あらすじ 落下した彗星によってもたらされる運命の子を探すために、長い歴史をもつ霊剣派一族は門下の入門試験を再開することにした。天からの申し子である王陸は、千年に一人と言われる「空霊根」を持って、霊剣派の入門試験に挑み、異例の仙人への道を歩みはじめた! 引用 – Wikipedia
言葉と文化の壁は分厚い
日本では中国と共同企画でのアニメ化となっている。
監督は鈴木行、制作はスタジオディーン。
なお2017年冬アニメとして2期が放送されている。
鈴木行監督は最近のアニメを見てる人には馴染みがないかもしれないが、
かつては「ジバクくん」や「吉永さん家のガーゴイル」など
個人的には地味に印象に残ってる作品の監督をされている。
見出して感じるのはわかりにくさだ。
中国で連載している作品を日本語に訳した形になっており、
その訳し方は自然なのだが、中国独特の言い回しが非常に多く、
はっきりいって伝わらないセリフが多い。
例えば1話冒頭。
あるキャラが占いをするのだが何か予感が出たらしいことまでは分かる、
だが、その後に占いをシていたキャラが「年剣」ではなく「茶剣」で
占ってたというツッコミが別キャラから入る。
一応、これが笑いどころだ。
理解できるだろうか?(苦笑)
おそらく多くの日本人の方が意味がわからないはずだ。
公式サイトに用語集あり、そこの用語を辞書のごとく調べて、
ようやく「あぁ!そういうことか!」と理解できる。
理解できても笑えるかどうかは別の話だ。
ちなみに年剣は1年の尺で測る剣であり、
茶剣はお茶が出来上がるまでの尺で測る剣ということのようだ。
何かが5年以内に起こるという占い結果に対し、
別キャラがこれ茶剣だから、もっと早く起こるんじゃない?
というセリフの流れを用語集を見てようやく理解できる。
これだけならまだいいが、出て来る用語が基本的に
中国準拠に成っており、物凄くわかりづらい。
雰囲気で何となく察することはできるが、あくまで察することができるのみで
完全には理解していないため馴染みにくさが半端じゃない。
もう少しローカライズ=日本語訳をきちんとすべきだっただろう。
1話冒頭のギャグはセリフだから直しづらいのかもしれないが、
細かい用語など別に日本語でも問題ない用語ですら中国語になっている。
「入場券」ではなく「准入券」だったり、
日本人が見ていて自然に楽しむための訳し方ができていない。
それだけならまだしも、いわゆる「メタ」的な発言も多く、
世界観がよくわからなくなることも多い。
こういった用語が複雑なアニメの場合、各話のエンディングの後に
キャラクターによる用語解説が入る場合もあるが、
この作品にはそういった用語解説シーンもキャラも居ないため非常に馴染みにくい。
言葉のニュアンスが伝わらなければギャグも通じづらい。
これは「文化」やお国柄というのもあるのだろう、
日本人の笑いのツボと中国人の笑いのツボというのにも
大きな溝を感じてしまうネタが多い。
ギャグシーンであることは分かるのが苦笑いしか出来ない感じの笑いだ。
特にいわゆる「下ネタ」はちょっと受け入れづらいだろう。
かなりストレートかつ下品な内容のネタが非常に多く、
ブラックジョーク的なニュアンスを含むものも多い。
下品かつ生々しい下ネタを別にギャグじゃなくても言う場合があり、
えぐい下ネタを見ている側がどう処理して良いのかわからなくなる。
そういった文化や感性の違いのせいでストーリーも最初は理解しにくい。
この世界には仙人が存在し、主人公は仙人になるために、
仙人の派閥の1つである「霊剣派」の試験、昇仙大会
を受けに霊剣山にやってきた
というストーリーが1話くらいのストーリーなのだが1話を見ても、
この単純なストーリーですら完璧に理解しきれない。
キャラの設定も中国用語+作品専門用語で構成されているため、
キャラクターにも馴染めない。
仙人になるためのの試験、昇仙大会も大会と言ってはいるが
「天下一武道会」のようなバトル形式ではなく、謎解き形式な試験だ。
イメージ的にはHUNTER×HUNTERのハンター試験のようなものを
想像してもらうとわかりやすい。
だが、想像してしまうと同時にただの「劣化ハンター試験」に見えてしまう。
もっと言ってしまうと「劣化ジャンプ連載漫画」であり、
ジャンプなら12週くらいで打ち切りになりそうな感じの内容だ。
ありきたりかつ特徴のない内容で中国用語があるからこそ
独特な感じはあるものの、中国用語がなければ平々凡々な作品だ。
序盤こそ平々凡々ではあるが王道の面白さが有るとも言える、
しかし、ハンター試験的なものが終わると、いきなり時系列が2年も経過したり、
特に面白みもない修行シーンを見せられたり、
専門用語による専門用語の解説でもうよく分からなかったり、
本気で中盤はつまらない。
ただ終盤からようやく面白くなってくる。
中国用語や世界観に対して慣れてくるのも有るのだが、
主人公やサブキャラが立ってきて、この作品のノリがわかってくる、
だが、そこで1期が終わってしまう。
ようやく敵の存在も出てきて、これからという時で終わってしまうのは残念だ
全体的に見て日本人から見るとジャンプなら打ち切り漫画レベルの作品だが、
中国人の方が見れば王道のファンタジー的な面白さのある作品なのだろう。
中国人なら笑えるかもしれないエグい下ネタや、用語、専門用語が
日本人にとって強烈な馴染みにくさを生んでしまっている。
ストーリー的にはいわゆる王道なのだが、悪く言えばありきたり、
ジャンプ漫画で見たような設定や要素を組み合わせているが、
1期の段階ではひたすら盛り上がりどころがない。
そもそも主人公の目的もふわっとしているため、
主人公の行動の先にある目標地点が見えない。
面白くないハンター試験、面白くない修行と序盤から中盤まで面白さがなく、
初代ドラゴンボールのごとく「先週までのお話」のシーンが中盤えらく長い。
ひどい尺稼ぎシーンや作画が不安定なシーンも多く、
予算が少なかったのかもしれないが、中盤あたりで2期が決まったのかもしれない。
そう感じてしまうほど引き伸ばしが酷い。
終盤から面白さが垣間見えてきたため、もしかしたら2期は
1期よりも素直に楽しめるかもしれない。
色々と問題は多い作品だが、面白いか面白くないかは別にして、
所々に感じる中国感が独特の匂いのようなものを醸し出しており、
興味深い作品だ。
個人的にヒロインの設定が完璧にNARUTOなのが物凄く気になってしまった(苦笑)
ついでにいうと、修行方法も「薬湯に入る」「特殊な丸薬を飲む」など、
いわゆる漢方的なものがいかにも中国的で、そこは興味深い面白さが有る。
色々な意味で2期に期待したい所だ。
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