あらすじ 「第一回人生やり直しツアー」に参加した30人の男女。彼らは行方不明者になり人生をやり直すためバスに乗り込み、都市伝説として語られる「納鳴村(ななきむら)」に向かっていた。しかし着いた村に人の気配はなく、「行方不明者がコミュニティを作って暮らしている」と聞かされていた参加者たちは不信感を抱く。引用 – Wikipedia
すっとこどっこいな作品
監督は水島努、制作はディオメディア、シリーズ構成は岡田麿里。
クラウドファンディングなども行い、
放送前は色々と盛り上がっていた。
見だして感じるのは妙なテンションだろう。
バスの中でノリノリな自己紹介を行う人物、
そのノリに付き合いまくるバスツアーの参加者、
キャラクターの名前はネット上のハンドルネームであり、
「こんな現実さようなら、人生やり直しツアー」というツアー名など、
新興宗教の集会を見ているような気分だ(苦笑)
30人にも及ぶキャラクターを一気に羅列し紹介する形は
本来は印象に残りにくいはずなのだが、
キャラの名前が「ハンドルネーム」であることと、
それぞれが「人生をやり直したい理由」が軽く語るだけで
妙に印象に残る。
セリフも妙に早口であり、新興宗教的なノリと早口のセリフ、
テンションの高いキャラクターたちと、1話から「掴みどころ」がない。
一応作品のジャンルとしてはサスペンスホラー作品なのだが、
この掴みどころの無さと雰囲気のせいで脇腹を常にくすぐられるような
感覚になる作品だ。
ただ色々な意味でインパクトはあるのだが、
多すぎる登場人物がストーリー進行に影響しまくる。
1クールの作品で総勢31人のキャラクター、
その一人ひとりにある程度スポットを当てるために妙に早口で喋ったり、
「そのシーンは必要なのか?」と感じるシーンが結構挟まれる。
はっきりいって登場させすぎだ。
キャラクター的にかぶっているキャラも多く、
半分くらいに減らしてもストーリー的に問題のないキャラも多い。
早い段階で多くのキャラクターが舞台から降りるなら
気にならなかったかもしれないが、
この作品の場合、途中退場するキャラがいない。
必然的に30人のキャラクターにスポットを当てなければならない。
前述したとおりこの作品は1クール、全13話だ。
1話あたりOPやEDを抜いて20分、260分しかない。
260分÷30人=一人あたり約8分30秒だ(苦笑)
一人あたりの短い尺の中である程度、
メインキャラクターのほうに尺が当然割かれる。
サブキャラ以下の存在でしか無いキャラクターのために、
ストーリー進行がどんどん遅れる。
31人のキャラクター一人一人が「トラウマ」や「問題」を抱えている。
もちろん、そのトラウマや問題もストーリーの中で描写される。
きっちりと感情移入したキャラの過去やトラウマの描写ならば、
その描写も面白いと感じられるかもしれないが、
流石に=一人あたり約8分30秒では厳しい。
せっかく特徴的かつ魅力的なキャラクターが30人もいるのに、
そのキャラクターたちを無理やりに「1クール」という
尺に押し込めてしまったために、
物語が崩壊してしまった感じが否めない。
ストーリーが進めば進むほど
「ホラー」がしたいのか「サスペンス」がしたいのか、ブレまくる。
ブレている中でも、やりたい事は伝わるのだが、
そのやりたいことが1クールの中に押し込めきれておらず、
制作側がやりたい事の片鱗だけをざっくばらんに見せられているような感じだ。
最初から最後まで見るとおおまかな部分は納得できるうえ、
「あーなるほど、こういう作品が作りたかったんだな」というのは伝わる。
だが、その大まかな部分以外の細かい部分の描写が甘く、
いわゆるツッコミ所や説明不足を生んでいる。
全体的に見て色々と惜しい作品だ。
根本的な世界観や設定、キャラクターデザインやキャラクター設定はよく、
ストーリーも決して悪いわけではない。
だが、これが2クール作品ならばその面白さを100%発揮できたかもしれないが、
1クールという尺に押し込めてしまったために面白さの片鱗しか味わえなかった。
1クールという尺をきちんと意識しキャラクター数を減らすか、
それが無理ならばメインで描くキャラとサブで描くキャラをキチンと分け、
群像劇としてもう少しメリハリを付けるべきだった。
そのせいで話が進めば進むほど展開が唐突でゴチャついてしまい、
大まかなストーリーの流れは理解できるが、
細かい部分での理解が追いつかなくなる。
特に最終話のごちゃごちゃ感はある意味ギャグアニメとしては至高なのだが、
やはり詰め込み過ぎた作品だった。
水島監督は過去にBLOOD-C,Anotherなどのホラー作品を手がけているが
この2作品と同じく最初は面白そうなのだが、
話が進むと色々とボロが出始めて最終話を見終わったとに
首をひねってしまうようなパターンが定着してしまっているようだ。
突拍子もない話だが実写ドラマ化したりしたら
意外とうまくまとまる作品かもしれない。
根本にある部分は悪くないだけにそういった展開を期待したいところだ。
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