評価 ★★★★☆(64点) 全12話
あらすじ 理系の最高学府・国立彩玉大学理工学部研究科の大学院1年生・氷室菖蒲はある日、同研究メンバーの雪村心夜に想いを告げる。引用- Wikipedia
お前ら早く結婚しろ
原作はコミックメテオで連載中の漫画作品。
監督は喜多幡徹、製作はゼロジー。
大学生
引用元:©山本アリフレッド・COMICメテオ/アニメ「リケ恋」製作委員会
多くのラブコメの場合、中学生ないし高校生が主人公だ。
青春模様を描くにも中学生や高校生という年代は描きやすく、
ラブコメというジャンルを楽しむ多くの視聴者は10代の若者であり、
「共感」をえるためにも中学生や高校生が多い。
しかし、今作品の場合は大学生だ。
しかも大学院生という社会人に近い年代のキャラクターが主人公であり、
ヒロインが主人公に「貴方のことを好きみたい」とさり気なく
告白する所から物語が始まる。
ものすごく静かな始まりだ。研究室でタイピングをしながら
口喧嘩をしつつヒロインが告白する。
「1話」の冒頭でラブコメにおける山場とも言える告白シーンから始まる。
山場から始まるがゆえにこの二人がどうなるのか?と言う期待感が膨らむ。
告白したヒロインの反応も非常に可愛らしく、
非常にクールなキャラにも関わらず主人公の言葉に思わず顔を赤らめたり、
ポニーテールが犬のしっぽのように反応したりと、
表面上はクールにも関わらず「デレ」が色々な部分で見えるヒロインだ。
恋とはなんだ?
引用元:©山本アリフレッド・COMICメテオ/アニメ「リケ恋」製作委員会
しかし、今作のヒロインと主人公は作品のタイトル通り「理系」だ。
主人公には「恋愛経験」がなくヒロインの好意を好意的に受け止めつつも、
彼はヒロインに問う「好きの定義とはなんだ?」と。
めんどくさい主人公である(笑)
彼らは好きの定義を求めていく。自らの感情をグラフ化し、それをぶつける。
恋愛という「好き」という感情は主観であり、
そんな主観的かつ感情的なものを論理的思考で彼らは考える。
会話自体は堅苦しい。だが、そんな堅苦しい会話がギャグになっている。
明らかに二人は相思相愛だ。こんなめんどくさい論理的な思考に至らずとも
本能に従えと言いたくなるほどにこじれている理系であるがゆえの思考が、
彼らの「恋愛」をめんどくさいものにしており、
理系であるがゆえに論理的に解き明かさなければ気がすまない二人の会話が
ラブコメにおける「コメディ」になっている。
そして、そんなコメディの中でもヒロインが可愛い。
考える主人公の顔を見つめて顔を赤らめてたり、
壁ドンであっさり心拍数が爆上がりしたりと、
「クール」なヒロインなのにデレデレな感じがたまらなく可愛らしい。
心拍数
引用元:©山本アリフレッド・COMICメテオ/アニメ「リケ恋」製作委員会
主人公とヒロインは「恋とは心拍数」なのでは?と考える。
壁ドンをしたり、顎クイをしたり、メガネを外させたり、
ネット上の「あるある」を彼らが検証する様は微笑ましい。
検証と称しながらただイチャイチャしてるだけだ。
だが、彼らにとっては真面目な「検証」だ。
ラブコメや少女漫画のような「あるある」なシーンを
彼らが理系的思考で論理的に検証し「恋愛感情」というものをつきつめていく。
ある意味で少女漫画やラブコメにおけるあるあるは
本当に「効果があるのか?」と検証してるようなものだ。
例えば「壁ドン」という行為。
本当に壁ドンという行為自体でドキドキしたのか、
それとも壁ドン以外の要因でドキドキしたのか。
それを「検証」するために60回壁ドンする(笑)
壁ドンという使い古されたシチュエーションを60回繰り返すことで
使い古されたシチュエーションをギャグにしている。
「検証」という行為でベタなシチュエーションをギャグにする。
この作品の面白さはそこに有る。
ツッコミ
引用元:©山本アリフレッド・COMICメテオ/アニメ「リケ恋」製作委員会
主人公とヒロインのそんな光景にきちんと感情的に「突っ込む」キャラも居る。
主人公とヒロインだけではバカップルのイチャイチャに見えないところを、
きちんと「ツッコミ役」がいることで成立させている。
恋愛経験がある女子や、冷静に理系的な考えの女子。
ツッコミキャラが複数いることでよりギャグが際立つ。
主人公とヒロインのイチャつきに対し、茶々を入れる。
ヒロインと主人公の実験を、主人公と別の女性キャラとする。
そうすることでより「恋愛」という感情を論理的に突き詰めていくことができる。
それと同時に嫉妬するヒロインの可愛らしさも描写できる。
彼らが序盤、当てにしていた「心拍数」も「恋愛感情」が影響してるとは限らない。
