スピンオフと甘く見るなかれ、この作品はスピンオフという枠では収まらない!
週刊少年サンデーSでは本作品の漫画版が連載中。
なお絶対可憐チルドレンからの登場人物の声優の変更はない
基本的なストーリーはSFアクション。
エスパーのみ楽園を作ることを目的としている兵部京介、
彼はとあるエスパー犯罪者の収監施設に入れられた
そこで彼は「アンディ・ヒノミヤ」という青年に出会う。
というところからストーリーが始まる。
スピンオフ作品ではあるが「絶対可憐チルドレン」を知らなくても問題がない。
簡単な世界観の説明と本作品の主人公である「兵部京介」の説明があり
1話の時点では特に兵部京介以外の「絶対可憐チルドレン」の登場人物が出るわけではないので
スピンオフ作品でありながら、スピンオフ元を見ていなくても入り込めるというのは素晴らしい。
ダークヒーロー的な「兵部京介」の飄々としたクールな魅力と圧倒的な力、
熱血主人公のようなもう一人の主人公「アンディ・ヒノミヤ」の体技、
そして可愛らしい少女なヒロイン「ユウギリ」の魅力と
1話の段階でメインとなる登場人物の魅力がしっかりと出ており、
一気にこの作品の世界観に入り込める。
更に戦闘シーン。
超能力、体技の2つの戦闘シーンが描写されるが、
体技は「止め絵」と「止め絵」をつなぎ合わせ素早く迫力のある格闘シーンを魅せる、
瞬間的な格闘シーンの魅力は一瞬のシーンではあるものの画面に惹きつけられるシーンだ。
そして超能力の戦闘シーンは派手なエフェクトと激しいアクションで
超能力者同士の戦闘シーンを激しく描く。
静と動、2つの魅力のある戦闘シーンの描写を使い分けることで戦闘シーンの魅力を深めている。
極めつけは「リミッター」を解除した兵部京介の力だ。
「解き放て、アンリミテッド」という台詞と共にまるでダーク超サイヤ人のようなエフェクトを身にまとい
髪を逆立たせ圧倒的な力を見せつける。
わかりやすいパワーアップ描写だが、わかりやすいからこそ強いインパクトを残し
1話の段階でこの作品の魅力すっかりと取り込まれる。
1話の引きも素晴らしく続きを早く見たいと感じさせるストーリー構成だ
更に2話以降もきっちりと「超能力」を魅せる。
最近の作品では1話では期待感が凄く2話以降は微妙という作品も多いが、
この作品は2話以降も気を抜かない。
超能力を使った戦闘シーンをストーリーの合間にはさみ、ストーリーを飽きさせないストーリー構成と
それぞれの超能力を使用の際のSEや凝った演出でPANDORAのメンバーの超能力シーンを印象深いものにし、
それと同時にPANDORAメンバーのキャラに魅力を深める
キャラクターが使い捨てでなく、きっちりとスポットを当てながら
超能力者だけの裏組織「PANDORA」の活動と兵部京介を「潜入捜査官」である「アンディ・ヒノミヤ」の
視点から描くため、ストーリーも、キャラクターも、戦闘シーンも楽しめる。
それと同時に激しい戦闘シーンと、とても裏組織には見えないPANDORAのメンバーたちの魅力を
時には緩く、時にはかっこよく、時には可愛らしく魅せる。
バランスの良いキャラクター描写で「スピンオフ作品」としての作品作りではなく、
絶対可憐チルドレンという作品の枠に収まらない「TTHE UNLIMITED 兵部京介」という作品そのものの
尖った個性を感じさせる作品だ、むしろ原作より面白いと言ってもいいかもしれない(笑)
その最たるはやはり「兵部京介」だろう。
彼のハードボイルドでクールな魅力と力を開放する際の厨二病全開な台詞、
そのクールな魅力と厨二病に見合う圧倒的な力の描写はダークヒーローとしての強い魅力を感じる
同時に彼に対比するように潜入捜査官である「アンディ」をストレートに描くことで
キャラクターの魅力をより深いものにしている。
更に同時に「スピンオフ作品」としてのキャラクターの魅力もある。
絶対可憐チルドレンのヒロインである「あの娘」が出るときに
「絶対可憐チルドレン」のOPをさりげなく口ずさんでいたり、
絶対可憐チルドレンを見た人なら確実に「おぉ!!」と言ってしまうほど憎い演出を取り入れており、
絶対可憐チルドレンが好きな人のための要素もしっかり取り入れている
アニメ絶対可憐チルドレンではヒロインたちは「小学生」だったが、
今作では中学生になっており、成長した彼女たちの姿を見ることが出来るのも素晴らしいファンサービスだ。
本来の主人公とヒロインとスピンオフ作品の主人公とヒロイン、
この2つの主人公とヒロインがストーリーに絡む展開は序盤の最大の盛り上がりだ。
懐かしい彼女たちの懐かしい必殺技は絶対可憐チルドレンファンならばたまらなく、
「絶対可憐チルドレン」という作品の必殺技とTTHE UNLIMITED 兵部京介」という作品の必殺技が
