フリーザ復活させておいてこの仕打!ぜったいにゆるさんぞ虫ケラども!
本作品はドラゴンボールZの映画作品
前作の「ドラゴンボールZ 神と神」と繋がりがあり、見ていないとわかりづらい
監督は山室直儀、製作は東映アニメーション
開始早々「フリーザ」が出る(笑)
復活のFのFは当然フリーザーのFであることは見なくてもわかると思うが、
何の脈絡もなくギャグ的に悟空よりも先に現れるフリーザの姿は
いろいろな意味で衝撃的だ。
あのフリーザが・・・と若干ショックをうける人もいるかもしれない(笑)
その他にも序盤から非常にギャグ要素が強い。
前作でも「ベジータのダンス」など強烈なギャグシーンがいくつかあったが、
今作は強烈というよりも、しれっと「そのキャラクター」がヤラないような事を、
ギャグとして描写し、しれっと笑わせてくる。
ドラゴンボールという作品のキャラクターが好きならばくやしいけど笑ってしまう
「反則」的なキャラクター描写やネタ、セリフが多い。
「チャオズと飲茶はおいてきた」という天津飯のセリフなど
もはやギャグにしか聞こえない。
そのおかげでドラゴンボールの「初期」のような雰囲気の描写が強い。
特に「フリーザ」が蘇る姿など冗談のような復活の仕方であり、
「神龍」の願いを頼むときに妨害が入る展開や、
「ザーボン」や「ドドリア」などの懐かしい名前が出たり、
鳥山作品特有の「ピンクのうんち」が出たりと非常に懐かしい感じだ。
そして「フリーザ」のカリスマ性。
子供の頃見たフリーザーの強さ、怖さ、そういったものを「思い出させる」ような
セリフ回しは流石だ。
私はセルや、魔人ブウよりも「フリーザー」が好きだ。
だからこそかもしれないが、あの頃と全く変わらぬ「存在感」で復活した
フリーザーの一挙一動が面白くてたまらない(笑)
特に序盤のフリーザ語録ともいうべきセリフの数々は流石だ。
フリーザは生まれ持っての天才だ、コルド大王という父を持ち
生まれながらに才能と力に恵まれていた。故にこのセリフが出る。
「これまでトレーニングなどしたこともありませんし、
する必要もありませんでした
どうなるんでしょうかね、この私がトレーニングをして
潜在能力の全てを引き出せば。」
どうだろうか(笑)
多くのドラゴンボールファン、多くのフリーザファンの皆さんは
頭の中でこのセリフを中尾隆聖さんのかわらぬ声で再生して欲しい。
確実にこの作品を「見たい」と思うはずだ
たった4行に満たないセリフを頭の中で再生するだけで見たくなる、
それほどまでに「フリーザ」というキャラクターの完成度、カリスマ性を
改めて実感してしまうほどだ。
この映画はその「カリスマ性」「キャラクターの完成度」を味わうための
作品と言っても過言ではない。
なにせ映画が始めって20分、
本来の主人公であるはずの孫悟空が出ないのだから(笑)
作品の主人公が20分出ない、
敵キャラの復活という描写だけで冒頭の20分が描けてしまう。
他の作品では非常に難しいだろう。
ドラゴンボールという作品の「フリーザ」だからこそ出来る。
非常に残念なのは肝心の「トレーニング」シーンが描かれなかったことだ
クリリンの剃毛シーンなど入れるくらいだったら、
悟空とベジータの修行シーンを入れるくらいだったら、
彼のトレーニングシーンを見たいと思う人は多いはずだ
更に中盤以降は少し「?」となるような展開があまりにも多すぎる。
「チャオズと飲茶はおいてきた」というセリフはお約束的なので気にならないが、
ゴテンやトランクスまで置いてきていたり、
御飯が修行をサボっていたせいで「サイヤ人になれるかどうかギリギリ」という
弱体化設定が生まれていたりと、肩透かしを食らうような要素があまりにも多い。
ゴテン、トランクス、飲茶、チャオズは置いてきているのに
フリーザの前に「ブルマ」や「亀仙人」が居るのはちょっと不自然だ
中盤以降は妙にストーリーが間延びしている部分も多く、
すっきりしない感じが強い。
だが、久しぶりに天津飯の「気功法」や亀仙人の「かめはめ波」、
クリリンの「気円斬」などが気持ちよく決まるシーンは爽快感があり、
悟空が出ないシーンでの戦闘シーンの数々は
ドラゴンボール映画らしい「面白さ」がしっかりと出ている。
「ピッコロの道着」のネタなど古参ファンにとってはたまらないシーンだろう(笑)
しかしながら、その一方で今作には「ジャコ」が出ており
がっつり戦闘に参加している。
ドラゴンボールのスピンオフ的な作品の主人公ではあるものの、はっきりいって邪魔だ。
