この作品にずっと浸っていたい、文学少女はお好きですか?
監督は宮繁之、アニメーション制作はブレインズ・ベース
見出して感じるのは若干、「癖」のあるキャラクターデザインだろう。
背景は非常に繊細かつ美麗に描き込まれており、
そんな綺麗な背景の上に描かれるキャラクターデザインは
背景から少し浮いているようにも感じるのだが、同時に不思議な雰囲気を醸し出している。
もう少しキャラクターが美麗なら「少女マンガ原作」と言われても違和感がないほど
少し綺羅びやかさえ感じるキャラクターデザインは一気に作品の世界観に引きこまれる
特にヒロイン、「河合 律」の描写に関しては主人公の気持ちが痛いほどにわかる
学校の図書室で一人静かに本を読む少女、
図書委員の仕事をしながら思わず目の端で彼女を見てしまい思わず見惚れる。
どこかで見たありふれたシーンではある。
だが、本来なら古臭いシーンが逆に新鮮に感じてしまい、
ありふれたシーンだからこそ「共感」を覚える。
そして急にギャグが挟まれる。
所謂、日常的な会話と会話のギャグではあるのだが、
1話冒頭では「美麗」ささえ感じるシーンだったのにいきなりギャグが挟まれることで
この作品を「どう捉えていいのか」一瞬迷う(笑)
作品に引き込まれたかと思ったのに、引きこまれた先で急にもみくちゃにされたような気分だ
ギャグの内容もシモネタがかなり多く、余計にギャップが強い。
そうかと思えばまた美麗な雰囲気に叩き込まれる。
「ギャグ」と「恋愛」要素の振れ幅が非常に大きく、
しっとりとした雰囲気から急にハイテンションな雰囲気に変わり、
またしっとりとした雰囲気になる。
甘いのと酸っぱいものを同時に食べているような不思議な感覚に陥る作品だ
そして「かわいそうな」住人たち。
この作品はタイトルから連想できる通り「河合荘」という下宿に住む住人たちの
日常を描写している作品だ。
そんな「河合荘」に住む住人たちは「可哀想」なほど痛い(笑)
主人公は至って普通の高校生だ、そう普通だ。
見ている側が感情移入しやすいように癖がなく、分かりやすい性格でありエロにも忠実だ
変な口癖やモノローグなどもなく、嫌悪感を感じない主人公だろう。
そんな主人公に対しヒロインである「河合 律」がストレートに可愛い。
少し無口で本が大好きで他人との距離感を測りかねているような少女だ
だが、「シャボン玉」が好きだったり主人公と笑い合ったり、
無口ではあるものの「ツンデレ」ではなく、少しだけ気難しい少女であり
嫌悪感を感じない可愛らしいヒロイン描写がたまらない。
更に酒癖の悪い大家さん、ドMなルーメイト、茶目っ気たっぷりな大家さんと
本当に「愛すべき」少し痛いキャラクターたちの日常が素直に面白く、
彼らの日常と彼らのシモネタギャグの数々、
そして時折挟まれるヒロインの「美麗」な描写が
見ている側に思わずキュン!としてしまうほどのときめきを与えてくれる。
そしてストーリー、これが驚くほど無い(笑)
本当に徐々に徐々にキャラクター同士の関係性は深まっているのだが、徐々にしか進まず
1クール全12話では主人公とヒロインの恋愛にも決着がつかない。
ラブコメ要素が進んでいるようで進んでいないからこそ、
この作品らしい「ほのぼの」とした雰囲気も産んでおり、
ほのぼのとした雰囲気であるがゆえに進まない。
だが、この作品はそれでいいのだ。
ゆっくりと進んでくれていい、急いで進める必要はない。
彼らの日常をゆっくりとほのぼのと味わいたい。
ストーリーが進まない、恋愛要素が進まないという本来、ラブコメなら欠点になる要素だが
この作品に関してはその欠点こそが、この作品らしさであり面白さもである。
魅力的なキャラクターたちのクスクスと笑えて少しエロい日常と
好感の持てる主人公と可愛すぎるヒロインの恋愛要素を
いつまでも味わっていたい、そう感じさせるほど、ゆっくりと進むのが魅力的だ。
話の進行としては遅いのだが、その進行の遅さに「テンポ」は引っ張られておらず
1話1話はテンポよくギャグとラフコメを描いているからこそ、
