あらすじ 西暦2072年、人類はX・Y・Zに続く第四の次元軸「W」に存在する無尽蔵のエネルギーを取り出すことに成功したうえ、それを個人携帯用の次元間電磁誘導装置「コイル」に供給する「世界システム」を完成させたことによりエネルギー問題を解決し、夢の未来世界を築いていた。
引用 – Wikipedia
隠れた名作、地味だがこの作品は間違いなく面白い。
原作はヤングガンガンで連載中の漫画作品。
監督は亀井幹太、制作はStudio 3Hz×ORANGE
見だしてOPの素晴らしさだろう。
気だるそうに踊る主人公、次々と切り替わるキャラ、
激しいカーチェイス、特徴的で可愛らしい女の子、
アニメ好きなら思わず「ぐっ!」っとくるOPは心を奪われる。
さすがは「梅津泰臣」演出のOP!と叫びたくなるほどだ。
更に本編の何とも言えない「サビ臭さ」を感じる世界観。
ガソリンが枯渇し高騰する中で
「コイル」という無尽蔵なエネルギーに切り替わっているという世界であり、
そんな近未来的な世界の中で「甚平姿」の主人公が佇む様は
なんとも言えないギャップを生んでいる。
冒頭からストーリー的には地味なのだが、
刺激的なOPと世界観、気だるげな主人公という組み合わせが、
描写としての地味さとは違い惹きつけられる何かを感じさせる。
キャラクターデザインも素晴らしい。
主人公の甚平姿で「200GT」に乗る様や鉄串を武器とし戦う様、
必殺仕事人のような印象と同時に舞台は近未来で載ってる車は200GTという
不思議な組合せから生まれる魅力。
ヒロインの「フェチズム溢れる描写」や一歩間違えれば派手すぎる印象を
感じかねないギリギリの配色センスと「アンドロイド」だからこその
キャラクターデザインが独特の「可愛らしさ」を生んでいる。
主人公とヒロイン、二人の立場と状況がしっかりと1話から描かれる。
最近のアニメでありがちな「派手なストーリー」の中で
「1話で大量の登場人物」を出すのではなく、
15年位前の深夜アニメのような2クール尺のような、
じっくりと染み渡るような印象だ。
本当にこの作品が15年位前にアニメ化してるとしたら
「GONZO」や「マッドハウス」あたりがアニメ化していただろう。
そういった「古臭い雰囲気」を感じるのだが、
その古臭さが見事に王道の面白さに変わっている。
そして、そこに凸凹コンビの魅力。
「コイル」が嫌いな「不正コイルの回収屋」の中年オッサンの主人公、
「コイル」で動く「アンドロイド」の可愛いヒロイン、
この不思議な関係性が1話で築かれることでキャラの魅力が深まる。
特にヒロインの可愛さはこの作品における最大魅力だ。
アンドロイドだからこその演技の仕方が絶妙であり、
アンドロイドだからこその「トイレシーン」や
「ジャージ姿」など各コスプレ姿など、
ヒロインの可愛らしさを「「あざとさ」を感じさせずに描写することで、
素直にヒロインの可愛さに浸ることができる。
基本的に1話ないし2話完結でストーリーが描かれており、
1クールのアニメでありながら2クールアニメのようなストーリー構成だ。
だからこそ1話1話が全体のストーリーに繋がるように構成されており、
徐々にわかってくる主人公の過去、ヒロインの秘密、
明かされていく世界観の設定、積み重なっていくことで面白さが増していく。
ただ1クールという尺の都合上、終盤やや詰め込みすぎている感じは否めない。
終盤になるとかなり大勢のキャラクターが出てきて
ゴチャゴチャしている感じも強まってしまい、
やや慌ただしい感じになっているのは残念な所だろう。
しかしながら終盤の展開は素晴らしい。
1クールを締めるための最終回ではなく、
きっちりと物語をまとめ、区切りをつけるための最終回だ。
1クールと言う尺をうまく使い、きちんと最終回にストーリーをつなげ、
綺麗に作品をまとめ上げている。
全体的に見て非常に良く出来た作品だ。
丁寧に作りこまれた世界観、魅力的なキャラクターたち、
地味ではあるが積み重ねていくことで面白くなっていくストーリー、
最終話まで見終わった後の心地良い疲労感は、
1クール作品でありながら15年前の2クールアニメを見終わったような感覚だ。
欠点を言うならば序盤ではこの作品の明確な面白さを感じにくく、
最後まで見て初めて素直に面白かったと言える作品だ。
1クール構成のため、ややつめ込まれた感じのある終盤は気になる所だが、
綺麗に作品をまとめあげており、
いい意味での「俺たちの戦いはこれからだ」になっている。
売り上げ的には1000枚以下と爆死気味。
決して駄作ではないだけにこの数字は残念な所だが、
売り上げにつながる要素が薄いのも事実だ。
しかし、この作品は間違いなく面白い。
騙されたと思ってOPだけでも見てほしい、
あのOPにビビっときた方ならば最後までこの作品を楽しめるはずだ。
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