げ、
特になにか起ることもない日常が描かれていく。

これで序盤から中盤までにきちんと各キャを掘り下げられてれば
話は違ったかもしれないが、一切掘り下げられていない。
WINGへのステージにたつときのプロデューサーの一言も
ほんとに薄い

「今のすべてを思いっきりぶつけてこい!」

薄すぎて向こう側が透けて見えるほどだ。
ただWING自体は面白そうだ、各ユニットのバトル、争いあいだ。
過去のアイドルマスタシリーズでは無かった展開だ。

だが、肝心のWINGでのライブ模様はほぼカットであり、
WINGの順位もろくに発表されないまま、
全ユニットがいつのまにか落選している。

どうして落選したのか、各ユニットが何位だったのか。
そのあたりがボカされており、
ダイジェストのように話が展開していくため
話についていけない。
思わず1話見逃したのかと思うほど、6話と7話の間の
WINGのステージの最中のストーリーが描かれていない。

各キャラが落ち込むという、ただでさえお葬式みたいな
雰囲気の作品がお通夜のようなムードが漂う。
そもそも各話のエンディングがなぜかボーカル無しの曲なのも意味不明だ。
そのせいで余計に話が盛り下がり、各話の締りもなくなってしまう。

盛り上がってはいけない、尖ったストーリーにしてはいけない、
明るいムードを漂わせてはいけないみたいな縛りがあるのでは?と思うほど
本当に作品全体が暗い。

ファーストライブ

WINGがあっという間に終わったかと思えば合同ライブをしよう!
という話になる。
WINGという最大の盛り上がりどころですら盛り上がらなかった作品だ、
合同ライブへの話も当然盛り上がらない。

各キャラへの視点変更、場面転換も異常に多く、
合同ライブのダンスを練習したり、ラジオをしたりと虚無だ。
そんな中でなぜか「櫻木 真乃」が合同ライブのセンターに任命される。

わけがわからない。
彼女がリーダーのような行動をしたわけでも、
各ユニットの架け橋になったわけでもなく、地味なキャラでしか無い。
そんな彼女がなぜ合同ライブの中心、センターなのか。
見ている側としては一切理解できず、話についていけない。

本来なら序盤からきちんと彼女をセンターとしての
魅力のあるキャラとして描かないと成立しないのだが、
この作品は彼女だけでなくプロデューサー含めて
全てのキャラの印象付けと掘り下げができていない。
致命的だ。

「櫻木 真乃」が1話と同じく自分にできるかどうか悩むが、
勝手に答えを出して解決する。
だらーっと話が展開し、だらーっと問題が解決し、
アンビエントなBGMで終わる。1クールこの調子だ。

フルCGで描かれているからこそキャラは細かく動いているが、
カメラワークや構図が単調なせいもあるのかもしれない。
だから余計に単調に感じるのかもしれないが、
それ以上に脚本が単調すぎて、そのあたりが濁されている。

新曲を歌うことになったり、ダンスの練習をしたり、
合宿をしたり、淡々とファーストライブへの展開が描かれる。
本当にどうやったら、ここまで盛り上がりのない脚本を
アイドルマスターという題材を使って描けるのか疑問でしか無い。
わざとヤッてるんじゃないかと思うほどだ。

ラスト

ファーストライブになっても盛り上がらない。
各ユニットの曲が中途半端に流され、歌って踊り、
別のユニットに切り替わる。
ステージで歌ってるユニットよりもバックステージに居る
別のユニットに視点変更したりするところも厄介だ。

最後の合同曲はきちんと描かれるものの、
最後の最後まで盛り上がりに欠ける作品だ。

分割2クール形式で2期が決定しており、
2期では更に2つのユニットが追加されるようだが、
2期では何かしらの化学変化が起こって、
もう少し盛り上がることを期待したい。

総評:1クールお葬式状態

全体的に見てアイドルマスターというシリーズのアニメで
ここまでの虚無感を味わうとは思っても見なかった。
ストーリーが全体的に単調で特に大きなトラブルもなく、
各キャラがなにか問題や大きな悩みを抱えているわけでもないため
プロデューサーが特に役に立たないのも大きな原因だろう。

キャラクター数に関してはミリオンライブよりも少なく16人ほどだ。
1クールということを考えるとやや多いものの、
分割2クールならば、それを想定したストーリー構成ならば
十分にさばくことのできる人数だろう。

だが、捌ききれていない。どのキャラも1セリフ毎話喋らないといけない
みたいなルールが有るように出番が均一化されており、
そのせいで本来は主軸、主人公的な立ち位置である
「櫻木 真乃」の存在感もキャラの魅力も薄く、
彼女がセンターに選ばれても意味不明でしか無い。

中盤の盛り上がりどころだったはずのWINGも
ドキュメンタリー形式で振り返るのみで、
肝心のステージのシーンや順位なども濁されている。
思わず1話見逃したのかと思うほど内容がなく、

淡々とユニットを紹介し、淡々と日常を描き、
カットしつつWINGという大会を描き、
特になんのトラブルも起きずにファーストライブが終わる。
驚くほど薄味だ。

妙に作品全体が暗い印象を受けるのはBGMが最大の原因だろう。
なぜかアンビエント風なピアノの弾き語りがBGMとして採用されており、
ノンボーカルでEDがお届けされる。
そのせいで妙に暗く、重い雰囲気が漂っている。
そんなシーンなど殆どないのになぜか暗くなってしまっている。

結果的にお葬式のような騒がず、慌てず、静かにというような雰囲気が漂っている。
原作ゲームをやっているかいなかで感想が変わる部分があるかもしれない、
話の内容やキャラクターの印象などは個人個人によって
感想が分かれるところだとは思うものの、
このBGMだけは本当に意味不明でしか無かった。

2期で色々と改善されることを期待したいが果たして…

個人的な感想:お通夜

本当にお葬式という表現が最適なほど厳かな雰囲気が漂っている。
原作のゲームではもう少ししっかりと掘り下げられている部分が
さらっと流されている部分も多いようで、
ある意味でダイジェストチックともいえるのかもしれない。

もう少し主軸になるキャラをしっかりと絞るか、
シリアスな展開などもあれば違ったかもしれないが、
そうなるとファンからの反感を買いやすいのは
過去のシリーズで学んだからこそのこの作品なのかもしれないが、
結果的に生まれたのがお通夜のようなお葬式のような作品だ。

2期では原作をやっていない私でも見たことのあるキャラが
出てくるため、印象が変わるかもしれないが、
どうなることやら。

「アイドルマスター シャイニーカラーズ」に似てるアニメレビュー

「アイドルマスター シャイニーカラーズ」は面白い?つまらない?

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  1. 匿名 より:

    2期は期待したいところですが、追加キャラは基本我が強くアイドルになる事に熱心でないところからスタートするので、「12話で新規ユニットを描くのに精いっぱいで初期4ユニットが完全にモブになる」か、「相変わらず全員にスポット当てようとして新ユニットが全然深掘りされない」かのどちらかだと思います。