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イッツ・ショータイム!「怪盗クイーンはサーカスがお好き」レビュー

3.0
怪盗クイーンはサーカスがお好き 映画
怪盗クイーンはサーカスがお好き
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評価 ★★★☆☆(56点) 全58分

映画『怪盗クイーンはサーカスがお好き』予告編

あらすじ 気まぐれな怪盗クイーンがパートナーのジョーカーやRDと共に、超弩級巨大飛行船『トルバドゥール(「吟遊詩人」の意味)』に乗って世界中をまわり、時に変装し、時に戦い、高価な宝石や絵画、などを盗んでいく。引用- Wikipedia

イッツ・ショータイム!

原作は青い鳥文庫で刊行された児童文学書。
監督は傳沙織、制作はイーストフィッシュスタジオ

ピエロ

この作品は映画では有るものの、尺的には60分ほどしか無い。
過去にアニメ化されたわけでもなく、原作の小説のみしか存在せず、
初のアニメ化が60分の映画だ。
そう聞くとファン向けのアニメ映画のような印象を覚える人も多いだろう。

確かにそれは否めない部分がある、
主人公であるクイーンがどうして怪盗になったのか、
そういった物語の導入がほとんど描かれておらず、
クイーンの仲間たちがどうして彼女の仲間になっているのかなども描かれていない。
60分という尺だからこそ、ある程度割り切った描写になっている。

キャラクターデザインはやや古さを感じる部分がある。
ベルサイユのばらなどの「少女漫画」的なまつげを
強調したようなキャラクターデザインはやや癖はあるものの、
同時にどこか懐かしさを感じる。

ふたりはプリキュア、おジャ魔女どれみ、明日のナージャ、夢のクレヨン王国、
あのころの日曜の朝にみていたアニメのような雰囲気を醸し出しており、
古臭さは感じるものの、同時に懐かしさを感じさせてくれる。

この作品が初のアニメ化なのに懐かしさを感じてしまうのは不思議な感覚だ。
まるで、あの頃のニチアサアニメを久しぶりに見たような
郷愁感にとらわれる。

怪盗の美学

怪盗であるクイーンは己の美学を持っている。
彼女はわざわざ盗む前に「予告状」を送り、あざやかに盗み出す。
怪盗という現代においては時代遅れの存在、そんな存在は現代にも存在している。
原作自体は20年前の作品だが、この作品での時代感はきちんと現代だ。
インターネットも発達し、あたりまえのように皆、スマホを握りしめている。

そんな現代でも怪盗をしているのが主人公だ。
彼女は己の美学に従い、どこかナルシズムを感じさせるキャラではあるものの、
彼女にとっての盗みは正義の行為だ。
何を盗むか、どうして盗むのか、全て彼女なりの正義があり、道理が有る。

変装の名人である彼女がどうやって警備体制が整っている場所から
「リンデンの薔薇」と呼ばれている宝石を盗み出すのか。
ストーリー自体はシンプルであるものの、
自分の中の忘れかけていた子供心を思い出させてくれるような
ストーリー展開にワクワクしてしまう。

だが、盗み出そうとし矢先に誰かに先を越されてしまう。
同じ怪盗であり、サーカス団員だ。
彼らはなぜ、クイーンの獲物を横取りしたのか。
シンプルなストーリーではあるものの、わかりやすく
ストレートなストーリー展開だ。

クイーンは誰?

クイーンの敵であるサーカス団員は暇つぶしで彼女に勝負をしかけている。
クイーンはその勝負を受け、サーカスへと侵入する。
誰がクイーンなのか、見ている側にもわからない。
見ている側も自然とクイーンが誰なのかを推理したくなってしまう。
ある種のミステリー要素がこの作品には有る。

敵であるサーカス団も一見悪そうな奴らに見えて、そうではない。
彼らにも、ピエロの団長にもクイーンと対峙する理由がきちんとあり、
その理由も「戦争」がらみとシリアスかつ重い要素だ。

