突如として現れ、その身に呪力と呼ばれる力を宿し、地上を蹂躙していった謎の存在、魔甲蟲。人々は魔甲蟲に対抗すべく、その居住区を浮遊都市に移し、魔力と呼ばれる力をその身に宿す《ウィザード》の中でも魔甲蟲と戦える唯一の存在《空戦魔導士》の育成に力を入れていた。
アニメ業界の原作枯渇問題を肌で感じることの出来る作品
監督は稲垣隆行、アニメーション制作はディオメディア
この組み合わせで何かを「思い・・・出した!」という人もいるはずだ(笑)
見だして早々、タイトル通りのわかりやすい「空戦」が描かれる
CG感がバリバリ伝わる謎の敵が大量に押し寄せる中で
おそらく主人公と思しき人物が立ち向かう様子。
いかにもな「ライトノベル」感、いかにもな「B級アニメ」感を
わずか5分ほどの冒頭で感じられるのはさすが、稲垣監督といえるだろう
決して皮肉ではない(笑)
このアニメの「既視感」は物凄い。
どこかで見たキャラクター、どこかで見た敵、どこかで見た設定。
オリジナル要素を探すほうが難しいほどのいろいろな作品の寄せ集めでしかない。
パンを咥えた少女とぶつかってラッキースケベなど
何時の時代のアニメだと言いたくなるほどのシーンだ
更に悪すぎるテンポ。
90年台の2クールや4クール以上の尺があるようなテンポで
大したことがない内容をだらーっと引き伸ばし、だらーっと描写する。
1シーンあたりの密度、1話辺りの密度が恐ろしく薄い。
見ている最中に手元にリモコンがあったらならば「1.5倍速」で再生したくなるほど
テンポが悪すぎる。
既視感のあるテンプレート的な内容を遅すぎるテンポで描写する。
最悪の組み合わせだ。
1話を見終わった後に「よ、ようやく終わった」と思うほどのテンポの遅さだ
はっきりいってこの作品の内容は面白くない。
原作からこうなのかは原作を読んでいないので何とも言えないが
Amazonの原作レビューを見てもらえばわかるのだが酷評の嵐だ
空戦魔導士候補生の教官1 (富士見ファンタジア文庫)
なぜこの作品を「アニメ化」しようと思ったのか疑問に思うほど、
根本にある部分がつまらない。
あまりにもテンプレート過ぎる寄せ集めでしかない内容は
「アニメの原作枯渇問題」をひしひしと感じてしまうほどだ
はっきりいって「中学生が書いたラノベ」という表現が1番わかりやすい。
料理に例えるならば具材(原作)からして酷い。
だからこそ料理人がやる気を出せなかったというのが分かりやすく伝わるほど
アニメからスタッフの「やる気」が一切感じられない。
この作品を面白くしよう、この作品を楽しく見せよう。
そういう努力や熱意をこの作品からはまるで感じない。
だが、その気持ちもわかる。この作品の「キャラクター」は最悪だ
鼻につく所の騒ぎじゃないほどの極端なキャラ付けによるキャラクター描写が
テンポの悪さとあいまってフラストレーションが溜まりまくる。
自称女神な極端なナルシスト、どぎついツンデレ、わざとらしすぎるドジっ娘、
極めつけの「やれやれ」系主人公と
キャラクターに感情移入するどころか拒否感すら生まれるレベルの描写だ
そして極めつけの「空戦」の描写。
タイトル通りこの作品は空での戦いがメインのファンタジーラノベだ
よくわからない虫が人間を襲っている中で、そんな虫に対抗するべく
魔力をもったウィザードたちが日夜戦っており、
主人公は元エースの教官、ヒロインたちは「落ちこぼれ」の隊員という感じだ
そんな中で落ちこぼれのヒロインを序盤育てる。
同じような「背景」でまったくもって迫力のない空戦の描写は
迫力なんてものは一切なく、前述したテンポの悪さも相まって
メインの戦闘シーンなのにまったく盛り上がらない。
ストライクウィッチーズを見習えと言いたくなるほどの空戦描写だ。
そもそも設定が把握できない。
魔法しか効かない大量の虫が地上を埋め尽くしており、
人類は空中都市で生活しているような切羽詰まった状況のはずなのだが
日常の描写が物凄いゆるい。
今、どういう戦況なのか、人類はどういう状況なのか
そういった本来は説明しないといけないことを後回しで濁しているため
「ふわっ」と描写された絶望的な状況と、
ストーリーの緩すぎる&平和過ぎる描写が噛み合わず、作品に入り込めない。
