あらすじ 今から12年前。リムガルド王国で後に「リムガルド・フォール」と名付けられた事件が発生。世界各国から救助隊が派遣されるが、到着した彼らが見た物は動くもののいない無人の街だった。時は流れ現在。エナストリア皇国に住むユイとレナの二人の少女は、同じ家で暮らしながら平穏な日常生活を送っていた。引用 – Wikipedia
荒唐無稽も甚だしい
監督は長年演出家を努めた登坂晋、
なお長年演出家を努めた方が
監督をやると駄作になるジンクスが私の中にはある。
見出して・・・というよりは見出す前が問題だろう(苦笑)
この作品を少しでも知っている方は、
4話で1度、制作サイドが「作り直し」を決定し、
2016年7月放送で4話まで放送した後に、
再度作り直した1話から2016年9月より放送し直したことを知っているだろう。
論外だ。
最終話だけ遅れる、作っている最中に間に合わずに総集編など
昨今、アニメ制作のスケジュールはかなり厳しくなっており、
一定以上の作画のクォリティを保つために四苦八苦している。
放送延期や総集編などは制作側の「苦渋の決断」だ。
しかし、そんな状況の中でこの作品は堂々と
「放送中止」して「9月から作り直したものを放映」している。
厚顔無恥も甚だしい事をしでかしている。
アニメに携わる多くの人と4話まで見た視聴者に対する裏切りだ。
ちなみに私はレビューは作り直したものを見ている。
作り直す前のものとの比較は多くのサイトが行っているので
気になる方はそちらを参考にしていただきたい。
見出してそうそう、1話からわけがわからない状態だ。
大量のキャラクターと視聴者が全く理解できない状況下の中で
ロボット同士のバトルが描かれる。
謎や伏線、キャラを1話冒頭で大量に出すことで
視聴者をひきつけようとしているのはわかるが、
それが効果的に作用しておらず「ただわけがわからない」だけで、
そこに面白さがなく、頭に入ってこない。
この作品が2クールならば謎と伏線とキャラをばらまいた1話と理解できるが、
1クールという短い尺の中での1話としてはインパクトと引きが弱すぎる。
更に不自然なほどメインキャラに男性キャラが少なく、
美少女、しかも「幼女」っぽいキャラクターが非常に多く、
幼いキャラクターデザインの女性キャラばかりだ。
ぽっと出の敵キャラやサブキャラなどに数名男性キャラは存在するが、
メインと言えるキャラの中には2人しか男性キャラは居ない。
そこに何かインフィニット・ストラトスのように「理由」があるならば、
作品の世界観の設定として理解できるが、この作品にはそんなものは存在しない。
美少女ばかりだして百合百合しとけば売れると思ったのだろう。
浅はかだ。
そんな萌え日常アニメのようなキャラデザの少女がロボットに乗る。
ある意味「魔法少女まどか☆マギカ」的なギャップを狙ったのかもしれないが、
ロボットデザインと世界観とキャラデザのチグハグ感を際立たせているだけだ。
戦闘シーンも微妙だ。
流線型のロボットで手書きの作画、しかも監督は長年演出家と
ロボットアニメ好きには期待感を煽る要素が多いのだが、毎度毎度、期待はずれだ。
1枚1枚の「絵」としてみれば面白みの有りそうな戦闘シーンに見えるのだが、
いざ動いてみると演出だけが派手で中身がない。
基本的に「動きの面白さ」よりも「派手さ」を優先しただけの戦闘シーンであり、
これならばCGのほうが見応えがあっただろうと感じる部分が多いほど
「手書き作画の良さ」を殺している。
手書き作画の良さは「重み」だ。
しかし、そんな良さを殺し、派手な演出で早く動かす高速戦闘を描いているため、
よく動きはするものの中身の伴っていない
盛り上がりに欠ける戦闘シーンになっている。
必殺技もあるのだが、呪文詠唱でロボットの必殺技を出す。
これが悪い意味での「厨二病」感であり、かっこよさがまったくなく、ダサい。
話が進むと統一感の無さ、設定の浅さに頭が痛くなってくる。
主人公の一人が実は「女王様」であり、もうひとりの主人公は
ロボットに変身できる。
一国の女王が「国に危機が迫るかもしれない」のに、
その原因になっているロボットに変身できる女の子を個人的な感情で守る。
それに対し周囲の反応や指摘も薄すぎる。
女王なのにのんきに一般人とお茶をするし、町中を一人で歩くし、
