俺はハーレムラブコメを見ていたはずなのに、
気づいたらマトリックスを見ていた
な…何を言っているのかわからねーと思うが
俺も何を見ていたのかわからなかった…
監督は渡辺歩、アニメーション制作はフッズエンタテイメント
見出して感じるのはキャラクターデザインの独特さだろう。
絵柄的には至って普通の「萌え」アニメらしキャラクターデザインではあるのだが、
他の作品との差別化を意識したのか妙に変な特徴が付いている
ただのポニーテール女子かとおもえば編みこん長い髪の束がついてたり、
毛量がやけに多い上にリボンが2つついていたり、
常にお玉をもっていたりと、ワンポイントに特徴的な要素がある。
だが、それが別にキャラクターの魅力につながっておらず
ワンポイントで特徴を出そうとしている感じが強いうえに
キャラクターの要素要素がいちいちあざとい。
妙な口癖だったり、わざとらしい語尾だったり、滑りがちな定番ギャグだったり
「キャラクター」の可愛さを演出する部分の全てがあざとい。
ストーリー的には「フラグ」の視覚化がテーマだ。
主人公はフラグを見ることが出来、更にそのフラグを折る事のできる能力を持っている主人公、
そんな主人公を中心にハーレムラブコメ的ストーリーを展開しているのだが、
この主人公、自分であっさりとその能力を喋る(苦笑)
1話の段階でトントン拍子に話が進み、トントン拍子に能力を喋り、
トントン拍子にヒロインが主人公に惚れる。
妙に早口でヒロインや主人公がしゃべりまくるため、
キャラクターの魅力や心理描写を感じる前にセリフを頭で理解するのに必至になってしまう。
もっと丁寧に、もっとじっくり描かれればキャラクターの魅力が伝わるのに
無駄にテンポが良すぎるため、キャラクターの魅力が伝わらない。
ギャグアニメでもないのにキャラクターのテンションが常に高すぎるのは拒否感すら生まれる
本来ならもっと丁寧に主人公の「フラグ」能力を見せるべきだ。
1話の段階から主人公能力が効かないヒロインだったり、
1話のAパートで主人公の理解者になったり、
主人公の能力を丁寧に描いた上で理解者や能力の効かない人物が登場すれば話が深まるが
テンポが良すぎるせいでキャラクターもストーリーもあせって進行している感じが強い
制作側の「早く話を進めたい」「早く次のヒロインを出したい」感じが物凄く伝わる
そのせいで主人公もヒロイン達も一人ひとりのキャラクター描写が雑で
「掘り下げる」エピソードや「過去回想」ですら早口でトントン拍子に進んでしまうため
いつまだたってもキャラクター一人一人の印象が薄い。
キャラクターの印象が薄いからこそ「死亡フラグ」がヒロインに立って
ヒロインがピンチになっても、何の盛り上がりも感じない。
あまりにも「描写」が雑だ。
そもそもキャラクターが多すぎる。メインキャラだけで14人もいる。
主人公1人+13人のヒロインが話が進めば進むほど出てくるが
出れば出るほどゴチャゴチャした感じが強まり、
出れば出るほど一人ひとりのキャラクターの印象が薄まっていく。
フラグに関しても、本来はそこを主軸に話を進めていかなければならないのに
肝心のフラグ描写があまりにもあっさりしすぎており、
立つフラグも「友情フラグ」や「恋愛フラグ」、「死亡フラグ」などは分かるのだが
「兄弟愛フラグ」などちょっと意味のわからないものもある。
1話以降はフラグはどうでもよく、ハーレムラブコメ万歳的な展開ばかりだ
別にハーレムラブコメでも悪いわけじゃない。
だが、そこには圧倒的に「キャラクターの魅力」が欠けており、
毎話毎話追加されていくヒロインのキャラクターデザインと「声優だより」の描写では
ヒロインの魅力が一切伝わってこないうえに多すぎる。
そのせいで「空気」になってしまうヒロインも数多くおり、
一人ひとりのキャラクターの存在価値があまりにも薄い
