龍は運命に抗うことを許さない、君は今から龍の歯医者だ
2014年11月より毎週1本ずつ短編アニメが公開されるというもの。
本作の監督は「鶴巻和哉」、尺は7分ほどと非常に短い。
のちにNHKBSプレミアムで1時間半の作品としてリメイクされた
NHKBSプレミアム 龍の歯医者 天狗虫編 殺戮虫編のレビューはこちらから
見出して感じるのは「水」の表現だろう。
ヒロインと思われる少女がお風呂にはいっているシーンから始まるのだが、
この際の「水」の表現がとても気持ちがいい。
立ち込める湯気と少女がお風呂から上がる際に体に流れる自然な水の表現、
短いシーンながら「ぐっ」っとこの作品の世界観に入り込める
そして林原めぐみさんの素晴らしい「吐息」と「一文字の台詞の演技」
本当にわずか一文字か二文字のほどの台詞でしかない
「ふっー」「ぶるぶる」「あ」「ん?」
始まって2,3分ほどで彼女には台詞と呼べる台詞はないのにもかかわらず、
一文字一文字の台詞の中でヒロインの「心理」が感じ取れる
さすがは林原めぐみさんと言いたくなるほど繊細かつ素晴らしい演技だ
更に独特な世界観。
「龍の歯医者」という特別な職業のある不思議な世界観、
龍と言いながら「戦艦」のようなものが描写されたかと思えば、
その次のシーンでは「巨大な龍」が描写される
ファンタジーな世界観なのに戦艦という機械的なもののある世界観、
そして「龍の歯医者」という不思議な職業の仕事は何なのか
短編アニメでありながら「これから超大作」の映画が始まるような壮大な世界観があり、
「龍の歯医者」というタイトルから感じる期待感に壮大な世界観が応えてくれる
そして謎が謎を呼ぶ展開。
少女が「生きている」のか「死んでいる」のかもわからないような展開や
結局「龍」の歯とは何なのかという謎。
見ている側に「必要最低限」の情報を与え考察させる。
考察させながらストーリーが進み、見終わった後に不思議な余韻が残り、
ストーリーを頭のなかでもう1度解きほぐして
自分なりに解釈したくなるような気持ちで見終わることができる作品だ
全体的に見てもっとがっつりとこの作品を見たいと感じさせるほど力強い作品だ。
不思議な世界観と1度見ただけではハッキリとは理解できないストーリー展開、
そこに林原めぐみさんと山寺宏一さん、2人の名演が光り最後に「龍の咆哮」で物語が終わる。
結局、龍の歯とは何だったのか、龍の歯医者の役目とはなんなのか
この物語の世界観はどうなっているのか。
その後のストーリー展開や世界観を考察したくなるような面白さを秘めた作品だ
だが、それと同時にスッキリとしない感じは残る(苦笑)
この作品が全50話のアニメのうちの1話なら物凄く評価できるのだが、
短編アニメで1話限りの作品と考えると色々と謎をばらまきすぎている感じも強く、
短編アニメというよりも「アニメ映画のPV」というような印象も残ってしまう
しかしながらわずか7分ほどの作品でここまで壮大な世界観とストーリーを感じさせ、
その世界観に相応しい描き込まれた「背景」や「龍」の描写の数々は
これから公開される「日本アニメーター見本市」の作品に期待してしまう内容だ
日本アニメーター見本市という企画の意図、
「日本アニメーションの可能性を探る共同企画」と考えれば
この作品からはいろいろな可能性と「先」を感じることの出来る作品だ。
もっと見たい、もっと続きを見たいと感じさせたまま終わらせるのは単純なようで難しく
この作品はそういった意味では「先」を見たいと感じさせられた作品だ
この作品をどう思いましたか?あなたのご感想をお聞かせください
評価を書きこむ場所ということで、個人的な感想を述べたい。
舞城氏独特の話の壮大性、悪くいってしまえば風呂敷がかなり大きいが、詰まっている中身はよくわからないモヤっとしたもの。それが短い映像作品の雰囲気を作っていて、なかなか理解が難しい話の展開、気づいたら丸く収まって終了。そんな感じの作品であり、人によっては低評価をつける場合もあるだろうが、個人的は氏の独特の味が出てて悪くない作品だと思う。
もっと突拍子もなくて、なにがなんだかわからない展開になることもある。大切なのは何が何だかわからないが、それでも独自の作風をもってやってみようという試みである。この独特の創作性、挑戦的な姿勢こそが最も素晴らしく、またクリエイターが持つべき志だと思う。そういった意味では、この龍の歯医者という作品は、個人的にすごく好きな作品だった。今後もこういう姿勢を貫いてほしいと思ったので書き込みをさせていただいた。
私は「悪いアニメのお手本」のように感じましたね。
これはアニメーターの実力を競う趣旨のようなので「動き」や「レイアウト」など見た目を重視しているようですが、作品としてみた場合、映像の質を上げることにばかり重点が置かれていて、話は意味不明です。
結局何が言いたいのッて感じです。
一緒に仕事をしようとしていた人たちが全員全滅しているような残酷な内容、それに誰も頓着しない不快な世界観。
すべてがクソってかんじです。
絵がうまくてもぬるぬる動いても、こういうことを訴えたいという魂がないと、クソしかできないということを体現してると思います。
作り手が答えを用意する必要は必ずしもない。ハッピーエンドで結末や答えを提示することが間違いというわけではないが、自分の中での解釈で作品を紐解き、何か考えさせられる作品は素晴らしいと思います。貴方の主観、価値観に合わないからクソというのは乱暴すぎませんか?明確でわかりやすい提示がないと魂がないというのは自分自身がそれがわからなかった。というだけになりますよ。
このアニメのストーリーを自分的に解釈すると、
竜を兵器として使う国と別の国が戦争してて、
竜は歯が弱点だからそれを治療する歯医者が必要で、
主人公たちはその歯医者になる試験みたいなのに集められてる、
(序盤の話的に生きて帰ってくる人のほうが少ない試験)
その試験の内容っていうのが竜の歯に触ることで、
描写的に触ると自分が死ぬ時の光景を見せられてその死を受け入れないと歯に取り込まれて戻ってこれないってことですよね。
最後、主人公は自分の死を受け入れて歯医者として生きていくことを選んだというわけで。
個人的にすごく考えさせられる作品でした。