旧世紀、無数の隕石が降り注ぐ未曾有の大災害「落星雨」によって世界が一変した。既存の国家は衰退し、代わりに企業が融合して形成された統合企業財体が台頭していく。またそれは生まれながらに驚異的な身体能力を持つ新人類《星脈世代》の誕生という、新たな可能性ももたらした。優勝者は好きな望みを叶えてもらえるというバトルエンターテインメント《星武祭》、そこでの優勝を目指して《星脈世代》の少年少女たちは水上学園都市「六花」(通称:アスタリスク)で切磋琢磨していた。
天霧綾斗はアスタリスクにある6つの学園の1つ「星導館学園」に特待生として招かれた。《星武祭》に興味があるわけではなかったが、自分の成すべきことを見つけるために転入を決める。そして祖国の友人たちを貧困や統合企業財体の圧力から救うために《星武祭》で優勝すべく一人奮闘する少女・ユリス=アレクシア・フォン・リースフェルトと出会う。彼女の眼差しから失踪した姉と同じものを感じた綾斗はユリスの力になる事を決意し、《星武祭》に挑むことになる。
2クール目のための布石となるのか、それとも・・・・
原作はライトノベルな本作品。
監督はセトウケンジ、製作はA-1 Pictures
見だして感じるのは何の盛り上がりもない戦闘シーンだろう。
1話の冒頭、本来なら視聴者を惹きつけなければならない
大切なシーンのはずなのに、動きにあまりにもおもしろみがない。
妙にでかい剣をヒロインらしき人物が振り回しながら戦闘しているのだが
直線的な動きや手抜きの演出が非常に多く、更に画面が妙に暗い。
作画自体の質はそこまで悪くはなく「分割2クール」であることを考えれば
予算的にもそこまで厳しい作品ではないはずだ。
だが「動き」の演出が悪すぎるせいで戦闘シーンの盛り上がりを作れていない
更にいかにもなテンプレート的展開。
主人公が出会い頭にヒロインの裸ないし下着姿を見てしまう展開を
何度見ただろうかと思わず数えたくなるほどいかにもなテンプレート的展開であり、
その後も「あ、見たことがある」というシーンだらけだ。
テンプレートでも構わない、ありきたりでも構わない。
それは「王道」へと至る要素の1つでもあり
それを「どう見せるか」で王道の面白さになるかテンプレートと呼ばれる
作品になるか大きく変わってくる。
この作品は間違いなく後者だ。
予算もある、作画の質も悪くはない。
ストーリー的にも非常に分かりやすく、
大災害の後に生まれた子どもたちが驚異的な身体能力や特殊な力を持っており、
そんな新人類《星脈世代》が通う学園が舞台であり、
生徒たちの目的は優勝すれば何でも望みが叶う星武祭で優勝すること。
そのために学園に通っている。
素材自体は悪くはない。
いわゆる王道のバトルファンタジーとしての土台はしっかりしており、
バトルを演るためのしっかりとした頭身のキャラクターデザインのキャラは
テンプレート的なセクシーシーンでの「エロス」もきちんと描写されており、
王道の面白さを表現できる「素材」は作品の中にしっかりと内包されている。
しかし、決定的なまでにセンスが悪い。
バトルシーンの描写の仕方1つでも作画がいいのに動きが悪いという
アニメーションという媒体での致命的なまでの欠点が生まれてしまっており、
バトルシーンが多い作品なのにバトルシーンが面白く無い。
剣の構え方、カメラアングル、魔法の演出、
特に魔法の演出はCGを使っているがこれが余計にダサささ際立たせており、
魔法というファンタジーなものだからこそCGで表現したのかもしれないが、
ここ最近のCGのレベルを考えると、チープに見えてしまう。
主人公の技名もCGで出るのだが、せっかく
「天霧辰明流」という流派の名前で技の名前も和名なのにも関わらず
SFなRPGゲームのような表現の仕方をしてしまっており、
技の「かっこよさ」の演出が全くできていない。
めったにキャプチャ画像など掲載しないが下の画像を見てもらえば
わかりやすいだろう。
一言で言えば作画が綺麗なだけだ。
戦闘シーンをかっこ良く見せるための動き、演出など
バトルシーンを描く上での基本とも言える「センス」が欠落している
それだけならまだしも「キャラクター」を可愛く見せるセンスもない。
1話でヒロインの一人が「へそ」を主人公に見せるシーンが有るのだが、
もう少し「溜めて」しっかりと「おへそ」にカメラを寄せて
丁寧に見せればいいのに、まるで流れ作業のように「サラッ」っと見せてしまう。
これで尺に余裕が無いのならば流れ作業の感じも分かるのだが
この作品は分割2クール作品だ。
もう少し1つ1つのシーンを「魅せる」ストーリー構成ができたはずだ
謎の展開や演出も非常に多い。
例えば3話では主人公はかなり高い場所から飛び降るのだが、
特に空を飛べる能力があるわけでもない。
着地シーンが描かれず、飛びおりて3話が終わるためモヤモヤしてしまう。
