これぞ2クール作品の面白さ。最終話のために残りの23話が存在する。
GARO初のアニメ化となっている。
なお、過去のシリーズとは繋がりはなく、見ていなくとも問題はない。
見だして感じるのは重苦しい雰囲気だろう。
「牙狼」シリーズは基本的に大人のための「深夜の特撮ドラマ」であり、
実写版の方ではセクシーシーンも珍しくはない。
その「牙狼」シリーズの雰囲気を本作品もきっちりと抑えている。
更に「鎧」の格好良さ。
1話冒頭3分で登場するCGで描かれた「鎧」の描写は
まさに「牙狼」の、あの「金ピカの鎧」を始めてみた衝撃の如く、
銀色に輝く鎧となびくマント、CGだからこその大胆かつダイナミックな動きは思わず
「おぉ・・・」と感嘆の声を上げてしまうほど素晴らしい。
どんな世界観なのか、どんなストーリーなのか。
そういった期待感をぎゅっと1話の冒頭「3分」に詰め込んでおり、
その期待感を保ったまま「JAM Project」によるOPが流れる(笑)
ちなみにこれも「牙狼」シリーズのお約束だ。
「牙狼」シリーズを見たことがある人も見たことがない人も、
この1話冒頭3分の「インパクト」はきっちりと伝わるだろう
ただ、その3分をすぎると好みが分かれる部分が強く出て来る。
特にあからさまな「エロ」。
これも「牙狼」シリーズ特有のものではあるのだが、
アニメではそれを「オブラート」に隠さず、かなりダイレクトに描いている。
見えはしないものの色々な「行為」をしている最中や
それを匂わすシーンの数々など「エロ」さは全く無いのだが、
かなりダイレクトに描いているため、好みが分かれる部分ではある。
だが、その「好みが分かれる」部分を超える「凄さ」がこの作品にはある。
戦闘シーンだ。
CGを使いまくった「縦横無尽」の重力を無視した動きの数々は
「アニメにおける戦闘シーン」が好きな方にはたまらないはずだ。
ただ剣を使うのではない、ただ切り裂くのではない、ただ突き刺すのではない。
アニメーションにおける「動き」を洗練し、
細かい動きと動作の積み重ねによる戦闘シーンの「流れるような面白さ」を追求し、
思わず、そう思わず「かっこいい」とつぶやいてしまうほど
この作品の戦闘シーンは素晴らしい。
「戦闘シーンのセンス」があるからこそ単純な武器の使い方ではない。
「マフラー」についた金具を巧みに動かす戦闘シーンは
他では味わえない「浮遊感」と「重量感」を生み、
剣を突き刺し「蹴りあげる」攻撃や、時には武器を捨て殴りまくる戦闘シーンなど
毎話のようにワンパターンではない素晴らしい戦闘シーンを繰り広げている。
そして、その戦闘シーンを際立たせる「王道」のストーリー。
前述した1話冒頭3分の謎や伏線をあっという間に1話で回収する(笑)
変に引き伸ばしたり、変に色々なものを匂わせたり、変に伏線を積み重ねるのではない
伏線の張り、その伏線を回収しを繰り返しながらストーリーを進めていく
シンプルなストーリー構成が「特撮」らしい「王道」のストーリーを展開しており、
その王道さが心地よく、見やすい。
すっきりと「1話1話の中」でストーリーを楽しませつつ、
作品全体の「ストーリー」を構成している。
物語の伏線と回収、ストーリー構成の基本とも言えるべき部分が
しっかりとしており、その伏線と回収の「心地よさ」が最近の作品にはない
ストレートかつ王道な面白さを生んでいる。
キャラクターにおける「師弟関係」の描写の仕方は王道だがたまらない。
人類の脅威である「ホラー」に立ち向かうため父から戦闘を教わる主人公、
国をホラーの脅威から守るため知り合った騎士からホラーを倒すすべを教わる
「もう一人」の主人公。
二人の主人公がいることで2クールのストーリーの中で対比が生まれる。
復讐を目的とし、強い敵を倒す力を求める主人公、
国を守ることを目的とし、人を守る力を求める主人公。
この二人の主人公が王道の中で「協力」し「対立」する物語が
続々するほどの王道の面白さを醸し出している。
この物語の「主軸」となるキャラクターをきっちり描くことで
王道のストーリーがより王道の面白さを醸し出す。
キャラクターを無駄にどんどん出すのではない、
必要なタイミングで必要なだけ物語に登場させ退場させる。
