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「名探偵コナン 天国へのカウントダウン」レビュー

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評価 ★★★★☆(58点) 全90分

あらすじ コナンは、阿笠博士や少年探偵団と西多摩市でのキャンプからの帰り道に、ツインタワービルの見物へ向かう。車中での暇潰しにと、何も見ずに30秒を当てるゲームを行うが、歩美のみが成功する。引用- Wikipedia

富士山が見えなぁぁぁい!

本作品は名探偵コナンの劇場映画作品。
名探偵コナンとしては5作品目の劇場作品となる。

西多摩市


画像引用元:名探偵コナン 〜天国へのカウントダウン〜 予告
(c)2001 青山剛昌/小学館・読売テレビ・ユニバーサル ミュージック・
小学館プロダクション・東宝・TMS

今作の終盤の舞台となる「ツインタワー」。
これはコナンの映画第一作目に出てきた「西多摩市」に建設されたビルだ。
基本的にこういった作品の映画作品は本編とつながりがない
エピソードが作られることが多い。
映画オリジナルのキャラは死ぬことはあれど他のキャラは死ぬことはなく、
本編には影響がないエピソードが単発作られている。

それゆえに本来は過去の映画作品出てきたキャラが再登場する。
というのは稀だ。この作品は一瞬ではあるものの、
一作目の犯人である「森谷帝二」が出てくる。
コナンファンにはたまらない要素をさり気なく出しつつ、
過去の劇場作品の犯人と今作の犯人に何らかのつながりがあるのでは?と
ある種のミスリードを誘っている。

今作はミスリードがうまい作品だ。
冒頭、前作で初登場した「灰原哀」が深夜にどこかへ電話をかけている。
自分たちが明日どこへいくのか、そこには「彼」=コナンも一緒である
ということを電話で誰かに告げている。

そのあとに場面が展開し、今作で初登場となる黒の組織が
誰かと電話をしているシーンが映し出される。
序盤から今作の目玉でもある「黒の組織」を出しつつ、
灰原哀が彼らとつながっているのでは?というシーンを入れ込むことで
ストーリーへの期待感とミスリードを巧みに盛り込んでいる。

少年探偵団


画像引用元:名探偵コナン 〜天国へのカウントダウン〜 予告
(c)2001 青山剛昌/小学館・読売テレビ・ユニバーサル ミュージック・
小学館プロダクション・東宝・TMS

今作は「少年探偵団」が主軸にストーリーが展開していく。
冒頭はキャンプに訪れ、その帰りに「ツインタワー」を訪れる。
そんな中で「30秒当てゲーム」や
「10年後の顔をシュミレーションする機械」などを体験し、
後の伏線をしきつつう、ファンならば楽しめるシーンを描いている。

10年後の彼ら、「工藤新一」と同じ年齢になった彼らの姿。
もし江戸川コナンがこのまま元に戻れなかったら
この姿の彼らと高校生活を送っているかもしれない。
そんなifを想像させつつ、物語が展開していく。

今作は少年探偵団が主軸だ。
だからこそ「子供」の視点で物語が描かれており、
その御蔭でストーリーがシンプルに見やすい。

彼らが抱えている「悩み」という名の恋心も
この作品では描かれており、子供ならではの視点が
この時代の「名探偵コナン」がまだ子供向けの作品だからこその
シンプルな面白さを醸し出している。

黒の組織


画像引用元:名探偵コナン 〜天国へのカウントダウン〜 予告
(c)2001 青山剛昌/小学館・読売テレビ・ユニバーサル ミュージック・
小学館プロダクション・東宝・TMS

これまで映画では登場していなかった黒の組織、
今作では「ジン」と「ウォッカ」が劇場で初登場する。
コナンたちが訪れていた「ツインタワー」の前に止まっていた
彼らの車、彼らはなぜツインタワーを訪れていたのか?
何が目的なのか。

事件すら起こっていないのに、不穏な空気を感じさせる彼らの存在。
同時にストーリーを期待させる要員にもなっており、
「黒の組織」という謎の犯罪組織の存在感がきちんと
この作品には現れている。

おちょこ


画像引用元:名探偵コナン 〜天国へのカウントダウン〜 予告
(c)2001 青山剛昌/小学館・読売テレビ・ユニバーサル ミュージック・
小学館プロダクション・東宝・TMS

そんな中で事件が起こる。
現場には「半分に割れたお猪口」があり、
コナンは一瞬、お酒がコードネームの黒の組織との関連を疑う。
本当に黒の組織が絡んでいるのか、犯人の目的、おちょこの意味。
ミステリーとしての謎が殺人事件と同時に見せることで興味をそそられる。

同時に「少年探偵団」たちに捜査させる。
彼らがコナンとともに自ら容疑者の家に訪れて捜査をさせることで
映画オリジナルキャラクターである容疑者たち一人ひとりの
キャラの印象を見ている側に印象づけながら、
「ミスリード」をばらまきつつ見ている側に誰が犯人か考えさせている。

思わせぶりな子供写真、灰原哀の謎の行動、
更に起る2つの殺人事件と黒の組織の「大胆」な行動が
事件をより複雑に、より壮大なものにしていく。

狙撃


画像引用元:名探偵コナン 〜天国へのカウントダウン〜 予告
(c)2001 青山剛昌/小学館・読売テレビ・ユニバーサル ミュージック・
小学館プロダクション・東宝・TMS

