さあ・・・ゲームの時間だ
監督は立川譲、アニメーション制作はマッドハウス
基本的なストーリーはサスペンス。
謎のBAR、「クイーンデキム」には必ず二人の客が訪れる
二人の客にバーテンダーは「ゲーム」をするように際す。
ゲームをしなければバーから出ることはできない
そして今日も命をかけたゲームが始まる
前作を私は「ジャンプ読み切り漫画のような面白さ」と評している
この作品は「死」をテーマにしており互いの「死」をかけた「ゲーム」の描写が
映画というスクリーンサイズで画面狭しと描写されており
「老人」と「青年」のビリヤード対決の演出が素晴らしい作品だった。
だからこそ、この作品に対する期待感は大きかった
しかし、同時に不安でもあった
前作は「30分」の作品だった。
だからこそ「設定」の突っ込みどころや気になる部分などを
勢いで押し切ってやりきった感じのある作品だったが、
本作は30分ではなく「1クール」の作品だ
だからこそ、前作でも感じた作品の突っ込み所をどう処理するのか
期待と同時に不安を感じさせていた
序盤は面白い。
「デス・ビリヤード」で感じた「人間の本性」ともいうべきキャラ描写、
前作は青年と老人という無関係の2人の勝負だったが、
1話は「夫婦」だ。
夫婦が命をかけたゲームをする中で「子供」の存在や「浮気」の事実など
ドロドロしたドラマが描かれる中で行われる「ダーツ」に緊張感が生まれる
ただ「結末」がすっきりしない。
これは前作でも感じていた部分ではあるのだが
ゲームの勝敗=魂の行く先の決定ではなく、
あくまでゲームを行う2人の人間を「バーテンダー」が見つめて、
「バーテンダー」が魂の行く先の決定する。
ゲームはあくまでも人間の本性を出すためのものだけに過ぎず意味が無い
ゲームの基本的な設定、世界観の基本的な設定を
「2話」であっさり解説してしまうことで
前作や1話で感じた「謎」の部分の面白さがない。
ゲームの勝敗の結果、魂の行く先、描かれる人間ドラマの真実など
あっさりと「こうでした」と説明されると、
見た側が「解釈」や「考察」していた部分の面白さが薄まる。
「もしかしてこれはこういうことなんじゃ?」という謎や説明されない設定は
あまりにも多すぎる場合は難解になりすぎてわかりづらくなる場合も多い
「新世紀エヴァンゲリオン」以降そういった作品が増えたが、
この作品は「説明しなくてもいい」と感じる部分まで説明してしまっている
前作の段階、1話の段階で「ゲーム」の勝敗が特に魂の行く先に関係ない
これが分かってしまっている時点で
作品として「ゲーム」のシーンの緊張感がそれ以降まったく生まれない。
だが、作品全体でゲームは行われる。
緊張感のゲームを淡々と描かれても面白さが薄く、
毎話訪れる客が変わっても結局オチはあまり変わらない。
ストーリーの流れや「オチ」が分かってしまっている時点で
序盤の段階で「マンネリ」が生まれてしまっており、
同じような起承転結を毎話見せられてる感じが強い。
人間ドラマ部分も「声優」さんの演技に救われている部分が大きい
中井和哉、川澄綾子、間島淳司、M・A・O、森田成一、森田成一、山口由里子、
安元洋貴、松元惠、種崎敦美、宮野真守、櫻井孝宏、藤原啓治、谷育子と
バーにやってくる人間はすべてベテランの実力派声優ばかりだ。
だからこそ「あまり大したことがない」人間ドラマが
彼らの演技によって一気に「見応え」のある人間ドラマに変貌している
はっきりいってストーリーの当たり外れがでかい。
前述したとおりゲームによる緊張感は生まれないため、
「人間ドラマ」部分しか楽しむところがない
だからこそベテラン声優陣に寄る迫真の演技の数々に圧倒される
人間ドラマ部分を新人声優さんが演じていたならここまで面白くはない
「声優の演技」のアニメにおける重要さをここまで感じる作品はない
思わず「ゾクッ」っとするほどの演技だ
緊張感のある中の人間のセリフだからこそ、感情だからこその演技、
「死」をかけたゲームをやっているキャラクターたちだからこその感情表現の数々は
普通のアニメなら1クールに1,2回あればいいほうだろう
だが、この作品の場合はほぼ「毎話」だ。
そのおかげで「ゲームの勝敗」が
