あらすじ 主人公のモブこと影山茂夫は、超能力を持ちながらも生きていく上でそれは不要だと考える目立たない中学生。勉強もスポーツも出来ず、人付き合いにも不器用な彼を取り巻く様々な人物や出来事を描く。
引用 – Wikipedia
この地味面白さが伝わるか
原作者はワンパンマンでおなじみのONE、
監督は立川譲、制作はボンズ。
見だして感じるのは癖の強いキャラデザだろう。
ワンパンマンではおなじみのジト目っぽいキャラ、
「ギャグアニメ」のような顔のパーツを誇張したキャラデザのキャラ、
そんなキャラの大げさとも言えるリアクションなど、
絵だけを見るとギャグアニメにしか見えない。
このリアクションはこの作品には重要な要素だ。
過剰かつ大げさ、しかも百面相のごとくキャラクターの表情が
コロコロコロコロと変わる。
「ボンズ」というアニメ制作会社はどちらかというと
骨太かつ硬派なアニメを作ることで有名な会社だ。
ラーゼフォン、エウレカセブンなど
硬派なアニメを作ってきた会社の作画能力が
「全開」でリアクションの描写で使われる。
この力の入りまくった作画のインパクトが強い。
この作品はボンズという製作会社の、
本来はロボットアニメのロボットの動きに使われるような作画を
「ギャグのリアクション」にそそいでいる(笑)
このキャラクターデザインの場合、
他の製作会社ならばいくらでも作画枚数を削れるキャラデザだ。
随所随所の作画さえしっかりしていれば見れる作品なのだが、
その随所の作画をより過剰に、随所以外の作画をしっかりと描くことで
1シーン1シーンの見応えがドスンと重く、
その作画の濃ゆい重さをギャグテイストな内容とエフェクトなどの演出で
飾ることによって「この作品だからこそ」の画面作りになっている。
はっきりいって1話のストーリーのインパクトは薄い。
霊能力者や超能力者が存在する世界で、
「詐欺師」である師匠のもとで働く主人公、モブ。
彼の日常をきっちりと描いてはいるものの、
1話の内容的にはよくある感じの王道なストーリーだ。
おそらく普通の作画でここまで気合を入れて描いていなければ
「地味な1話」という印象になってしまっただろう。
だが、過剰な演出と気合の入った作画のお陰で
強い印象を見ている側に与える。
この作品のストーリーは徐々に面白くなってくるストーリーだ。
最強とも言える超能力を持っている主人公は、
その力の使い道に悩み、暴走しないように感情を抑圧している。
だが、彼の日常生活には悪霊がつきまとい、超能力もつきまとう。
抑圧された感情は話を重ねるごとに限界に近づき・・・爆発する。
押さえつけていた力の解放「モブサイコ100」の状態の彼の
戦闘シーンは圧巻だ。
ボンズの作画能力、その作画能力に甘えない「演出」で
圧倒的なまでの迫力と「見応え」を生み、地味なストーリーに引き込まれる
超能力だけが突出している主人公だからこそ、
超能力を使わずに普通になることを望み、
超能力以外の何かを探し求める。
はっきりいってストーリー的には地味だ。
超能力者同士のバトルや悪霊とのバトルなどはあるものの、
主人公は人に対して超能力を使いたがらない。
最強であるがゆえに負けることはなく、
意識を失って初めて力を使うことなども多く、それゆえに地味になってしまう。
彼のそんな態度や行動、言動に周りの人間が感化され変わっていく。
あるものは自分の力に対する依存をやめ、
あるものは自分の中のコンプレックスに向き合う。
最強の能力を持ち、その能力を使いたがらない主人公だからこその
影響を受けることでキャラクターが変わっていくのをじっくりと味わう事ができる。
ただ、その反面で爽快感のあるシーンに至るまでが長い。
爽快感のあるシーンの描写は素晴らしいのだが、
そこに至るまでのシーンが淡々としており、
その淡々さからの爽快感に至るまでのプロセスを「面白い」と捉えられるか、
人によって好みが分かれる所だろう。
さらに言えば「モブ」という主人公を気に入れるかどうか。
基本的に舐めプ状態であり、
本当にここぞというときにしか本気で戦わないので
ちょっとめんどくさい。
ワンパンマンの主人公の一瞬で感じられる強さとは違い、
最強状態になっても以外な方法でやられたり、
女性を殴りたがらずに戦闘シーンが長引いたり、
いまいち「最強」の主人公の強さを素直に感じられないシーンがある。
もっとはっきりいってしまうと主人公が活躍するよりも、
詐欺師である「師匠」が言葉巧みに騙すシーンのほうが
面白いことも多く、何の能力もない「師匠」が主人公よりもかっこいい。
主人公の魅力が師匠に食われてしまっている。
師匠が出ていると素直にストーリーもシーンも面白いのだが、
師匠が出ていないと面白さが3割位おちるような感覚だ。
だからこそ最終話の「師匠無双」が面白く、
彼に全て持っていかれたような感覚だ。
全体的に見て人を選ぶ作品だ。
凄い力を持っているのにその力を人に対して使いたがらない主人公だからこそ、
周りの人間が影響され変化していくストーリーは面白く、
その変化につながる戦闘シーンを、妥協せずに迫力いっぱいに
画面狭しとヌルヌル動き爽快感溢れるシーンに仕上げている。
その日常のストーリーと戦闘シーンでのメリハリは素晴らしい反面で、
地味な部分も大きく、その地味な部分を面白いと感じるかどうか、
人に向かってなかなか本気を出さないモブという主人公を好きになれるかで、
この作品に対する評価は大きく違うだろう。
好きな人も「モブサイコ100すごい好き!」というよりは
「モブサイコ100地味に好き」という感覚ではないだろうか。
最終話Cパートのあの何とも言えない感じがこの作品らしく、
あの何とも言えない感じを面白いと思う人が、
この作品を面白と思える。
ある意味で、最終話Cパートはこの作品を最後まで見た方の
ツボを捉えたようなシーンだった。
個人的に妙に印象に残ったのはつけ麺だ。
見た人にしかわからないと思うが、
あのほぼ一瞬しか映らない「つけ麺」が妙に美味しそうで、
妙に印象に残ってしまった、今から見る方はお見逃しなく(笑)
売上的にはAmazonランキングなどからの予測によると
1000枚~2000枚とやや厳しい。
原作の売上が伸びれば2期も期待できるが、
地味に面白い作品だったため1クールよりも
2クールでガッツリ見たかったと感じる作品だった。
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モブサイコ100の2期を見て見てください!
2期は1期以上に面白く、戦闘シーンもさることながら師匠とのエピソードが秀逸で鳥肌が立つレベルです!
時間があるようでしたら、ぜひご覧になってください!
霊幻が好きなら、2期までみると「地味に好き」から「大好き」に変わる事間違いなしです!
孤独なホワイティー編は本当に心にくるものがありました。
モブサイコ…深すぎます。
モブサイコ大好きです!