評価 ★☆☆☆☆(20点) 全13話
あらすじ ツキノ芸能プロダクションに所属する2組のアイドルユニット引用- Wikipedia
男性アイドルアニメなのに女性アイドル12人!?
原作はキャラクターCDな本作品。
監督は川崎逸朗、制作はstudioぴえろ。
大人気アイドル
画像引用元:ツキウタ。 THE ANIMATION 1話より
©TSUKIANI.
物語冒頭、アイドルたちがTV番組で自己紹介をする。
特に印象の一切残らない自己紹介を「12人」一気にする。
キャラクターデザイン的にも似通ったキャラクターも多く、
衣装も似ているため、誰一人として覚えることが出来ない。
彼らはすでに巷で注目の大人気アイドルだ。
この手のアイドルアニメの場合、「売れていない」ところから
「売れる」過程を描くことが多い。
しかし、この作品はそんな過程がない。
すでに彼らの関係性は大きな変化が生まれないほど強固なものだ。
12人のメインキャラ以外にも
マネージャーなどもでてくるため、もう誰が誰だかわからない。
スーツを着ているからマネージャーだけは認識できるものの、
1話でドバっとキャラクターを雑に出したために、
結果的にほとんどのキャラクターの印象が残らなくなっている。
それどころか1話の物語の視点がただの「ファン」だ。
ファンである彼女が弟に推しのアイドルグループの「説明」をするが、
そもそも興味ももてていないアイドルの説明をされても
「ふぅーん」くらいの感想しか浮かばないのは現実も創作も同じだ。
視聴者への説明のつもりかもしれないが説明になってはいない。
1話なのに視点が「ファンの弟視点」というのは
ある意味斬新ではあり、ファンではなかったファンの弟が
ファンになる過程は物語の始まりとしては悪くないものの、
いろいろな部分で見せ方の悪さを感じる。
ライブシーンに関しては異様なまでに「ぬるぬる」だ。
恐らくはモーションキャプチャーを利用したものだろうが、
やや気持ち悪さすら感じるほどのヌルヌル具合は面白く、
このライブシーンを見せられたことでライブシーンへの期待感は
必然的に上がってしまう。
1話完結
画像引用元:ツキウタ。 THE ANIMATION 3話より
©TSUKIANI.
基本的には1話完結でアイドルひとりひとりをフューチャーしていく。
あるものは部活とアイドル活動の板挟みで四苦八苦したり、
アニメイトで1日店長をしたり、芝居に挑戦したり。
あくまでもアイドルたちの日常だ。
それゆえに話の内容が基本的に薄い。
もともと彼らのファンであり、彼らがどういったキャラか、
これまでどんな道程を歩んできたかを知っていれば
「彼らの日常」を楽しむことができるものの、
そういった始まりと過程を知らない人が見てもピンとこない。
深く、12人のアイドルたちに感情移入したり思い入れを
持つことが出来ない。
あくまでももともと彼らのことが好きな人のための
日常ストーリーになっており、今ひとつストーリーが物足りない。
定期的に描かれるライブシーンのぬるぬる感は素晴らしいものの、
ストーリーがそのライブシーンのためのおまけにしかなっていない。
ああっ女神さまっ
画像引用元:ツキウタ。 THE ANIMATION 9話より
©TSUKIANI.
8話になると意外な事実が明らかになる。
この作品は「男性アイドルアニメ」だ。
そんな作品に12人の女性アイドルがいきなりでてくる。
彼女達は実は「月の住人」であり、月の女神を目指す女神候補生だ。
想いの力を集めるためにも彼女達はアイドル活動をしており、
たまに男性アイドルたちを見守っているという
とんでもない設定に度肝を抜かれる。
男性アイドルたちと関係性のあるキャラも居たりするが、
男性アイドルたちとガッツリからみのあるキャラのほうが少なく、
正直、何のために存在しているのか。
いまいち、この作品の中での彼女達の立ち位置がわからない。
12の月の男女のアイドルというコンセプトなのは分かるものの、
メインは男性アイドルだ。半々で描かれるならまだ分かるが、
作品では1割くらいの時間でしか描かれないため、
余計に「彼女達は何なんだ?」という疑問が拭えない。
8話というたった1話で12人の女性アイドルキャラが出ても、
印象がつくということもなく、Googleで検索すると検索候補で
「ツキウタ 女 いらない」
とでてくる時点でやや察するものもある。
別作品、スピンオフ的な形として同じ世界にこんな女性アイドルが
居ますよというのなら分かるが、そういうわけでもなく、
こういう部分で作品そのもの迷走感が見えてしまう。
合同ライブ
画像引用元:ツキウタ。 THE ANIMATION 13話より
©TSUKIANI.
終盤は1話から企画として進めていた合同ライブだ。
多忙な社長にみんなで企画書を届け、新曲を作ってもらおうとする。
ライブをよりいいものにしようという彼らの意気込みを感じる
エピソードを描いた後に最終話ではそんな意気込みを感じるライブが
きちんと描かれる。
ほぼ丸々1話を使って描かれるライブは、
本当に彼らのライブに訪れているような演出とファンの歓声、
きっちりと12人、一人一人を魅せるカメラワークは
ヌルヌルと動くライブシーンと相まって見ごたえがある。
短いながらもソロ曲などもあり、
それぞれのキャラクターのファンも
しっかりと楽しめるようなライブシーンだ。
ただ、あくまで彼らに思い入れが合って初めて楽しめる。
その「思い入れ」を1クールという尺の中で描けていたとは言えず、
ライブシーンの出来栄えは良かったものの、
それ以上の印象は残らない作品だった。
総評:過程がない
画像引用元:ツキウタ。 THE ANIMATION 13話より
©TSUKIANI.
全体的に見てファン向けの作品で終わってしまう作品だった。
既に売れたアイドル達であり、売れる過程が描かれるというわけでもない。
キャラクター同士の関係性も既に完成されたものであり、
過程や関係性を既に知っているファンならばこの世界観と
キャラクターとストーリーを楽しむことができるのだろう。
逆に言えば、過程や関係性やキャラを全く知らずに見ると
蚊帳の外感が強く、彼らの日常も淡々と描かれており、
たまにホラーチックなものや拍子抜けするオチの話などもあるものの、
1話1話のストーリーの完成度が高いとは言えない。
あくまでもキャラクターへの思い入れがあって初めて楽しめる内容だ。
8話で出てくる女性アイドルグループこと女神たちの
存在もかなり謎であり、必要性というのも感じない。
ライブシーンのぬるぬる感は癖になり、作品全体の作画自体は悪くないが
脚本にパンチが欠けてしまい、見終わった後にキャラの印象も
作品自体の印象も薄味で終わってしまう作品だった。
個人的な感想:2期への不安
画像引用元:ツキウタ。 THE ANIMATION 9話より
©TSUKIANI.
1期はあくまでもファン向けの作品であるものの、
ファン向けと割り切ればそこまで悪い部分はない作品だ。
ただ、2期は延期に延期を重ねており、制作会社も変更され、
脚本家も「高橋ナツコ」氏に変更されている。
今から見るのが楽しみなような不安なような複雑な心境だ(笑)
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