あらすじ 両津がドローンを購入しようと変装して銀行に向かうが、いつものように街の人々に追い詰められ逃げるも、長い間忘れ去られた日暮によって借金を取られてしまった。そんなある日、両津は祖父・勘兵衛がスパイをしているのを目撃し、両津の悪い行いを削除する代わりに秘密にすることを約束する。
引用 – Wikipedia
偉大なる惰性の面白さは2016年も変わらない
こち亀の40周年作品と銘打っており、
原作が最終話を迎えた記念という意味合いもあるのだろう。
キャストはTVアニメシリーズと同様、監督もTVスペシャルのときと同じ監督だ。
見だして感じるのは懐かしさだろう。
「テ、テ、テレビをみるときは~」のあの曲、
懐かしのBGMとともに両さんが自転車に乗って派出所へ出勤する。
強烈な懐かしさと、あえて古い作画の雰囲気でやることで
変に新しさを感じさせずTVアニメシリーズとの違和感が一切ない。
ここまでの違和感の無さは正直すごい。
本当に自然に、本当に違和感がなく、
2008年から約10年も作られていない作品なのに
「新しさ」を感じさせない制作側の努力に素直に感動してしまう。
しかし、内容は最新なのだ(笑)
両さんは最新のドローンを欲しがっているし、スカイツリーもあるし、
ツイッターやラインなんかもさり気なく描写されている。
やや古い、あの頃の作画であの頃の雰囲気のままで
最新の技術が描かれるのは不思議な感覚だ。
あの頃の雰囲気のまま中身は2016年、この不思議な組み合わせが
見ている側を当たり前のようにこち亀の世界観に浸らせ、
「葛飾ラプソディー」を当たり前のようにOPで流し、
OPの中に懐かしのキャラクターと「秋元先生」を書き込む。
涙腺が弱い方ならばうるっと来てもおかしくはない演出であり、
「こち亀」という作品に対する深い愛情をスタッフから感じる。
更に展開も懐かしい。
「そうそう、この展開!」「そうそう、この演出!」「そうそう、この曲!」と
いちいち懐かしさを刺激されるシーンの数々は、
お約束的な面白さを生むシーン描写になっており、
ニヤニヤしながら見てしまう。
そしてお遊び要素。
TVスペシャルでのゲストキャラやテレビオリジナルキャラが
「ジャンプの主人公を演じた声優」が起用されている。
NARUTOの竹内順子、スラムダンクの草尾毅、BLEACHの森田成一、
トリコの置鮎龍太郎、キン肉マンの神谷明と
豪華すぎる声優陣がゲストとして参加している。
尺的に実質45分しかないためストーリー的にはそこまで広がりはないものの、
短い尺の中で「あの頃のままの両さん」らしいストーリーと、
懐かしいキャラクターたちをまんべんなく出し、
両さんらしい破天荒な行動でストーリーを盛り上げ、
最初から最後まできっちりと楽しめる。
悔しいかな分かっていても特殊刑事の登場シーンは爆笑してしまった。
もう「タンスにゴン」はフルすぎるネタな感じも否めないのだが、
強烈なインパクトを残す特殊刑事のメンバーたちの奇行の数々は本当に強烈だ。
2016年になっても彼らの面白さは変わらない。
たった1時間の尺の作品だが、
この作品には約40年のこちら葛飾区亀有公園前派出所という作品の
面白さが「ぎゅっ!」と詰まっている。
全体的に見て素晴らしい作品だった。
あの頃の雰囲気のまま、あの頃と同じように。
言葉で言い表すのは簡単だが、制作側の約10年のブランクを一切感じさせない
自然な作品の雰囲気の描写とスタッフの愛情を感じる演出やお遊びの数々、
1時間という尺の中で「こち亀」の面白さをたっぷり味わうことができる。
漫画とアニメでは「両さん」の印象は少し違う。
原作にあるような過激な表現や演出を抑えて、
両さんの性格もそれに影響され少し抑え気味だ。
だが「アニメならでは」のこち亀の両さんの魅力、
アニメのこちら葛飾区亀有公園前派出所の面白さを
2016年にもう1度味わせてくれた。
これはこち亀のアニメを初めて見るような人には伝わらないだろう。
長年続くこち亀を惰性になっても読み続け、
その偉大なる惰性さを原作が終わることで改めて実感し、
20年前にブラウン管テレビの前で楽しみにこち亀を見ていた人だからこそ、
「感動する面白さ」を感じられるはずだ。
原作ストックは十分ある、今、もう1度TVアニメシリーズとして
こちら葛飾区亀有公園前派出所の2期が作られても、
多くの人が楽しめるはずだ。
原作は残念ながら200巻で終わってしまったが、
この作品を見てしまうと、もう1度、毎週アニメのこち亀を見たくなってしまった。
個人的にエンディングの演出は涙腺を刺激されてしまった。
懐かしい曲とともに原作の名場面のコマが流れるあの演出と
最後の「メッセージ」でうるっとしてしまった。
欠点らしい欠点がなく、
こち亀のアニメを楽しんだ人ならば間違いなく楽しめる。
こち亀好きならばぜひ、見てほしい作品だ。
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