ちなみに4話でも着地シーンは描かれない。
凄い身体能力があるのは設定的にもわかっているのだが
3話の「締め」のシーンにするために無駄に派手なシーンづくりにしており、
「飛び降り自殺」のような荒唐無稽な飛び降りは
逆にギャグにすらなってしまっており締めになっていない。
そして決定的なまでに主人公に好感が持てない。
いわゆる「俺TUEEE」的な力を短期間だけ発揮できるタイプなのだが、
このスーパータイムの時に物凄い調子に乗る。
普段の主人公はナヨナヨ系な主人公なのだが、
このスーパータイムの時だけ余裕&調子ノリまくりなセリフや態度になるため
非常に「イラッ」とくるタイプの主人公だ
これで、その主人公の調子ノリに対するフラストレーションを感じさせないほどの
「俺TUEE」的な戦闘シーンを描かれていればいいのだが、
前述したとおり、この作品の戦闘シーンはセンスが無い。
更に言えばキャラクター描写のバランスがあまりにも悪い。
この作品はラノベのお約束であるハーレム的要素も強い作品だが、
ヒロインの登場シーンがものすごく偏っている。
せっかく魅力的な幼馴染が居るのに
最初に登場させて少し掘り下げるとしばらく出てこない。
魅力的なヒロインが居るのに持て余している感じが物凄く強い。
キャラクターとキャラクター同士のストーリーや関係性がちぐはぐで
キャラ同士の会話や絡みのバランスがものすごく悪い。
そのせいでキャラが追加するごとに他のキャラが薄くなる
例えば新しいヒロインが主人公と出会う。
今回の話はこのヒロインの話なのかな?と感じさせた後に
それまで忘れされていた幼馴染ヒロインが再登場し、
自分の使っている武器をけなされたため大会に出場する決意をする。
しかし、もう一人のヒロインが既に主人公とタッグを組んでいるため揉める
という展開になる。
当然、タッグをどうするのかという幼馴染とのストーリーになるかと思いきや
そんな話は置いておいて冒頭で出会った新しいヒロインとのストーリーが進む。
たった1話の中で話があっちにいったり、こっちにいったりと落ち着きが無い。
本来はヒロイン同士をつなぐのが主人公の役目でもあるはずなのだが、、
そんな肝心の主人公に感情移入できないうえに、話の方向性が定まらないため
ヒロインの描写のバランスが余計に悪くなってしまい
魅力的なヒロインの魅力を活かしきれていない。
ただ、逆に言うと全てのメインヒロインを出し終えた終盤はそこまで悪くはない
物語の本筋である「大会」も開催されることで、
それまでの欠点であった話の方向性が非常に分かりやすくなり、
試合が中心に話が進むためヒロインの描写の偏りも若干、減る。
主人公の「俺TUEE」描写もようやくすっきりとした描写になり、
演出もしっかしている。
肝心の「敵」も、終盤にしてようやくキャラ立ちした敵が現れ、
バトル描写も急に終盤から盛り上がる演出になっている
序盤にあった安っぽいCG演出の魔法もなくなり、技名の演出もなくなる。
明らかに序盤と終盤で戦闘シーンのレベルが違う。
その分、セクシー部分での作画の質が下がっているのが気になるところだが
作品の主軸のバトルシーンがしっかりすることで、
作品全体が引き締まり、見れる作品になる。
全体的に見てもっとこの終盤のレベルに作品全体が統一されていれば
作品の印象は随分違っただろう。
序盤から中盤にかけてのつまらない戦闘シーンや、
話の主軸があっちこっちにブレまくる欠点が終盤でなくなることで
わかりやすいバトルファンタジーハーレムラノベアニメになる。
この作品が1クール作品ならば、もっと早い段階で終盤の展開になっただろう
だが分割2クールという余裕から生まれる尺の使い方が
冗長なストーリー展開や話の主軸がブレる展開になってしまっており、
結果的に王道な本作品の魅力がテンプレート的な要素へと
劣化してしまった感が否めない
しかし、逆に言えば2クール目から期待できるかもしれない。
終盤の盛り上がり方や戦闘シーンのレベルが2クール目でも維持できるならば
王道のバトルファンタジーハーレムものとして期待できそうな部分は大きい。
分割2クールではなく2クールアニメで作られていれば
一期の評価をここまで下げなくてよかったかもしれないだけに、
色々と残念だ。
個人的に心配なのは分割2クール目で予算を削られないかだ。
分割2クールはスケジュールの問題もあるが、
売り上げによっては2クール目の予算問題も発生する。
1クール目が売れれば予算が上がった作品もあるが、逆もまたしかりだ。
正確な数字こそ出ていないが、はっきり言って売れてないだけに
いろいろな意味で2クール目に期待したい所だ。
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プリシラが可愛いかった