なんだこの駄作は・・・
わさび版ドラえもんとしては第7作目にあたる。
小学館創業90周年記念作品として作られている
この作品は恐らくドラえもんとしては初めて
のび太の父「ノビスケ」がガッツリと出る。
冒頭からジャイアン達と虫相撲に興じたり、少年時代のノビスケが出てきたりと
子供時代とはいえ結構ガッツリと「のび助」が出るのは
今までにスポットが当たりにくかったキャラだけに新鮮だ
ストーリー的にはあるキッカケで絶滅危惧種を連れてきてしまったのび太たちが
奇跡の島と呼ばれる絶滅危惧種たちが生きる島にいくところから話が始まる。
だが、このストーリーが面白く無い。
序盤から妙に間延びしておりテンポが悪いとまでは言わないものの
1シーン1シーンが若干間延びしてしまっており、だらーっと始まる。
更に物語が動くのもゴンスケという藤子作品好きならばたまらないキャラなのだが
このキャラクターのせいで物語が強引に動いてしまった感じが強く、
序盤から若干違和感を感じるストーリー展開になってしまっている
1シーン1シーンの展開の切り替えやストーリーの場面の切り替わりが
常に唐突かつ不自然で、子供は気にならないかもしれないが
大人だとこの強引なストーリー展開は引っかかってしまう。
唐突に感動的エピソードを入れてくる構成も謎だ
あまりにも強引に親子の「絆」を強調したエピソードを入れられても
何の感動も生まれない
そもそも話の主軸がバラバラだ
序盤はカブトムシを絡めて物語を展開すると思えば、
絶滅危惧種の話になり、のび助の話になりと
物語の中で描かれていることの方向性がバラバラで統一感がない
特に絶滅危惧種に関しては完璧に舞台背景でしか無くあまり意味を感じない
のび助の少年時代も「のび太」のそっくりさんとして登場し
のび太たちには父親の子供時代とはわからない。
だが視聴者にはもちろんバレバレで物語の中で効果的に作用しない
その他にもわざとらしくドラえもんのひみつ道具が破壊されて行く展開も不自然だ
これが一気に「ポケットを無くした&使えない」なら理解できるのだが、
なぜか1つ1つ丁寧に潰す(苦笑)
この作品は本当に色々なところで「違和感」が物凄く出てしまっている
例えば物語序盤でのび太は父親と「カブトムシ」を大切に育てる約束をする。
だが、虫相撲にジャイアンで負けた途端、そのカブトムシに興味がなくなったようで
約束なんていざしらずほっぽり出し、新しいカブトを求める。
そのカブトムシもタイムマシンで過去に行き絶滅危惧種を育ててる島から盗んだものだ
何の悪びれもない。
スネ夫、ジャイアン、しずかちゃんは完璧にサブキャラ扱いになっており
存在価値もいる理由もいまいちわからず、キャラクターを使いこなせていない
物語の違和感、キャラクターの違和感、セリフの違和感。
作品全体のありとあらゆるところで不自然な部分や違和感を感じる部分が多く、
まるで1シーンごとに別の脚本家が話を書いているような感覚になるほど
物語が物語としての体をなしていない。
やりたい事は分かるのだが、そのやりたい事同士が繋がっておらず
そのせいで本来盛り上がるべきシーンが盛り上がらない
特に終盤の展開の唐突さは異常事態だ。
敵が探しまくっていた謎の黄金のカブトムシはあっさり出てくるわ、
のび太に見捨てられたカブトムシがそれまで地味だったのにえらく活躍するわと
ストーリーの積み重ねが一切ない唐突な展開ばかりの終盤だ
のび太に見捨てられたカブトムシが終盤活躍するなら、
それに相応しい「交流」がもっとあってしかるべきだろう。
全体的に見て色々な要素が「要素」として存在するだけで全て薄く掘り下げが甘い
結局、物語の主軸にあった「ゴールデンヘラクレス」が何なのか
ドラえもんの映画的なオチを考えれば未来の技術だったり、
違う惑星や世界のものだったりすることも多いが、
この作品におけるゴールデンヘラクレスは「隕石パワー」というフワッとしたもので
結局何のかが明かされない。
絶滅危惧種という要素も結局ほとんど活かされず、
カブトムシ要素だけが妙に目立つが、目立っているだけで意味は無い
もう1つの主軸である「親子の絆」もゴリ押し感が強く
感動するのは難しいレベルの不自然さとわざとらしさだ
せっかく「のび助」にスポットが当たったのに結局使いこなせないまま終ってしまった
キャラクターの使い方という基本ができていないといえばわかりやすいだろう。
「どらえもん達」「のび助」「博士」「島の住人」「カブトムシ」「敵」と
立ち位置の違うキャラクターが多く、
それぞれの立ち位置のキャラを動かしながら物語を作ることができておらず、
それぞれの立ち位置のキャラが好き勝手動いて何となくの物語になってしまっている
作画的にはきっちりと描かれており悪くない。
アクションシーンの迫力や絶滅危惧種の描写など
作画的に見れば見どころはあるのだが、
その見どころをストーリーで潰してしまっているような作品だ。
見終わった後に結局なんだったのかと感じる部分があまりにも多く
消化不良のまま何だかな・・・という微妙な感覚が残ったまま映画が終わってしまう
尺的には1時間半ほどなのだが、
なんだかもっと長い映画を見終わったような強烈な疲労感のある作品だ
この作品の次回作である「ひみつ道具博物館」は同じ監督でありながら名作だ
ソレを考えると「脚本家」が悪かったというのが最大の要因なのだろうが・・・
脚本家の大切さを次回作と合わせてみると強く実感できる作品です(苦笑)
個人的には物語の序盤の感じは嫌いじゃなかったのだが、
少年時代のノビスケが出た辺りから話が散らかりだして
その後は惰性で見てしまったような感じの作品だ
子供視点で見ても楽しめる部分があるかどうか微妙なところで
この作品で「何がしたかったのか」が本当に謎だ・・・
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差し出がましいようで申し訳ございませんが、秘密道具博物館とスタッフが同じなのは脚本家の清水東さんの方ですよ。奇跡の島の方で監督をなされた楠葉宏三さんは秘密道具博物館ではオープニング絵コンテ・演出をなされています。(秘密道具博物館の監督は寺本幸代さんです。