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「2.43 清陰高校男子バレー部」レビュー

2.0
スポーツ
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評価 ★☆☆☆☆(27点) 全12話

あらすじ 東京の強豪中学に通っていた灰島公誓は、バレーチームで深刻なトラブルを起こしてしまう引用- Wikipedia

底が浅い

原作は小説な本作品。
監督は木村泰大、制作はdavid production

幼馴染


画像引用元:2.43 清陰高校男子バレー部 1話より
©壁井ユカコ/集英社・アニメ「2.43」製作委員会

この作品は「バレー」を扱った作品だ。
主人公は東京の強豪校に通いバレー部に所属していたが
とある「問題」が起き、祖父母の家のある田舎に戻ってきた。

だが地元の学校はやる気のない部活だ。
練習日ではあるものの部員は幽霊部員が多く、
バレーをやりたい主人公とは違い、誰もやる気がない。
そもそもバレーにすら興味がない。
そんな状況でも彼は一人、練習を続ける。

そんな主人公の練習を幼馴染が見つめる。
そこまで興味のなかったバレーに、本気ではなかったバレーに、
徐々に幼馴染も本気で付き添うようになっていく。

部員はいるのにほぼ幽霊部員しか居なかったバレー部に、
本気でバレーがしたい主人公が入ることで
田舎のバレー部がだんだんと形になっていく。

問題


画像引用元:2.43 清陰高校男子バレー部 2話より
©壁井ユカコ/集英社・アニメ「2.43」製作委員会

しかし問題がつきまとう。主人公が東京で起こした問題。
東京の学校で彼は同じ部活の子を追い詰めてしまった。
その結果、その子は自殺騒動を起こしてしまう。

別にいじめていたわけではない、
確かに態度は高圧的だったかもしれない、
言葉はきつかったかもしれないが「自殺未遂」までしてしまうのは
その子のメンタル的な部分が大きく、主人公の責任と
追い詰めてしまうのはいささか厳しい。

死んでしまえばいいなどという直接的な言葉を言ったわけではない。

「ちゃんとやれよ!セッターにつなぐのがお前の仕事だ、
上に上げるだけでいいって言ってるだろ、
それも出来ない奴にスパイクを打たす気はない。」

当たり前ともいえる指摘だ。
才能の違いがあるがゆえにチームとしてうまくいかず、
それに対して怒り、追い詰めてしまった主人公と、
その追い詰められた言葉に耐えきれずに自殺未遂をしてしまった部員。

才能の違いがあるがゆえに孤独になったというならばまだ分かる。
同じバレーをあつかった「ハイキュー」では、
才能があるがゆえに孤立していたキャラクターも居た。

この作品の場合はその孤立をより深めるために
「自殺未遂」という重い問題まで起きてしまっているが、
その問題に至る前の流れが弱く、いまいち飲み込み難いものがある。

舞台が田舎であるがゆえに噂話が広まるのも早い。
だが、主人公の幼馴染は幼馴染のことを信じており、
チームがより強固なものになっていく。
この流れ自体は決して悪くない。

試合


画像引用元:2.43 清陰高校男子バレー部 3話より
©壁井ユカコ/集英社・アニメ「2.43」製作委員会

しかし、そんな流れの中で描かれる「初めての試合」が
ほぼ結果だけしか描かれない。
大会に出場し、勝ち進む。その過程がほぼ描かれず、
試合の模様は申し訳ない程度に描かれたあとに
いきなり試合の結果だけが見ている側に知らされる。

この作品はスポーツアニメでありながら試合のシーンが恐ろしいほど短い。
例えば初大会の2試合目、主人公の幼馴染が試合中に緊張し、
ミスを連発してしまう。戸惑う中で試合が進んだかと思えば
いきなり試合が終わる。

この作品で描きたいのはそこではない。
制作側のそんな気持ちが伝わってくるほど試合のシーンが短すぎる。
基本的にフルで試合が描かれることはなく、
ダイジェストか結果だけが描かれることが多い。