実験しつつも自分の恋愛感情を抑えられないヒロインの行動が
ギャグにもキャラの魅力にもつながっている。
「見ているだけで恥ずかしい」
そんな二人の実験をきちんとツッコミ役が突っ込むことで、
そんな気恥ずかしささえ感じる二人のイチャイチャが
きっちりとギャグになっている。
キャラクター
引用元:©山本アリフレッド・COMICメテオ/アニメ「リケ恋」製作委員会
話が進んでくるとキャラクターが増える。
それぞれのキャラの「恋愛感情」の価値観や体験が加わることで、
より主人公とヒロインの恋愛に対する考察が深まっていく。
しかし、その反面で色々な「サンプル」が揃ってくることで迷いが生じる。
本当にヒロインの気持ちは「恋愛感情」なのか?と。
普通の恋愛を経験してきたキャラ、2次元に恋するキャラ、BLが好きなキャラ、
それぞれのキャラクターの「恋愛」のサンプルが揃えば揃うほど
ヒロインの恋愛感情の定義にブレが生じる。
恋愛感情は論理的に解き明かすのが難しい。
それぞれの性的嗜好があり、それぞれの恋愛のきっかけがあり、
それぞれの価値観が有る。人によって「恋愛」の定義は違うからこそ、
主人公とヒロインの恋愛に対する考察は複雑なものになっていく。
似た者同士
引用元:©山本アリフレッド・COMICメテオ/アニメ「リケ恋」製作委員会
結局、主人公もヒロインも似た者同士だ。
同じような考え方で二人で一緒にあーだこーだと議論を交わすのが楽しい。
他の誰でもなく二人だからこそ、二人にしかわからない関係性がそこには有る。
もう結婚しろと言わんばかりの関係だ。
そんな夫婦のように互いを理解してるのに彼らの恋愛関係はなかなか進まない。
互いに恋愛経験がなく、不器用だ。
しかし、互いへの思いは論理的思考ではなく本能から湧き上がってきており、
そんな本能が二人を動かし、少しずつでは有るものの進展していく。
実験を重ねてデータを積み重ねても、彼らは「恋」を証明できない。
理系であるがゆえに証明できないことには納得できない。
もう、そんなことはいい早く結婚しろと思うほどの二人の関係性が
もどかしくも面白く、こんな二人がめんどくさい愛おしさを感じさせる。
ヒロインが主人公を好きな部分、主人公をヒロインが好きな部分。
それがきちんと伝わる。
互いが互いを好きであるということがきちんと見てる側に納得できる。
ラブコメではたまに「主人公のことを何故ヒロインが好きなのかわからない」という
現象があるが、この作品にはそんな心配はない。
なぜ好きなのか、どうして好きなのか、互いの好きという気持ちと恋愛感情を
見てる側には痛いほど伝わるのに、主人公とヒロインは
それを論理的に証明しなければ付き合わない。
この見てる側と主人公とヒロンの「ズレ」がもどかしさを生み、
そのもどかしさでニヤニヤしつつも、二人の関係性を笑いながら見守れる。
決してヘタレな主人公でもなく、決してめんどくさいだけのヒロインではない。
やるときはやるかっこいい主人公と、魅力的で可愛すぎるヒロインだ。
この二人がしっかりと魅力的だからこそ、この二人の恋の行く末を楽しめる。
論文発表
引用元:©山本アリフレッド・COMICメテオ/アニメ「リケ恋」製作委員会
彼らは理系の大学院生であり、恋愛感情の実験は
きちんと論文として全て記録している。
彼らが自らの研究成果として「先生」に自分たちの論文発表をする
「5話」はある意味で序盤の最大の山場だ。
やってることは1話~4話までの振り返りだ。ある意味で総集編とも言える。
しかし、そんな振り返りを「大学の教授」に論文として見せつける。
いつ自分たちがドキドキしたのか、デートを振り返りつつ、
今までの実験を振り返る。
論文をより良いものにするために、彼らはより大規模な実験を行う。
今の自分の感情は「恋愛感情」といえるものなのかという証明のために、
彼らはより多くの人を巻き込み実験をしていく。
教授も彼らの研究に興味を持ち、より彼らの実験は深いものになる。
つまり、より状況がめんどくさくなる(笑)
ただでさえめんどくさい理系な彼らが研究という名目でより、
めんどくさい理系の論理的思考に陥っていく。
主人公とヒロインの恋愛感情が本当に恋愛感情なのか。
その証明なのに同性同士で実験したり、
キスにおけるムードの「ムード」とは何なのか?と考えたり。
彼らが理系だからこそ、脱線しながらも深く恋愛の様々な感情や
状況を論理的に考えていく。
あえて言わなくても分かっている恋愛における感情や
考えなくてもやっていることを理系だからこそ数値化し言語化する彼ら、
恋愛の「方程式」を作り、数値を求めていくさまが面白い。