友達に説得されて国の危機そっちのけで、個人的な感情を優先する。
これで女王という設定がなければ納得できなくもないが、
女王という立場のキャラなのにその立場にふさわしくない行動や言動ばかりだ。
そんな国の危機そっちのけの女王に対し周りも絶対服従だ。
洗脳教育でも子供の頃から受けているのか?と思うほど、
女王に対する反対行動や言動は一切ない。
北朝鮮もびっくりな「女王様マンセー」な国だ。
そんなキャラの行動や言動に感情移入することは難しく、
敵がなぜヒロインを狙っているのか?という理由もよくわからないまま話が進む。
ストーリーに「説得力」というものが根本的に欠けており、
監督と脚本家の頭の中だけでストーリーが完結しており、
それを描かれるストーリーと映像に落とし込めていない。
物語を理解できる、できないという話ではない。
理解力以前の問題で「ついていけない」というのがストレートな感想だ。
ストーリーの流れはわかるし、雰囲気で分かる部分も多い、
だが、キャラクターの言動や行動、突飛な展開でついていけなくなる。
結果として物語が頭に入ってこない。
頭に入らない物語を理解しろというのが無理な話だ。
作画も8話くらいまでは安定していたのだが、
9話から急激にキャラの作画も戦闘作画も不安定になる。
激しい動きもできなくなっており、バトルシーンを極力削って会話劇になっていく。
明らかにスケジュールが間に合っていない。
物語が宇宙規模になったり、時系列がよくわからなくなったり、
急にメインキャラにとって重要な人物が何の前触れもなく出てきたり、
突然、重要な設定をご丁寧に説明してくれたり、
8話まで色々な問題が合ったが、8話以降はそんな問題すらも
忘れかけるほど作品の質が明らかに落ちる。
8話まででも面白くないと思っていたのに、
そこから更に下に行く、ある意味ですごい作品だ。
わざわざ4話で作り直したにも関わらず、
結果的にスケジュールが間に合わず、ストーリー構成もおかしくなり、
散々引っ張ってきた謎や伏線はご丁寧な説明セリフで片付ける。
9話くらいで「あ、この作品1クールだったわw」と
思い出したかのような慌てぶりで、唐突過ぎてついていくのが困難だ。
神の器とか言い出したりして、ついていけなさがMAXになってしまい、
ポカーンとした感じで終わってしまう。
全体的に見て才能とセンスのない監督が何かとんでもない勘違いをして、
センスの良い作品を作ろうとして失敗した作品だ。
様々なロボットアニメからアイデアを拝借したツギハギな設定と世界観の中で
ギャップを狙った萌え美少女ロボットアニメを作りたかったのはわかるが、
監督と脚本家の「やりたいこと」と「好きなこと」だけを詰め込んでいて、
それが作品としての形になっていない。
才能がある監督や脚本家ならば「やりたいこと」と「好きなこと」を
詰め込めば賛否両論はあるかもしれないが少なくとも
「作品」の形にはなる。
ツギハギで他の作品を彷彿とさせる作品もあるが、
そんな継ぎ接ぎ作品でもパッチワーク的な作品に仕上げている。
しかし、この作品はそんなパッチワークにすらなっておらず、
やりたい事と好きな事の破片だけを集めてノリで固めただけ、
自宅の棚の上にでも飾って自己満足で芸術的作品だと心酔してるだけならいいが、
人前に商品として出してはいけないレベルだ。
去年は「コメットルシファー」というロボットアニメ界では
とんでもない作品が生まれたが、
この作品を見た後だとコメットルシファーが名作に思えてしまう。
売上的には400枚以下の爆死。
当たり前だ、これで売れたら他のアニメを作ってる人の立場がない。
個人的には4話での作り直しの時点で期待感はなかったが、
思っていたよりも酷い出来栄えだった。
登坂晋監督が、今後TVアニメの監督としての仕事があるのかどうかは分からないが、
TVアニメ業界がまともならば二度と起用はないだろう。
そう願いたい。
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全肯定です。
※最初のマジシャンとの戦いは良かったので、これからどう展開していくんだろう、と期待して見ていましたが設定、伏線、敵キャラの動機等が完全に死んでいて5話目くらいから死んだ目で見てました。