評価 ★★★★☆(68点) 全13話
あらすじ わたし、柊うてなは魔法少女が大好きなごく普通の女の子☆ ある日、変身する力を与えてくれそうなマスコット的なやつに出会って不思議な魔法をかけられちゃった! 引用- Wikipedia
ようこそ甘美なSMの世界へ
原作はストーリアダッシュで連載中の漫画作品。
監督は 鈴木理人、大槻敦史、制作は旭プロダクション
魔法少女
1話冒頭から世界観が描かれる。
この作品の世界には魔法少女が存在し、悪いやつと戦っている。
まるでプリキュアかセーラームーンのような存在がいる世界で、
主人公は魔法少女に「憧れる」陰キャな感じの少女だ。
そんな彼女の前に謎のマスコットが現れて「変身してみるかい?」と誘ってくる。
魔法少女モノとしてはテンプレート敵かつベタな展開だ。
言われるがまま、返事もしないうちに彼女は「変身」してしまう。
だが、そんな少女の憧れは正反対の形で叶えられてしまう。
無駄にセクシーで無駄に露出が多く、角のようなものまで生えてしまう。
彼女に秘められた力は「悪の組織の女幹部の力」だ(笑)
自らの憧れた力や存在とは真逆のものに適正があるといわれたときに
人はどうするのか。
もしかしたら、そんな哲学を描こうとしているのかもしれない。
と一瞬思ってしまったが、そんなことより
この作品はとんでもなくセクシーな作品だ。
冒頭の変身シーンでさえ、配信では規制なしのバージョンが配信されており、
そんな規制なしバージョンでは変身のときに
衣服が脱げて裸になるシーンではがっつりと乳首券が発行されている。
なぜか2024年冬アニメは「魔都精兵のスレイブ」もそうだが、
乳首券が発行されており、セクシーなアニメがかなり攻めている。
ただでさえ色々とうるさい時代で紳士アニメと呼ばれる
作品が僧侶枠という形で鳴りを潜めている中で、
この作品もまた勝負を仕掛けている。
主人公はただただ普通の女の子だ。勉学も運動も普通、
クラスでも特に目立たない、何も特徴がなく、得意なこともない。
だが、そんな彼女には「悪の女幹部」の才能がある。
魔法少女に憧れる彼女だからこそ、魔法少女が大好きな彼女だからこそ、
その「愛」ゆえに魔法少女の敵となる資格がある。
そんな資格と才能は本物だ。
彼女の力は魔法少女の敵となる「魔物」を作り出すことだ。
言われるがまま、状況に流されるまま、
魔法少女と戦っている彼女は、いつしか、「興奮」を覚え始める。
大好きな存在を苦しめている、大好きな存在を痛めつけている、
そんな「行為」に彼女は不敵な笑みを浮かべてしまう。
愛しているがゆえに壊したい、愛するが故に痛めつけたい。
これはまさに「サディイズム」だ。
自分にしか見せない恥辱の姿、大好きな存在が痛みに苦しみ、
恥じらいを浮かべ、涙を流す表情に歓喜する。
本当は好意を持った相手は普通ならば大切にし、暴力を振るうことはない。
だが、暴力を振るうことで、本来はやってはいけないと思っている行為を
あえてすることに興奮を覚えてしまう。
押してはいけない「非常ボタン」を押すような快楽だ。
主人公は魔法少女が大好きだ、だが、大好きだからこそ、
自分が悪の組織の一員になったからこそ、
彼女たちが誰にも見せない恥ずかしい姿や痛がってる姿を
自分だけが見ることができる、そんな独占欲も生まれている。
彼女こそまさに本物のサディストだ(笑)
肉体美
作画のクォリティ自体はすごく高いわけではない、
キャラクターデザインもやや懐かしさを感じるようなデザインで、
最近のアニメのデザインというよりは2000年代前半の
魔法少女や女児向けアニメっぽさすらある。
だが、そんな少しふるさを感じるデザインがセクシーさを増長している。
細かく描きこまれた肉体美、脇や肋骨、女の子の「ライン」や
ちょっとした「脂肪」の描写が、少女たちの性的魅力を、
ポイントポイントのフェチズム的なこだわりを
