評価 ☆☆☆☆☆(5点) 全105分
あらすじ 冷静沈着で車椅子のユウ、バスケ部の人気者のハル、ハルの恋人コトナの3人は幼なじみの親友引用- Wikipedia
全員馬鹿
本作品は劇場アニメ作品。
原作は2010年に発売されたゲーム作品。
監督は百瀬義行、製作はオー・エル・エム。
車椅子
引用元:©2019 映画「二ノ国」製作委員会
この作品の主人公は障害者だ。
彼の両足はまるで動かず、車椅子に乗って生活を送っている学生だ。
親友の彼女に密かに思いを寄せるものの、自身が障害者だからこそ遠慮をし、
親友と彼女の恋を応援するしか無い。
主人公が「障害者」というのは設定としては言い方は少し悪いが新鮮であり、
あえて物語の主人公を「障害者」にした理由が物語の中にあるのか気になってくる。
そんな主人公の目の前で親友の彼女である「コトナ」が
怪しげな人物に刺されるところから物語は始まる。
なんだこいつ…
引用元:©2019 映画「二ノ国」製作委員会
しかし、序盤から問題なのが「ハル」だ。
主人公の親友であり、コトナの彼氏で、バスケが得意な人気者。
そんな活発的な少年である彼は謎の人物に襲われ逃げる彼女からの
携帯の着信に気づかず、彼女は彼氏の代わりに主人公に
連絡し通り魔から助けてもらおうとする。
だが、彼女は主人公の前で刺されてしまう。
電話に気づいた「ハル」も現場に駆けつけて刺された彼女を抱きかかえて、
救急車を呼ぼうとしている主人公にこんなセリフを吐きつける
「うるせぇ!黙れ!お前何やってたんだ!コトナは俺が病院に連れて行く!」
もはやこの台詞の時点で多くの視聴者は「なんだこいつ…?」という疑念が浮かぶ。
明らかにナイフがぶっ刺さってヤバイ状態の彼女を救急車も呼ばず、
わざわざ抱きかかえて道路の脇にでてタクシーを拾おうとする。
なぜ救急車を呼ばないのか、動かしたらまずいとは考えないのか、
主人公に暴言を吐く理由も含めて「こいつはバカなんだろうか?」という印象がついてしまう。
しかも、道路に飛び出した彼は車にひかれそうになり、
主人公がそんな彼を助けようと飛び込むと、異世界に転送される(笑)
「なろう系」作品を彷彿とさせるようなあまりにも強引な展開に
もはや笑うしか無い。
つまり「ハル」がバカなのは物語の都合上だ。
彼がわざわざ刺された彼女を抱きかかえて、わざわざ道路に飛び出さなければ
「異世界に転送」されるキッカケにならない、異世界に登場人物を
転送させるためにキャラクターをバカにすることで
強引に展開を作り上げている。
自然なストーリーの流れで異世界に行くのではなく、
明らかに強引な展開で異世界に行く。この作品は自然な流れというものができていない。
開始10分でこの作品の印象は地の底へと落ちる。
異世界転送特典
引用元:©2019 映画「二ノ国」製作委員会
異世界にいきなり着てしまった主人公と「ハル」。
状況に少し戸惑いつつも、彼らは歩き出す。
そう、なぜか両足が動かなかったはずの主人公の足が異世界に来た途端に動き出している。
刺されて重体になって行方不明の彼女や、スマホがいつのまにかコンパスに変わってる事実や、
いつのまにか自分たちの洋服が変わっている事実などよりも、
主人公の足が治ったことのほうが彼らにとっては驚きだ。
しかも、異世界でヒロインを探すとヒロインは異世界の「姫」の姿と
そっくりであることがわかる、姫こそがヒロインだと思い込んだ主人公たちではあるが、
「姫」は姫で呪いを受けており病床に臥せっている。
そんな異世界の「姫」にかかった呪いを主人公が解くことができる。
もはや意味不明だ。
足は治ってるわ、呪いは解くことができるようになってるわで、
異世界に転送されるときに神様が彼に特典でも与えたのだろうか?
