評価 ★★★☆☆(58点) 全12話
あらすじ 魔術に大切なものは、“家柄“・”才能“・”努力“……。魔術を深く愛しながらも、血筋と才能に恵まれずに非業の死を遂げた引用- Wikipedia
オスガキ無双
原作は小説家になろうで連載されている小説作品。
監督は玉村仁、制作はつむぎ秋田アニメLab
才能
主人公は前世で「魔術」の魅力にハマりながらも才能に恵まれなかった。
いくら努力し、学び、研鑽を重ねても、基礎たる「才能」を
もって生まれなかった彼は才能のある貴族に殺されてしまう。
だが、そこで絶望はしていない。
もっと学びたい、もっと魔術の深淵に触れたい。
そんな思いが彼を「転生」させるというところから物語が始まる。
1話冒頭からかなり演出にこだわっており、
主人公の前世のシーンでのエフェクトはかなり独特だ。
派手ではあるものの、下品ではない、そのセンスが
1話冒頭から垣間見えている。
主人公が転生したのはタイトル通り「第7王子」だ。
前世にはなかった魔術の才能を手にした彼は、
前世の知識をもったまま才能を手に入れ、
さらなる魔術の深淵へと足を踏み込んでいく。
キャラクターデザイン
この作品の最大の特徴とも言えるのがキャラクターデザインだ。
主人公は子供であり、小さな体であるがゆえにではあるのだが、
膝小僧は赤く染まっており、ぷにぷにとした顔をしており、
更に「くびれ」のようなものまである(笑)
俺という一人称であり、王子という設定上、男の子であることは間違いない。
だが、仕草や体の構造が「女の子」だ。
男の子なのに女の子のようなキャラクターデザインという
かなり見てる側を困惑させるデザインであり、
純粋にショタといっていのかどうかすらわからない。
ロリショタ、ショタロリといえばいいのか、謎すぎるキャラデザだ。
これはコミカライズの段階からそういう感じで描かれているようで、
アニメでもそれを受け継いでいる。
そんなキャラクターデザインが生かされているのが作画だ。
なろう系アニメの場合は7割くらいの作品の作画が悪いが、
この作品はかなりこだわった作画で描かれている。
1話の段階でメイドと演習をするのだが、木剣でのバトルシーンが
かなりヌルヌルと動いている。
そんなキビキビとケレンミすら感じるアクションをきちんと描きつつ、
主人公のキャラデザがときおりかなり簡素に描かれることで
コメディ要素も盛り込んでおり、コロコロと変わる作画の雰囲気と
ヌルヌルと動くアニメーションが、アニメという媒体での
「見て楽しむ」面白さを感じさせてくれる。
フェチズム
主人公の独特なフェチズムを感じるキャラデザもそうだが、
純粋な女性キャラクターもこだわりを感じる。
ムチムチな女体の描き方は素晴らしい。
胸や鎖骨、脇までもきちんと描かれた女性キャラたちが、
おねショタのごとく主人公に迫ってくるものの、
主人公には性的な欲望はない、あくまでも魔術的な探究心のみだ。
主人公は城の多くに封印されている「禁書」に目をつけ、
そんな禁書に封印されている魔神の封印を解除してしまう。
魔神の持つ古代魔術、それを見たい、知りたい。
それゆえに彼はあっさりと魔神の封印を解いてしまう。
封印を解かれた魔神は主人公を攻撃するものの、
そんな攻撃では主人公はびくともしない。
チートだ(笑)
ロリショタな主人公がニヤニヤとしながら顔を赤らめ、
汗を垂らし、例えまた死ぬ羽目になっても、痛みを味わっても
魔術への探究心を止めることができない。
ある意味、サイコパスかつ欲望に忠実な主人公だ。
1話からそんなぶれない主人公をきちんと見せることで、
主人公の魅力とキャラの印象付けにつながっている。
彼が魔術を行使する際のニヤケぶり、
サイコパスとも言えるような表情が見ている側も思わずニやつかせる。
数多のなろう系作品が
中途半端に描いてきたチートのアニメ的な表現を、
この作品はきちんとチートをかっこよく、
アニメーションとして表現している。
探究心
主人公の目的は魔術の探求だ、そこはぶれない。
魔術のためなら、新しい知識の探求のためなら
彼は何でもする、城を飛び出しダンジョンに挑むことだったりも
枚挙にいとまがない。
そんな探究心は新たな技術の獲得に繋がり、
チートな主人公は更に強くなっていく。
いわゆる俺つえー系ではあるものの、
その強さに主人公自身がいまだ満足していない。
ただでさえ強い主人公が更に強くなっていく、
その過程は爽快感がきちんとある。
魔術を使えば最強だが、格闘術では
主人公よりも主人公のメイドほうが強い。
変に自重するわけでもなく、魔道具生成なども実験でやりまくるが、
100%成功するわけではない。
チートではあるものの、このあたりの見せ方がうまいせいもあってか、
物語のテンポもよく、サクサクと楽しめる感覚だ。
魔神などの強敵も現れ、仲間たちが苦戦する中で、
主人公が颯爽と現れて無双する。
流れ自体はいつもの「なろう系」ではあるものの、
