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ドラえもん のび太の人魚大海戦

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評価/★★☆☆☆(25点)

面白そうなのに面白く無い、盛り上がりそうなのに盛り上がらない

本作品は映画ドラえもんシリーズ通算第30作品目の作品、
わさび版ドラえもんとしては第5作目にあたる。
映画化30周年と映画シリーズ通算30作目、漫画連載開始40周年、
テレビアニメ30周年作品として作られている

見出して早々嫌な予感がする。
映画の最初のセリフを喋るのが「ケンドーコバヤシ」だ
演技力や声質は問題ないのだが分かりやすくケンドーコバヤシであり
アニメ映画の声優に芸能人を起用することに今更文句は言わないが、
大切な映画の最初のセリフにいきなり芸能人に喋らせるのはどうなんだろうか

更に作画。
背景はきちんと描き込まれているのだが、キャラクターの作画の違和感がすごい。
キャラクターをまるでボールペンで「縁取り」したような感じの作画になってるせいで
描いてます感が物凄く出てしまっており、美麗な背景から浮いている
私はDVDでTVサイズで見ても気になったくらいだ
デジタルな背景の上に「劇画」のようなキャラクターは違和感しか生まれない
大きなスクリーンだと余計にこの「縁取り」は気になるところだろう

ただストーリー的には悪くはない。
スネ夫が行ったパラオやスキューバダイビングにあこがれて、
ドラえもんに頼み「架空の海」を作るという展開は
まるで昔のドラえもんを見ているかのような夢のある序盤だ
世界中を「のび太たちにしか見えない海」にする展開はワクワクする未来感であり、
ドラえもんの映画らしいスタートだ

ただ描かれている夢のある内容の割には淡々としており
「自分もこの海で泳いでみたい」と思わせるような描写ではない
妙に作業じみたストーリー展開と描写といえばわかりやすいかもしれないが、
もう少し明るい展開やわくわくするような展開があれば違ったかもしれない
海を作って早々に「サメ探し」など、作った海で楽しむ描写があまりにも少ない
せっかく作ったのに序盤以外出てこないのも残念だ

1シーン1シーンが「サババサバ」しており、
はい次のシーン、はい次の展開という感じに割り切ったストーリー展開になっており
そのせいで1シーン1シーンの盛り上がりが盛り上がる前に場面ば切り替わってしまい
内容的には悪くないのに毎シーン毎シーン消化不良してしまうような感覚だ
そんな盛り上がらない、さばさばしている展開の中で
更に盛り下がる。

武田鉄矢である(苦笑)
武田鉄矢さんといえばドラえもんの映画主題歌やエンディングを歌っており、
そういった意味では久しぶりのお約束的な人ではあるのだが、問題はタイミングだ
のび太たちが人魚と出会い初めて人魚の姿で海に泳ぎに行くという盛り上がり所で
武田鉄矢さんの哀愁ただよう声で哀愁ただよう歌が流れる。
曲とシーンが見事に合っていない。
逆にミスマッチすぎてシュールなギャグにすらなっている。

物語自体はシンプルではあるもののつまらなくはない。
人魚と出会い、伝説の剣を探し、敵と戦う
王道でベタではあるものの「ドラえもん」の映画的要素もきっちりとあり
内容自体は子供向けであることは否めないもののシンプルに楽しめる

だが、シンプルであるがゆえに演出が大事だ
盛り上がり所やアクションシーン、戦闘シーンなど「魅せるべき」ポイントを
しっかりと魅せることでシンプルなストーリーの単調さを感じさせず
シンプルであるがゆえにストレートに面白いと感じさせることができる
しかしながら、この作品は盛り上がりところを盛り上がり所として作れていない

シンプルなストーリーをシンプルにしか演出しておらず、
あっさりとした展開になってしまっており、
シンプルなストーリーを「面白い」と感じさせることができていない
せっかくのシチュエーション、せっかくの盛り上がり所、せっかくのキャクターなど
1つ1つの要素は決して悪くはないのに、そのせっかくの要素を生かしきれていない

そのせいでキャラクターへの感情移入ができず、
積み重なるストーリーや設定に入り込むことができない
いつまでたっても傍観者で「ドラえもん」の世界観に浸ることができない
結局、最後まで見終わって思い返しても印象残っているシーンが殆ど無く
内容自体はそこまでつまらないわけではなかったのに、
記憶に残らない作品となってしまった

全体的に見て1つ1つの要素は悪くないのに生かしきれていない作品だ
世界中を海にする、人魚と出会う、敵と戦うなど
その1つ1つの内容は悪くはないのだが、
その1つ1つを盛り上げるための演出ができたおらず
「テンポ」も妙に早いせいでサクサクとストーリーが進み
淡々としたストーリー展開で物語を作業的に進めてしまっている感じが強い

盛り上がりそうなのに盛り上がらない。
面白くなりそうなのに面白く無い。
特に終盤の早足展開でセリフも若干早口であり、淡々としている
敵が探していた剣もあっさりと見つかってしまう
見れば見るほど歯がゆい感じが強まり、その感覚のまま終わる
腑に落ちない部分も多く、なんだかなーという感じだ
色々ともったいない。

ただ、前作のオリジナル作品に比べれば原案もなく
原作エピソードを膨らませるのでもなく、きちんとしたオリジナルで頑張っている
あともう一歩、盛り上がり所の演出ができていれば
作品の印象は違っただろう。
大人が見るとこう感じるのだが、子供が見る分にはそこそこ楽しめるだろう。
しずかちゃんなどが活躍する部分も多く人魚などの要素を考えても
どちらかといえば女の子向けの作品かもしれない

次回作に期待したいところだ。

「」は面白い?つまらない?

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