序盤から灰原哀、そして黒の組織を絡めて描くことで
終盤の最大の盛り上がりどころともいえる「狙撃シーン」につながる。
灰原哀と髪型が似ているというだけで狙撃するジンの
おっちょこちょいぶりはやや笑いどころではあるものの、
黒の組織が絡んだからこそ事件が大事になる。

ビルの火災からの爆破により「超高層ビル」という逃げ場のない
閉鎖空間からの脱出劇というダイハードもびっくりな状況が
名探偵コナンという子供向け映画で生まれている(笑)

今作ではあくまで「毛利蘭」はサブキャラとして扱われており、
コナン映画のお約束ともなっている彼女と工藤新一のラブロマンスは
やや控えめではあるものの「毛利蘭」の身体能力を活かした
とんでもない脱出アクションは見ものだ。

逃げ場のない超高層ビル、そんな状況だからこその脱出劇は
考えられて作られており、行き着く間もないほど終盤は
どんどんとアクションシーンが積み重なっていく。
1度は助かったと思わせておいてからのピンチが
物語の緩急、メリハリを生んでいる。

動機


画像引用元:名探偵コナン 〜天国へのカウントダウン〜 予告
(c)2001 青山剛昌/小学館・読売テレビ・ユニバーサル ミュージック・
小学館プロダクション・東宝・TMS

そんなパニックの中でコナンの推理により犯人が判明する。
名探偵コナン映画の犯人はたいてい、動機がぶっ飛んでいる。
今作と少し繋がりのある一作目の犯人ですら
「若い頃に作った作品が気に入らない」「左右対称の建物じゃない」
という理由で犯行をおかしている。

そんなコナン映画の犯人のお約束通り、
この作品の犯人の動機もぶっ飛んでいる。
景観問題である。家から富士山が見えなくなったという理由で
犯人は殺人を犯している(笑)

事件は意外とあっさりと解決してしまい、
やや拍子抜け感はあるものの、最後の最後でまた黒の組織が絡むことで
映画はクライマックスを迎える。

脱出劇


画像引用元:名探偵コナン 〜天国へのカウントダウン〜 予告
(c)2001 青山剛昌/小学館・読売テレビ・ユニバーサル ミュージック・
小学館プロダクション・東宝・TMS

終盤、少年探偵団はビルに閉じ込められてしまう。
黒の組織が仕掛けた爆薬の爆破の時間が迫る中で、
彼らは「爆破の爆風」を利用した脱出を試みる。

あり得ないともいえるとんでもない方法だ。
爆破の正確なタイミングをはからなければ爆破に巻き込まれてしまう。
だが、彼らの手元には時計はない。
そんな彼らの中での唯一の希望である「あゆみちゃん」。

彼女は序盤、おふざけの30秒ゲームでぴったり30秒当てた。
そんな彼女だからこそピッタリ時間を図れるかもしれない。
そんなあやふやな可能性に彼らはかける。
計算上はできることかもしれない、だが、無茶であることに変わりはない。

一歩間違えば全員死んでしまう。
そんな状況を「子どもたち」だけで乗り切ろうとする。
自身の命すらも犠牲にしようとする「灰原哀」の孤独、
黒の組織から狙われ続ける彼女の自己犠牲。
そんな彼女をも助けようとする少年探偵団たち。

そして時は訪れる。 
ラストのコナンの「シュート」も含め緊張と緩和、伏線が
生きている作品だった。

総評:バランス


画像引用元:名探偵コナン 〜天国へのカウントダウン〜 予告
(c)2001 青山剛昌/小学館・読売テレビ・ユニバーサル ミュージック・
小学館プロダクション・東宝・TMS

全体的に見て子ども向けのコナン映画らしいスッキリと楽しめる作品だ。
起承転結のスッキリしたストーリー展開の中でミスリードを
伏線をうまくちりばめつつ、終盤の緊張感のあるアクションシーンの
連続からの迫力溢れる脱出劇と徐々に
盛り上がっていく映画は見ていて純粋な面白さがある作品だ。

蘭とコナンの飛び降り、スケボーでの大ジャンプ、車で爆破飛び出しと
突込みどころのあるアクションシーンと滅茶苦茶な犯人の動機と
子供なら純粋に楽しく、大人なら突っ込みつつ楽しめる。
そういった意味では「バランスの良い」作品とも言えるかもしれない。

黒の組織の大胆すぎる行動やジンのうっかりミスなど
思わず突っ込みたくなる部分はあるものの、
コナン映画としての完成度が高い作品だ。
少年探偵団たちを中心にしたからこその
「子供ながらの恋愛事情」の模様もこの作品らしいストーリーだ。

いい意味でこの頃のコナン映画の要素が詰まっている作品だった。

個人的な感想:20年前…


画像引用元:名探偵コナン 〜天国へのカウントダウン〜 予告
(c)2001 青山剛昌/小学館・読売テレビ・ユニバーサル ミュージック・
小学館プロダクション・東宝・TMS

ふと上映年をみると2001年、つまりはちょうど20年前の作品だ。
確かに本編を見ているときに懐かしさは感じたものの、
そんなに前の作品には感じず、時の流れの速さを感じてしまう。

余談だがこの作品の冒頭の作品説明の際の
「工藤新一」の声が若干、低く感じたのは気のせいだろうか?(笑)
気になった方はぜひ、本編でご確認ください。

「」は面白い?つまらない?

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