評価 ★★★★☆(70点) 全26話
あらすじ 時は大正。主人公・竈門炭治郎は亡き父親の跡を継ぎ、炭焼きをして家族の暮らしを支えていた引用- Wikipedia
まさにジャンプ黄金期の集合体!!! こんなの面白いに決まってる!!!
原作は週刊少年ジャンプで連載中の漫画作品。
監督は外崎春雄、製作はufotable。
大正
引用元:©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
この作品の舞台は大正時代だ。
主人公が父親がおらず3人の弟や二人の妹と母という
大家族を支えている少年だ。彼は炭焼を生業とし、街に炭を売っていた。
決して生活は楽じゃない、だが、それなりに幸せな暮らしを彼は送っていた。
まるで「日本昔話」のような始まりであり、
綺麗な大正時代の風景は思わず目を奪われる。
電気が通りだし、木造建築の町並みがまだ残り、
明治時代と昭和の間、まさに「大正」という雰囲気をひしひしと感じる。
主人公の羽織などの服装もこの雰囲気を後押ししている。
そんな美しさと大正時代の雰囲気、日本昔話のような始まりは
「日本人」として慣れ親しんだ作風だ。
そして作中のキャラが主人公に警告する
「鬼が出るぞ」
まさに日本昔ばなしだ(笑)
苦労人の少年と、大正時代と、冬という季節と、鬼。
市原悦子さんのあの声がどこからともなく聞こえてきそうなほど、
この作品には懐かしさを感じる。
子供の頃に聞かされた絵本、TVでみた日本むかしばなし、
おばあちゃんやおじいちゃんがなしていた怖い話。
そんな日本から古く伝わる「民話」のような始まりと雰囲気がある。
日本人ならこの始まりに拒否感など一切ないはずだ。
すんなりと、まるで母に聞かされた絵本のごとく
物語の世界に入り込める。
鬼
引用元:©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
鬼は日が暮れると現れる。だが、そんな鬼を「鬼狩り様」が切ってくれる。
そんな逸話がこの世界にはあるが、主人公は鬼など見たこともないし、
鬼なんかいないと思っている。
しかし、鬼は実在する。主人公がいない時に彼の家族は「鬼」に襲われる。
幼い弟妹たち、母も鬼に殺される。
たった一人、妹の禰豆子だけは息はあったが、
彼女は「鬼」になる。歯は鬼のように尖り、理性を失い人を襲う。
そんな彼のもとに現れるのが「鬼狩り様」だ。
刀を持ち、容赦なく妹に切ろうとする。
鬼になりかけている少女とそんな鬼を狩ろうとする男。
人を食う鬼は人類にとっての敵だ。
一度鬼になればもとに戻る方法はない。
そんな現実を少年に叩きつける。だが、彼必死に妹を守ろうとする。
唯一生き残った家族だから、自分が守れなかったからこそ、
彼は妹だけでも守ろうとする。
彼の必死な叫びは恥も外聞もない「土下座」という形で現れる。
胸を打つよう少年の叫び。そんな情にほだされないのが「鬼狩り様」だ。
現実を少年に叩きつけ、現実を少年に刻み込む。
少年に対しての情があるからこそ、現実を厳しい言葉で教え込む
「妹を守ることも、治すことも、家族のかたきを討つことも出来ない」
彼に「戦う意志」を植え付ける。教育だ。
「鬼」と戦う意志を、戦うすべを、「妹」を守る意思を確立させる。
そんな主人公の意思に妹も答える。
鬼になっても理性を失わず、兄を守らんとする。
鬼に襲われた兄妹。そんな二人の物語が始まる。
修行
引用元:©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
彼は普通の少年だ。心が優しく、思いやりがある少年だ。
例え「鬼」でも同情してしまう。
鬼は人の言葉を喋るからこそ、彼は鬼に対しても情を持ってしまう。
彼は復讐に燃える「鬼」ではなく、一人の妹思いの心優しい少年だ。
だからこそ彼に感情移入し、愛着を持てる。
だが、鬼を倒すためには心も体も未熟だ。だからこそ「修行」が必要だ。
始まりこそこの作品は民話のような「日本むかしばなし」のような雰囲気だが、
この作品の原作は「週刊少年ジャンプ」で連載している作品だ。
修行こそジャンプ作品としての「本髄」だ。
鬼と戦うために、鬼と戦う力を得るために彼は修業をする。
シンプルな「山」での修行と、天狗の面をつけた師、
ufotableが制作してるからこそのシンプルな修行を映えさせる