と思うほど主人公の能力が増強されており、
それに対する説明がまるでない。
なぜ足は治ったのか、なぜ呪いを解くことができるのか。
説明してほしいところをなかなか説明してくれない。
そもそも、ツッコミだしたら異世界で「なぜ日本語が通じるのか」という部分も
気になる部分だ。なぜか「戦闘能力」まで身に着けている(笑)
ますます、なろうじみている。
しかも色々と異世界でやってるのにも関わらず、
ハルは「きっと夢だ、こんな夢早く冷めちまえばいいんだ」とのたまう。
夢だと割り切って馬鹿騒ぎする彼は能天気の極みであり、
物語の都合上、バカになってしまっている彼が憐れでしか無い。
主人公は主人公で「コトナ」よりも「コトナ」そっくりの姫が気になってる始末だ。
元の世界では手の届かなかったヒロインと瓜二つの姫、
ワンちゃん行けるのではみたいにコトナと瓜二つの姫とイチャイチャしだす主人公に
何の感情も抱けない。
下手くそすぎるキャラ描写
引用元:©2019 映画「二ノ国」製作委員会
主人公はあっさりと「俺達の世界」と姫の前で自分たちが
異世界人であることを明かす。
そんな彼のある意味衝撃的なセリフに対して姫は
「やっぱり貴方は別の世界の人なのね」
と、まるで知っていたかのように話す。
どのシーンで、どのセリフをきっかけに「やっぱり」と思うほど
主人公たちが居世界の住人に見えたのが教えてほしいほどだ。
そんな素振りは見せていなかったはずであり、
姫と主人公はそんなに長い間会話をしたわけでもない。
しかも主人公は「俺達の世界に王様は居ないんだ」とのたまう。
これが「日本」ならまだしも、世界中には君主制の国はまだ存在し、
当然、王様も姫も居る。
シーンやセリフの違和感が本当に半端ない。
まるでダイジェストのようにどこかしらのシーンがカットされてるのか?
と思うほどに展開が唐突であり、唐突すぎる上にカットされてるかのような
ストーリー構成のせいでキャラクターの心理描写についていけない。
異世界の国王も馬鹿の極みであり、ちょっと宰相に
「あいつら敵国にスパイじゃね?怪しくね?」と言われると
あっさりと信じ込む。本当にバカしか居ない。
は?
引用元:©2019 映画「二ノ国」製作委員会
話が進めば進むほど見ている側を置いてけぼりにするのがこの作品だ。
主人公たちが敵国のスパイと疑われ拘束されそうになると、
主人公はこんな事を言う
「一旦、一ノ国に戻ろう。」
なぜかここで「元の世界」という言葉を使うのではなく、
いきなり「一ノ国」という言葉が出てくる。
脚本家の頭の中では異世界が二ノ国であり、元の世界が一ノ国なのは分るが、
それをキャラクターが使う理由がなく、見ている側に
伝えることがまるでできていない。全て脚本家の頭の中で完結している。
更に続くセリフに驚愕だ。
「ジャンプのトリガーは命の危険だ、あの炎に飛び込もう!一か八かだ」
主人公まで馬鹿になった瞬間だ。
異世界と自分たちの世界を行き来することを「ジャンプ」と言い出し、
そのジャンプは「命の危険」がきっかけだと決め込む。
しかも「一か八か」だ。
もし、主人公の予測が外れてれば二人して火だるまだ(笑)
たった1度のジャンプで「命の危険」がきっかけだと確信している主人公、
一体、何を根拠に生命の危険が異世界に来るきっかけだと思ったのか、
本当にキャラクターたちの一挙一動についていけない。
ストーリーの流れと設定を説明するためにキャラをバカにする。
序盤で「ハル」にやった手法と全く同じ方法で主人公をバカにしている。
自然なストーリーの流れで異世界を渡る方法を主人公にも
見ている側にも伝えるのではなく、主人公をバカにすることで
強引にストーリーを進めている。
よくぞここまで馬鹿げた脚本が書けるなと思ってしまうほどに
頭を抱えるストーリー展開だ。
元の世界に戻ったら戻ったで「ハル」は夢から覚めたと喜び、
なぜか「コトナ」は刺されてすら居ない。
この作品では「一ノ国」と「二ノ国」で命がつながっている人間がおり、
どちらかが死ねば2つの国で命の繋がった人間は死んでしまう。
コトナが刺されはしたが二ノ国で姫の剣を主人公が抜いたからこそ
一ノ国で命がつながってる「コトナ」が助かったのはまだ分かるが、
刺された事実すらなくなるのはどういうことなのだろうか?
