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10年越しの2期で俺たちの戦いはこれからだ・・・「D.Gray-man HALLOW」レビュー

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評価★☆☆☆☆(15点)全13話

あらすじ 時は仮想19世紀末。
悲劇を嘆く弱い心によって呼び出された魂を、魔導式ボディに閉じ込めることで作られるAKUMAは、殺戮を繰り返すだけの殺人兵器となり、
さらなる恐怖と悲劇を生み続けることで進化していく。AKUMAを製造するのは、世界の終焉を目論む千年伯爵率いる「ノアの一族」。引用 – Wikipedia


10年越しの2期で俺たちの戦いはこれからだ・・・

本作品はD.Gray-manの2期。
1期は2006年から2年間放映したアニメであり、全103話とかなり長い。
前作から10年たってようやく2期といったところだが、
原作が長期休載し月刊誌に移っているので、
2期をやろうにもできなかったという感じだろうか。

また1期から10年も経過してしまっているためキャストが全く違う。
全103話もやったアニメなのに今更声優を変更しているため、
前作のアニメを見ている人からすれば違和感はかなりあるだろう。
製作会社はトムス・エンタテインメントと1期と同じ、
監督は鍋島修から芦野芳晴に変更されている。

見出して感じるのは・・・驚きだろう(苦笑)
1期からの完璧な続編であり、1期を見ていない人、
原作を読んでいない人を完璧に無視している。
1期を見たけどあまり内容を覚えていないという人も無理だ。

原作ファンが楽しめればそれでいいと思っているのかもしれないが、
あまりにも「新規視聴者」や「見た記憶はあるがあまり覚えていない」という
人を見放しすぎている。

これまでのお話的なダイジェストを1分程度
申し訳ない程度に入れているが、明らかに足りておらず、
1分位ならば逆にやらないほうがマシなくらいの意味のないダイジェストだ。

個人的には一期も見ており、原作もそこそこ読んでいたくらいだが
1話の時点では「これ誰だっけ?」「これはどういう状況なんだっけ?」という
記憶の呼び起こし作業に必死になってしまう。
キャラデザも一期から変更されており、声優も変更されているため、
余計にキャラの名前が頭に浮かんでこない。

キャラの名前を思い出しても声優の違和感は非常に強い。
主人公は1期では小林沙苗、2期では村瀬歩と
村瀬歩自体は悪くはないのだが、やはり小林沙苗にはかなわない。
全103話やったアニメの声優の印象を塗り替えるのはかなり難しい。

そもそも制作サイドが宣伝や大人の事情で新人声優や人気声優を使いたい、
旧作の声優さんのランクが上がってしまいギャラの都合上起用できないなど
色々な理由があるのはわかるのだが、
それならばリメイクという形で作り直せばよかったのではないだろうか?

そのほうが明らかに作品の知名度向上や売上も違ったはずだ。
1期の声の印象や違和感を消す作業で必死になってしまい
ストーリーについていけないというのはかなり厳しいところだ。

ストーリー的にも物凄く「戦闘中で色々ややこしい状況」なので
状況理解も非常に難しい。
これで一期から1年や2年くらいしか起っていないなら別だが、10年だ。
原作も休載しまくりで、最新刊が出たのはアニメに合わせて今年だが、
その前の巻は2013年、その前の巻は2011年と
相当なファンでない限り後追いしていないだろう。

あまりにも「視聴ターゲット」を絞りすぎだ。
公共の電波を使うTVアニメという媒体でここまで
視聴ターゲットを絞る制作スタイルは制作意図もよくわからない。
こういったファン向けすぎる内容ならばOVAでやればいいんじゃないだろうか?と
見ながらひしひしと感じてしまうほどあまりにもファン向けすぎる。

この作品を素直に楽しむためには
まずアニメの1話から103話まで35時間かけて見た後に見るか、
原作の19巻くらいまでを見るしかない。
声優の変更を考えれば原作の19巻まで読んだあとに2期を見るのが
ベストだろうが、この作品を知らない人にとってはハードルが高すぎるだろう。

この作品を楽しめるのは
「原作の物凄いファンでアニメの1期と声優が違っても全然OK!」という
物凄く寛容なファンだけだ。
アニメ化されただけでも2期を作ってくれただけでも映像化されるだけで嬉しい、
そんな「信者」とも言える人だけが楽しめる。

非常にもったいないのだ。
戦闘シーンの作画はしっかりしており、
制作サイドもきっちりと丁寧にアニメ化している。
しかし、そんな2期の内容を素直に評価できなくさせる点があまりにも多く、
きっちりとした「リメイク」ならもっと評価が違っただけに残念だ。


全体的に見てなんでこんな形での2期だったのかよくわからない作品だ。
1期からは10年もたっており、原作も休載気味にもかかわらず、
1分ほどのダイジェストで新規視聴者や記憶が薄い人を無視した作りになっており、
それだけならまだしも、声優も一期から変更され違和感が非常に強く、
原作ファンですら拒否感が生まれる人もいるだろう。
よっぽどこの作品を好きじゃないと素直に楽しめない。

D.Gray-manという作品は今も熱狂的なファンのいる作品だ。
ある程度の「売上」は見込める、
声優の変更は仕方ないとして、それならばファン向けのOVAという形での2期や、
1期の内容を三部作で映画化してリメイクしたのちの2期など
やり方はいくらでもあったはずだ。
きちんとした評価できる状態で「2期」が見たかったと強く感じてしまう。

ストーリー的にも10年経過した後の2期なのに
結局は「俺たちの戦いはこれからだ」で、
10年越しのアニメ化なのに歯切れの悪いラストで終わらせる。
また10年後に声優を一新して3期をやるつもりなのだろうか?
きちんと原作が完結してから正しい形でアニメ化するべき作品だろう。

売上を調べようと思ったのだが、なぜか1巻の発売が延期になっており
未だに発売されていない。
制作側のゴタゴタ感も感じさせる延期なだけに、
「なんだかな~」という感じが強く残る作品だった。

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