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勢いとキレが足りない「はんだくん」レビュー

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評価★★☆☆☆(23点)全12話
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あらすじ 書道の大家の息子にして、自らもその道で活躍する 高校生書道家・半田 清。
学校ではその近づきがたい佇まいから孤高のカリスマとして 一目置かれているのだが、本人はそれを 「嫌われている」 と思い込んでいた・・・。引用 – Wikipedia


勢いとキレが足りない

原作は「ばらかもん」のスピンオフである「はんだくん」という漫画作品。
監督は湖山禎崇、制作はディオメディアと
「ばらかもん」とはスタッフも製作会社も監督も何もかも違う。

1話からやらかしている。
原作未読の人を完璧に無視した1話冒頭は
「ばらかもん」という作品を知っていても「?」となるほど
大量のキャラクターを出し、「はんだくん」以外のキャラで
「はんだくん」のアニメ化について話し合うメタ的な内容だ。

これが滑りっぱなしだ。
原作を読んでいれば笑えるのかもしれないが、
原作読者だけをターゲットにしているならばOVAでやればいい。
TVアニメの1話としては大失敗だ。

「つかみ」を完璧にミスしており、
本気でこれがオモシロイと思っているのか?と疑問に思うほど、
ギャグがとんでもない方向に滑っている。
求めても居ないのに劣化銀魂のようものをAパートまるまる見せられるのは苦痛だ。
これで多くの視聴者を失ったことだろう。

Bパートからはんだくんのエピソードがようやく始まる。
ただ、かなりテンポが悪くギャグが冗長になっており、滑り気味になっている。
おそらく原作で読めば面白いと感じられるネタやシーンもあるのだろう、
だが、その原作のシーンの勢いを殺して描いてしまっているため、
人によってはクスクスと笑えても「爆笑」にはならない。

ギャグアニメにおける「テンポ」からの「笑い」というのがずれており、
この「ずれたセンス」が楽しめる方もいるだろう、
ギャグアニメは人によって笑えるギャグと笑えないギャグの差が激しく、
誰しもが爆笑できるギャグアニメと言うのは少ない。

だからこそ最初のインパクトは大事なのだが最初のインパクトで滑っており、
多くの人の中で「はんだくん」という作品に対する笑いの期待感が薄まっており、
1話の冒頭でやらかしてしまったためにその後に描かれるギャグに対して
冷めた状態で見てしまう。

この作品は「誰にでも爆笑できるギャグアニメ」ではなく、
好き嫌いが露骨にはっきりと別れてしまう内容であり、
その好き嫌いや笑いのセンスの違う部分をうまくテンポや演出で誤魔化したり、
盛り上げ、嫌悪感を感じずに笑えるように仕立て上げるのが
監督の仕事でもあるのだが、それが出来ていない。

1話のBパートも「え?これ引っ張る話?」と思ってしまう内容だ。
わざわざ2話のAパートまで引き伸ばすというのは、
ギャグアニメとしての区切りも悪く、ギャグに締まりがなくなっている。

原作の漫画という媒体で読めば面白いネタのはずなのに、
アニメという媒体で見てしまうとつまらない。
「原作の面白さの片鱗」は見えるのだが、
その片鱗が見えるだけに常にもどかしい。

内容的にも「被害妄想の激しい主人公」を中心とし、
学校中に嫌われていると思われている「はんだくん」と、
そんなことを思っているとは知らない周囲が勘違いをし、
はんだくんに対する理想や思い違いがギャグになっている。

キャラクター的にも濃ゆいキャラクターが多い。
1クールという尺では若干多いと感じるが、
1話あたり3エピソードと詰め込んでいるため、掘り下げ不足はない。
魅力あるキャラクターが「はんだくん」を崇め奉る様にやや
違和感を感じる部分はあるものの、それがギャグにつながっている。

ただ男性キャラも多く、やや「BLっぽく」なっている話もあり、
そういった部分でも好き嫌いが別れてしまうポイントが生まれている。
話によって当たりハズレも激しく、あたりのときはクスクスと笑えるが、
ハズレのときは真顔で見てしまう。

ネタ自体は悪くないのにそのネタを間延びさせながら描いてしまうため、
ネタがはねない。
後半からはキャラも増えることで賑やかになっていくのだが、
その反面で「話のワンパターンさ」と「マンネリ」も目立って来てしまう。
キャラが増えても話が似たような展開なのは微妙なところだ。


全体的に見てアニメ化失敗な作品だ。
ギャグアニメにおける勢いやキレ、テンポ、強引さ、思っきりというものが足りず、
せっかくのギャグがもう一歩踏み込んでおらず、
素直に笑える一歩手前で常に踏みとどまっているようなもどかしさを感じる。

原作で見れば笑えるんだろうなと感じるネタが非常に多く、
アニメにおける演出も悪い。

話のワンパターンさなどは原作にもある欠点のようだが、
それでももっとアニメで膨らまさないといけないところを膨らまさずに、
綺麗にまとめてしまっているため、ギャグがギャグとして貫き通せておらず、
結果的に似たような流れだけが目立つ。

スピンオフ元である「ばらかもん」はアニメとして素晴らしい出来栄えだっただけに、
同じスタッフで作られなかったことが残念でならない。
きちんと原作に対する愛情や思いがあれば、
あのメタネタを1話に持ってくるような事をしなかっただろう。

あのメタネタが最終話だったら逆に面白いのだが、
そういうセンスがなかったのが作品全体に響いてしまった。
色糸と残念な作品だった

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