評価 ★☆☆☆☆(18点) 全12話
あらすじ デジタル絵画パーセプションアートが生まれて人々に浸透して10年たった世界を舞台に永茜高校での学園生活を描く。引用- Wikipedia
生煮えアニメ
「Opus.COLORs」に似てるアニメレビュー
本作品はTVアニメオリジナル作品。
監督は多田俊介、制作はC-Station
VRアート
1話冒頭からこの作品の肝である「VR」アートが描かれる。
デジタルで作られれた3次元の空間にリアルタイムで絵をかき、
VRゴーグルをかけるとそれを見ることができるのが
VRアートであり、この作品ではパーセプションアートという
言葉が使われている。
主人公の両親はパーセプションアートのアーティストであり、
子供の頃からそんな両親のもとで育った主人公と幼馴染の二人は
自然とパーセプションアートに興味を持つようになる。
本来は視聴者にもその凄さが伝わるのが理想だが、この作品の作画は安っぽい。
基本的な色合いが妙に薄いせいもあるのだが、
肝心のパーセプションアートとやらがCGで描かれており、
子供の頃の主人公たちが憧れるほどの凄さを一切感じない。
主人公たちが子供の頃よりも進化した技術、
高校生になった彼らはパーセプションアート学科のある
高校に入学するところから物語が始まる。
急に歌い出す
1シーン1シーンが1話の段階からすでに間延びしており、
意味もなくキャラクターの足元から顔までカメラを動かしたりと、
尺稼ぎなのかなんなのかよくわからない意味のないシーンも多い。
入学した主人公たちの前にいきなり先輩の作品が展示される。
謎のファンタジー空間の映像、そんな映像はアニメ仕立てになっており、
そんな意味不明な映像を見せられながら
「キャラクターソング」がこれまた無意味に流れる。
キャラクターが歌うシーンに流れるならまだしも、
キャラクターが制作したVRアートの動画を見せられながら
キャラソンが流れてしまうため、曲と映像、
どちらに集中力を持っていけば良いのか迷ってしまい、
結局どちらの記憶も残らない。
有名ですごい先輩が作ったVRアートを見て主人公たちは感銘を受けるのだが、
見ている側とすれば一切感銘を受けない。
VRアートを題材にしているのにVRアートらしい面白さや魅力が
一切アニメーションという媒体で伝わらない。
本来はVRという仮想現実で「立体感」のある映像を見せるのが
VRアートの面白さであるとおもうのだが、
実際に見せられる映像は立体感もクソもない。
仲が悪い
パーセプションアートというものは
グレーダーとアーティストというものに別れている。
アーティストはVR空間で絵を描く作業をし、
グレーダーはそんな絵のプロデュースをする仕事だ。
歌い手と作曲家のような関係性と考えればわかりやすい。
だが、なぜかグレーダーとアーティストは仲が悪い。
この時点で意味不明だ。
本来は協力しないといけない関係性なのに仲が悪く、
グレーダーはアーティストを下に見ていたりと、意味不明な世界観だ。
そもそもグレーダーはパーセプションアートとやらに
どうしても必要なのか?というのが見ている側にはわかりにくい。
アーティストがどんなアートにしてどういう風に描くのかと
きめても良いはずなのだが、何故かこの世界ではそれが許されておらず、
かならずグレーダーとアーティストがコンビを組んでいる、意味不明だ。
終盤では主人公の幼馴染の一人が一人で絵を書いており、
しかも評価されているパーセプションアートを過去に完成させてることが
明らかになると、余計にアーティストとグレーダーと
分けている理由が意味不明でしか無い。
結局、男性キャラ同士の「カップリング」を作るための世界観でしかなく、
「主人公」とかつて仲が良かった幼馴染との
関係性を修復するためだけのものだ。
主人公の両親は事故ですでになくなっており、
その事故以来、主人公と幼馴染の関係性は崩れてしまっている。
コンセプションアート、世界観や設定は
この関係性の修復のダシにされている。
1話からなぜか多くの「1年生」がステアアーサー候補というのに
選ばれているのも意味不明だ。
入学したばかりで実力もよくわかっていないような1年を、
すぐに優秀なステアアーサーの候補にする、主席だけとかならまだわかるが、
もう意味不明なほど大量に選出されている。
どういう基準で主人公がステアアーサー候補とやらに選ばれたのか、
見ている側にはまるで理解できない。
話を進めるための強引な設定と世界観とストーリー展開が
1話から多く、キャラクターも多すぎて名前もろくに覚えることも出来ない。
ペア
2話になるとそんなキャラクターたちが会話劇を繰り広げるが、
心底どうでもいいと感じるほど、
どうでもいい喧嘩や揉め事を繰り返している。
多いキャラクターを使いこなせていない感じだ。
キャラクターの名前も覚えきれてないままに、
誰と誰がペアを組むか組まないかみたいな話を展開され、
セリフとしてキャラの名前が出てきても、
まるで頭に入ってこない。
主人公と幼馴染の「過去」になにがあったのかも
いつまで立っても明かされない。
なぜ幼馴染がかたくなに主人公を拒むのか、
その根本的な理由が序盤は明かされないため、
二人のやり取りが「どうでもいい」と感じてしまう。
紆余曲折合って2人はペアとなり作品づくりに挑む。
痴話喧嘩しつつも、作品を完成させていき、
二人の仲も深まっていく。
そういうことをやりたいのはわかるが、
出来上がるパーセプションアートがただのMVだ。
わざわざ「歌詞」を字幕で表示し、なぞのイメージ映像とともに流れる。
まったくもってパーセプションアートの凄さが伝わらない。
プロとして活動している先輩と、プロですら無い主人公たちの