豆腐メンタルな幼馴染のせいで中学最後の試合は敗退し、
ギクシャクしたまま進学してしまう。
そのギクシャクを作るためのバレーの試合であり、
バレーでなくてもいいのでは?とすら感じてしまう。

3話で舞台は高校へと移る。
この辺りの流れも妙にハイキューと似ている部分が多く、
どうしても同じバレーアニメとして比較してみてしまう。

ハイキュー


画像引用元:2.43 清陰高校男子バレー部 1話より
©壁井ユカコ/集英社・アニメ「2.43」製作委員会

本来は同じスポーツのアニメだからと比較したくはないものの、
どこか意図的にハイキューを意識させようとすら感じてしまう部分がある。
一部のキャラクターの設定もハイキューの
キャラをかけ合わせたような感じだ。

ハイキューの連載開始時期とこの作品の原作の連載開始時期が
ほぼ同時期であり、どちらが模倣したなどということはないにしろ、
アニメでは一部の声優さんはハイキューとかぶっており、
主人公のキャラクターデザインはハイキューの月島に
めちゃめちゃ似てしまっている。

こういったいろいろな要素や中学から高校へと
序盤で舞台が移る展開、孤高のセッターなど
いろいろな部分でどうしても「ハイキュー」がよぎってしまう。

あちらが王道スポーツ作品だとすれば、
こちらはキャラクターの内面、青春要素の部分が大きく、
作品のベクトルの向きは違うのだが、構成している要素が
似ている部分が多すぎるのはかなり問題だ。

せめて主人公のキャラデザくらい
なんとかならなかったのだろうかと思ってしまう。

暴力と頬


画像引用元:2.43 清陰高校男子バレー部 4話より
©壁井ユカコ/集英社・アニメ「2.43」製作委員会

序盤からやたらめったら暴力的な描写が目立つ。
相手に苛立ったら基本的に殴るか蹴るかすることがおおく、
口より手が先に出るタイプが多い。

その他にも無駄に「頬」が染まる描写が多い。
BL的な関係性を描写したいなら分かるものの、
そういう関係性にしたいのかいまいち判断しかねる部分が多く、
しまいには耳まで真っ赤に染め上げており、
そういう方向性に作品にしたいのか?狙っているのか?よくわからない。

中学時代に主人公と揉めた幼なじみたちはギクシャクしたまま
高校に入っており、そのせいで主人公は高校では
バレー部に入ろうとすらしない。

東京でのバレー部の件も福井の中学時代のバレー部の件も
主人公に非はない。
勝手にメンタルやられて自殺未遂したやつと、勝手に
メンタルやられて自分が居なくても大丈夫と思った幼なじみのせいだ。

才能のある主人公についていけない彼らに苛立つ気持ちもわかり、
それなのにいちゃもんつけられたり、暴力を振るわれたりと散々だ。
主人公に何の責任もない。なのに責められる。
思わず舌打ちしてしまう彼の気持ちが痛いほど分かってしまう。

微妙に主人公以外のキャラクターにストレスを常に感じさせられる。
1クールであるがゆえに主人公と幼馴染以外の伽羅の掘り下げが甘く、
同じチームのメンバーのはずなのにほとんどファーストインパクト以上の
印象がないキャラや、最後まで「居たっけ?」レベルのキャラも居る。

そんな居たっけレベルのキャラも居る中であっさりと
高校での新しいバレー部での初試合に勝利する。
展開が早く、いまいち盛り上がる前に次の展開に行ってしまう。

問題問題


画像引用元:2.43 清陰高校男子バレー部 5話より
©壁井ユカコ/集英社・アニメ「2.43」製作委員会

中盤以降も問題ばかりだ。
せっかくチームとして形になってきたのに
「また」主人公の幼馴染が問題を起こす。
そのせいで出場停止になるかもしれないという状況だ。
苛立つ主人公に対し幼馴染はこんな事を言う

「そんなに出たいんやったら、
 前行った東京の学校に帰ればええやろ」

思わず主人公の癖である舌打ちが見ている側にも移るほど
イライラさせられる。
幼馴染も喧嘩に巻き込まれただけで悪いことはしていないものの、
もう少し申し訳ない態度が出来ないのかと思うほどだ。

問題も起きるのが急であり、解決するのも急だ。
ストーリー展開が早いせいでキャラクターたちについていけない。

はぁ?