魂の行く先に関係ないというオチを忘れることができる。
特に6話のギャグ回や、9話の「殺人者」の裁定というシリアス回。
どちらも表裏一体の回ではあるが、どちらも「演技」が素晴らしく
ギャグにおける過剰とも言える反応や演技、
シリアスだからこその絞りだすような声や感情表現の演技、
脇腹をくすぐられるような演技と心臓を鷲づかみにするような演技、
本当に聞き惚れてしまうような演技だ。
だが、その部分を「アニメーション」としての演出が後押しししていない
ゲーム部分の演出やキャラクター描写、
全てにおいて「デス・ビリヤード」の演出よりも劣ってしまっており、
「ゲームの勝敗」が「魂の行く先」に関係ないというオチをしっているのに、
その「オチ」を忘れるほどの演出がない。
声優さん達の演技のお陰でその「オチ」を一瞬忘れることはできるが、
アニメーションとしての表現があと一歩足りていない
しかしストーリーを最初から最後まで見るとすっきりとする。
「後味」の悪い結末が多い中で、少しずつ「主人公」が変化していく
感情もなく魂を見比べ裁定をする。
その中で「主人公」は少しずつ変化を起こし、人間というものに興味を持つ
1話1話の中では変化はわかりづらく、1話1話のストーリーだけでは
「全体」のストーリーは見えてこない。
ストーリーの積み重ねを意識し
「デス・ビリヤード」の流れをくむ1話完結の話を積み重ね、
その1話~2完結の中で「人間」を描く。
意味のないゲームを死んだ人間の感情表現に使いながら
極限状態の「人間」を生々しく描くからこそ、
感情のなかったはずの「主人公」に何かを感じさせる
同じような展開の中でマンネリを感じる部分もありつつも
その「マンネリ」を積み重ねることで「デスパレード」という
1クールの物語を作り上げている
物語の当たり外れをどう受け止めるかは人によって違うだろう
だが、この作品は「1話」から「最終話」まで見て
マンネリも感じた上で最後のシーンを見た後に
「面白かった」と素直に言えるような作り方だ
全体的に見て最後まで見てよかったと思える作品だ。
一発ネタな感じの強かった前作を引き伸ばしたようにしか感じない序盤は
引き伸ばしではあるものの、その「一発ネタ」の面白さに引っ張られ見ることができ、
中盤でややダレはするものの「声優の演技」による人間ドラマの盛り上げが素晴らしく、
ダレてはいるもののがっつりと見てしまう。
そして、そんなダレを惰性を感じながら終盤に
「主人公」に感情が目覚めるまでの展開に不覚にも涙腺を刺激される
淡々と人の魂を「裁定」していただけに過ぎなかった主人公が
数々の人間の感情に触れたこと、「知幸」という女性に出会ったことで
感情が生まれ、涙する。
ストーリーの「積み重ね」が最終話で爆発するストーリー構成だ。
惜しむべきは、その「マンネリ」や「中だるみ」のせいで
最終話まで見ていない人もいるだろうなという印象も感じてしまう
もう少し6話のようなギャグ回が挟まれれば
そういったマンネリもなく見やすさが生まれていたかもしれない。
1クールという尺の都合ゆえに中だるみが生まれていたのが残念だ。
1クールではなく2時間位の映画だったら、もっと高い評価ができただろう
最終話まで見れたかどうかで評価が大きく変わる作品だ。
最終話の主人公の「涙」と「笑顔(笑)」と「笑顔」のために1クールが存在する。
若干消化不良の部分や気になる部分はあるものの
ストーリーの積み重ねと「声優の演技」をじっくりと堪能できる作品だ
見る人の価値観や「中だるみ」のおかげで評価が割れる作品ではあるものの
前作のデス・ビリヤードも含め、1度は見て欲しい作品だ
個人的には「デス・ビリヤード」のほうが好きだった
デスゲーム的な雰囲気や対決の緊張感、そしてオチなど
設定がわからないからこその面白みは前作のほうが上だった。
もっと個人的なことを言えば前作の「強い爺さん」のようなキャラ描写が欲しかった
本作品も面白いのだが、色々な部分でもう一歩欲しかったと感じてしまう。
一言で言うと「惜しい」作品だったといえるだろう
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