作品の凄さの違いなど、アニメーションで一切表現しきれていない。
アニメとしての表現が作品のコンセプトに追いついていない。
メインキャラクターたちの作品はMV的なアニメなのに、
1話で主人公の両親が彼らに見せるものや、
中盤で子どもたちがパーセプションアート体験会みたいなものに
参加している時に描かれるものはVRアートそのものだ。
作品でパーセプションアートというものが定まっていない。
犯人探し
そんな中で学校の中で誰が描いたか分からない
パーセプションアートが発見される。
主人公がそんな絵をみると「両親の面影」のようなものを感じ、
誰が描いたかという犯人探しが始まる。
もう、この時点で「あー、幼馴染がこっそり描いたんだろうな」
というのは見ている側は察してしまう。
そもそも彼はしょっちゅうタブレットで何か描いており、
露骨に視聴者には犯人がわかってしまう。
この犯人探しを利用して序盤から中盤までで
掘り下げ不足だったキャラクターを掘り下げているだけに過ぎず、
そのストーリー自体も特に面白みがない。
無駄に多いキャラを掘り下げるのに必死でメインストーリーが進まず、
髪色と声優が違うだけのイケメンキャラに特に何の感情もわかない。
別のペアのパーセプションアートも本編中に流れるのだが、
主人公たちのペアとの「違い」がよくわからず、
微妙にテイストの違う似たようなMVばかりを魅せられる印象だ。
反対派
終盤でようやく主人公の両親の過去が明かされる。
パーセプションアートが注目されるものの、
VRアートだからなのか「刺激が強い」という論調が生まれ、
悪影響があるのでは?という謎の反論が世論の中に生まれている。
反対派がなぜそこまでパーセプションアートという名の
VRアートに反対するのかもよくわからない。
「絵画というよりは映像に近くて抽象的」という
意見だけはクビがもげるほど納得してしまうが(笑)
パーセプションアート反対派はかなり過激であり、
デモ活動まで行っている。
反対派がなぜここまで反対しているのか、
そういった部分で説得力にかけてしまう。
作品前提として設定の詰めの甘さが凄まじい。
そんなデモ活動が行われる中で主人公たちは交通事故にあってしまう。
自分のせいだ!
主人公の幼馴染は両親が死んだのは自分のせいだと連呼する。
なかなか真相をいわずにグダグダウジウジと
キャラ同士の関係性を描いている。
そういいった心理描写をパーセプションアートに代行させている部分もあるが、
終盤になっても特にこのパーセプションアートが面白いわけでもない。
中途半端なパーセプションアート部分は飛ばして見たとしても
さして問題がない。
ようやく最終話で事故の真相が明らかになる。
交通事故が起きた時に幼馴染は主人公の両親の作品を
車から強引に取り出そうとしていたのだが、
そんな幼馴染のかわりに主人公の母がトランクから作品を取り戻そうとした結果、
爆発が起きてしまい、主人公の両親はなくなる。
1話から最終話まで引っ張りに引っ張ってきた真相がたったこれだけだ。
幼馴染が「自分のせい」と思い込むのはわかるものの、
ここまで引っ張る出来事なのか…?と思うほど、
ある程度予想の範疇でしか無い。
最後は引っ張りに引っ張った真実が明らかになり、
2人が仲良くアートを完成させて終了だ。
本当に最後まで意味不明な作品だった。
総評:男性声優に歌わせたいだけのアニメ
全体的に見て、ただのアイドルアニメの変化球作品でしか無い。
最近は女性アイドルモノや男性アイドルモノなど多く存在し、
ストレートなアイドル物ではなくホッケーなどをやらせて、
ついでに声優に歌わせているような作品が目立つが、
この作品もそんな変化球男性アイドルアニメでしかない。
無駄に多いキャラクターはメインストーリーを綴る上で
必要のないキャラクターがあまりにも多く、
そんなキャラクターのエピソードを描くため、物語のテンポも悪い。
主人公と幼馴染の物語だけならば3話くらいで描けそうなものを、
存在感のないキャラのエピソードを絡めることで1クールにしている。
男性二人のカップリングをつくるために、
パーセプションアートを作るためには二人一組でないといけないという
謎ルールが生まれており、そのせいでグレーダーというものの必要性を
まるで感じず、出来上がってくるパーセプションアートとやらも
ただのMVのようなものでしかない。
やりたいことを正当化するための設定が煮詰めきれておらず、
ツッコミどころが大量に生まれており、
そのせいで意味不明なストーリー展開や世界観になっている。
結局は男性声優に歌わせたい、男性アイドル物をやりたいが、
男性アイドルものは有象無象に存在しているため
変化球として「パーセプションアート」というVRアートと取り入れたはいいが、
それを設定としてもアニメーションとしても表現しきれておらず、
最初から最後まで意味不明な作品に仕上がってしまってる作品だった。
個人的な感想:VRアート
VRアートを題材にしているのは面白かったものの、
結局そこの印象しか残らない作品だった。
最後までキャラクターの名前も覚えきれず、
必要性のないキャラがあまりにも多すぎる上に、
ノイズの多い設定がストーリーを素直に楽しまさせてくれない。
監督である多田俊介さんは「スタミュ」などをてがけており、
似たような路線の作品を生み出そうとしているのはわかるが、
結局失敗してしまった印象だ。
もう少し設定やキャラを煮詰めれば面白くなりそうな部分もあるが、
作品全体として色々と勇み足な感じのある作品だった。
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