更にストーリー的にも本当に内容が薄い。
簡単にいえば「実力はあるが性格&トラウマが問題の落ちこぼれ」ヒロインの
メンタルケアを序盤は描写している。
感情移入できないキャラクターのメンタルケア的日常描写をされても
そこに「面白さ」は一切なく、戦闘シーンも序盤は殆ど無い。
物語の中心にいるはずの主人公も「裏切り者」という設定があり、
裏切り者と事情を知らない人に言われまくるのだが、
その「裏切り者」の描写も薄い。
臆病者という表現とかならまだわかるのだが「裏切り者」と呼ばれるほど
裏切ってる感じがない。無駄設定だ。
序盤は「ランク戦」で勝つという目的でストーリーが展開しているが、
いいタイミングで敵が来てそんなランク戦はちゃんと描かれない。
そもそもランク戦なんてのんきな事をやっている世界観なのだろうか。
あっさり空中都市に攻め込まれるわ、総力戦をしないといけない状況だったり、
明らかに味方同士の「ランク戦」なんてやってる場合じゃない。
ちなみに1話の冒頭で戦闘シーンが描かれた後に
きちんと戦闘シーンが描かれるのは6話だ(苦笑)
その6話は、おちこぼれの生徒が主人公の指導でまともになる見せ所だ、
ここで思いっきり戦闘シーンがきちんと描かれていれば
作品の印象が変わったかもしれない。
しかし、この作品はそんなことはしない。
いわゆる「紙芝居」レベルの動かない戦闘シーンの連続は
もはや「意地でも動かしてたまるか!」という逆の意味での意気込みを感じるほどだ
動いたとしても遠いアングルで「ふわふわ」っとした動きでしかなく、
更にテンポの悪さも合わさって迫力や緊迫感なんてものは一切ない。
たとえは悪いがPS1の戦闘シーンを見ているかのようだ。
敵に攻撃が当たっても「壊れる」ような描写ではなく消える演出など
まさに少し前のRPGの戦闘シーンのようで
ロード時間が長く、演出が長く、シーンが長い。
早送り機能や戦闘シーンスキップ機能が欲しくなるほどの
グダグダな戦闘シーンは本当に「2015年」のアニメなのか?と疑いたくなるほどだ
これで極端な作画崩壊やネタになるような要素があれば
ギャグアニメとして楽しめたかもしれないが、
作画のレベルは低いだけで崩壊はほとんどしなく、
テンプレート的かつ寄せ集めの作品なだけにネタになる突き抜けた要素もない。
全体的に見て酷い作品だ。
既視感の強いキャラクター、寄せ集めの設定でひねりのないストーリー
それだけならまだましだが、そこにレベルの低い作画、遅すぎるテンポ、
全く動かない戦闘シーンと見れば見るほど評価を落としていく作品だ。
もう少しテンポだけでもどうにかなれば見れた作品かも知れないが、
この遅すぎるテンポはこの作品では致命的だった。
明らかに予算が少なかったのだろう。
安っぽいCGと止め絵で戦闘シーンを誤魔化すくらいの予算しか無く、
日常シーンでも作画崩壊を起こしていないのは不思議なほどだが、
低いレベルで低空飛行のままの作画だ。
極力キャラクターの作画をさけるようなシーンまであり
はっきりいって「無理矢理アニメ化」した感が否めない。
制作側の内情は把握できないが、もし内情がわかれば
「あー・・・そりゃ、あんな出来栄えにするしかないですよね」と
思わず同情してしまうほど、
そういう「予算事情」をひしひしと感じてしまう作品だ
そもそも本作品は2015年の春アニメだったのが
なぜか夏アニメに延期されている作品だ。
1クール延期しておいてこの出来栄えというのはある意味すごいが、
こんな出来栄えにしかならないほど制作側の混乱していたのだろう。
その結果、駄作になってしまった。
この作品に豊富な予算と余裕のある製作期間と優秀なスタッフがいても
名作になった可能性は限りなく薄いが、
原作があるのだからせめて、もう少し原作に対する礼儀があってもいいはずだ
個人的には聖剣使いの禁呪詠唱のようなネタアニメを期待していたのだが
残念ながらネタにすらならなくて残念だ。
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初めの五分間で妙な気がした。ググって納得。でも暇つぶしに見てみようかな。