まるで理解できない。
しかも、いきなり「コトナ」に「悪性腫瘍」が見つかり、余命三ヶ月になる(笑)
展開がぶっ飛びすぎていてまるでついていけない。
しかもバカな「ハル」は異世界で姫様を助けたから「コトナ」が
死ぬ運命になったんじゃないのか!?と主人公に詰め寄ってくる始末だ。
彼は目の前で姫の腹から呪いの剣を抜く主人公を見てるにもかかわらずだ。
しかももう1度異世界に行ってコトナのために「姫」を殺すと言い放つ。
主人公に「お前の妄想はもうたくさんだ!」と言い放つが、
彼の思想も何の確証もない妄想の域だ。
そもそ彼は異世界のことを夢と思っていたはずだ。
主人公と主人公の親友が敵対するという構図を作るために、
キャラクターをバカの極地へと至らせている。
命がつながっている設定ならば姫を殺した瞬間にコトナも死んでしまうことを
彼はまるで理解しようとせず、「ハル」は異世界で敵にあっさり騙されて主人公と敵対する。
長年の親友の言葉は信じられず、どこの誰だか知らない鉄仮面の言葉を信じる、
彼はどういう思考回路をしているのだろうか。しかも、いつまでたっても
まだ夢なんだろと言っている。
バカな国王はスパイと彼らを疑ったはずなのに、
主人公を今度は「姫の守護者」にする。呆れ果てるバカっぷりだ。
これで主人公が本当にスパイだったらどうするつもりだったのだろうか。
姫も姫で「コトナさんのために私の命を差し上げます!」と主人公に対して言い放つ。
命がリンクしてる可能性があるのにそんな事を主人公にできるはずはない。
もう全員致命的なまでの馬鹿だ。発言に何の根拠もなく、思いつきな
感情論のままにその場限りの言葉を吐き出している。
ぐらでぃおん
引用元:©2019 映画「二ノ国」製作委員会
中盤をすぎると唐突に「聖剣グラディオン」がでてくる(苦笑)
その聖剣が何なのかよくわからないものが唐突に出てきて、
しかも、その聖剣グラディオンは紛失していて
かつて王の父がそれを使ったことが国王の口から語られる。
この作品は根本的にストーリーの中で自然に説明するということが出来ていない。
唐突な行動、唐突な展開の中でキャラクターが唐突に
「語りだす」ことで説明する。
ストーリーや要素の見せ方というものを根本的に製作者側が分かっていない。
戦闘シーンも当然あるのだがアニメーションとしての面白さは特にない。
親友同士で敵対し、命の奪い合いになっても、
互いを殺し合おうとすれば命の危険というトリガーが発動し
元の世界に戻ってしまう。絶対に命が奪われることがない(笑)
ちなみに終盤になってもハルは夢ならさめてくれと願っている。
すると、またキャラ同士の会話だ。
「映画」として盛り上がるシーンが本当に少なく、
ひたすらキャラ同士が会話という名の説明をつねにしているような感覚だ。
孤児
引用元:©2019 映画「二ノ国」製作委員会
主人公は赤ん坊の頃に飛行機事故にあっており、親は居ない。
今は里親となる「花屋」のもとで彼は生活している。
そんな彼には年上の花屋のサキ姉という存在が居る。
血の繋がりはないものの彼にとって姉のような存在だ。
幼い頃から姉のように慕っている。
そんな彼女が二ノ国からやってきた敵にこんな事をきかれる
「弟はどこだ?」
当然、主人公のことを指している。
だが、そんな敵の問いに対しサキ姉は
「弟?」
と訝しげに疑問形で答える。そこで更に敵が
「とぼけるな、足の悪い弟がいるだろう」
と言い放つ、その問いに対しサキ姉はこう答える
「ユウのこと?」
幼い頃から一緒に暮らしていていて自分のことを「サキ姉」とまで
呼んで姉のようにしたっている主人公のことを
彼女は「弟」と認識していない(苦笑)
確かに血の繋がりはなく、厳密に言えば弟ではない。
だが、家族であり弟のような存在のはずだ。あまりにも冷たい。
こういう細かいセリフの違和感が作品全体の違和感につながっている。
真実はいつも1つ!