アクションシーンの描写は思わず目を奪われる。
そんな真面目な修行シーンを描きつつもコミカルな日常も描くことで、
キャラクターへの愛着をより強めている。
滝壺に落とされ、滝に打たれ水と1つになる。
昭和のような修行方法を令和になってあえて描いている(笑)
修行の締めも「岩」を斬るだ。
泥臭いまでの修行方法が懐かしくもまっすぐな王道さを感じさせる。
師匠に教わり、姉弟子と兄弟子に鍛えられ、彼は強くなる。
彼が修行で学ぶのは刀の振り方と型と「呼吸」だ。
「呼吸法」により強くなるというのは「ジョジョの奇妙な冒険」を彷彿とさせる。
3部以降のスタンド主体の戦いではなく、特別な呼吸法により
生み出された波紋で吸血鬼と戦っていた1部を思い出させる要素だ。
この作品は王道だ。王道な始まりと、王道な展開を王道のままに見せている。
古き良き「日本むかしばなし」を軸に「週刊少年ジャンプらしさ」を備えている。
2クールだからこそ尺の余裕があり、丁寧に描いており、
人によってはテンポが悪いと感じるかもしれない。
だが、はっきりいえば最近の作品のテンポが早いだけだ。
90年代、00年代前半の2クールアニメはこのくらいのテンポだった。
2019年の作品なのにこの作品は80年代と90年代と00年代の匂いを感じさせる。
新しいはずなのにどこか懐かしい。
ある意味でジャンプという雑誌の原点回帰なのかもしれない。
だからこそ面白い。
技
引用元:©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
主人公は鬼の撲滅を目的とする組織である「鬼殺隊」に入ろうとする。
入るためには当然「試験」がある。まさにジャンプだ。
NARUTOの中忍試験、HUNTERHUNTERのハンター試験、
90年代後半のジャンプでは試験は定番だった。
この作品もそんな過去のジャンプ作品に敬意を払う如く試験が描かれる。
試験は容赦がない、実際の鬼の戦いだ。
修行をし力をつけたからこそ、彼は鬼に対して無力ではなくなる。
彼が「水の呼吸」で刀にまるで水が宿るようなエフェクトともに鬼を切り裂く。
この作品にふさわしい「水のエフェクト」の描写の仕方は本当に美しく、
刀から水が走るような演出は見ているだけで面白い。
「技」の描写はバトル作品では重要だ。「技名」を叫び刀を振るう。
この作品を見た小学生男子が思わず真似をしたくなる技。
かつての少年たちは「傘」を片手に真似をしたはずだ。
アバンストラッシュを、牙突を、九頭龍閃を。
思わず真似をしたくなるほどかっこいい技の表現がこの作品にはある。
「刀」と呼吸による戦闘方法はシンプルだ。
だからこそアニメーションで盛り上げなければ途端につまらなくなってしまう。
音も作画も演出も、妥協は許されない。
主人公が「呼吸」をし技名を心の中で叫び、切り裂く。
美しい水のエフェクトともに鬼の首がまっすぐと切り裂かれる。
刀の金属音、切り裂かれるに肉の音。
だが主人公である「炭次郎」は敵に対しても憐れみを捨てない。
妹も鬼であるがゆえにか、彼自身の生粋の優しさ故にか、
消え去る鬼の「悲しい匂い」にほだされ、彼は消えゆく鬼の手を握る。
元々は人間だった鬼の輪廻転生を願い、幸せを願う。
「炭次郎」という主人公の魅力が戦闘シーンの後に際立たされる。
「炭次郎」という主人公はあまりにも優しすぎる。
敵の「名前」をきき、時に敵の技すら称賛する。
彼は徐々に成長し、徐々に力をつけていく。
決して最初から「チート」な主人公ではない。
ジャンプ作品らしい「努力」からの勝利がこの作品にはある。
主人公の真っ直ぐで優しい性格と成長は、
不思議と「親心」のようなものを刺激される。
鬼舞辻無惨
引用元:©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
この作品の主人公の目的ははっきりとしている。
「仇を討つこと」「妹をもとに戻すこと」だ。
そして主人公にとっての敵は「鬼舞辻無惨」だ。
彼は鬼の始祖とも言える存在であり、彼が血を与えれば人は鬼になる。
多くの人を鬼にし、多くの人の命を奪ってきた。
そんな「ラスボス」とも言える存在に主人公は7話で出会う。
敵が敵として魅力的というのは重要だ。
主人公が倒すにふさわしい力と悪のカリスマとしての魅力、
主人公が魅力的なだけでは成立しないバトルアニメの面白さは
