どないなっとるんや!
監督は山口祐司、制作はテレコム・アニメーションフィルム
開始して早々「説明口調」なナレーションで物語の世界観と状況が語られる
突如現れた「ゼクス」という怪物により人類が滅亡の危機にさらされており、
世界ではゼクスたちによる戦いにあふれていた
人間がゼクスをパートーナーにして戦ってる様子が描かれるのだが、
「何のために戦っているのか」がよく分からない状況で
登場人物の紹介をしながらストーリーを進める
本来は物語が進む中で主人公を通して「世界観」や「設定」を理解していくことで
キャラクターに感情移入をシたり世界観に入り込ませないといけない
だがナレーションで世界観を片付けてしまい、
なぜかよくわからないまま主人公たちはゼクスを従えて戦っている。
そんな中、唯一ゼクスによる被害を間逃れた「神戸」に住むのが主人公だ
この・・・主人公が問題だ。
アニメにおける大阪弁を喋るキャラクターは基本的にサブキャラクターの場合が多い
京都弁を喋るキャラクターならメインキャラの場合が多いが、
基本的にこてこての関西弁を喋るキャラクターで「主人公」なのはこの作品くらいだろう
若干聞いていて「イラッ」っとするぐらいの関西弁だ。
演じているのは下野紘さんだが、彼に罪はない
ここまで「関西弁を想像して書いたセリフ」というのが分かりやすい関西弁セリフは
わざとらしさが物凄く、物語に集中できない
「せやから」「いかへん」「なんでやねん」
日本人の多くが「大阪弁」を喋って下さいと言われたら
喋れるような関西弁を喋る主人公は感情移入といよりも拒否感のほうが強い
更に戦闘描写。
ゼクスというモンスターを使った戦いが中心の作品のため戦闘描写が多い
だが、作画の質が悪く「動いて」はいるのだが、動きの面白さが一切ない
アニメーションにおける動きの面白みというのがよく動いている割には表現できておらず
凡庸な戦闘描写だ。
本当に「2014年」のアニメか?と思うほど質感が古臭い
2000年代前半の朝や夕方にやっていたような作風で、
その作風に釣られるようにキャラクターデザインやモンスターデザインも古臭い。
古臭くともかっこ良ければ古臭さは評価すべきポイントになる。
だが、この作品は単純に「予算」がないのだろう。
予算がないのに戦闘描写を頻繁に描かねばならず、
予算がないのに大量のキャラクターを登場させないといけないため
1つ1つのシーンの質が落ちている。
むしろ極端に崩れてしまったほうがネタとして楽しめるのにあまり崩れないため
ネタ的にも楽しめない。
そもそも、この作品は誰向けの作品なのだろうか。
「Z/X」というカードゲームを楽しんでいる方で詳細にカードゲームを世界観を理解し
ゲームを楽しんでいる方にしか楽しめないような世界観と初見お断り感が半端ない。
ナレーションで世界観の説明はされるものの、
カードゲームの世界観を理解しないとこの作品の世界観を理解するのは難しい
ふわふわっと「なんか戦ってる」、ふわふわっと「キャラクターが喋ってる」
物語の「芯」となる部分が語られずに物語を進めるため、
物語が今どんな状況でどういう風に進んでいるのかが見えず
視聴者が一切理解していない状況なのに大量のキャラクターまで登場させるため
余計に理解できない
ハッキリ言って脚本のレベルが低すぎる、
大した脚本じゃないのに時系列シャッフルまでかましてきたり、
主人公の大阪弁セリフももっとネイティブという言い方は変だが自然にできるはずだ
ここまでわざとらしい大阪弁セリフはギャグキャラやサブキャラなら笑いになるが
わざとらしい大阪弁はギャグではないアニメでは邪魔でしか無い。
根本的な設定の作りこみも甘い。
人類を滅亡させるレベルのモンスターが異世界からやってきているのに
なぜか「神戸」だけ無事という謎の地域設定の不必要さや、
「中学生」でも考えつくようなありきたりなファンタジー設定の数々、
1つの作品の設定としての設定の作りこみが甘すぎる。
そんな甘い設定なのにその設定の説明を「ナレーション」で片付けてしまう。
主人公を通して世界観を知れば作りこみ甘くともシンプルな設定は
受け入れやすくわかりやすかっただろう、
だが、ナレーションで片付ける世界観の説明のせいで頭に入ってこない。
言葉の意味もかぶっているせいで余計に理解が追いつかない
簡単に説明すると「Z/X」というモンスターが
「ブラックポイント」という場所から出てくる。それが地球に5箇所できた
