世界征服とは何だったのか
『青の祓魔師』の監督で知られる岡村天斎監督によるオリジナルアニメ
見出して感じるのは非常に独特な空気感だろう。
廃退した街並みで1人「世界征服」を叫ぶ男を描いたかと思えば、
夜の繁華街で家出する「主人公」を描く
そうかと思えば「戒厳令」が敷かれ、町が眠る
そして「幼女」が主人公の目の前に現れる
この作品の「世界観」や「設定」が把握できないままに、
把握できないがゆえに「どういうこと?」と興味がわき、
振り回されるような作品の空気に飲まれる
更に演出。
描き込まれた背景とキャラクターを切り替えながら映し、
キャラクターのアップを多用せず、遠近を激しく切り替えながら
「動き」の少ないシーンでも地味に淡々と描くのではなく
激しい「切り替え」によって派手さを生み出しており、
トントン拍子に進むストーリーに良いリズム感を与えている
そして始まる「世界征服」。
謎の力を行使する「ズヴィズダー」の構成員達、
あっというまに戦車を征服する怒涛の展開。
設定の1から10まで説明せず、
1話の段階では1しか描写していない状態で残りの9が知りたくなる。
「1話」の完成度は非常に高く、物語に対する期待感を煽りまくっている
しかし、そんな1話が終ってしまうと途端にテンポが落ちる。
1話でシッチャカメッチャカ見ている側を引き回したのに
2話以降では「よくある深夜アニメ」の「よくあるシーン」が多く、
1話で「知りたい」と思った設定が明かされずに
余計なシーンが非常に多く、テンポの悪さのせいで
せっかく1話で感じた「面白さ」が2話以降どんどんなくなっていく
なぜ世界征服をしようとしているのか、彼女たちの力はなんなのか?
なぜ幼女が秘密組織の総統なのか?など
1話で感じた「知りたいこと」が描かれないままに
非常にどうでもいい日常話が淡々と描かれてしまう。
3話では「タバコ」批判の内容の話だ、
別に本筋と関わりがある内容ではない。
確かにタバコのルールや健康被害に対して思う所がある人も多いだろう
だが、ここまで「自己主張」の激しい「タバコ」の話を
アニメというフィルターでごまかして描く必要性は感じない
それがイイ意味でギャグになっていればいい。
別作品では「銀魂」でたばこを使った話があったが、
アレと比べるとこの作品のタバコ回はギャグになっておらず
ただの「タバコ批判」のようになってしまっている。
このタバコネタも1話限りならいいが、
終盤でまた引っ張ってきた時は首を傾げてしまった
はっきりいってナニがやりたいかわからない。
1話や2話の段階ではこの作品に対する期待感や設定の面白さ
キャラクターデザインの可愛らしさに惹かれてみることができる。
だが、3話以降。
「で?」といいたくなるようなどうでもいいストーリーが非常に多く、
そのストーリーが非常にテンポが悪いため、
余計にダラダラとストーリーを展開している印象が強まってしまう
これでもう少しテンポが良ければ
「ナニがやりたいかわからない」ストーリーにカオスさが増し、
荒唐無稽な感じは強く出てしまうかもしれないが
ダラダラとしたストーリー部分がギャグアニメとして楽しめる部分も出てきただろう
ただギャグ部分も妙にズレている部分が多く、簡単にいえば滑っている
パロディ要素も多いのだが、わかりにくいものも多い。
シリアスをやりたいのか、日常をやりたいのか、
萌えをやりたいのか、ギャグをやりたいのか
色々な要素を詰め込みすぎており「1クール」という尺では
結局のところ、どの要素も捌ききれず、どの要素も中途半端になってしまっている
面白くなりそうな要素はたくさんあるのに、
なかなか「盛り上がらない」ままに終ってしまっていた
全体的に見て練り込み不足だ。
思いついたアイデアをそのまま取り入れたような内容は
確かに「序盤」の段階ではそのアイデアが組み合わさっていることによる
面白さを感じるのだが、結局、その思いついたアイデアがまとまらずに
毎話毎話のつながりが弱い。
「結局あれはなんだったのか?」という要素が見終わった後にあまりにも多く、
その割には1話1話のストーリーの内容は薄い。
はっきりいってしまえば期待はずれだ。
1話のあの期待感、面白そうな作品が始まりそうなワクワク感は物凄く
非常に高いハードルを最初から設置してしまっており、
結局、1度もそのハードルを超えないどころが飛びもしなかった
特に終盤の急展開ぶりにはさすがについていけない
唐突すぎる展開に唐突すぎる展開をつなげて唐突すぎる終りを迎える
各話のつながりが弱いせいで1クールの締めを迎える展開への移り変わりも
ストーリーの「流れ」というのを無視したものになってしまっており、
せっかく感情移入しかけていたキャラクターにも感情移入できなくなってしまう
色々な作品の世界観設定やキャラクターの感情や設定など
そこに「ある」だけで、1つ1つがバラバラでまとまっておらず
終盤まとめようと、その要素の1つ1つを片付けようとしてはいるのだが
そこにまた新しい要素や設定をいれてしまうため
片付くどころか余計に散らかってしまっているような感覚だ
はっきりいって尺不足だ。
これが2クールならテンポの悪さも納得できたかもしれない。
終盤の急展開すぎる展開の数々ももう少しやわらいだかもしれない
しかし、1クールという尺の中には多すぎる要素を入れすぎてしまい
結果として1つの作品としての「起承転結」が甘くなってしまっていた
作画のクォリティやアニメーションとしての動き、
キャラクターデザインの可愛らしさなどは悪くなかったのだが、
ストーリー構成や脚本が足を引っ張ってしまっていた。
1つ1つの要素や設定、世界観など作品を構成するパーツは悪くなかっただけに
色々ともったいなさを感じてしまう作品だ
個人的にはロボ子が可愛かっただけに、
もう少し彼女の真の姿が見たかった(笑)
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