灰原哀スペシャル
名探偵コナンと実写映画「鍵泥棒のメソッド」がコラボした作品となっており
監督並びに脚本も鍵泥棒のメゾットの内田けんじが担当している
ちなみに連載20周年記念作品として制作されている。
見出して感じるのはいつもの「コナン」と若干空気感が違うことだろう。
1シーン1シーン「丁寧」に描写している印象が強く
特に序盤のゆっくりとした始まりは「間延び」は感じないものの
普段見慣れているコナンとは醸し出している雰囲気が明らかに違う。
「実写」の監督がアニメを作るとここまで空気感が違うのかというのが
分かりやすく見ている側に伝わるはずだ
そしてコナンが銭湯でコケる(笑)
鍵泥棒のメゾットを見た方ならわかると思うが、これは鍵泥棒メゾットの冒頭と同じ展開だ
このコケるシーンの映し方も「実写」監督らしい長回しの映し方だ。
コケたことでコナンが「記憶」を失い誘拐されるところから物語は始まる
ただ基本的にストーリーの進め方が淡々としすぎている。
冒頭のコナンがコケるというシーンのインパクトはあったものの、
いろいろな意味で「コナンらしさ」が作品全体から
欠けてしまっているのが見れば見るほどわかってしまう。
コナンを「記憶喪失」と「睡眠薬」で使えない立場に追いやる事で探偵役をなくし、
オリジナルキャラクターだけで序盤から中盤のストーリーを展開してしまう
そのオリジナルキャラクターたちの行動を視聴者の目線と同じ役として「灰原哀」を置くことで
オリジナルキャラクターたちの行動や言動を追う。
「何がどうなっているのか」が非常にわかりづらく、
序盤から中盤までは人によっては退屈に感じやすいかもしれない。
逆に灰原哀というキャラクターが好きならばこの序盤から中盤までたっぷり楽しめる(笑)
誘拐されたコナンを追う彼女だが、序盤からオフロに入ったり、車を運転したり、
ボロボロになりながらも犯人をやっつけようとしたりと
序盤から中盤まで灰原哀づくしなシーン構成は灰原哀ファンにとってはたまらない。
中盤まで灰原哀で持たせておくことで、中盤からの「ネタバらし」でようやく
序盤から中盤までのキャラクターの行動や言動の意味がわかってくる。
時系列を巻き戻しオリジナルキャラたちの行動を追うことで
「あーそれであの時あそこに居たのか」「あのキャラのセリフはこういうことか」
というようなことが分かる。
本来のコナンでこういった「ややこしい」ストーリー構成にはしない。
はっきりいってこの作品は子供向けではない、大人向けだ。
しかも普段「ミステリー」や「サスペンス」の実写が好きな方向けの作品だろう
時系列の巻き戻しや序盤から中盤までの淡々さ、
同じシーンを何度も見せるストーリー構成など
終盤まで見ないとストーリーや伏線の意味がわからない感じは
複雑であるがゆえに好みが物凄く別れてしまう。
確かにサスペンスとしてはストーリーが良く出来ている。
誰が黒幕か分からない中で詐欺師や殺し屋、ハッカーなどが何の目的か分からないが動いている
彼らの目的が何なのか黒幕は誰なのか。
徐々に徐々にストーリーが進んでくる中でようやくわかってくるストーリー構成は
ミステリー小説を見終わったような気分になる。
だが同時に派手さがない。
作画のレベルはかなり高く激しいカーアクションなども途中あるのだが
同じシーンをもう1度流したり、淡々とストーリーを進めてしまうため
アニメーションとしての「派手さ」がほとんどなく、
そこに「コナン」という要素を絡めないといけないため
この脚本の本来の面白さが無くなってしまっている。
コナンとしてみても「史上最悪の二日間」という割にはコナンの身の危険はあまり感じず
いわゆる「トリック」と呼ばれるものはない。
コナンらしいスーパーアクションもなく、淡々と推理している感じが強く
非常に地味だ。
さらに言えば「鍵泥棒のメゾット」を見ていないと楽しめない部分が多いだろう。
コンドウと奥さんは「映画の後に結婚したんだな」というファン的には嬉しい要素であり
終盤で「役者」の彼がさらっと出てくる当たりも嬉しい要素だ
(中の人が彼じゃなかったことが残念だが)
だが、そういった楽しみは鍵泥棒のメゾットを見ていないと味わえず
コラボ作品だから仕方ないとも言えるのだが
本来の主軸であるはずの「コナン」よりも「鍵泥棒のメゾット」が主役になってしまっていた
鍵泥棒のメゾットを見た方ならわかると思うが、
あの作品は前半から中盤までギャグ要素が多かった。
そこからどんでん返しになっていくのがサスペンスとしても面白かった作品だが
この作品はギャグ要素が少なくひたすら淡々とサスペンス部分を描いてしまっており、
そのサスペンス部分も「物凄い面白い」というわけではない。
序盤から中盤まで謎を敷かれて中盤から色々わかってくる。
わかっては来るものの「あ~!!そうだったんだ!」という刺激的な面白さではなく
「あー・・・なるほどね・・・うん」というような感じだ
全体的に見てコナンらしくないコナン作品だった。
鍵泥棒のメゾットとしてみるとギャグ要素やミステリーとしての練り込みの甘さは感じるものの
鍵泥棒のメゾットのアフターストーリーとしての面白さがあった。
しかし、「名探偵コナン」と見るとどうにも登場人物に違和感を感じる部分が多く
「名探偵コナン」の連載20周年記念作品にしてはコナン側のキャラクターの行動が控えめで
色々と物足りなさを感じてしまう作品だ
ただ1時間半のサスペンスとしては良く出来ていた。
犯罪者達が集まり犯罪者達も「目的も黒幕も誰なのかわからない」状況で登場人物が絡みあい
そこに探偵役としての「コナン」を中盤から活躍させ、
黒幕や目的が分かった後にもハラハラさせるようなストーリー展開で物語が終わる。
これが小説ならばもっと楽しめる部分が多かったかもしれないが、
映像作品、アニメーションとしては「派手さ」や「盛り上がり所」が薄く
地味な印象が強まってしまった。
はっきりいってコナンである必要性がない。
本来は実写映画で十分出来る内容にコナン要素を足して無理矢理アニメ化してる印象が強く
せっかくの連載20周年記念作品なのにコナン要素が薄いというのは微妙なところだ
コナンファンの楽しめる部分は「灰原哀」のシーンが多いということぐらいだろう。
序盤から終盤まで数多くのシーンに登場しているため
彼女のファンならば満足できるシーンが多い。
ただ、ソレ以外のファンのかただと物足りなさを感じてしまうだろう
ストーリー的にも1回じゃ理解できない部分もあり見返して初めて気づく点も多い。
そういった意味で今までの名探偵コナンという作品にはない方向性の
ストーリー展開だったと言えるが、
もう少しコナンらしく分かりやすくても良かったのでは?と感じてしまう作品だった
個人的には鍵泥棒のメゾットが好きな作品なため
登場人物たちのその後が見れて嬉しい気持ちはあるものの、
コナンとしてみるとコナン要素が不足しているのが気になるところだ
冒頭のコナンがずっこけるシーンを見た時は期待感が物凄く高まっていたのだが・・・
色々と残念な作品だ、やはりコナンのスペシャルや映画は
彼のスーパースケボーアクションを見ないと満足感が薄いのは私だけだるか(笑)
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