きちんと感じさせてくれるからこそ、それがエロスに変わる。
シチュエーションもとんでもないものが多い。
触手責めから始まり、スパンキング、そしてくすぐりetc…
服を破るのはもはや毎度のお決まりだ。
そんな行為の数々を悪の女幹部として主人公は楽しんでしまう(笑)
手の届かない憧れの存在が自分の手で凌辱されている姿、
屈辱を与えることで自らの存在を植え付ける歪んだ愛情表現に
主人公は徐々にハマっていってしまう。
性癖とは染み付いたものだ。
己にはどうすることもできず、己でも自覚していない人も多い。
それがなにかをきっかけに花開き、自分でも止められなくなってくる。
「性欲」という人が抱えた業を余すことなくこの作品は描いている。
まるで学校の帰り道に拾った怪しげな本を見つけた若者のように、
彼女は徐々に性に、サディズムに目覚めていく。
しかも悪の組織であるエノルミータに所属するものは
自らの「欲望」がそのまま魔力という名の強さになる。
主人公の欲望、サディズムが増えれば増えるほど彼女は強くなり、
そして魔法少女はひどい目にあっていく(笑)
最初は流されるまま、無理やり悪の組織の一員になった主人公だ、
だがサディズムに目覚め快楽を覚え、もっとめちゃくちゃにしたいという
思いが強くなってしまう。こういった行為はどんどんと過剰になっていく。
最初はちょっとしたアブノーマルなプレイが、どんどんと、
危険で甘美なものへと進んでいってしまう。
幹部
悪の組織は彼女だけではない、他にも当然、幹部のようなキャラも居る。
彼女たちにも、それぞれ戦う理由があり、歪んだ感情という名の
「欲望」は彼女たちにもある。
例えば「阿良河 キウィ」という幹部は
魔法少女がちやほやされることが許せない女の子だ、
自分こそが1番可愛い、そんな欲望が彼女の原動力でもある。
しかし、そんな彼女にすら主人公はアブノーマルなプレイをしてしまう(笑)
彼女は自己顕示欲の化け物だ。誰かが自分より目立つのが許せない。
現代に生きる若者の一定数が抱えた問題でもある。
目立つためならば過激な写真をSNSに上げようとするほどのキャラであり、
そのために悪の組織に入っている。
だが、そんな彼女の自己顕示欲が主人公への愛に変わっていく。
自分を可愛いと言ってくれた主人公に、自分が知らなかった世界の
扉を開けてくれた主人公に彼女は惚れてしまう。
しかし、そんな主人公は魔法少女のことが大好きだ。
彼女の視線を独り占めするためにも「阿良河 キウィ」は魔法少女と
戦い続けていく。
アブノーマルなシーンやセクシーなシーンが多いものの、
魔法少女もの、戦隊モノとしての様式美もきちんとある、
魔法少女たちは主人公たちによって1度はピンチになるものの、
いつも逆転されて彼女たちは負けてしまう。
そんな様式美を繰り返しながら主人公なアブノーマルさは加速していき、
主人公のプレイに悪の組織も、魔法少女の一人も
徐々に染まっていってしまう。
恥じらいよりも
主人公の攻撃はひたすらに破廉恥だ。
必ず服は破くし、それ以上のことも平気でする。
そんな彼女の攻撃に魔法少女たちは「恥じらい」を感じる。
当たり前の感情だ。
だが、魔法少女の中のリーダーともいえる
「花菱 はるか」はそんな恥じらいよりも正義を執行しようとしている。
衆人環視のもとでも、恥ずかしいという感情よりも
彼女は魔法少女として正義を貫こうとしている。
「天川 薫子」も同じだ。
京都弁で正義の使者とは思えないようないけずな性格をしているものの、
魔法少女としての仕事はまっとうしようとしている。
だが「水神 小夜」だけは別だ。
彼女は主人公の度重なる攻撃の末に「マゾヒズム」に
目覚めてしまっている(笑)
そんな中で迷いも生まれる、快楽にひたり魔法少女として
正義を執行できない、迷い。
主人公が魔法少女をいじめるのに夢中で勉強が厳かになるように、
快楽は時に人を貶める。