敵が魅力だからこそにじみ出てくる。
町中に潜む彼は「人間」のように暮らしている。
人間の小さな娘を抱き、人間の妻を持ち、ハイカラな服を着て浅草の街に住む。
まるで自分自身が「鬼」でないといわんばかりの振る舞いをし、
家族と会話する中でもさらりと往来の人を殺し、鬼にする。
圧倒的な存在感とカリスマ性を放つ「敵」だ。
そんな鬼舞辻無惨と主人公が出会うことで、物語が加速度的に面白くなる。
魅力的な主人公と蠱惑的な敵、この2つが揃ってこそのバトルアニメだ。
戦闘
引用元:©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
この作品はダレない。常にストーリーが進み、常に戦闘がまき起こる。
行き着く間もないほどに次々と鬼が現れ、次々と戦う。
「鬼」は血鬼術というそれぞれの能力を持っており、
それがそれぞれの「鬼との戦い」の差別化を生んでおり、
そこに主人公が立ち向かい、自ら思考し戦術を考え倒していく。
主人公は決してチートのように強いわけではない。だからこそ毎回の戦闘が必死だ。
限られた技で何度も何度も技を繰り返し、決死の勝利を掴む。
大胆かつ立体的なカメラワークで動き回る戦闘シーンの迫力は凄まじく、
比喩ではなく「360度」回転しまくる戦闘シーンは本当に目が回りそうだ。
そこに「浮世絵」のような水のエフェクトを入れることでより迫力を増す。
我妻 善逸
引用元:©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
この作品は常にシリアスなわけではない。
シリアスな中でもきちんと、その緊張の糸が
張り詰めすぎないように適度にギャグを入れる。
キャラが崩壊しないギリギリのラインでキャラをコミカルに動かし、
そのキャラらしいギャグを入れることで場が和む。
戦闘中でも敵の「手についた」目玉が気持ち悪いと言ったり、
ヒロインとも言える「禰豆子」は重要な話をしてるのに
畳の上で寝転んで遊んでたり、シリアスな作品なだけに
こういったコミカルなシーンが作品にメリハリを生んでいる。
特に「我妻 善逸」はうるさいほどのギャグ要員だ(笑)
彼はネガティブな思考で、鬼に殺されると連呼しながら絶叫し、
女の人を見つけては後生だからと求婚し、騒ぎまくる。
ダイの大冒険でいえば「ポップ」の立ち位置のキャラと言える。
彼のヘタレっぷりやコミカルさはシリアスな世界の中での息抜きにもなっており、
その反面で彼の「優しさ」と「決意」をみせたときのギャップを生んでいる。
コミカルなシーンが増え、孤独だった序盤から中盤の主人公にも「仲間」ができる。
仲間が増えることでより、ワチャワチャした感じが生まれ、
キャラにも愛着が湧く。
ただ、このギャグは唐突だったりやや強引だったり勢い任せにすることも多く、
戦闘中でも構わずやることもあり、人によっては好みが分かれる部分かもしれない。
特に「我妻 善逸」は本当にうるさい。
それが彼の愛らしさでもあるのだが、嫌われやすいキャラクターかもしれない。
彼が「本気」を見せる姿、「1つの技」を極めし者のである彼の姿は
素直にかっこい良いだけ、嫌わないであげてほしい(笑)
鬼
引用元:©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
鬼は元人間だ、それぞれ過去の記憶を持ってるものや薄れてるものも居る。
だが、人間の頃の記憶を完全になくしたわけではない。
人間の頃の「願望」や「後悔」が人を襲う動機にもなっている。
彼らが元人間だからこそ主人公は彼らに問いかける。
彼らの名を聞き、彼らの人としての部分、人としての尊厳に対する礼節がある。
だからこそ鬼は主人公の殺されるとどこか救われたような表情になる。
彼の言葉や、行動、眼差しが鬼にとっての最後の救いとなり、彼らは生涯を終える。
鬼として人を食らってしまった罪は消し去ることは出来ない、
だが主人公によって最後の一瞬、人としての心を取り戻していく。
そんな敵を演ずるのは実力派の声優さんばかりだ。
内山昂輝、緑川光、子安武人、木村良平、小松未可子[、福山潤、諏訪部順一etc…
彼らの声と演技がより敵のキャラクターの魅力を際立たせ、
圧倒的な存在感を生んでいる。
彼らの最後の一瞬の言葉は、実力派の声優さんたちだからこそ響く。
嘴平 伊之助