更にそのブラックポイントが日本国内限定で「4箇所」新たにできるという
ちょっと混乱してしまう設定だ。
なら世界中という設定は説明せずに日本国内だけ「4箇所」現れたという風に省けば
もっとスッキリと受け入れられるのに、ややこしくしてしまっている
ただでさえ「Z/X」というモンスターが現れて大変なのに
日本は更に大変な状況なのだ、だが神戸だけは平和すぎる。
学校に通ってるわ、テレビは普通にやっている。
作品のあらすじによれば「ゼクスと人類の熾烈な戦いが始まった。」と書かれているが
そんな戦いが始まってるはずなのに平和な日常が描写され
日常ギャグまで描写されると強い違和感が生まれてしまってる。
世界観の緊迫感とシーンの描写の軽さのギャップが激しく
そのギャップが面白さに繋がっておらず、違和感に繋がってしまっている
むしろもっとギャップを強くすれば笑いにつながるような荒唐無稽さが生まれるだけに
中途半端なギャップは作品全体を象徴するかのようだ
物語の中で描くべき設定と描かなくてもいい設定を洗練しておらず、
思いついた設定をそのまま物語に落としこんでいるような感覚で
1つ1つの設定は大したことがないのに、ややこしく感じてしまう。
この作品は1話で失敗してしまっている。
時系列シャッフルをしてしまったことで世界観や設定を理解しづらくなり、
1話から大量のキャラクターを出すことで視聴者に拒否感を植え付けてしまっている。
2話以降はある意味王道的ストーリー展開で進めており
話が進むと1話では全くわからなかった内容がわかってくるようにはなり、
それぞれのキャラクターが戦っている理由や世界観も何となく把握できる。
シンプルに時系列シャッフルをせずに1話からきちんとやれば印象は違っただろう。
わざわざ1話で視聴者を混乱させる事はなかったはずだ
全体的に見て最終話まで見てもフワフワした作品だった。
1話で詰め込みすぎのストーリーと「大阪弁」の主人公という最悪な組み合わせのせいで
多くの視聴者の視聴意欲を失わせ、
2話以降のストーリーは王道ながらも盛り上がらない戦闘シーンの連続、
王道といえば聞こえはいいが使い古されたストーリー展開は面白みを感じない。
そもそも、無理矢理にカードゲームの世界観をアニメにする上で
ストーリーの中にぶち込んでしまっているため、
カードゲームの世界観設定がアニメのストーリーでうまく機能しておらず、
作品のおける「芯」の部分がいつまでたっても見えない
「赤」「青」「白」「黒」「緑」と5つの異世界と陣営があるのもややこしく
それぞれの世界の目的や雰囲気、その世界に所属するキャラクターたちの紹介で
1クールが終ってしまった感じが否めない。
あくまでも原作カードゲームの世界観の雰囲気さえわかれば販促アニメとしては
十分なのかもしれないが、1つのアニメ作品としては微妙な作品だった
本来は深夜アニメの1クールではなく、
夕方や朝にがっつりと4クールくらいで作る作品だろう
そのせいで1クールでは捌き切れないキャラクター数と
1クールでは描ききれない世界観になってしまっている
ただ、描ききれていないはずなのにテンポも悪く内容も薄い。
序盤を乗り越えれば中盤以降は極端につまらない、極端に分からなことはなく
後半はキャラクターに愛着をもてば楽しめる内容だ
ただ、あくまで全12話でようやく物語の序章が終わりました感が物凄く強く
色々と最終話で2期への伏線をたてまくっているのも厄介で
これが2期や分割2クールを想定したストーリー構成ならば納得できるが、
そんな予定はなさそうだ。
大阪弁の主人公なら、そんな主人公らしくもっとネタに走っても良かったのではと感じる
多くの登場人物と混沌とした世界観だからこそ「ネタ」的な内容は光りやすいが
ストーリーは意外に真面目でシリアスな展開も多いため、ネタ的な要素は薄い
販促アニメなら話題性を狙って暴走した展開にしても良かったと個人的には思うが、
そういった部分はなく、真面目に展開しているのは個人的には残念だ
今から見る人はあえて1話を飛ばしてみるほうがこの作品に馴染みやすいだろう
あの1話がなければ評価をもう少しは上げられたと思うが・・・
何やら「新アニメ」を作るという情報もあるが2期と言っていない以上、
大阪弁の主人公をもう1度見ることはなさそうだ(苦笑)
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