サディズムとマゾヒズムのぶつかりあい、
魔法少女が堕ちれば、悪の組織の勝ちだ。
だが、それを許さないのが主人公だ。
闇落ちしそうな「水神 小夜」に対し、彼女はそれを許さない。
主人公にとって「水神 小夜」はかっこいい魔法少女だ、
闇ちする魔法少女など彼女にとって解釈違いでしかない(笑)
魔法少女ものとしてきちんと描いている一方で
性的倒錯をそこに合わせることでこの作品でしか味わえない
アブノーマルな面白さを醸し出している。
そんな彼女たちは互いの正体を知らない。
認識阻害魔法がかかっているため顔をさらしていても、
彼女たちが「同じ学校」に通うクラスメイトだということは
視聴者しか知り得ない。
魔法少女と悪の組織の一員が互いに正体を知らずに交流する、
これも日朝アニメ系でよくある展開だ。
彼女たちは学校では友達とはいかなくともクラスメイトだ。
そんな知り合いな彼女が真実を知るときは来るのか。
内乱
悪の組織には初期構成員がおり、彼女たちは
別の街の魔法少女を刈っている。悪役らしい悪役であり、
彼女たちの目的も世界征服というわかりやすい目的だ。
主人公や「阿良河 キウィ」、そして中盤で仲間になる
「杜乃 こりす」とは同じ悪の組織の一員でありながら
目的も、行動理念も違う。だからこそ内乱が起きてしまう。
圧倒的な力を持つ初期構成員、そんな相手に対し、
主人公は「敵対意識」をむき出しにする。
彼女にとって「魔法少女」は大切な存在だ。
自分以外が彼女たちをいじめることも、
彼女たちを「狩る」存在を彼女は許せない。
歪んだ愛情ゆえの独占欲、そんな独占欲が本来は仲間のはずの
同じ組織の構成員ですら敵対する理由になる。
魔法少女との戦いはセクシーシーンにすぐになってしまうものの、
構成員同志の内乱の戦闘シーンはしっかりと
キビキビとしたアクションを見せてくれる。
序盤はそこまで戦闘シーンの面白さは感じないのだが、
終盤に差し掛かると、それぞれのキャラが持つ魔法を
主人公たちが攻略していく、
いわゆる能力バトル系のアニメの側面もこの作品にはある。
そんな戦いの中で主人公による攻撃という名の
「責め」が彼女たちのうちに隠されていた本性を暴いていく。
今まで隠していた思い、ヒメていた思いを露わにされることで、
敵だった幹部たちが主人公の仲間になっていく。
セクシーシーンやSM要素などで隠れているが、
展開自体は王道な魔法少女ものや戦隊モノの
ベタとも言える部分を踏襲している感じだ。
自らの欲望を解放すれば解放するほど
悪の組織に所属するキャラは強くなる。
だからこそ、己が欲望を開放し、力を使えば使うほど、
力を求めれば求めるほど彼女たちはエロくなっていく(笑)
長年付き合ったカップルの行為がどんどんとマンネリを防ぐために
ハードなものになっていくように、彼女たちの力が強まれば強まるほど、
より力を求めるほどセクシーシーンも過剰になっていく。
もう終盤など、どのキャラもほとんど服を着ていないほどだ。
存在意義
主人公も自身の存在意義を終盤でより強く自覚する。
魔法少女が魔法少女であるために、魔法少女いつづけるためには
「敵」が必要だ。
か弱き人を守り、平和を守るために戦う、そんな魔法少女が
ずっと魔法少女でいるために彼女は悪の組織の幹部である
「マジヴェーゼ」であり続ける。
強きものが弱気ものから奪う、それが悪ならば
彼女は絶対的な悪になろうと、強者になろうとする。
それが魔法少女の敵であるために、いつか、魔法少女に
倒される悪になるために必要なことならば
彼女は徹底的に悪にそまり、強者になる。
それは全て魔法少女への「愛」ゆえにだ。
謎
魔法少女や悪の組織の力は全て、
それぞれのマスコットキャラたちから与えられた変身アイテムによるものだ。
悪の組織を作り上げている「ヴェナリータ」には
なにやら目的があるようで、その目的のために欲望の持つ少女を