ゆっくり進行が気にならない。
1話から最終話まで見終わって「あれ?結局あんまり進んでいない?」と
全話見終わった後に気づかれるような感覚だ。
なにせ主人公とヒロインは連絡先をようやく最終話で交換するくらい遅い(笑)
ただ、この絶妙でゆっくりとしたキャラクターの「心理描写」がたまらず、
くすぐったい感覚になほどのぬるま湯ラブコメが程よく心地よい。
少しずつ進むからこそヒロインの繊細な「恋心」の描写も可愛らしく素晴らしい物になっている
萌えとは違う、純粋に「可愛い」と思えるヒロインがおり、
彼女に惚れる主人公がいて、少し痛い大人な住人いる。
そんな彼らが住んでる河合荘をたっぷりと味わえる作品だ。
全体的に見て素晴らしい作品だった。
2014年のアニメとは思えないキャラクターデザインとストーリーは
どこか懐かしさすら感じる設定とキャラクターたちであり、
懐かしさだけではなく、この作品ならではの「まったり」した雰囲気が
テンポの良いストーリーと展開の遅いストーリー構成が妙にマッチしており、
愛くるしいキャラクターたちの日常をずっと味わっていたい気分になる作品だ
1つ1つのシーンを丁寧に、1セリフ1セリフを大切にしており、
斬新な設定や奇抜なキャラクターが居なくても、ちょうどいい「塩梅」の設定で
ここまで面白い作品になるのだということを感じさせられた。
悪い言い方をすれば「テンプレート的」とも言える作品ではあるのだが、
その「テンプレート的」な部分をきちんと作り上げ、
素直に「面白い」と感じられる作品に仕上げられていた。
序盤から中盤までの流れも素晴らしいのだが、
特に折り返し地点とも言える「8話」でのシリアスなストーリーは、
一見この作品らしからぬ「重い」展開ではある。
だが、そんなシリアスで重い雰囲気からこの作品らしい明るい雰囲気への展開の変化、
そして「ヒロイン」の特大級の可愛さは、やられたと感じてしまうほど素晴らしい描写であり、
8話の主人公とヒロインの2人の「恋心」の描写が本当にたまらない。
ぜひ、この8話を見て欲しい。私はこの8話でこの作品に対する評価が格段に上がってしまった
更に8話以降の2人のなんともいえないラブコメシーンの数々は
にやけ顔が止まらなくなるほど素晴らしい内容だ。
1話で感じた美麗な印象のヒロインが、最終話には美麗というよりも愛らしい印象になる。
綺麗で思わず見惚れるヒロインから酔っ払ってすねる姿が可愛くて仕方ない姿になり、
そして最後には又、美麗なヒロインになる。
個人的に本当にどストライクなヒロインだった。
欠点を言うなら「パンチ」がないという部分だろう。
確かに魅力的なヒロインという刺激はあるものの、
ストーリーの起伏は薄く、大きな事件や爆笑できるギャグがあるわけではない。
それがこの作品の良さでもあるのだが同時に欠点でもあり、
更に言うなら「下ネタ」が嫌いな方には受け入れがたいギャグではあるだろう。
1クールという尺であるがゆえに物足りない感じも強くある。
ゆっくりとしたストーリー進行だからこそ4クールぐらいガッツリ見たい、
むしろ100話くらい、この作品の世界観に浸っていたい。
売り上げ的に2期は厳しいかもしれないのが本当に残念だ
確かに「売れにくい」内容ではある、だが、この作品はもっと評価されるべき作品だ。
個人的な感想になってしまうが、ヒロインの「文学少女」ぶりが物凄い好みだった。
私はR.O.Dの読子さんや、文学少女の天野遠子、神のみぞ知るセカイの汐宮栞など
「本を読む少女」が好きで仕方ない(笑)
偶然、文学少女のキャラクターを演じているのは花澤香菜さんが多く、
この作品のおかげで余計に花澤香菜=文学少女の図式が私の中で強く残る作品だった
「文学少女好き」でない方も、この作品をキッカケにきっと文学少女好きになるはずだ。
本を読むのが好きな少女はお好きですか?
私は大好きです(笑)
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