評価 69点 全12話
あらすじ 、捕獲され実験に使われていた第3使徒が封印から目覚め、暴れだす。これに対し真希波・マリ・イラストリアスが乗るエヴァンゲリオン仮設5号機が出撃。引用- Wikipedia
碇シンジが主人公になる物語
本作品は新世紀エヴァンゲリオンを元にリビルド(再構築)した劇場版。
ヱヴァンゲリヲンとしては2作品目の作品となる。
監督は庵野秀明、制作はカラー
真希波・マリ・イラストリアス
画像引用元:【公式】ダイジェスト これまでの『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』より
©カラー
おそらく旧エヴァからの最大の変更点は彼女の存在だろう。
旧エヴァでエヴァに乗れるのは5人の少年少女だけだった。
しかし今作から「鈴原トウジ」がそこから外れた。
その代わりに彼女が追加されている。
かなり大きな変更点だ。序の段階で細かい変更点や追加などはあったものの
破は最初から既に旧エヴァを見ている人からも
予想ができないものに変わっており、リビルドを超えたものになっている。
エヴァ仮設5号機に楽しそうに乗り使徒と戦う姿は力任せそのものだ。
機体を犠牲にしてゴリ押しで倒す。シンプルかつわかりやすい。
そんな冒頭からの戦闘シーンにワクワクが止まらない。
アスカ
画像引用元:【公式】ダイジェスト これまでの『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』より
©カラー
父との関係性を不器用ながらに修復しながらも
碇シンジという少年はいまだに悩んでいる。
親子の下手なコミュニケーションは互いが親子であることの証のような不器用さだ。
そんな彼の前に現れる新たな少女「式波・アスカ・ラングレー」。
空から舞い降り目まぐるしく弐号機を操り戦うさまは鳥肌がたつほどの爽快さだ。
特撮が好きな庵野秀明監督だからこその「キック」の描写は
少年心を鷲掴みにされるようなほどの戦闘シーンだ。
しかし「アスカ」という少女はシンジにとって天敵とも言える。
自身をなじり、なぐり、蹴り、罵倒する(笑)
もはや彼女の行動に彼は戸惑うことしかできない。
彼にとって「初めて」の経験だ。しかも、そんな彼女との同棲生活が始まる。
他人とのかかり合いを彼なりに考えている。
出ないとわかっていても父親に電話をしているくらいだ。
「序」の最初のときの関係性、心理状態ではない。彼の成長が見える。
「アスカ」自身も一人で全てをやろうとする少女だ。
旧エヴァと違って加持リョウジにも依存しておらず、それゆえに
より「個」としての強さが強調されているといっても良い。
良い意味で面倒くささが減ったような印象を受ける。
いろいろな人と関わる主人公は自分なりに人との関わり合い方を見出していく。
コミュニケーションの輪が広がり、広がるだけでなく一人一人のキャラクターも
きっちりと掘り下げる描写があることで一人一人のキャラクターの
印象がしっかりと深まる。
協力
画像引用元:【公式】ダイジェスト これまでの『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』より
©カラー
コミュニケーションができるようになったからこそ協力することができる。
一人では倒すことのできない使徒を「3人」で協力して倒す。
地を駆け、山を超え、川を飛び、空からの襲来者を受け止める。
「軽やかかつ多角的な動き」、だが軽やかなだけではない。
「演出」によりエヴァの重みをしっかりと感じさせる演出が
シンプルな「動き」に迫力をつけ、ただ走っているだけなのに圧巻だ。
一人では決して受け止めることはできない。そんな状況に彼は諦めず逃げない。
そんな成し遂げたことを「父」が褒めてくれる。
他者に、なにより父に認められることは彼にとって最大の喜びだ。
長い間ろくに会話もせず捨てられたとすら思っていた父に
「自分」という存在を認められる。
「アスカ」にも認められる。彼女は一人では全てできないことを知った。
だからこそ孤独を感じる、そんな孤独を「シンジ」という同じ立場の少年で
満たそうとする。旧エヴァよりも二人の関係性は強調され、
互いを理解しようとしている。アスカもまた心を開き、他者と関わろうとする。
「レイ」も同じだ。彼女は少しずつ心を形成し学んでいる。
だからこそ「みんな」で食事をしたいと彼女は望む。
旧エヴァでは見られなかった彼女の大きな変化がわかりやすく描かれており、
アスカとレイ、二人のヒロインの可愛さも強調されている。
アスカのツンデレ、レイのクール、どちらも90年代に多くの視聴者の心を掴んだが
新エヴァになってからより多くの心を掴んだに違いないと思うほど
二人がかわいすぎる。旧エヴァと比べて全員が他者と関わり合おうと積極的だ。
良い意味で前向きだ。
旧エヴァと違い「アスカ」と「レイ」の関係性も深められている。
キャラクター同士の関係性がより「深い」のが新エヴァだ。