スカウトし、彼女たちに力を与えている。
魔法少女に力を与えている「ヴァーツ」は
そんな「ヴェナリータ」の目を覚まさせようとしているようだ。
このあたりの情報はあくまで伏線の範囲に止められており、
1クールで回収されることはない。
内乱を収めたことで主人公は「悪の組織」の総帥になってしまう。
自らの欲望を、思うがままに。
変身していない状態でも魔法少女に思わず手を出してしまうほど、
主人公の欲望が増大している。
魔法少女たちも修業をへて強くなっている。
いくら恥ずかしい姿を見られても、たとえ巨大化してパンツをさらしても、
彼女たちは平和を守るために戦い続ける。
より強く、より気高く、より美しくなる魔法少女たち。
特に「水神 小夜」は痛みを快楽に変換し、
魔法の力にする姿を手に入れている(笑)
だからこそ主人公の「壊したい」という思いも強くなる。
いろいろな謎を残し、わたしたちの戦いはこれからだ!で
終わっているものの、1クールたっぷりと
この作品らしい面白さを味わえた作品だった。
総評:汚れちまった日アサアニメ
全体的に見て清々しいまでの紳士アニメだ(笑)
魔法少女ではあるものの、主人公は悪の組織の一人であり、
そんな彼女が流されるままに悪の組織に入ってしまい、
流されるまま魔法少女と戦った結果、
自らも自覚していなかった性癖に目覚めてしまう。
主人公はタイトル通り、魔法少女に憧れを抱いている。
単純なファンや好きという感情だけでは表現できないほど、
魔法少女に対する深い愛情が在り、狂信的ですらある。
そんな彼女が魔法少女の敵になってしまう。
普通なら悲観してしまい、戦うことすら拒否するはずなのに、
彼女の中にあった「サディズム」がそれを許さないどころか、
彼女の存在意義すら変えていく。
最初はテレビを通して応援しているだけで良かった。
それなのに魔法少女たちと敵という立場ではあるものの、
「生」で彼女たちを見ることができ、会話すらできる。
しかも、他の人が絶対に見れないような痛がっている姿や
恥ずかしがってる姿を自分の行為によってさらしている。
それが独占欲に繋がり、より行為も過激になっていく
中盤を過ぎると同じ悪の組織の幹部たちが、
別の魔法少女を倒している事実を知ってしまう。
彼女にとって魔法少女は絶対だ、だからこそ、
そんな魔法少女を奪う行為を許せない。
歪んだ愛情は時間と行為を重ねるたびに過激になり、
より深く愛情を歪ませていく。
そんな「SM的な概念」をまっすぐに描いており、
最終的に主人公は魔法少女という正義に対する絶対的な悪として
強者であろうとする。
何者でもなかった少女が自身の存在意義を見定める。
1クールでその過程が丁寧に描かれながら、
魔法少女モノとしてベタな展開もありつつも、
そこに「SM」という要素を加えることでこの作品らしい面白さを作り上げている。
2期があるかどうかはわからないが、ぜひ続きが見たい作品だ。
個人的な感想:紳士枠黄金時代到来か?
2024年冬アニメはなぜかこの手のセクシーアニメが多いクールだった。
この作品もそうだが、魔都精兵のスレイブや結婚指輪物語など、
本来は1クールに1本あればいいようなセクシーなアニメが
なぜか3本も放送されている。
もしかしたら紳士アニメの黄金期が再び来る予兆があるのかもしれない。
2011年から2012年頃がピークと言われた紳士アニメ、
あれから10年だ。ブームが再び来る周期ではある。
昨今は色々と規制が厳しい中で、この作品も魔都精兵のスレイブも
配信やAt-Xなどで規制なしのバージョンが見れるのは
本当に驚いた。乳首券も堂々と発行されている(笑)
この手のセクシーなアニメは好き嫌いが分かれやすいものの、
セクシーな要素が嫌いでなければぜひお試しいただきたい作品だ。
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