せっかく久しぶりに天津飯やピッコロやクリリンや亀仙人が
おもいっきり戦っている最中にぽっと出の「ジャコ」が同じように戦闘をしていても
何の面白みも感じない。
ゲスト出演的なキャラに時間をかけるなら別のシーンに尺を割くべきだ
はっきりいってこの作品は「肩透かし」を喰らう展開があまりにも多い。
悟空が遅れて登場するパターンを使うのは別のいいのだが、
誰も瀕死の状態になっていない状態で遅れて現れても
「悟空きたぁー!」というような感じにならず、
ギャグ的なシーンにしているせいでどうにも緊迫感にかけてしまう。
根本的に「ギャグ」と「シリアス」の
切り替えができておらず、メリハリが生まれていない。
シリアスな雰囲気のままでいいのにギャグを入れるせいで緊迫感が薄れ
シリアスなシーンになってもギャグシーンを引きずっているせいで
イマイチ盛り上がりにかけてしまう。
せっかくのフリーザ戦も悟空とベジータがケンカを始めたり、
「フリーザの更なる進化」も悟空を圧倒するのではなく少し強い程度、
それこそ過去の映画の「メタルクウラ」に比べると描写の圧倒感が弱すぎる
せっかくフリーザが強くなったのに、もっと圧倒的な力を見せて欲しかった
彼を復活させたのだから、強く進化させたのだから、
序盤から中盤までの「お膳立て」が終盤の盛り上がりどころで生きてこない
これはドラゴンボール最大の欠点である「インフレ」が原因でもある。
前作の神と神で悟空はサイヤ人の更に上のサイヤ人ゴッドを手に入れており、
フリーザを悟空よりも強くしようとするならばフリーザも
神に等しい力を手に入れなければならないが修行期間は4ヶ月しかない。
設定的に悟空を圧倒できるほど強くできなくなってしまっており、
インフレのせいで最大のバトルシーンの盛り上がりが弱くなってしまっていた
これが前作の「神と神」の前にこの作品が作られていれば、
サイヤ人ゴッドを体得していない状態で戦えば
もっと「圧倒感」が出ただけに、更に進んでしまったインフレが
作品全体の盛り下がりに繋がってしまっていた感じだ。
全体的に見て序盤から中盤までの盛り上げ方は素晴らしかった。
フリーザというドラゴンボールにおけるカリスマ的な敵の復活とさらなる進化、
天津飯やピッコロ、亀仙人の技がどんどん出る戦闘シーン、
さぁここから「悟空」と「フリーザ」の戦いがどうなるんだ!?と
盛り上げまくった所で物凄い肩透かしを食らってしまった。
特に終盤の展開は酷い。
ベジータに活躍どころを与えるためだけの展開や、
その後に「悟空」に無理矢理活躍させるためだけの展開、
「神」がメインキャラに加わったこ事でドラゴンボール以上に
「なんでもあり」になってしまった展開など
見れば見るほど「萎えさせる」展開の数々は本当に残念だ。
せっかくフリーザという敵を復活させたのに、
なんであそこまでがっかりするような展開の脚本になってしまうのだろうか。
盛り上げ方が素晴らしかっただけに、いきなり膝かっくんを喰らうような
「イラッ」と来る展開になってしまったのは残念でならない。
フリーザを復活させるという2度と同じネタは使えないようなネタにもかかわらず
消化不良で終わってしまった感じだ。
前作はお祭り的な要素も強く、久しぶりの映画ということありその分高く評価した
今作もまた同じようにお祭り的な要素も強い。
いわゆるドラゴンボールネタを活かしたギャグなどは面白くはあるのだが
前作のような「お祭り作品」ならいざしらず、
今作のように本来のドラゴンボール映画のように見せかけておいて
「お祭り作品」のような要素が多いのはがっかりしてしまう。
個人的にはエンディングテーマも更にがっかりだ。
前作のエンドロールがほんとうに素晴らしかっただけに期待したのだが、
ももいろクローバーが歌う全くドラゴンボールの世界観に合わない曲と
何の工夫もないエンドロールには本当にがっかりだ。
序盤から中盤まで期待感がどんどん上がってくるだけに
中盤以降の展開の酷さがほんとうに残念でならない。
監督を務めた「山室直儀」さんは今作が初監督作品だ
今まで作画監督として数々のドラゴンボール作品に携わってきた方だが・・・
何とも残念だ。
ドラゴンボールも新アニメシリーズが始まり、
映画も新作が作られる可能性は高いだろう
次回作こそはすっきりと面白かったと言える作品になることを期待したい。
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