評価 ★★★★☆(61点) 全12話
あらすじ 県立学文高校の1年2組、そこには入学早々学校中の注目を集める男がいた。彼の名は坂本。注目を集める要因は彼のその行動の美しさにあった。 引用- Wikipedia
クール、クーラー、クーレスト!?
原作はすでに完結している漫画作品。
監督は高松信司、制作はスタジオディーン
見だして感じるのは圧倒的なシュールさだろう。
本来、アニメにおいて1話、しかも冒頭の5分というのは相当に大事だ。
そんな大事な1クールの始まりにおいて
「男子高校生3人が淡々とバレーボールをやっているシーン」を見せられる(笑)
しかもアップですらない。
広い校庭に3人の男子生徒しかおらず、
バレボールをトスしながら主人公である「坂本」の話をする。
この何とも言えないシュールな空気感と、非常にどうでもいい男子生徒の
馬鹿な会話がなんとも言えない笑いを醸しだしており、
更にそこに次元大介な「小林清志」さんのナレーションが加わることで
刺激的なシーンでないのにもかからず強烈なインパクトを生んでいる。
そして、そんなシュールな空気感の中に
「坂本」というキャラクターが光る。
彼は何事においても「クール」に対処する男子高校生であり、
不良の些細なイタズラに対してもクールに対応する。
トイレの個室に入って上からバケツで水をかけられても瞬時に傘を指し、
机を隠されれば窓辺に座る。
彼の一挙一動全てがクールの極みであり、
ありとあらゆる「技」を使いどんな状況でもクールに徹する。
彼のクールな態度とシュールな空気感とそれに伴う行動の数々が
強い笑いにつながっており、
この作品特有の何とも言えないギャグになっている。
ただ、シュールさこそがこの作品の笑いにつながっている要素でもあるのだが、
シュールさを生み出すために若干「テンポ」が悪く、
間延びしているシーンも非常に多い。
序盤こそ、そのテンポの若干の悪さもそこまで気にならないのだが、
流石に1話30分で1クール構成なため、
話が進んでいくと徐々にその微妙な間延びやテンポの悪さが響いてくる。
はっきりいってしまえば1話30分ではなく15分や5分アニメのほうが
この作品には適していただろう。
特に私のように1クール一気に見る場合はダレるのを強く感じてしまいやすく、
「坂本」という主人公の「出落ちのインパクト」をいつまで見る人が
持続できるかというのがこの作品の肝だろう。
ただ、その「坂本」のインパクト以外にもアニメならではの
インパクトが有る。
声優だ。
出ている声優さんを軽くここに記述するが・・・
緑川光、石田彰、杉田智和、檜山修之、堀江由衣、中原麻衣、田村ゆかり、
植田佳奈、生天目仁美、藤田咲、高橋美佳子、中田譲治、くじら
どうだろうか(笑)
主人公の「緑川光」というだけでもインパクト大にもかかわらず、
いじめられっこが「石田彰」だったり、ヒロインが「堀江由衣」だったり、
ただのクラスメイトが「田村ゆかり」だったりと
豪華すぎる声優陣の使い方に笑ってしまう。
基本的に会話劇なため作画的に余裕があり予算にも余裕がでたのかもしれない。
しかし、あまりにも豪華すぎる声優陣は
新しいキャラが出るたびに笑ってしまうほどだ。
豪華声優陣が演じるからこそサブキャラクターの魅力もグンッと深まり、
中盤以降ややマンネリになるネタの中でも、
サブキャラと坂本の辛味から生まれる新しい展開が
そのマンネリをいい感じに薄めており
最初から最後まで飽きること無く見る事ができる。
全体的に見て出落ち感のある作品ではある。
クールすぎる高校生という主人公は序盤のインパクトは素晴らしく、
そのインパクトとシュールな空気感から生まれるギャグ要素が
素晴らしい笑いになっている反面で、
中盤からややネタがパターン化してしまっていたり、
シュールさを生むためにやや間延びしたテンポは気になるところだ。
ただ詰め込み過ぎるとこの作品の場合、
他のギャグアニメのように「勢い」で笑わすタイプのギャグではないため、
ギャグが笑いに変わるためにある程度の「間」は必要だろう。
1話5分ではこの作品の魅力を出しきれないが、
1話30分ではやや長い、1話15分位が本来はこの作品にはふさわしい。
ネタ的に中盤以降は当たり外れも目立つが、
それでも1クールしっかりと「クーレスト」な坂本の魅力と
面白さを感じることができるだろう。
ストーリー的にも意外と綺麗に完結しており、
見終わったあと妙にすっきりとした感じが残る(笑)
最近のアニメ作品は綺麗に完結すること自体が珍しいからかも知れないが、
中盤の間延びやテンポの悪さなどが
最終話の最後のシーンまで見ることでどこかに飛んで行くような感覚だ
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