画像引用元:2.43 清陰高校男子バレー部 5話より
©壁井ユカコ/集英社・アニメ「2.43」製作委員会

主人公の過去の因縁とも言うべき自殺未遂事件。
この事件は主人公の元チームメイトたちが主人公の態度を
改めさせるため、「主人公」を陥れるためのものだったことが発覚する。
部活をやめたい、バレーをやめたいがために自殺未遂をしており、
もうついていけない。

才能のある主人公の足を引っ張る過去の仲間、チームメイトが多く、
主人公が可愛そうになってくる。
無能が天才の足を引っ張りまくるストーリーをずっと見せられる。

メインのストーリーは青春スポーツものとして王道だが、
その王道を本来は盛り上げるはずのキャラクターの問題が
なんともいい難いものが多く引っかかってしまう。

ライバル校


画像引用元:2.43 清陰高校男子バレー部 6話より
©壁井ユカコ/集英社・アニメ「2.43」製作委員会

6話になるとぽっと出のライバル校の掘り下げがいきなり始まる。
主人公たちそっちのけでライバル校のキャラクターの事情が描かれる。
主人公と主人公の幼馴染以外、主人公のチームの他キャラの掘り下げが
ろくに行われない中でライバルキャラの掘り下げだ。

そんなライバル校との練習試合も行われるものの、
序盤の試合と同じようにあっさりであり、
ライバル校との「因縁感」も薄い。
それなのに中盤以降はライバル校のキャラの掘り下げに尺を
とっており、どっちか主人公校なのかわからなくなる。

結局、1クールの中では「福蜂工業高校」以外のライバル校は出ず、
あとはモブな敵との試合がダイジェストで描かれるだけだ。
そんなモブで名前すら知らない選手のチームに追い詰められることもあり、
描きたい部分がバレーではなく、キャラクターの心理描写なのは分かるが、
その肝心のキャラクターの心理描写に深みがない。

一言で言えば底が浅い。
そのせいで序盤から盛り上がりそうで
盛り上がらないまま、どんどん大会に勝ち進み終盤を迎えてしまう。

雪合戦


画像引用元:2.43 清陰高校男子バレー部 9話より
©壁井ユカコ/集英社・アニメ「2.43」製作委員会

この作品は序盤から唐突にトラブルが起ることが多かった。
それでも、まだ思わず突っ込みたくなるほどひどい展開ではない。
因縁つけられたり、喧嘩をしたり、キャラ同士のいざこざを
描くために色々なトラブルが起きた。
キャラ同士のいざこざ、関係性を深めるためのイベントとして
唐突さを受け入れられていた部分があった。

しかし、9話の展開は意味不明だ。
思わず「はぁ?」という言葉すら出てしまう。
なにせライバル校のマネージャーが試合直前に遊びで雪合戦をしていたら
エースをかばって怪我をしてしまう。

そもそもアップのための雪合戦らしいが、
試合前に怪我の可能性のある雪合戦をしているのも意味がわからず、
試合に出ないマネージャーがかばったから良かったものの
一歩間違えばエースが大怪我だ。

エースを精神的に追い詰めるための展開ではあるものの、
あまりにも強引な展開はこれまで感じていた底の浅さの
そこを突き抜けたような感覚にすらなる。
これなら交通事故に空いかけたのをかばうなどの展開のほうが
まだ受け入れられる。

スポーツアニメでマネージャーが遊びの雪合戦で怪我をする。
斬新な展開とも言えるが、斬新すぎて一瞬ギャグかと思うほどだ。
展開づくりのためのキッカケの描き方がこの作品は本当に駄目だ。

雪合戦で遊んでたらマネージャーが怪我して精神的に追い詰められた
ライバル校のエース相手に主人公たちが戦う。
こんなのが盛り上がる展開につながるだろうか(苦笑)