2クールと言う尺の中で「必要最低限」のメインキャラクターで
物語を紡いでおり、それが王道なストーリーを際立たせる。
重苦しい雰囲気の作品なのにストーリーが「ややこしい」なんてことはない
2クール作品にありがちな中盤の「ダレ」、
この作品は中盤、一旦ストーリーを区切り1つの物語を終え、
「1話完結」の物語を数話展開する事で見ている側の気分を1度切り替えることで
「ダレ」を発生させないようにしている。
特にこの中盤は「主人公が再起」するまでのストーリーとなっており、
本来は非常にダレやすいストーリー内容だ。
だが、そのストーリーをゆっくり進めながら「1話完結」のストーリー描写することで
物語のテンポを維持したまま、ダレさせない。
そして終盤の盛り上げ方。
これぞ「王道」ではある、だが、その「王道」の面白さを突き詰め
「予想できる」展開だからこそ、
その予想を超えるアニメーションの描写をすることで「王道」の面白さが際だち、
純粋に「燃える」展開と戦闘シーンを繰り広げている。
全体的に見て素晴らしい作品だった
「2クール」という尺をきっちりと意識し、
そこに必要なだけのキャラクターを登場させ、
物語を「引き延ばす」のではない「紡ぐ」ための伏線と回収を繰り返しながら
「復讐が目的の主人公」から「守りし者の主人公」に至るまでの成長を描き、
そこまでの道のりをまっすぐに、丁寧に描くことで
「王道」の面白さをきっちりと突き詰めるような面白さを醸し出している。
その王道さを支えているのは「戦闘シーン」だ。
前述したCGを駆使した「鎧」の描写を動きは
実写の特撮のアクションシーンとは違った「アニメーション」だからこその
大胆過ぎる動きを余すこと無く描くことで素晴らしい迫力を生み出していた。
本当は1つ1つ細かく書きたいほど戦闘シーンの1つ1つが本当に素晴らしい
「え?そんな方法で?!」と思うような剣の使い方や、
ゴリ押しの力押しの戦闘シーン、
人間と人間が戦うからこその「思考のぶつかり合い」のような戦闘シーンなど
思わず「かっこいい」とそうつぶやいてしまう戦闘シーンの数々は
王道なストーリーを地味にしてしまうのではなく、
「盛り上げ熱血」なストーリーへと昇華させるための要素になっていた。
欠点といえば若干クセが強いことだろう。
序盤の露骨な「エロ」要素やグロ要素など中盤以降はあまり見かけなるが、
好みが分かれてしまう部分かもしれない。
キャラクターデザインも最近のアニメというよりは
90年台のアニメっぽいデザインであり独特の癖がある。
ただ、その「癖」が王道のストーリーをただ王道にするのではなく、
「味」のある王道さに変えているおり、
くせに慣れてしまえばたまらない要素にもなっている。
1つ1つの要素にこれほど無駄のない作品も最近では珍しい。
2クールのオリジナル作品だといろいろな設定や要素を追加しまくって
完結しないような作品も最近では珍しくないが、
この作品は「最終話」までのストーリー展開に必要な要素を必要なだけ出し、
余計な要素がなくシンプルにすっきりとした作品に仕上げている。
だからこそ「最終話」がたまらない。
二人の主人公が二人の師匠から「継いだ」ものを活かし、最後の敵を倒す。
文章にしてみれば1行ほどの展開のために全24話が存在し、
「2つの鎧」を身にまとう主人公のとんでもないかっこよさを描くために
この作品は存在する。
もうそう言い切ってしまいたくなるほどかっこよすぎるのだ(笑)
そして最後の最後で物語最大の伏線を回収する。
熱血に、盛り上げまくり、燃えたぎった戦闘シーンの後に
「炎の刻印」、そのサブタイトルにきちんと「帰結」する。
最終話でこれほど動と静の面白さをたたきつけられ、
素晴らしい伏線の回収を見せられたことで思わず涙腺を刺激される。
この最終話を描くために残りの23話が存在する、
本当にそう言い切れてしまうほど素晴らしい脚本とストーリー構成だった。
残念ながら売り上げはかなり悪かったが、
本当に面白い作品なだけにもっと知名度が上がることを期待したい
第二弾の牙狼アニメも製作され放映されている。
今度は「平安時代」が舞台とのことで見るのが楽しみだ。
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