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「からかい上手の高木さん」レビュー

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評価 ★★★★☆(70点) 全12話

あらすじ 中学生の西片は、隣の席の高木さんにしょっちゅうからかわれていた。何とか仕返ししようとする西片だったが…。引用- Wikipedia

こんな女子にからかわれたい人生だった!!!

原作は漫画な本作品。
監督は赤城博昭、制作はシンエイ動画

にやにや


引用元:© 山本崇一朗・小学館/からかい上手の高木さん製作委員会

見出して感じるのは「ニヤニヤ感」だろう。
1話冒頭は隣の席の女子が主人公の名前読んで
「何してるの?」と聞くだけのシーンだ。

だが、意味深な表情、まっすぐな眼差し、
授業中だからこその、ささやくような声。
この組み合わせがなんとも言えない「ニヤニヤ感」を生んでいる。

同じクラスにこんな女子が隣りにいて、授業中にこんな声で話しかけられたら、
思わずニヤついてしまう。
そんな誰もが味わったことのある学生時代の隣の同級生という存在。

この作品のキモはまさにそこだ。
タイトル通り「からかう」のが好きな高木さんと、
そんな高木さんに「からかわれてしまう」西方くん。
この2人のイチャイチャともいえる「からかい」が物語の主軸になっている。

好きなんやろ?


引用元:© 山本崇一朗・小学館/からかい上手の高木さん製作委員会

もうあからさまに「相思相愛」な中だ。
二人だけの世界観で二人だけの遊びを楽しんでいる。
高木さんの「からかい」は西片くんが好きだからこその「からかい」であり、
西片くんも彼女のことが好きだからこそ彼女に対して強くは怒らず、
いつか仕返ししてやろうと策を練る日々だ。

付き合う一歩手前、告白する一歩手前だからこその、
ある種「恋愛の駆け引き」にも似た甘酸っぱさがある。
若いからこそ、大人になってからは絶対に味わえないもどかしさすら感じ、
ちょっとしたむず痒さを感じるシーンも有るのだが、
そのむず痒さすらもこの作品の魅力だ。

中学生という年代だからこそ、恋愛は進展しない。
告白だったり、キスだったりというストレートな行為にはつながらない。
「からかい」がある種の二人の求愛行動のようなものだ。

からかい


引用元:© 山本崇一朗・小学館/からかい上手の高木さん製作委員会

「からかい」は本当に些細なからかいだ。
授業中に驚かせようとしたり、思わせぶりなセリフで惑わしたり、
プールの見学理由を当てさせたりだと本当にささいな「からかい」だ。
コレ以上やってしまえばいたずらやいじめになってしまうだろう、
だが、ちょうどいい塩梅だからこそ見ていて不愉快になったりしない。

制作のシンエイ動画のセンスも流石だ。
クレヨンしんちゃん、あたしンち、となりの関くん、
こういった日常コメディにおける見せ方をきちんとわかっており、
過剰すぎない演出、ほどよいBGM、二人の間のとり方が
飽きさせないアニメーションになっている。

良くも悪くも「からかいあってる」だけの作品だ。
恋愛関係が強く進展したり、進学したりすることもない。
互いに恋のライバルが現れたりすることもない。
同じような日々の中で同じようにからかっている。
色々なパターンでイチャイチャしているだけの作品だ。

そんなある意味でワンパターンの作品にも関わらず、見ていて飽きない。
飽きさせないような画面づくり、高橋李依さんが演ずる高木さんと
梶裕貴さんが演ずる西片の二人の演技と声、
過剰な演出や演技がないのに「日常アニメ」として飽きさせない。

1話あたり3~5エピソード詰め込むことで、
適度に間延びせずに1つ1つの話を描いており、
1話30分で間延びしない作り方になっている。

主人公とヒロイン


引用元:© 山本崇一朗・小学館/からかい上手の高木さん製作委員会

西片くんは愛すべき主人公だ。
彼はなんとか仕返ししてやろうと、高木さんをからかおうと頑張るのだが、
高木さんのほうが常に1枚も2枚も上手である(笑)
からかわれるたびに彼は自分への戒めとして「筋トレ」を頑張っており、
腕立て伏せを必至にする姿はけなげで可愛らしさすらある。

高木さんも非常に可愛らしいヒロインだ。
このぐらいの年代は実際、男子は少年のままだが女子は大人になりつつある。
だからこそ「年上のお姉さん」のような感じで彼をからかう。
同い年だが精神年齢的に上な彼女は平然と相合い傘や、間接キスもしてくる。
だが、時折見せる「思春期の少女」の照れのギャップが本当に素晴らしい。

西片くんが恥ずかしがったり戸惑ったりするのも分かるほど、彼女は蠱惑的だ。
ふとした拍子に彼女に見とれてしまう彼の気持ちも痛いほどに伝わり、
魅力的なヒロインと感情移入できる主人公だからこそ安心して楽しめる。

