評価 ★★☆☆☆(38点) 全12話
あらすじ 目覚めたら、思いを寄せるクラスメイト“犬飼さん”の飼い犬“ポチ太”になっていた!引用- Wikipedia
人権剥奪アニメ
原作はマガジンポケットなどで連載中の漫画作品。
監督は安ドウタカシ、制作はQuad
犬になれ…
この作品はある意味で出オチのような展開から物語が始まる。
気づいたらなぜか犬になっていた主人公、しかも、捨て犬だ。
雨が降りしきるなかで自分がなぜ犬になってしまったのかもわからず、
声もうまく出せない。一歩間違えば死んでしまいかねない状況で
彼は同級生に拾われる。
ろくに喋ったことがない、憧れの美少女。
普段はツンツンしててクールな彼女に拾われ、世話をされる。
犬だからこそ、堂々と彼の前で衣服を脱ぎ、
堂々と彼の全身に触れまくる。
主人公も戸惑っている。
なぜ犬になってしまったのかもわからず、
そもそも最初は自分が「犬になった」ことすら認識していない。
だが、そんな一大事よりも目の前であられもない姿で
無防備にお風呂を入る姿を「犬」だからこそ見ることができる。
人間のときでは絶対に見ることができないような
憧れのクラスメイトの入浴シーンを
「犬なった」からこそ見られるのだ。
犬だからこそ話しかけてもらえる、
犬だからこそ触れてもらえる、
犬だからこそ耳をしゃぶしゃぶしてもらえる、
犬だからこそ彼女の「素」の姿を見られる。
犬になってしまったことは一大事だ。
だが、犬になったからこその「ご褒美」の数々を彼は味わっている。
そんな彼に彼女は「おすわり」と命じる、
人間としてのプライドはまだある、だが、芸をすれば
彼女は喜んでくれる。
哲学
人のときには触れることすらできなかった彼女の手を
犬な彼だからこそ求めてくる。
ならば「犬」のままでもいいのではないのだろうか?
ある種の哲学的なニュアンスすらこの作品は含んでいると言ってもいい。
好きな人に愛される。
そのためならば「人」である必要はないのではないのだろうか?
人としての尊厳よりも、男としてのプライドよりも、
好きな人に愛され、自分が人でないからこそ喜んでもらえる。
なら「人」にこだわる必要は果たしてあるのだろうか?
セクシーシーンの連続でこの作品のテーマ性は隠れがちではあるものの、
そんなある種の「人権」とはなにかと考えるようなテーマの中で、
犬の視線でローアングルで可愛い女の子のセクシーなシーンの数々を見ながら、
見ている側も己が抱えている「人としての姿」と「尊厳」と
「人権」について考えてしまうようなアニメだ。
2足ではなく四つん這いで歩き、
街を歩けば多くの人から「上から目線」で彼は見られ続ける。
だが、その代わりに女性の下着は見放題である(笑)
当然、排泄行為も外で見られながらだ。
そんな犬になった人間の心理描写と葛藤を描きつつ、
同時に「犬のままで良いのでは…?」と見る側に感じさせる
ご褒美の数々と好きな人からの「120%の愛情」を
感じさせる作品だ。
変態性
話が進んでくるとキャラクターも増えてくる。
人間には冷たいものの犬が大好きな「犬飼加恋」を中心に、
主人公の隣の家に住むギャルで犬嫌いな「猫谷ミケ」や、
人間のときの彼を好きだった後輩である「月城うさぎ」など、
犬ではあるもののハーレムラブコメのようにヒロインは多い。
そんなヒロインたちと犬になった主人公との日々が
コミカルに描かれている。
特に「犬飼加恋」の「犬」に対する愛情は異様であり、
人間に対しては極端に冷たいものの、
逆に犬に対しては過剰なまでに愛情が深い。
舐めてもらうためにわざと怪我をしたり、
スカートの中に誘い込んで舐めさせようとしたり、
仲良くなるために犬のコスプレをしたりと、
かなりぶっ飛んだ変態性を持っている(苦笑)
そんなヒロインの変態性を際立たせるように
作画のクォリティもそれなりに高く、カメラアングルへのこだわりも感じる。
犬の目線で彼女たちを見ているからこそのローアングルなカメラワーク、
