あらすじ 噛んだ人間をウイルス感染させ同族に変える怪物・カバネに覆い尽くされた世界。極東の島国・日ノ本では、駅と呼ばれる砦を駿城という装甲蒸気機関車で往来するというカバネから隔離された堅牢なインフラを整備することで生活が保たれていた。
引用 – Wikipedia
無名ちゃんペロペロ
監督は荒木哲郎、制作はWIT STUDIO。
キャラクター原案はは『超時空要塞マクロス』などの美樹本晴。
見だして感じるのは素晴らしい「スチームパンク」感だろう。
重苦しい蒸気機関車、錆びついた車体、
そんなスチームパンクの要素が多く含まれる中で
登場キャラクターは「和装」だ。
「和製スチームパンク」という言葉がピッタリ似合うほどの、素晴らしい世界観。
そんな中で「カバネ」という和製ゾンビが人々を襲い、
生き残った人類は「壁」に囲んだ街の中で生きている。
和製スチームパンクと和製ゾンビ、そこに進撃の巨人的設定を足すことで
物語が始まって5分しか立っていないにもかかわらず、世界観に飲まれる。
ストーリーやキャラクターのインパクトではなく、
世界観のインパクトでここまで惹きつけられる作品は久しぶりだ。
そして魅力的すぎるヒロイン。
これはもう、さすが「美樹本晴」と言いたくなるような
素晴らしく・・・もう一言でかわいいと言いたくなる、
「あぁああ!」と叫びたくなるような可愛さあふれるヒロインだ。
顔がアップで描写された際の「まつげ」の描写などドキッとするほどだ。
これは言葉では説明不能なので敢えて画像を貼る。
こんな可愛い娘がカバネ(ゾンビ)と普通に戦うヒロインだ。
彼女の存在感が素晴らしい世界観の中で余計に引き立ち、
圧倒的にこの作品の世界観に引き込まれる。
彼女の戦うさまを見た瞬間に「ゾクッ」っとするものを感じるはずだ。
それに相対する主人公。
主人公はカバネに立ち向かうための技術を模索し、完成させる。
しかし、ようやく完成した技術が役に立つとわかった瞬間に
カバネに「噛まれる」
強い意志と冷静さから生まれる行動がカバネが持つウィルスに勝ち、
その姿が「主人公」としての存在感を確立させる。
序盤の引き込み、ストーリー展開、世界観にふさわしい武器を用いた
圧巻の戦闘シーンと完璧と行ってもいいくらいの完成度だ。
王道ではあるがしっかりとねりこまれた設定と、
こだわった描写の数々はTVアニメとは思えないほどの「見応え」がある。
しかし、中盤以降雲行きが怪しくなる。
ゾンビ=カバネの存在理由や出生理由、そういったものが掘り下げられず、
中盤以降は「人間同士のゴタゴタ」が話の中心になってしまう。
カバネを作っていたのも操っていたのも人間というベタなストーリー展開でもなく、
カバネが宇宙からやってきたのウィルスによるものという展開でもなく、
カバネを根絶するために奮闘するというような展開でもない。
「カバネ」という存在を掘り下げずに、
人間同士のゴタゴタストーリーになってしまうことで
物語のスケールが一気に縮こまってしまう。
原因とも言えるのは「美馬」だ。
物語の後半から出てくる彼はいわゆる「敵」ではあるのだが、
彼の行動理由は復讐、その復讐の相手が特定のカバネだったりしたら
面白かったかもしれないが、復讐の相手は人間だ。
これは個人的な感覚かも知れないが、
中盤で登場する「蒸気バイク」や「通信設備」のせいで、
それまできちんと世界観に合った乗り物や武器だったのに
強い違和感を覚える乗り物などの登場のせいでせっかくがっつりと引きこまれていた
世界観から引き戻されたような感覚になってしまった。
さらに言えばこの「美馬」率いる軍団は
主人公がようやく完成させた技術や知恵をすでに採用している事が多い。
主人公が発見した技術は実はすでに開発済みでしたというのは
若干萎えてしまう。
この作品を構成する要素として制作側は
「スチームパンク」「時代劇」「バトルアクション」
「ゾンビ」「ロードムービー」と言っている。
この中で「時代劇」の要素が人間同士のいざこざなのはわかるが、
1クールという尺では余計な要素でしかなかった。
ストーリー的にも「俺たちの戦いはこれからだ」で終わってしまっており、
序盤から中盤までの期待感と面白さが
終盤の展開で薄れてしまった感覚だ。
全体的に見て非常に惜しい作品だ。
スチームパンク+和な世界観、古臭は感じるが味のあるキャラクターデザイン、
王道ではあるがまっすぐなストーリーと、
序盤から中盤までは素直に面白いといえる作品だ。
しかし、中盤から人類の敵である「カバネ」を放っておいて
人間同士のいざこざにストーリーが移り変わってしまうことで、
前半と後半で印象の違う作品になってしまい、
中盤まで期待していたストーリー展開とは別の方向に進んでしまった。
「こういう展開が見たかったのにこうなってしまった」
そういう感じが非常に強い。
1クールではなく2クールや4クールくらいならば、
物語の中盤からの人間同士のいざこざがあっても良かっただろうが、
1クールと言う尺では方向性の違うストーリー展開でしかなかった。
余談だが大河内一楼さんは右腕なくす展開が本当に好きなんだなと(苦笑)
個人的な「無名」ちゃんの可愛さにかなりやられたが、
ストーリー的には消化不良で終わってしまった印象だ。
見終わったあとに「結局はあれは何だったんだろう?」と思う要素もあるだけに、
もしかしたら続編があるかもしれない。
総集編の劇場版は決定しているが、
2期があれば1期の評価も変わるかもしれないだけに期待したいところだ。
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