1本の、たった60分の尺の映画の中できちんとした
起承転結が練られており、誰も傷つけず、誰も悲しませないラストは
不思議な満足感を感じることのできる作品だった。

総評:あの頃の日朝アニメを

全体的に見て60分の尺の中ですっきりとした起承転結が描かれてる作品だ。
謎の多い怪盗クイーンを主人公に、現代を舞台にした怪盗アクションをみせつつ、
主人公のクイーンの魅力を余すことなく描いており、
シンプルでは有るもののすっきりとしたラストは程よい余韻を残してくれる。

キャラクターデザインは少女漫画的でやや古臭さを感じさせるものの、
同時に懐かしさも感じさせてくれる。
20年、30年前の日曜の朝アニメを見てる感覚で
楽しむことができる作品だ。

ただ、その一方で60分しかないからこそ物足りなさを感じる。
物語の導入から描いているわけでもなく、
メインキャラの事情や関係性などを掘り下げきれていない感じもあり、
60分で終わるのはもったいないと感じてしまう。

いっそのこと日曜朝アニメとして4クールくらいガッツリと
TVアニメとしてみてみたいと思ってしまう作品だった。

個人的な感想:なつかしい

久しぶりに味わう日朝アニメ感が素晴らしい作品だった。
ただ、なぜ映画になったのだろうかというのは疑問だ。
原作自体は20年前から刊行されているシリーズであり、
人気もある作品であることは知っているのだが、
なぜ2022年に、しかも映画、しかも60分で映画化されたのか…

調べた所「若おかみは小学生!」のヒットも影響しているようで、
児童文学に注目が集まる中で、この作品にも
白羽の矢が立ったようだ。

原作はシリーズで120万部以上売れてるものの、
興行収入が読めない。
だからこそ60分という尺でOVAで上映するという形を取られており、
試金石的な作品だったのかもしれない。

興行収入が伸びればTVシリーズや続編などに繋がったかもしれないが、
残念ながら興行収入は2500万ほどとかなり厳しい数字で
終わってしまったのが、残念なところだ。

「怪盗クイーンはサーカスがお好き」に似てるアニメレビュー

出演:大和悠河, 出演:加藤和樹, 出演:内田雄馬, 出演:森川智之, 出演:古川慎, 出演:のぐちゆり, 出演:田所陽向, 出演:白井悠介, 出演:依田菜津, 出演:手塚ヒロミチ, 出演:高橋伸也, 出演:広瀬裕也, 出演:清水彩香, 出演:浦山迅, 出演:伊東健人, Writer:國澤真理子, 監督:傳沙織

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  1. 匿名 より:

    面白く読ませていただきました!!ファンや演じた声優さん方、作ったスタッフや、なにより作者に大変愛されている作品ですので、見てくださった上でしかもレビューもしてくださるのはとてもうれしいです。現在も新刊が出続けていて、ファンも多く、みんな映画化にはお祭り騒ぎのようになりました。
    子供心を思い出させてくれるというコメントがうれしいです!子供のときの気持ちを大事にし続けるというのは怪盗クイーンシリーズの中で重要な要素だと思っているのでうれしいです。
    作者はミステリーを書くことが多いので、それを感じ取ってくれたのもうれしいです。もともと怪盗クイーンというキャラは、作者の書いている本格ミステリーの別シリーズの探偵のライバルとして生まれたキャラなんですよね。
    クイーンの性別は中性や無性として作中や挿絵などで扱われることが多いので、彼女と表現するのは新鮮でした!そのような見方もあるのかと興味深く、ファンとはまた違った視点で面白かったです!
    どのコメントも共感でき、とてもおもしろかったです。物足りなさを感じたのもとてもわかります…。
    ご存じなかったかもしれませんが、実は、制作側やファンの愛のおかげもあり、半年ほど前に続編「怪盗クイーンの優雅な休暇」のアニメ化が決定しました!私の一番好きな巻なのでとても楽しみにしています。小さい頃からずっと、怪盗クイーンの優雅な休暇を映画館で見てみたかったんです!今回で物足りなく感じた部分は、予算不足にもあったと思うので、成功して決定した続編は、もっと素晴らしいものになると信じています!ぜひ笠さんもご覧になってください!またレビューを書いてくださるのを楽しみにしています!