その戦闘シーンの中で女性キャラクターのセクシーなシーンを
これでもかと気合を入れて描いており、
そんなセクシーなシーンのあとに主人公による
チートな戦闘シーンが描かれる。
彼にとって本来は魔術すら効かない魔神でさえ実験動物だ。
敵がかわいそうになってくるほどの蹂躙されっぷりが
きちんとギャグになっている。
ただ主人公は転生前の記憶を持ち、転生前はある程度の年齢の
男性だったはずなのだが、転生したことで精神年齢自体も
かなり幼くなっているのはやや気になるところだ。
王子たち
主人公は第七王子という立場だが王位継承権はもっていない。
それゆえに継承権争いなどもなく、主人公を狙ってくる兄弟などもいない。
なろう系作品だと主人公の強さや権力を逆恨みして襲ってくるような
兄弟や貴族が出てきたりもするが、そういうことはない。
変に嫌悪感をいだくようなキャラが居ないというのも特徴的だ。
主人公はサイコパスの魔術ジャンキーのような性格ではあるものの、
困ってる人がいれば自身の知識で助けることもする、
自分を襲ってきた敵でさえ、呪いのような
体質で悩んでいれば改善してしまう。
1クール目では全ての王子は出ないものの、
どれも特徴的なキャラをしており、
そんなキャラと主人公が絡むことでストーリーが広がっていく。
魔族
スローライフ系のようなストーリーになりそうなところだが、
戦闘シーンはかなり多く、主人公の前にありとあらゆる強敵が現れる。
魔神を超えた存在「魔族」だ。
主人公の結界は序盤からほぼ破られていない。
だが、そんな結界すら「蹴り」であっさり壊す強敵だ。
この終盤の戦闘シーンのクォリティは素晴らしく、
CGなども混ぜながらダイナミックなカメラアングルでグリグリと動く。
鬼滅の刃や呪術廻戦クラスとまでは行かないが、
この作品が10年前に放送されていたら多くのオタクは
作画のクォリティの高さで腰を抜かしていただろう。
そう言ってしまうほどこだわった作画で描かれる
アニメーションがシンプルに見応えがある。
ただ、アニメーション自体のクォリティは高いのだが、
ストーリーのテンポは終盤かなり堕ちる。
序盤から中盤はサクサクとしたテンポで話が進むのだが、
終盤はそれなりの強敵が現れ、
主人公が己の探究心故に舐めプしている状態だ。
駆けつけてきた仲間たちの戦闘シーンも描かれるせいもあって、
9話から12話まで主人公が同じ敵と戦い続けている。
1クールの盛り上がりどころを作りたかったのはわかるが、
結局は俺つえーな状況で圧倒して倒すという流れは変わらないため、
終盤のテンポの悪さはかなり気になってしまう作品だった。
総評:なろう原作のアニメで本気を出した結果
全体的に見てアニメーションとしての見ごたえがしっかりとある作品だ。
なろう原作アニメの場合は紙芝居のような作画のアニメも多いが、
この作品はきちんと「アニメーション」としての表現で
この作品を面白くしようという制作側の気概をしっかりと感じる。
戦闘シーンでのコミカルなキャラデザの変化を切り替えながらの
戦闘シーンは人によっては好みが分かれるかもしれないが、
3dCGを駆使しながらの戦闘シーンは迫力がきちんとあり、
外連味を感じるアクションをきちんと描いている。
そんな戦闘シーンだからこそ、主人公の俺つえーな
戦闘シーンが際立っており、魔術の探求のために
舐めプしつつではあるものの、爽快感あふれる戦闘シーンは
敵がかわいそうになってくるくらいの圧倒ぶりだ。
ストーリー的にはなろうらしいストーリーではあるものの、
変に嫌味なキャラもおらず、魔族や魔神など
敵対する勢力がわかりやすく描かれている一方で、
人間側のキャラクターにほとんど悪いやつというのが居ない。
だからこそ、変なストレスも感じずに見ることができる。
キャラクターデザインもしっかりとしており、
女性キャラクターのセクシーなシーンもありつつ、
主人公のショタなのに女の子っぽい体つきという
性癖が狂いそうなデザインが見る人を選ぶ分はあるものの、
この作品らしい個性は出ている。
主人公のイキり、クソガキ感のようなものも
人によって好みが分かれるところだが、
なろう作品特有のイキリが「クソガキ」という要素に
変換されているのも面白いところだ。
ただ、終盤のストーリーのテンポはかなり悪く、
序盤から中盤までに比べてグダグダしてしまったのは
気になるものの、2期の制作も決定しているため、
1期のようなクォリティで描かれることを期待したい。
個人的な感想:独特
アニメーションのエフェクトなどもそうだが、
かなり特徴的な演出が多い。
制作を手掛けたつむぎ秋田アニメLabは今年から元請け制作をしており、
この作品で2作品目だ。
もしかしたら、今後も目にすることになる制作会社として
注目したいところだ。
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