引用元:©2019 映画「二ノ国」製作委員会
主人公は「二ノ国」に戻ると自らの推理を披露する。
姫を殺そうとしたこと、主人公たちを襲った刺客が「サキ姉」と呼んだこと、
短剣と同じ「匂い」が黒幕から漂ってきたことを理由に
彼を犯人と断定する(苦笑)
唐突に匂いという謎の証拠が出てきたことに見る側は困惑することしか出来ないが、
「魔法に匂いは存在する!」という唐突な後付設定が明かされ、
しかも呪いが跳ね返されたことで体には跡が残るらしく、
黒幕が犯人であることが決定づけられる。
もはや勝手にやってくれと言いたくなる推理ショーだ。
唐突に彼がすべての黒幕であることが明らかになるが、
実は黒幕は死んだはずの王の兄であり、錬金術で生き返ったことが
すべて彼の口から1から100まで語られる。
浅さの極みのようなキャラのセリフと説明口調の数々に
心底どうでも良さが強まる。
突っ込みどころしか無い。
引用元:©2019 映画「二ノ国」製作委員会
終盤の展開も突っ込みどころまみれだ。
いきなり何の脈絡もなく「聖剣グラディオン」が現れて
致命傷を負った主人公がグラディオンの力で治って覚醒したかと思えば、
敵への止めはハルがもっていく(笑)
最終的に主人公は二ノ国に残る決意をしちゃったり、
なぜか一ノ国の住人は主人公の事を忘れたりする。
ヒロインの腫瘍もいつものまにか治っており、
なんでそんな奇跡が起こったのか謎でしか無い。
話の片付け方がご都合主義の塊だ。
最後の最後で主人公と親友のハルの最大の謎が明らかになるものの、
ちょっと理解が追いつかない。どこで彼がそう思ったのか、
何を根拠にそう結論づけたのか。全部説明してくれるが全部理解できない。
まるで似つかぬ二人の姿を見ながら視聴者の頭の中には最後まで
「?」マークだらけで終わってしまう作品だ。
総評:5分に一回突っ込める
引用元:©2019 映画「二ノ国」製作委員会
全体的に見てガバガバすぎる作品だ。
制作側がやりたいことは理解できるものの、
バカすぎるキャラクターたちには何の感情移入も出来ず、
ブレまくる設定と唐突なストーリー展開にはまるでついていけず、
映画が終わっても「いやどういうこと?」と問いただしたくなる作品だ。
さすがはあのガンダムAGEの「日野晃博」が脚本を手掛けたことはある。
ここまで整合性がなく、ツッコミだらけで、キャラクターに感情移入できない
脚本を作れるのはさすがとしか言いようがない。
一周回って見る側にあえて突っ込みどころを突っ込ませるどころで
楽しませる作品作りをしてるのでは?と思うほどの出来栄えだ。
本当に始まって10分から最後の最後まで突っ込みどころしか無い。
あまりにも作品がボケまくるため、ツッコみが追いつかず、
ボケの説明もろくにしない。
これが本当にギャグアニメならぶっ飛んだカオスな作品として
評価できるが、ファンタジーなアニメ映画として本気で作っているなら
「見てる側に伝える」という作品における当たり前のことが出来ていない。
最低限、主人公の足が治った理由くらいは説明してほしいところだが
説明はしてくれない。
声優の演技も酷いものの、それ以上に脚本が酷く、
アニメーションとしての面白さも薄い。
本当に踏んだり蹴ったりな作品だった。
個人的な感想:意味がわからない
引用元:©2019 映画「二ノ国」製作委員会
本当に1時間46分、突っ込みどころしか無い。
主人公の障害者という設定も、設定だけで何の意味もない。
あえてそういう設定をしたのにまるで生かされない。
赤ん坊の頃から一ノ国に居たのに、二ノ国で身体能力が強化される理由もわからず、
謎に魔法をいきなり使えるのも意味がわからない。
そもそも違う世界にいると「危険」があるらしいのだが、
もともと二ノ国の住人である主人公は16年くらいは違う世界に居たことになる。
もう意味がわからない。
ヒロインの唐突な腫瘍と、唐突な奇跡は何だったのか。
誰かに説明してほしいが、誰にもわからないかもしれない。
すべてを知るのは脚本を手掛けた日野晃博氏自身だろうが、
もしかしたら彼にもわからないかもしれない…(笑)
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それでもポッピンQよりは高いのかー
ユウが二ノ国の住人であるということ自体、作品内屈指の馬鹿であるハルの推測でしかないから、恐らく違うのだろうと僕は考えてる。どちらにしろ、設定を詰め込み過ぎて、その設定を上手く使えてないし、繋げれてもない。本当に稀に見る駄作だろう。