引用元:©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
彼は猪野々市の面をかぶり、猪に育てられた少年だ。
乱暴的な性格で野生児といってもいい。
喧嘩っ早く、鬼である「禰豆子」を殺そうとしたくらいの猪突猛進っぷりだ。
そんな彼も仲間だ。
主人公や善逸と過ごし、会話をし、ともに過ごす中で彼にも人としての心と、
鬼殺隊としての「誇り」を宿していく。
彼の真っ直ぐな強さへの憧れ、彼の素直さはコメディ的ではあるが、
彼が徐々に「情緒」を自らの心のなかに宿していく様は
他の二人とは違った成長が垣間見えるキャラクターだ。
19話
引用元:©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
この作品のこの最大の山場言えるのは19話だろう。
仲間たちと戦い、仲間たちは次々と倒れる中で主人公は刀すら折れる。
刀が首筋まで通っても刃は肉に刺さらない。
彼にとっての「最大の必殺技」を放っても、その攻撃は届かない。
彼は「死」を覚悟する。覚悟したからこそ走馬灯を見る。
「父」の姿、父の在りし姿、幼い頃の記憶から彼は「呼吸法」を思い出す。
父から受け継いだ神楽、父から受け継いだ耳飾り、父との約束。
ありとあらゆる代償を払い、相打ちになったとしても
彼は妹を守るために刃を振るう。
そんな兄に呼応するように妹も覚醒し、
絶対的に勝てないと思った相手に立ち向かう。
王道に、王道のままに、王道が故にこの作品は「溜め」がある。
溜めがあるからこそ、これまでの道のりをしっかりと描いたからこその19話だ。
主人公の努力と、絆と、受け継がれし力。
「あ~ジャンプだ!」と叫びたくなるほどのストレートなみせ方がたまらない。
水と炎のエフェクト、目まぐるしいカメラワーク、
思わず口をぽかんと開けたまま震えてしまうほどのアニメーションは
近年でも最高峰の戦闘シーンと言える出来栄えだ。
この19話のために18話までがあった。
そう言い切れるほどの19話の盛り上がり方だ。
積み重ねて積み重ねて魅せる。
2クールだからこその積み重ねが活きている。
だが決して主人公は最強ではない。彼を超える力を持つものが存在する。
柱
引用元:©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
終盤には主人公たちの組織のいわゆる「四天王」的な存在の柱側られる。
彼らの力は圧倒的だ。
主人公たちが必死の思いで戦って勝てない鬼も、表情すら変えず、
汗1つ描かずに鬼を殺す。
まるで水のように、まるで蝶のように、さらりと鬼を殺す姿は素直にかっこいい。
主人公たちが目指す力、主人公たちが憧れる姿。
「柱」の圧倒的な強さが主人公たちの未熟さと成長の余地を感じさせる。
彼らは一人ひとりが癖が強く、抜群の存在感を見せつけてくれる。
ただ、その一歩で出ただけのキャラクターも多く、
せっかく面白そうな技や存在感のあるキャラなだけに
出し惜しみな感じで終わってしまったのはやや残念でならない。
回想
引用元:©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
ただ気になるのは回想シーンの長さだ。
鬼たちの過去やキャラクターを掘り下げるために死の直前に
彼らの回想が入ることが多く、それがやや長い。
勧善懲悪ではなく、鬼にも事情があり、鬼にも人としての過去があり、
主人公は「人間だったんだから」と敬意を示そうとする。
「竈門 炭治郎」という主人公はそういう主人公だ。
甘さを感じるほどに優しく、慈愛に満ちている。
その慈愛を際立たせるためにしっかりと敵の過去を描く。
もう死んでしまうキャラクターの回想を長々と描くのはややテンポが悪く、
主人公の優しさや慈愛を際立たせるための過去の描写であることは分かるが、
ややテンポが崩れてダレてしまうシーンも有るのはやや残念だ。
原作なら漫画という媒体ということもあり、さらちと読み流す部分も、
アニメでは2クールだからこその尺の余裕がゆえに
丁寧すぎる描写をしてしまってる部分もある。
終盤
引用元:©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
原作がまだ続いており2クールで終わらないのは当たり前なのだが、
話の区切りとしてやや中途半端すぎるところで終わってしまっている。
