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頭がウニになるような感覚。「クロックワーク・プラネット」レビュー

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評価☆☆☆☆☆(5点)全12話

あらすじ – 今から1000年前、地球の寿命が突然発表された。それから100年後、地球は死の星となった。だが、ある人物により、寿命を迎える前に全てのものが歯車によって再現・再構築されたことにより、人類は生存することができていた引用 – Wikipedia


頭がウニになるような感覚。

原作はライトノベルな本作品。
監督は長澤剛、制作はXEBEC。
原作はよくわからないが合作と言うかたちの作品らしい。
詳細はwikipediaに色々書いてある。

見出して感じるのは「お、おう・・・」となる感じの世界観だ。
なんか知らないが地球がヤバイ状態になったらしい状態で、
なぜか「時計技師」が地球を歯車で再構築して1000年たったというのが
この作品の世界観の根幹らしい。
それを表すかのよう各シーンの背景にはわかりやすく歯車が描かれていたりする。

歯車で構築されている世界というのは分かるのだが、
もう嫌味みたいに歯車がむき出し状態で各地に設置されている背景だ。
雨やゴミ、動物などが歯車に巻き込まれる危険性など、
アニメにおいてリアルを求めてはいけないのは分かるが、
物凄く気になる背景描写だ。

そんな世界観とは裏腹にキャラクターデザインはきついものがある。
キャラクターの頭身が異様に低く萌えアニメではないのだが、
まるで萌えアニメのような、しかも「何年前だ」と言わんばかりの
ふるさを感じる「何処かで見たことの有る」キャラデザだ。
絵のうまい中学生あたりがノートに書いてそうな感じのキャラだ。

そして、主人公のもとに女の子が落ちてくる。
おそらく、このサイトを普段から見てくださってる人ならば
「何度目だ」と思うようなひねりのないパターンだ(苦笑)

主人公が大きめな独り言をつぶやいた後に
落ちてくる当たりわかりやすくは有るのだが、何というかご都合主義全開だ。
落ちてきた女の子は「歯車」で出来た人形であり故障して眠っている。
落ちた場所にいた主人公は天才技師、当然直せる。

この分かりやすいご都合主義全開なストーリーの始まりは、
古臭いし、何度目だというパターンだし、決して面白いとは素直に言えない。
しかし、この1話のベタベタな感じの後に2話でヒロインが
「主人公の通う学校のクラスに転校してくる」という展開まで
当然のごとく描かれてしまうと逆に面白くなってくる部分はある。

作画も酷い。
歯車の描写だけは以上にこだわって描かれているのだが、
キャラクターの横顔や遠くからのアングルの時の作画など
本当に作画崩壊ギリギリであり、手抜き感が半端ない。

セクシー要素も昔の深夜アニメのごとくある。
「まほろまてぃっく」的な萌えキャラデザとセクシーシーンのギャップみたいなのが
生まれそうな感じでは有るのだが、
前述したとおり微妙すぎるキャラデザのせいで特にエロくはない。
このキャラデザでシャワーシーンをシリアスな状況で描かれて複雑なだけだ

キャラクターにも感情移入が出来ない。
かなりピーキーなキャラ付けであり、キャラクターに対する愛着よりも
拒否感のほうが強く生まれてしまい、
感情移入というよりも遠くから眺めるくらいがちょうどいいくらいのキャラだ。

Wikipediaなどのキャラ説明を読んでもらうと分かりやすいが、
いわゆる中ニ感溢れるキャラたちはギャグアニメならば
大変優秀なキャラクターではあるが、
この手のラノベアニメとしては所謂「きつい」キャラ描写だ。
突然、いらだちをエレベーターのドアにぶつける描写などやや怖さすら有る。

とにかく数字を盛って言うのが大好きなようで、
主人公は「5キロ」離れた先の音も聞ける聴力を持っており、
「兆単位」の歯車が噛み合う音さえも聞き分ける、
ちなみにこんな凄い聴力だがノイズキャンセリングのヘッドホンで防げるらしい。
ソニー製かBOSE製かな、私もほしい。

ヒロインは「1000年前」に作られた歯車で出来た人形で
体感速度を「何倍」にもすることができ、普通の人の一瞬が
「数時間」に感じることのできる能力をもっている。ちなみに毒舌。
もうひとりのヒロインは「最年少」で時計技師になっており、
「五代企業」のご令嬢、強気な性格で毒舌。

