見切りロケット発車
いわゆるボーカロイド作品の1つだ
監督は岩崎太郎、制作は動画工房
見だして感じるのは妙なテンションだろう。
一話冒頭で激しい戦闘シーンが描かれたかと思えば、ギャルゲーシーンになり
そうかと思えば隕石が落ちてくる(笑)
「あれ?これってなんのアニメ?」と思わずWikipediaで調べたくなるほど
このアニメがどんな内容のアニメでどういう感じなのかという
アニメの「芯」を掴ませない
その原因はヒロインだ。
ギャルゲー大好き、女の子大好き、妄想癖ありという
いろいろな属性がついたヒロインがテンション高めにストーリーを進めていく、
その妙なテンションの高さと度々挟まれる「妄想」のせいで
つかみ所のないストーリーを余計に掴ませないようにしており、
そんな妄想癖のヒロインの目の前に「空飛ぶネコ」なんかが現れる
もはや、このアニメを見たことがない人でこの文章のみを読んでる人も
「このアニメ、どんな内容なの?」と、思うはずだ(笑)
一言で言うなら、この作品は「能力バトル」ものである。
部活対抗で「能力バトル」を行い、
部活のランクが上がれば寮の部屋の広さや買い物できるポイントも多くもらえる
そんな特殊な学園に入学したハイテンションなヒロインの物語といえばわかりやすいが
一話の段階からいろいろな要素が「ごちゃまぜ」にされており
その「ごちゃまぜ」になっている要素をヒロインのハイテンションで
ガンガンに押せ押せムードで強引に進めているような感覚だ
そのせいで「テンション」に流されずに冷静に見てしまうと極端につまらない
爆笑するギャグがあるわけでも、シュールなギャグがあるわけでもない
ちょっとハイテンションなヒロインがハイテンションにセリフをしゃべっているだけだ
そのセリフをヒロイン演ずる「木村珠莉」がきちんと後押しする演技をするからこそ
ヒロインに愛着を持ち、ヒロインを「可愛い」と
思うことができ笑いにつながっている。
「木村珠莉」さんの演技による雰囲気作りに騙されていると言っても過言ではない。
逆に言うと「木村珠莉」さんのセリフ以外のボケセリフ、ギャグセリフは
はっきりいって「痛い」空気感すら流れるスベリっぷりだ
ヒロインのボケも非常にワンパターンで序盤から中盤までは笑えるのだが、
さすがに終盤になるとワンパターン過ぎて飽きてくる。
そもそも能力バトルもののはずのに能力の説明がない。
例えばとある魔術の禁書目録なら「魔法」と「超能力」だったり、
ジョジョの奇妙な冒険ならば精神力の具現化「スタンド」だったり、
能力バトルものでは、その能力がなんなのか作品の世界観の中で
どういった意味でどういった存在なのかというのが説明されることで
能力バトルに面白みが出て来る。
だが、この作品の「能力」の設定はふわふわだ
倒すべき悪やモンスターがいるわけでもない、
全人類の何%かで能力者がいて軍事的利用などがされているわけでもない
「ミカグラ学園」に入学できれば、もれなく能力がもらえて
学校での生活環境を良くするために部活対抗で戦うだけだ
ちなみにwikipediaなどによると
「能力や記憶は卒業して学園の敷地外に出たら失われる」らしいので
学園の中でのみでしか能力は意味が無い。
結局、この作品における「能力」は何なのか
それがずーっとわからないまま能力バトルストーリーが展開されてしまっている
「能力バトルものだから」能力があると言わんばかりの説明の無さであり、
説明のない能力で「学園の中での生活向上」を目的としたバトルを展開されても
いまいち盛り上がりきれない。
さらに言えばヒロインの能力。
物語の主人公の能力は「オリジナル性」「強さ」「ユニークさ」が問われるものだ。
しかし、この作品のヒロイン能力は「霊丸」である。
幽遊白書の浦飯幽助が使っていた能力そのものでオリジナル性もユニークさもなく、
王道の強さもなくつまらない。
戦闘シーンはたしかによく動くのだが、よく動くだけで
そこに「能力バトル」特有の駆け引きによる面白さや
能力を使った独特のアクションというものが無く、
ただひたらすら動いているだけのようなバトルシーンだ
よく動くのにつまらないバトルシーンというのは見ていて虚しいものがある。
全体的に見ていろいろな部分が練り込み不足だ
学園能力バトルをやりたいのはわかるのだが、
その設定をつめ込まないままに「能力バトル」ということだけしか設定ができておらず
更に浅い設定のままひねりのないドストレートなストーリーを展開しつつ、
キャラクター同士の滑り気味の会話劇を聞いていても疲れるだけだ
舞台設定とキャラクター設定だけで世界観設定がほとんどない作品だ
戦闘シーンも序盤こそがっつり描かれるものが多かったが
中盤以降は短いものもの多く、
キャラクター数が多いのにそんなキャラ同士の燃えるバトルというのが少ないのは
能力バトルアニメというジャンルで言えば欠点でしかない。
キャラクターの掘り下げも「第一印象」は悪くないのだが、
それ以上の掘り下げがないままのキャラクターも多く、
賑やかしにしかなっていない。
ヒロインのテンションの高さと「木村珠莉」さんの演技で何とか最後まで見れたものの
見終わったあとに「どっ」っと疲労感がのしかかるような作品だ
勢い任せにストーリーを進めるのは決して悪いことではないと思うが、
その勢いに頼りすぎたストーリーは「面白い」「先が見たい」というものではなく
強引に押し付けられているせいで空虚に感じ、疲労感がたまってしまう。
ノリは軽く明るいテンションなのにどうにも疲れる作品だ
売り上げ的にもいわゆる爆死、
Amazonの商品ページにはレビューすらつかないという異例の事態だ。
原作はまだ続いており、ストーリー的にも俺たちの戦いはこれからだ状態だが
2期の可能性はかなり薄いだろう。
ボーカロイド関連のアニメはどうしてこうも微妙な作品になってしまうのだろうか・・・
ある種のジンクスがこの作品で決定付けされたような気がしないでもない。
まだまだ今後、ボーカロイド関連のアニメが出ると思うが
このジンクスを打ち破る作品が現れることを期待したい
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原作小説は売れてるのにねえ…
キャラデザ、脚本、戦闘描写がオリジナルだったアニメのほうは全然駄目という
制作の動画工房、監督、脚本家陣の実力の無さが浮き彫りになったアニメでした