彼らが研究に研究を重ね近場で、
キスに適している場所は夕方の大学の屋上であることが求められる。
研究をしなくても大体わかりそうなものだ(笑)
そんな研究をシなくてもわかりそうなところを研究する
彼らに愛おしさすら感じる。
主人公とヒロインだけでなく他のキャラもしっかりと掘り下げられる。
それぞれの恋愛模様、大学院生としての成長がきちんと描かれることで
より作品に深みが生まれる。
邪魔
引用元:©山本アリフレッド・COMICメテオ/アニメ「リケ恋」製作委員会
序盤から中盤までこの作品にシリアスはない。明るく、ライトなラブコメディだ。
キャラクターたちにも一切の不快感はなく、
主人公とヒロインの不器用な恋愛を素直に楽しむことができる。
だが、問題は終盤だ。
終盤に「OB」が研究室にやってくる。彼女は漫画家であり、
主人公とヒロインの研究に興味を示し、彼らを漫画のネタにしようとする。
これだけなら不快感のないキャラクターでは有るものの、
彼女はいわゆる「トラブルメーカー」だ。
自身の漫画のネタにしようとより状況をこじれさせるように行動する。
不快なキャラが居ないというのがこの作品の良さもでもあったのに、
居ても居なくてもどうでもいいようなキャラが不快なキャラとして
終盤出てくることでこの作品の良さが崩れてしまっているのが
本当にもったいない。
研究成果
引用元:©山本アリフレッド・COMICメテオ/アニメ「リケ恋」製作委員会
最後の二人の討論は二人らしく、これまでの研究成果をぶつけあうような討論だ。
喧嘩をした二人が、理性的に今の状況を分析し、様々な数値が興味深くでる。
だが、そんなことはどうでもいいとすら考える。
喧嘩をしている今の状況に理系的には興味があるものの、理性が感情が本能が
この状況に耐えられない。
「もう仲直りさせて!あなたに触れさせて!とっとと抱きしめてよ」
彼女のそんな言葉は理性のかけらもなく論理的でもない。
感情で本能で恋する乙女そのものだ。しかもムードは最高潮だ。
求めた方程式からも最高の値を示す状況で、理論的に最高のキスをする。
もうお腹いっぱいになるほどのイチャイチャを見せられて
1クールが終わる(笑)
総評:恋愛感情の証明は果たして可能なのか?
引用元:©山本アリフレッド・COMICメテオ/アニメ「リケ恋」製作委員会
全体的に見て1クール、カップルがイチャイチャしっぱなしで
最後に喧嘩をしてキスをして仲直りしただけの話だ。
しかし、そこに「理系」である主人公とヒロインが「理系」であるがゆえに
きちんと数値で理論的に恋という感情を証明しなければ
納得して付き合うことができないという理系的な思考を取り入れることで
ラブコメと知ってしっかりと楽しめる作品になっている。
恋愛における様々なシチュエーション、そこから生まれる感情や反応を
数値化し、データを取り、「恋愛感情」を証明しようとする。
もはや二人の反応を見れば明らかに相思相愛であり、
「早く付き合ってしまえ」というもどかしさが、
より主人公とヒロインに愛着がわかせる。
20歳を超えた大人な二人ではあるが恋愛経験がなく、
1クール賭けてようやく手をつなぎ、キスをする。
不器用すぎる二人はずっと見守っていたい愛くるしさすら感じさせてくれる。
魅力的でかっこいい主人公と、魅力的で可愛いヒロイン。
そんな二人だからこそ余計な不快感がなくクスクスと
笑いながらニヤニヤできる作品だ。
欠点を言うならばキャラデザのふるさをやや感じさせる部分があり、
終盤に出てくるキャラが邪魔でしか無かったりする部分はあるものの、
作品全体としては非常によくまとまっている。
2期があってもなくても問題がない。
1期である程度綺麗にまとめており、二人の恋愛証明はこれからだ!という
感じで終わっているものの、二人の恋愛証明の答は明らかだであり、
明らかだからこそ良い余韻が残る1クールになっている作品だ。
個人的な感想:久しぶりに良いラブコメだった
引用元:©山本アリフレッド・COMICメテオ/アニメ「リケ恋」製作委員会
やってることはひたすらイチャイチャしてるだけなのに、
そのイチャイチャを論理的に解き明かそうとする二人が本当に面白く、
周りのキャラによるツッコミにもきちんとキレがあり、
ニヤニヤとしながら楽しめる作品だった。
個人的には作画の質はそんなに良くないのに
ヒロインたちの「パンストの足」の描写への制作側のこだわりを
強く感じた作品だった(笑)
パンストを履いた脚が好きな人にはたまらない作品かもしれない。
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