二人のヒロインの要素である「毒舌」が被るというミスはいたい(笑)
普通の編集者ならキャラの特性かぶってませんか?と指摘する所だが、
合作という制作スタイルのせいでかぶっちゃったのだろう。

台詞回しも古臭い・・・というよりもダサイ。
色々な用語をいちち横文字にするため(舞台は京都)、分かりづらくも有るのだが
前述した過剰なキャラ描写のせいで演技じみたセリフが盛り沢山であり、
話が進んでくるとダサいだけでなく薄ら寒さすら感じるセリフが多くなる。
演技じみた遠回しな表現の薄ら寒いセリフをダサいデザインのキャラクターで
レベルの低い作画で描くため、もうダサさの極みである。

びっくりするほどストーリー展開も遅い。
1クールアニメとは思えないほどテンポが悪く、
緊迫感のある状況のはずなのに間延びして描いてしまうため、
一切緊張感が生まれていない。
都市が崩壊する、被害者が大勢出るかもしれないという状況なのに
悠長にお茶をしながら会話したりするため視聴者が作品の世界観に入り込めない

会話と会話の間もかなり空いて喋り、
他のアニメなら5分で描くようなシーンを10分掛けて描いているような感覚だ。
余計な演出や余計なシーンも非常に多く、このテンポだけは
ギャグアニメとしてみても厳しい。

キャラたちによるいわゆる「ギャグシーン」もあるのだが、
ギャグセンスも死んでいるのにギャグが頻繁に挟まれるのもかなり厳しいうえに、
いわゆる下ネタもあり、この下ネタも表現がえぐく笑えない。
中国アニメのようなセンスのズレ具合は好みが分かれる以前の問題だ

全体的に駄作好きの琴線に触れそうで触れない作品だった。
ラノベのテンプレートのようなストーリー展開、中二病感溢れる設定、
愛着のわかないキャラクター、レベルの低いキャラクターデザイン、不安定な作画と
素晴らしき駄作を構成する要素は揃っているのだが、
ストーリーのテンポが本気で悪すぎて駄作具合すら楽しめない。

もっと詰め込んで、もっとテンポよくこの懐かしさを感じる世界観とキャラ、
カビ臭さすら感じる空気感をくすぐったさを感じながらも楽しめたかもしれないが、
制作側のヤル気が感じられない。
この作品を面白くするにはテンポを上げるだけで十分だ。
そうすれば欠点を笑い飛ばせる面白さに変わり駄作好きにはたまらない作品になった。

戦闘シーンも作画枚数の少なさを目で感じることができる。
演出で誤魔化そうとしているがごまかしきれておらず、
ただダサく、ただつまらない戦闘シーンは笑い所とも言えるが、
「聖剣使いの禁呪詠唱」のようなハイセンスな笑いにまで昇華していない。
ただダサイだけだ。

制作陣のやる気の無さを批判してしまったが、原作が4巻までしか出ていない。
つまり原作ストック的に1クールギリギリの話数だ。
もう少し原作が出ていれば内容を詰めてテンポを上げられたかもしれないが、
4巻しか出ていないならばかなりストーリー構成的にも厳しかっただろう。
予算的にもかなり厳しかったのも伺える。

そもそも原作の最終巻は「2015年12月29日」が最後だ。
なぜ、今のタイミングで続刊も出てないラノベを
やや無理矢理にアニメ化したのか、色々と謎だ。

原作が凄い売れていて待望のアニメ化とかならまだわからないでもないが、
原作は9000部前後の売上のようだ。微妙だ。
ちなみにアニメの売上は721枚と爆死、
イベントチケットの申込券がついて絶望的なまでの枚数は悲惨だ。

個人的には序盤の3話くらいまでは駄作好きにとって
楽しめそうな雰囲気が出ていてよかったのだが、
流石に中盤以降のつまらならさは駄作好きでもきついものがあった。
この作品の最大の謎はヒロインが学校に転校してきたのだが、
その要素をほとんど活かさず学校のシーンも序盤以外に無い。
何のための転校だったのか・・・(苦笑)

「」は面白い?つまらない?

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