フェチズムあふれる肉体描写の数々が素直に
「セクシー」さを感じさせるものになっている。
ストーリー
真面目に考えると色々と突っ込みどころはあるのだが、
こういったセクシーアニメだからこそのバカバカしさを感じさせるものになっている。
ただ、序盤をすぎるとややマンネリも感じる部分がある。
「犬飼加恋」が人間よりも犬が好きであり、過去にも犬を飼っていた
設定なのはわかるが、彼女がどうしてそこまで犬が好きなのかというのも語られず、
あくまでこの作品は犬になったシチュエーションを楽しむものであり、
ストーリーはおまけだと感じる部分だ(苦笑)
序盤から中盤までは、この人権剥奪な犬アニメを楽しむことができるのだが、
中盤くらいからは似たようなシチュエーションで似たようなセクシーシーンで、
ストーリーもろくにすすまない「マンネリ感」も生まれている。
そんなマンネリ感を濁すためにセクシーシーンも過激になっていく。
序盤こそ犬になったからこその日常感があったが、
中盤くらいからはぶっとんだセクシーシーンも多く、
マンネリにならないように刺激的なシーンが増え、
話が進めば進むほど刺激的になってくる。
一応は主人公が犬になった原因であろう存在も終盤で出てきており、
1クールくらいでそういった要素が解決すればすっきりと
終わって面白かったかもしれないが、
そこまで引き伸ばしても面白くない要素を
引き伸ばしてしまっている感も強い。
マッドサイエンティスト
彼を犬にしたのはマッドサイエンティストと噂の人物だ。
彼を騙して犬にして、犬になった彼を観察しており、
人間にもとに戻る方法まで教えてくれるものの、
結局、彼女が何をしたかったのかは語られない。
人間とキスをすれば人間に戻れる。
だが、そんな簡単なことを彼はしない。
その行為をしてしまえばマッドサイエンティストな
彼女の言う通りなモルモットになってしまい、
ヒロインたちを大切にしていないことになるからと彼はつぶやく。
結局、最後まで犬のままだ。
1話から状況はさしてかわっておらず、
出オチ感のある作品で終わってしまっていた。
総評:犬になっても愛されたいですか?
全体的に見て、この手の特別なシチュエーションを生かした
セクシーなハーレムラブコメとしては悪くない出来栄えだ。
犬になったからこその夢のようなシチュエーションの数々と、
ヒロインたちのややぶっ飛んだ行動の数々は笑いにもなっており、
3人のヒロインの可愛らしさとセクシーさもしっかりと感じられる。
ただストーリーはあくまでおまけといわんばかりに
1話から最終話までで主人公の状況はあまり変わっていない。
主人公が犬か人かを選ぶシーンや、
マッドサイエンティストの本当の目的などがわかれば
印象は違ったかもしれないが、引延しを感じる部分だ。
原作は8巻も続いているようだが、
正直、似たようなシチュエーションも多く見られており、
いわゆる出落ちに近いシチュエーションハーレムラブコメであるがゆえに、
1クールでサクッときれいに話が終わっていたら
作品全体の印象も違っていたかもしれない。
そのあたりのストーリー部分でのもったいなさはあるものの、
セクシーシーンのクォリティやバカバカしさは感じることができ、
ハーレムラブコメやバカバカしいセクシーアニメが好きな人ならば
楽しめる作品に仕上がっていた。
個人的な感想:突き詰めれば
好きな人に愛されるのならば人権を放棄するのか。
ある種の哲学的なニュアンスを最初は感じたのだが、
そのあたりを突き詰めればただのセクシーなアニメで
終わらなかったかもしれないだけに、1クールの時点では
突き詰められていなかったのは残念だ。
個人的には序盤から中盤は楽しめたものの、
終盤からはマンネリを感じてしまい、
ラストの黒幕の目的の濁しやストーリーの引延しで
やや萎えてしまうような作品だった
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