更にキャラクターが揃うと萎える展開に変わる。
確かにキャラクターは多いのだが主人公の死亡フラグ問題や
キャラクターが多いことに寄る「団体芸」ともいえるガヤガヤ感じは悪くない。
そして、主人公の「フラグを立てる能力」の秘密と「この世界の秘密」が明かされるのだが、
ハーレムラブコメから一変してSFになる。
恐らく見ていない方は何を言っているのかわからないだろう
当然だ、私もわからない(苦笑)
この作品のジャンルをラブコメにすべきかSFにすべきか5分ほど悩んだほど
作品の方向性が終盤でガラっと変わる。
その話の方向性がよくわからず、「フラグの視覚化」「フラグの操作」というのが題材の作品で
なんでそんな方向に話が進んでしまったのか、なんでそんな話にしてしまったのかがわからない
終盤はこちらが理解する前にトントン拍子で進んでいっている感じが物凄く強く
「フラグが見える、フラグを操作できる」主人公というだけで十分話が作れるはずのに
不自然におかしな方向にストーリーが進んでしまった印象だ
超展開というより、まるで終盤で別の作品になってしまったような感覚にすら陥るほどだ
全体的に見て丁寧さが足りない作品だった。
原作で言う「1部」の終わりまで1クールでアニメ化したかったという制作陣の気持ちはわかるが
そのせいでキャラクター描写が尽く甘くなってしまい、無駄に早いテンポでストーリーが進み
強引にストーリーを展開させて細かい部分や大事なキャラクター描写が雑になっている
もっと丁寧に、もっと尺があれば早すぎるテンポや雑なキャラクター描写、
終盤の唐突かつ不自然なSFストーリー展開も受け入れられたかもしれないだけに残念だ。
ラノベにありがちなファンタジー要素のあるラブコメを見ていたはずなのに
終盤はマトリックスとターミネーターを掛けあわせたような作品に変わってしまっていた
見てない人は何を言っているのかわからないだろう、
恐らく見てもらえば何を言っているかわかると思うが、
作品のストーリーの方向性は見終わった後でもよくわかからない。
「フラグが見える」という主人公の能力をファンタジーではなく
現実&SF的に描こうとした結果なのはわかるが、
序盤から中盤まで見た人にとってはそんな「予想」を全くしておらず
視聴者の「予想」を大きく裏切りすぎてついていけなくなってしまった感じだ
話の内容自体は分かるのだが、細かい部分がどうにもわからない所が多く
結局SFなのかファンタジーなのか、ラブコメなのか、最後までとう捉えていいかわからない
本来はきちんと作中でストーリー全体の「フラグ」を丁寧に立てていって
終盤の展開に繋げられているストーリーなのだろう
原作の評価などを見ると「伏線の回収」について描かれているものも多く
原作の面白さを感じさせられる部分もある。
だが、そんな丁寧に積み重ねられているはずのストーリーを
無理矢理1クール13話に押し込めたことによって色々な部分がこぼれ落ちてしまっており
せっかく見事な伏線の回収がされるはずのストーリーが
原作を読んでいないと理解が追いつかないゴチャゴチャした不自然なストーリー展開で
終ってしまったのは残念だ。
この作品の企画段階で原作の1部を1クール13話でやると決まった時点で
こんな評価になってしまう「フラグ」が立ってしまっていた。
企画段階で誰かが「ソレは無理です」とフラグを折ってくれていれば
こんな評価にならずにすんだろう。
せめて角川アニメ方式で1クール全10話で分割2クールならもっと面白くなったかもしれない。
売り上げ的に1000枚以下と非常に厳しい枚数だ
原作の売上が伸びれば「2期」もあるかもしれないが・・・
原作は面白そうな雰囲気を感じるだけに本当に残念だ。
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