あらすじ 20世紀、島根県・吉田村。秘密基地で遊んでいた地元の小学生・吉田くんと仲間たちのもとに、未来からタイムトラベルで世界連邦捜査局・X(エックス)捜査課のモレルダー&ナスカリー捜査官がやってきた。引用 – Wikipedia
マンネリとしっくりとこないギャグ
監督はお馴染みのFROGMAN、制作ももちろん蛙男商会/ディー・エル・イー。
鷹の爪シリーズとしては八作目の作品となる。
ただ、本作は正確には「秘密結社鷹の爪」の映画ではなく、
吉田君を主人公としたスピンオフ作品である漫画を原作とした
映画作品という位置づけになっており、
「総統」などは冒頭くらいにしか出ない。
見出して感じるのは相変わらずのノリだろう。
勢い任せ、シュール、荒唐無稽でおなじみの鷹の爪だが、映画でも変わらない。
吉田君の少年時代のストーリーではあるものの、
ノリとシュールさは安定の鷹の爪らしさ全開で最初からぶっ飛ばしている。
過去の少年時代の話を描いてたかと思えば、
いきなり時系列が未来にとび、未来からタイムトラベルで捜査官が吉田君のもとに
「呪いのビデオ」を探しに来るというところからストーリーが始まる。
ただ、ノリとシュールさ自体は相変わらずではあるのだが、
それと同時に「マンネリ」を感じてしまう。
さすがにシリーズも八作目だから仕方ないのかもしれないが、
良くも悪くも「鷹の爪」らしい半面で、
シリーズ初期にあった斬新さのようなものはほとんど感じない。
前作からなくなってしまった予算ゲージは、
映画という長いストーリーの中でのメリハリを生んでいたのだが、
今作も、あのお馴染みの予算ゲージはない。
前作まであった「スポンサーネタ」もなく、
鷹の爪の映画シリーズの「お馴染み」のお約束ネタがほとんどなくなってしまった。
そのせいかどうかわからないが「69分」という尺の中で
ギャグが間延びしまくっており、はっきりいって笑えない。
もちろん、ギャグに関しては人によって大きく好みが分かれる要素ではあるものの、
今までの鷹の爪シリーズで笑えた人も本作品のギャグは、
しっくりとこない感じが強いだろう。
1つ1つのネタの「毒々しさ」といえばいいのか、
危うさすら感じるパロディネタなど、
コアな人にだけわかればいいという感じで貫いていた勢いがなく、
どうにも刺激が足りない。
更にいうと本作品では「未知の生物」が話の主軸になっているのだが、
その未知の生物の説明が長い。
色々なUMAや幽霊や伝説などの解説をいちいち入れてきて、
それがギャグになっているならまだ理解できるが、
ギャグにもなっていない解説シーンが長い。
全体的に見てストーリー自体はしっかりと起承転結が有り面白いのだが、
鷹の爪らしいギャグのパンチが弱く、
鷹の爪の映画おなじみの要素もまったくないため、
従来の「秘密結社鷹の爪」のファンにとっては物足りなさを感じてしまう。
前作までは毎年のようにやっていた映画だったが、本作品は3年ぶり。
前作も面白いとはいえない出来だったが、
本作品はそんな前作を下回り「ネタ切れ」や「マンネリ」を
強く感じてしまう出来栄えになってしまっていた。
作品を見終わった後に知ったのだが、
この作品は秘密結社鷹の爪のスピンオフである
「 吉田くんの×(バッテン)ファイル」という漫画が原作だ。
この漫画は「月刊コロコロイチバン!」で連載されており、
小学生向けの漫画雑誌だ。
だからこそ今までのようなネタの切れ味や毒々しさがなくなっている。
子供向けと考えれば「あ~小学生なら笑えるだろうな」と感じるネタも多く、
ギャグのレベルがやや低い。
スピンオフだからこそ「総統」なども出番が少ないため、
しっくりと来ない感じが終始まとわりつく感じだ。
個人的に鷹の爪の映画作品は色々試行錯誤されており、
スポンサーネタや予算ゲージなど本作品特有の面白さがあり、
好きなシリーズなのだが、本作品は残念な出来栄えになってしまっていた。
次回作が有るかどうかは分からないが次回作があるならば、
原点回帰をしてほしい所だ。
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