2クールの物語のピークとしては19話ないし20話だ。
柱たちと鬼殺隊の当主である「お館様」と主人公が出会い、
彼らの前で「鬼舞辻無惨を倒します」と宣言した23話である程度の話の
区切りとしてはちょうどよかったのだが、この作品は全26話だ。
残りの3話は修行で終わってしまう。
もちろん修行のシーンは面白く、
主人公の動機を掘り下げるエピソードもあるのだが、
やや冗長に感じるシーンも多く24話以降は少し尺稼ぎをしてる感じは否めない。
2クールと言うストーリー構成、しかも全26話で続編まで決まってると言う所で
最後の最後で尺を使いあました感じがあるのはやや残念な部分だ。
総評:The王道
引用元:©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
全体的に見て本当に真っ直ぐな王道な作品だ。
日本昔ばなしのような舞台背景から、週刊少年ジャンプらしい要素を取り入れ、
それを「ufotable」という制作会社による作画力でアニメーションとして
最大限に後押しすることで、王道を王道のままにまっすぐに仕上げている。
2クールだからこそ尺に余裕があり、1話1話の中で丁寧にキャラを描写し、
主人公の「優しするほど優しい」慈愛に満ちた性格をきちんと描写することで、
敵である鬼にも同情してしまうようなキャラクターの魅力を醸し出している。
そして、そんな主人公に相対する敵である「鬼舞辻無惨」の存在感。
蠱惑的なまでの悪役としての魅力をニヒルに描き、
2クールでは少ししか出ていないのにも関わらず圧倒的な存在感と魅力のある
敵だ。
主人公の目的もはっきりしており、ジャンプらしい修行を経て努力をし
力を身に着けて徐々に強くなっていく。そんな中で仲間と出会い友情を育み、
勝利へと結びつける。
「友情努力勝利」
ジャンプの3大原則をきっちり意識しつつ、王道の要素をストレートに描くことで
シンプルだが、それゆえに燃えるような面白さを沸き立たせてくれる。
王道は面白い、だが、使い方や描き方を間違えれば使い古された要素でしかない。
しかし、この作品はそんな要素をきちんと使い、描くことで、
「王道の面白さ」をこの作品は確立している。
いつの時代も王道は面白い。そんな声が聞こえてくるようなまっすぐな
面白さへの追求をこの作品からは感じることができる。
惜しむべきは続きは劇場版で!となってしまったことで
やや2クールの最終話としては中途半端な区切りになってしまっており、
続きが見たいと思わせるところで終わってはいるものの、
個人的には映画で続くを描くのではなく、
このまま2期をやってほしいなと思ってしまう部分が大きかった。
2019年に最大のヒットとなった本作品だが、見れば分かる。
この作品は過去の色々なジャンプ作品の要素の塊だ。
見てるうちに色々な作品が浮かんでくる。
そして、それがリスペクトとして取り入れられてる。
ジョジョの奇妙な冒険、るろうに剣心、NARUTO、ダイの大冒険etc…
そんなジャンプ作品へのリスペクトが詰まった作品は面白いに決まっている。
ある意味で反則だ(笑)
そんな反則が受け入れられない方もいるかも知れない。
この作品は本当に真っ直ぐで王道だ。真っすぐすぎると言っても良い。
だからこそ受け入れられない人や拒否感が出るのも分かる部分はある。
ヒットした作品にはヒットした理由があり、そこには必ず面白さがある。
この作品があまりにもヒットしたばかりに見ていない人もいるかも知れない。
だが「ジャンプを読んでいた」あの頃の気持を思い出してみてほしい。
あの頃、ジャンプで味わった「ワクワク」がこの作品には詰まっている。
個人的な感想:柱
引用元:©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
個人的には序盤から中盤の主人公と禰豆子だけの戦いも好きだったが、
終盤の柱の圧倒的な技の描写も好きだったため、
もう少し彼らの活躍が見たかったなと感じてしまった。
鬼舞辻無惨もほとんど戦闘シーンがなかったため、彼の戦闘シーンもみたかった。
「見たかった」と感じる要素が多く、その見たかったを劇場版や
2期でみせてくれることを期待したい。
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