あらすじ 家でも学校でも叱られてばかりののび太は家出しようと思い立つが、どこもかしこも私有地か国有地でどこにも自分の思い通りになる土地が見当たらない引用 – Wikipedia
これぞ正統派リメイク、大人になってもう1度味わうドラえもん
わさび版ドラえもんとしては第11作目にあたる。
監督は八鍬新之介。
いわずもがなだが『ドラえもん のび太の日本誕生』のリメイク作品だ。
見出して感じるのは懐かしさだろう。
ドラえもん映画としては無難な始まり方、
「のび太がママに怒られる」ところから始まり、外出禁止と言われてしまい、
家出を決意する。
ただ、これだけの「ドラえもん」らしいよくあるシーンなのだが、
作画のタッチや雰囲気、ギャグのノリやテンポ、コミカルな動きなど
何気ないシーンを「丁寧」に描写しており、
丁寧以上のやりすぎな描写がない安心感がある。
ドラえもん映画は新シリーズになってから旧作品でのリメイクで、
監督の自己満足全開の癖のある作画タッチだったり、
演出過剰でやりすぎなギャグのせいでキャラクターのイメージを崩壊させたり、
制作側が過去作品との区別を無理につけようとしている作品が多かった。
しかし、この作品はそんな過剰な演出がない。
見ている最中に昔見た旧ドラえもんの映画の内容を思い出すように
「そうそう、こういう展開だったなー」
「あ、このシーン見たことがあるw」
と、思わず言ってしまうほど丁寧に旧作のシーンを取り入れており、
過去作品を見た人でも「安心して」見ることができる。
ストーリーも「ドラえもん映画の面白さ」がきっちりと感じられる。
家出を計画したドラえもんたちが誰もいない7万年前の日本にいき、
自分たちだけの住みやすい場所を作る。
非常にシンプルなストーリーの始まりでありながら、
「ドラえもん映画」特有のワクワク感を冒頭からしっかりと感じさせる。
多くの大人が子供の頃1度見たはずのストーリーだ、
しかし、逆に1度見ているからこそ、
子供の時とは違った視点で面白さを感じられる。
例えば「ジャイアンの母ちゃん」のさりげないセリフだったり、
1日も持たない家出をしたあとの「のび太の母」の言動だったり、
自分が大人だからこその面白さ、子供の頃には何気なく見ていたストーリーの
「深さ」や細かい部分など、大人が見ても十分に楽しめるドラえもんという、
コンテンツの力強さと魅力を改めて実感できる。
ストーリーの起承転結も素晴らしい。
何気ない家出からストーリーがどんどん広がっていき、大冒険につながる。
ドラえもん映画らしいストーリーの構成は映画のワクワク感をしっかり感じられる。
旧作から追加されている部分もあるが、その追加されている部分や
描写の仕方が変わっている部分も自然に受け入れることができ、
最初から最後までしっかりとした面白さのある作品だ。
全体的に見て素晴らしいリメイク作品といえるだろう。
もともとのストーリーや内容の素晴らしさを、
しっかりと制作側が理解し、根本にある部分を丁寧に大切に描写し、
過剰な演出や余計な追加要素をいれずに、
本来の「藤子・F・不二雄」が描いたドラえもんの面白さをしっかりと感じられる。
時代が変わっても、見ていた子供が大人になっても、
ドラえもんの面白さは変わらない。
ドラえもんという作品の魅力を改めて実感できるリメイク作品に仕上がっており、
ただの旧作リメイクではなく、より面白く、よりストーリーを自然に、
演出や追加要素をさりげなく入れることで、
「ドラえもん のび太の日本誕生」という作品の面白さを際立たせている。
旧作を超えた超えないの話をするとややこしくなり、好みの問題も出てくる。
旧作とリメイク版では終盤の展開がやや違うので余計にややこしい。
ややネタバレになるので、
ネタバレが嫌いな方はここからは読まないでいただきたい。
旧作では「タイムパトロール」が活躍し、
ギガゾンビに負けてピンチだったドラえもん達を救う展開だ。
見た人ならばのび太を救った「マンモス」の存在も覚えているだろう。
しかし、新作ではそのマンモス=タイムパトロールは出ない。
あくまでも新作では「のび太達」が自分たちで強大な的に立ち向かい、
勝つという展開だ、子どもたちが自分たちの力で悪に勝つ。
旧作は自分たちの力では強大な敵にはかなわなず、
大人の犯罪者を大人が捕まえる。
物語の爽快感としてはピンチからの逆転で新作のほうが子供向けで面白く、
巨大なロボットとの戦いなど映画的かつ見ごたえのあるシーンに仕上がっている。
だが、ストーリー構成的なうまさでいえば
「タイムパトロール」という要素と伏線をうまく旧作では活かしている。
個人的にはどちらも好きなのだが、
旧作の終盤のストーリー展開は今考えれば大人向けだ、
リメイク版では子供がより盛りあがれて、より面白いと感じられるようになっている。
ただ、私個人としては「ククル」という7年前の少年でしかなかったキャラが、
最終的にきっちりと活躍するという展開や、
「のび太のお母さんの最後のシーン」など、新作らしい面白さのある部分など、
新作だからこその面白さやエンディング中のエピローグなど、
「子供の成長」をしっかりと映画居ている部分が大人だからこそ響いてしまった。
子供ならば素直に楽しめる、大人ならば旧作と比較しつつも、
しっかりともう1度「日本誕生」を楽しめる。
ドラえもん映画は新声優陣になってから当たり外れが激しいが、
この作品は「あたり」だ。
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