高木さんだからこそ「からかい」が許される。
許されてしまう可愛さが彼女には有り、
西片くんだからこそ「からかわれる」のが許される、
彼の反応は思わずからかってしまうのがわかってしまう。

物語の主軸である主人公とヒロインにきちんと魅力があり、
そこに不快感がない。
見れば見るほど二人の関係性が進まないもどかしさにやきもきし、
高木さんの可愛さに惹かれ、西方のからかわれっぷりに同情する(笑)

閑話


引用元:© 山本崇一朗・小学館/からかい上手の高木さん製作委員会

この作品は「からかい上手の高木さん」だが、
同作者が同じ世界観で連載していた「あしたは土曜日」の話も、
あいだあいだで描かれる。

この「あしたは土曜日」のキャラは高木さんや西片くんと
クラスメイトなのだが、直接会話したりすることはあまり無い。
彼女たちの日常ほのぼのストーリーはほんわかしており、
ニヤニヤやもどかしさをたっぷり味わってる中でのいい息抜きになっている。

ただ、コレに関しては「余計な話」と感じる人もいるかも知れないが、
「あしたは土曜日」の日常ほっこり話があるからこそ、
同じ日常の中にいる高木さんと西片くんのからかいが際立たち、
飽きを感じさせないような努力を感じる。

洗練された話


引用元:© 山本崇一朗・小学館/からかい上手の高木さん製作委員会

この作品でシリアスな展開になったりすることはない、
ストレスに感じるところもない。
サブキャラクターはちょこちょこと登場するものの、
がっつりと彼と彼女の日常に絡むことはない。

「あしたは土曜日」の話を除けば、二人だけで話が成立している。
彼女か彼で話が始まり、彼女か彼で話が終わる。
たったふたりだけで話が出来上がっており、
それなのに1話1話しっかりと面白い。

おそらくコレは原作が月刊誌だからということもあるのだろう。
もし週刊雑誌で連載されていれば、
この内容で毎週やるのは早い段階でネタ切れしたはずだ。
しかし、1話1話を1月1月でしっかりと考え描かれた原作があるこそ、
同じような話がなく、飽きない。

よく思いつくなというからかいも多い。
高木さんの「思わせぶりなセリフ」のチョイスも素晴らしく、
見てる側も思わず「高木さんにからかわれた」感じになるほどに台詞回しがうまく、
「そう来たか」と思うような角度でからかわれてしまう。
西片くんがからかわれてると同時に視聴者もまたからかわれてる感覚だ。

1話の雰囲気と流れのままに最終話まで描かれており、
1話で「ニヤニヤ」してしまえば最終話まで気持ち悪い笑顔を
浮かべたまま見てしまい、最終話の高木さんの「悶え」に見てるこちら側も
悶て終わってしまう作品だ(笑)

総評:完成された夫婦漫才のよう


引用元:© 山本崇一朗・小学館/からかい上手の高木さん製作委員会

全体的に見て完成された作品だ。
「西片くん」と「高木さん」の付き合う一歩手前くらいの
恋愛の駆け引きのような「からかい」はニヤニヤしっぱなしであり、
小悪魔的な魅力を持つ高木さんにたじたじになってしまう西片くんに
視聴者がすっかりと感情移入し、彼と同じように高木さんに惚れてしまう、
彼と同じように高木さんにからかわれたくなってしまう作品だ。

余計な要素というのがない。
たった2人のメインキャラクターだけで話が作られており、
「からかい」というテーマをきちんと芯に据えており、ぶれない。
いわゆる「外れ回」というのがなく、
どの回を見てもニヤニヤしてしまい、どの回を見てもほっこりできる。

もちろん人によっては飽きてしまうかもしれない。
一種の「からかい疲れ」のようなものであり、
ニヤニヤしてしまい、むず痒い関係性だからこそ、疲労感は生まれる。
若い人ほどこの「からかい疲れ」は生まれないだろうが、
ある程度以上の年になると若い二人のイチャイチャに疲れる部分はある(笑)

その「からかい疲れ」を防ぐ為に「あしたは土曜日」を混ぜてる感じもあり、
本来は1話30分よりも15分のほうが良かったのでは?と
感じる部分はあるものの、作品全体としてしっかりと
丁寧に作られている作品だった。

個人的な感想:サブキャラすら可愛い


引用元:© 山本崇一朗・小学館/からかい上手の高木さん製作委員会

個人的には「やられた」作品だ。
原作はちらっと読んだことはあるものの、ここまでニヤニヤしなかった。
しかし、さりげない「高木さん」の仕草や、
高木さんを演じている「高橋李依」さんのからかい声も素晴らしく、
人様にはお見せできない表情を浮かべつつ楽しんでしまった(笑)

アニメとして原作の魅力を120%引き出しているような作品だ。
ちょこちょこと出てくるサブキャラでさえ可愛い。

今から2機を見るのが楽しみだ。

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