だが深まったからこそ悲劇がより辛くなる。
暴走
画像引用元:【公式】ダイジェスト これまでの『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』より
©カラー
楽しい日のはずだった。キャラの関係性が深まり、
キャラクター同士が「他者とのつながり」を心の底から求め、
それを深め確かなものにしようとした日だ。だが悲劇が起る
「アスカ」が乗ってるエヴァを使徒として処理しなければならない。
使徒という敵とたたかうことはできても、14歳の少年に人は殺せない。
なにより「アスカ」だからこそ攻撃することもできない。
誰かを傷つけ殺してしまうことより、彼は自分の死を望む。
優しい彼だからこそ人を傷つけるということはできない。
彼の意思とは無関係に父の命令でアスカが傷つけられる。
信頼しかけていた、いや、信頼していた父が友達を傷つける。
深い、深い「裏切り」だ。
信じていたからこそ、信じてしまった自分すらもにくい。
ようやく認めかけていた自分と他者との関わり合いがポッキリと折れてしまう。
だからこそ明確な意志で「拒絶」する。
序では悩んだからこそ逃げた、しかし破では明確な嫌悪で逃げる。
逃げはした。だが、彼は見捨ててはおけない。人を仲間を、アスカを、レイを。
だからこそ彼は明確な意志で嫌悪した父親に宣言する。
「父さん、僕は初号機パイロット、碇シンジです!」
たとえ父を嫌悪しようとも、父に認められなくても自分であろうとする。
反抗期からの親離れだ。
ニアサードインパクト
画像引用元:【公式】ダイジェスト これまでの『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』より
©カラー
旧エヴァにはなかった新たなるエヴァの姿だ。
人を捨てて獣のように戦う。その姿は素晴らしいものの、
せっかくでてきた割には割と呆気なくやられてしまい、
新キャラである「マリ」もかませな感じが強く、やや掘り下げ不足だ。
それでも「シンジ」の覚悟の描写はまっすぐだ。
人類のためでも世界のためでもない。「綾波レイ」を救いたい。
そんな彼の意思にエヴァが答え立ち向かう。
たとえセカイがどうなっても自分の意志を貫く。
「セカイ系」と呼ばれた本作品らしい、答えだ。
その結果が「サードインパクト」を引き起こすことになろうとも、
彼はすべてを犠牲にしても選んだ。
誰ででもない自分自身の意思で「綾波レイ」という一人の少女を選んだ。
紛れもなく彼は主人公だ。
総評:みんなが彼の背中を後押しした
画像引用元:【公式】ダイジェスト これまでの『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』より
©カラー
全体的に見て「破」の何ふさわしいリビルドだ。
旧エヴァとの変更点が非常に多く追加点も多いものの、
その中で強調されるのは「キャラクター同士の関係性」だ。
キャラクター同士の関係性をより深く描写し、強まったからこそ
「碇シンジ」という一人の少年が主人公として決断する物語だ。
アスカとレイといった旧エヴァではそこまで関係性が深くなかった
二人ですら絆が生まれている。
誰かとつながること、他者と関わり合うことの意味を強調して描き、
そのなかでキャラクターの魅力をより深めてるといっても良い。
ただ新キャラである「マリ」は掘り下げ不足であり、
今の所よくわからない感じのキャラクターで終わってしまっており、
ビーストモードもかっこいいもののカマセ感が凄い。
マリというキャラを活躍させるためのビーストモードだった感じが強く、
ちょっと「マリ」というキャラを制作側も持て余しているような感じだ。
しかし、序破の流れは心地よく「ラストの彼」の登場による引きも流石だ。
再構築という名の序、改変という名の破、さぁ次のQはどうなるのか。
見れば見るほど「エヴァンゲリオン」という世界にハマってしまう魅力が溢れている
個人的な感想:かわいい
画像引用元:【公式】ダイジェスト これまでの『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』より
©カラー
旧エヴァのアスカもレイも可愛かったが、新エヴァの二人は反則だ。
アスカは良い意味で丸くなったことでツンデレ感がマイルドになり、
レイもより他者と関わろうとすることで柔らかくなっており、
二人がとんでもなく可愛い。
旧エヴァよりも主人公感が強まったことで二人に好かれるシンジも
納得できるキャラ描写になっており、
それゆえに終盤の展開とのギャップが生まれている。
さぁ噂のQはどうなるのか(笑)
今から見るのが楽しみだが同時に怖くもある。
長年塩漬けしていたQ、破で一歩自らの意思で踏み出した碇シンジのように
私も一歩踏み出してみよう。
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