評価 ★☆☆☆☆(15点) 全11話
あらすじ ある日、ゆうりの屋敷に一人のメイドが突然訪れ、自分を雇ってほしいと言う。引用- Wikipedia
怪しくない
原作は月刊ガンガンJOKERで連載中の漫画作品。
監督は湊未來、制作はSILVER LINK.、BLADE
怪しい
主人公は両親が他界し、一人で暮らす少年だ。
古びた山奥の屋敷、そんな場所に「メイド」が一人訪れる。
そんな状況だからこそ主人公は彼女を「怪しい」と疑う。
ただ、その疑う要因「怪しい」と感じる点がよくわからない。
こんな屋敷に来るわけがない、なんでココに着たんだ?
紫の目をしているのは怪しい、給金を求めないのも怪しいと、
確かに怪しげな雰囲気はあるものの、
「怪しい」というには色々と物足りない。
あくまで大きなお屋敷にショタな主人公と
胸が大きい年上メイドを同棲させるための設定だ。
そんな設定の中で「怪しむ主人公」というシチュエーションにしたいのはわかるが、
色々と突っ込みどころが生まれており、
怪しみながらもメイドを無自覚に褒める
主人公の言葉に照れるメイドという図式を作りたいだけだ。
からかい上手の高木さんからこういった「からかい」を売りにしているような
作品はちらほら増えてきたが、この作品もそのたぐいであり、
怪しみながらも無自覚に褒める主人公の言葉にデレるメイドの
シチュエーションだけがこの作品の特徴であり、
そこに何かしらの面白みがない。
話も1話の時点ですでにパターン化しており、
少年をからかうために色々と怪しげな言動をメイドがする。
例えば美味しい料理を出した後に少年がメイドを疑うと、
メイドは
「実は料理に惚れ薬を入れていたんですよ」
と冗談を言う。
そんな冗談を少年が真に受けて
「やっぱりそうだったのか!お前の作った料理が特別に美味しいと感じるわけだ!
お前がやたらカワイイと思うわけも全部惚れ薬のせいだったわけだな!」
と反論し、メイドが照れる。
セリフや状況は若干変わるものの、この作品を構成する内容の
7割位が同じようなパターンだ。
1話の時点で飽きてしまう。
これが1話5分程度なら勢いでごまかせたかもしれないが、
1話30分の尺だと、1話でパターン化し、2話でマンネリになっている。
主人公が言う「怪しい」という言葉も何度も言うんだと思うくらい
しつこいほど使いまくっており、
メイドに対する無自覚な褒め言葉も「かわいい」の一辺倒だ。
目的
この作品の最大の謎ともいえるのが「メイド」だ。
両親がいなくなり、お金持ちでもなくなった少年のもとに
なぜ彼女が訪れたのか。
それがこの作品の最大の謎ではあるものの、そこが全く気にならない。
主人公は彼女の紫色の瞳を何処かで見たことがあるということを
1話で言っており、そのセリフから
「あー幼い頃にあったことがあるんだろうな」
「幼なじみかそんな感じか」と大体想像できてしまう。
「こういう理由があるんだろうな」と視聴者が想像でき、
終盤でそれが明らかになるものの、その想像通りの理由だ。
マンネリ
3話で主人公が学校に通い出すことでクラスメイトや、
クラスメイトのメイドなどもでてくるため、若干マンネリが回避される。
序盤の時点でパターン化していた二人の会話を
外野であるクラスメイトがみることで新たな構図がうまれ、
それがギャグになっている。
しかし、そんなマンネリの打破も一瞬だ。
3話のBパートの時点でいつものパターンになり、
4話以降も対して変わらない。
ときおり出る主人公のクラスメイトが出るところは面白いものの、
基本的には「お屋敷」の中で完結して話が展開されるため、
絵代わりもせず、話も対して変わらず、
1話からずーっと同じような話が続いてしまう。
作画に関しても序盤こそあまり気にならないのだが、
3話あたりから息切れしているようなシーンが目立ってしまうのも
残念なところだ。
家族
ストーリー的にはやりたいことはわかる。
両親を失い孤独になってしまった少年、そんな少年が
最初は「怪しい」と思いながらもメイドとの共同生活を続けながら、
徐々に彼女に心を許し、距離を縮め、彼女と家族になっていく。
そういったハートフルなストーリーだ。
少年であるがゆえに「恋心」には無自覚であり、
徐々に心を許し距離が近づき自分自身を見つめる中で、
自分の中にある「恋心」を自覚していくラブコメ的な要素もある。
序盤こそ怪しいを連呼していた主人公も、
中盤からは「怪しい」という言葉を使うことも少なくなり、
簡潔に言えば友達以上恋人未満なイチャイチャが続く感じだ。
そうなると、逆にこの作品の特徴でもある「怪しむ」要素がなくなる。
過去
終盤になると新キャラが出てきたりもするが、
そこで何か大きな変化が生まれるわけでもない。
そもそも「無給状態」という状況で、
主人公の今の状況をなんとかすべきなのだが、
そういったあたりには踏み込まずにメイドに甘えっぱなしだ。
終盤で出る新キャラに「おかしい」と指摘されても
有耶無耶になってしまっており、
少なくとも二人暮らしには不必要なほど大きな家を売るなり、
どうにかすればいいのでは…?と突っ込みたくなってしまう。
終盤には謎だったメイドの過去なども明らかになり、
スッキリと終わっているものの、
1クールしっくりとこないまま終わる作品だった。
総評:繰り返しの多いコンテンツ
全体的にみて序盤のワンパターンかつマンネリな展開は
退屈であり、会話のパターンもお決まりでその台詞回しが面白いわけでもない。
中盤辺りから主人公がメイドに対する認識や態度を徐々にあらため、
距離が近づき自身の恋心を自覚していく過程は悪くなかったものの、
「怪しい」という本作の特徴が終盤には消えてしまっている。
メイドの謎などもストーリー的なフックの1つではあるものの、
そこが全く気にならず、序盤で予想していた通りの内容になってしまい、
作画のクォリティも息切れしている部分が多く、
キャラクターの魅力も一歩足りない。
これが5分などの短編アニメならば違ったかもしれないが、
出オチ感のあるネタを1クール1話30分のアニメにしてしまった結果、
作品全体が薄味になってしまったような印象だ。
世界観もやや謎であり、主人公やメイドのキャラクターデザインや
「屋敷」のデザインなどは完全に外国な雰囲気なのだが、
学校の描写などは完全に「日本」であり、
この作品の舞台設定はいったいどこなのだろう?と考えてしまう。
主人公の経済状況など突っ込みだしたらきりがなく、
そういった作品のアラや欠点が30分という尺のせいで
目立ってしまった作品だった。
個人的な感想:高木さん系
この手の「からかい上手の高木さん」系のアニメは最近増えたが、
この作品はそこをおねショタ的なキャラクターにし、
なおかつ少年の方に天然でからかわせるという図式の変換による
作品でしかなく、そのアイデア自体は悪くないが、
それ以上でもそれ以下でもない感じに終わってしまっている。
主人公のクラスメイトが出る話は面白いのだが、
それ以外はほぼパターン化しており、
1話30分でなければ…と何度も思ってしまう作品だ。
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