俺たちのバレーはこれからだ


画像引用元:2.43 清陰高校男子バレー部 11話より
©壁井ユカコ/集英社・アニメ「2.43」製作委員会

1話で主人公の時点では才能はあるものの、
チームメイトとの才能の差、コミュニケーション不足から
問題になってしまった。

そんな主人公が幼い頃暮らしてた街に戻り、幼馴染と再会し、
高校では信頼の置けるチームメイトにも出会い、
色々なことを経て「チーム」を信頼できるようになる。
終盤の戦いも焦る中で思わず口が悪くなりきつくあたってしまうが、
主人公のことを信じているチームメイトだからこそ彼の指示が通る。

1クールでこういった「成長と変化」は描けてる。
この成長と変化がやりたいんだろうなというのは分かるものの、
そんな終盤の集大成もいえる試合の相手が
「雪合戦でマネージャーが怪我して精神的に追い込まれてる」という
状況のバカバカしさもあっていまいち盛り上がらない。

結局、雪合戦の中での怪我であり大したことはない。
マネージャーであるがゆえに試合への強い影響もなく、
ライバル校のエースはやや精神的に追い詰められてるものの、
「やや」だ。
その「やや」を生むためにマネージャーが怪我をする展開は
必要だったのだろうか?と感じてしまう。

終盤は下手したらライバル校の視点のほうが多く、
どっちが主人公なんだかわからなくなってしまう中で
俺たちのバレーはこれからだで終わってしまう。

総評:やりたいことは分かる


画像引用元:2.43 清陰高校男子バレー部 6話より
©壁井ユカコ/集英社・アニメ「2.43」製作委員会

全体的に見てやりたいことは分かるものの、展開の作り方がへたで
スポーツアニメなのに基本的に試合のシーンは短く、
テンポを優先した結果、キャラクターの心理描写も一歩足りず、
「キャラクターの魅力」を感じないまま、キャラにも好感が持てないまま、
盛り上がらないまま終わってしまったような作品だ。

試合のシーンのアニメーションのクォティ自体は高く、
「ボール」と選手たちのスピーディーな動き、シューズの音など
臨場感と迫力のある描写にはなっているものの、
ダイジェスト風になっている試合も多く、いまいち熱が入らない。
クォリティは高いのにそれをしっかりと見せてくれない。

キャラクターも使いこなせておらず、主人公と同じチームなのに
存在感のないキャラクターも多く、そんなキャラの掘り下げそっちのけで
ライバル校のキャラの掘り下げばかりが終盤では多く、
主人公の幼馴染のいとこや幼馴染など使いこなせていないキャラが多すぎる

主人公の幼馴染など最後まで好きになれないキャラも多く、
主人公にもなにか物語を引っ張っていくような力強さもない。
キャラの心理描写がメインの作品ではあるものの、
肝心のキャラに魅力を感じられないまま終わってしまった。

原作はまだ続いており1クールという都合上仕方ない部分もあるが、
1クールと言う枠におさめるためにサクサクとした展開になっており、
本来は原作でもう少しあるであろうキャラの心理描写も削られているのの
感じてしまう。

やりたいことが分かるだけに色々ともったいなさを感じる作品だった。

個人的な感想:雪合戦は無い


画像引用元:2.43 清陰高校男子バレー部 10話より
©壁井ユカコ/集英社・アニメ「2.43」製作委員会

色々と突っ込みどころの多い作品だったが、
9話の雪合戦はほんとうにこの作品の象徴のような出来事だ。
唐突に雪合戦してるかと思えば、唐突に怪我をする。
だが、そこまで大きな問題にはならない。
何がしたいんだと思ってしまう出来事だ。

原作は5巻でているが、
1巻あたり2話ないし3話でやってることを考えれば
原作を少しずつ削りながら進めたのだろうなということも想像できるが
それを差し置いても雪合戦でマネージャー骨折は
意味がわからない。

もしかしたら2期があるかもしれないが、
雪合戦でマネージャー骨折するような展開を
超える展開があることを期待したい(笑)

「」は面白い?つまらない?

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