ぶつかり合うシーンなど否が応でも燃えてしまう。
ファンサービスではあるものの絶対可憐チルドレンを知らなくてもストーリーにはついていけるうえに
演出が派手かつ迫力があるので絶対可憐チルドレンを見ていなくても盛り上がれる。
そういった意味でもストーリー構成の完成度が高く、
演出による見せ方、SEによる場の盛り上げ方が素晴らしい。
ただストーリーはあくまで「超能力バトルダークヒーローもの」の域を出ていない。
裏組織であるPANDORAの活動を描きつつ基本的に1話完結で描きながら
その中で「この世界における超能力者」の立場や差別、
「兵部京介」がなぜエスパーだけの世界をつくろうとしているのか、彼の真意を徐々に描きつつ
もう一人の主人公である「アンディ」の葛藤も描く。
彼はエスパーだ、しかし他のエスパーのようにテレポートしたり電気を出したりはできない。
彼の能力は「エスパー能力」を無効化する能力であり、
エスパーでありながらエスパー能力者に思うところがある。
エスパー差別のある世の中でエスパーであるがゆえに差別され、
同時にエスパー以外には使えない能力しか持たない彼はエスパーにすら迫害される。
中盤以降は序盤に比べて「淡々」とストーリーを進めている印象はある。
だが、序盤でしっかりと物語の世界観とキャラクターに愛着をもたせ
しっかりとこの作品に入り込ませたことで
キャラクターの過去や心理描写のシーンが多い中盤ストーリーもじっくりと味わえる
更に言えば「過去回想」だけでアニメ作品一本作れそうなほど面白い。
1話~6話までの雰囲気とは違い「日本軍の超能力部隊」の物語という雰囲気で
兵部京介の過去回想を描いているが、それまでのハードボイルドなストーリーや雰囲気ではなく
明るい正統派超能力アニメのような描写に7話と8話は切り替えている。
この部分だけでもしっかりとキャラクターやストーリーを作り、
きっちり描いた後に兵部京介の越棒を描き、本来の雰囲気に戻す。
尺の都合上少しカットされてしまったのが逆に残念に感じるほど
7話~8話の回想も「スピンオフの中のスピンオフ作品」と思うほど魅力のある内容だ。
そして終盤。
命を削りながらも「兵部京介」はエスパーのためだけに戦う
過去の亡霊、過去の自分と似たクイーン、そして自分自身と戦う
それは彼の「過去」であり、「復讐心」だ。
復讐心に囚われた彼を「半端だったアンディ」と「ヒロイン」が絡むことで物語を
ハッピーエンドへと導く展開は王道だが、王道であるがゆえに最高潮に盛り上がったといえるだろう
全体的に見てスピンオフという言葉で収めてしまうのがもったいない作品だ。
「絶対可憐チルドレン」を知らなくても楽しめるダークヒーロー的な兵部京介のストーリー、
そして超能力者のキャラクター描写、ハードボイルドなストーリー展開とエスパーと普通の人間の壁、
「絶対可憐チルドレン」という原作以上に1クールで超能力バトルものをきっちりと描いており、
本作の中だけできっちりとストーリーを作り上げ、1クールで綺麗にまとめ上げる。
その中で「ユウギリ」というキャラクター魅力が光る。
背が高いキャラクターが多い中で彼女の身長は少女らしく低く、
登場人物たちの足元にいるような可愛らしい感じだ。
そんな彼女が「裏組織」の活動のストーリーを描く中で清涼剤となっている
だが同時に彼女も「エスパー」であり「裏組織の一員」だ
能力を開放した際の彼女の圧倒的な力の描写、そして終盤の彼女、
彼女がこの作品においてもっとも重要な人物であり、
彼女のキャラクターの魅力が最初から最後まで光っていた。
単純に可愛いだけでない魅力的なキャラクターだ。
更にもう一人の主人公「アンディ」。
この二人がストーリーの中できっちりと描写されたからこそ
終盤の展開、結末に向けてのストーリー展開と締めが最大の盛り上がりを見せ物語を綺麗に締めてくれる。
復讐心しかなかった兵部京介という男に、エスパーでも普通の人間ともいえないアンディと
強い力を持っているユウギリ。
この3人の物語を1クールの中できっちりと見せてくれた。
3人のそれぞれの結末、最後のセリフまで楽しまさせてくれる。
見終わった後は原作が終わってないので、もちろん「俺たちの戦いはこれからだ」なのだが、
すっきりと面白かった!と声に出せる作品といえるだろう。
欠点を言うなら駆け足気味だった過去ストーリーや、
「絶対可憐チルドレン」を読んでいないと若干ながら分かりづらい部分や
キャラクターの説明が足りない部分などスピンオフであるがゆえの欠点もある。
だが「スピンオフ」だからこその魅力がその欠点を覆い隠している。
欲を言うならばもう1クール欲しかった。
それこそ序盤から中盤までの1話完結のストーリーをもっと見たい、
サブキャラクターにスポットの当たる作品ももっと見たい、
過去ストーリーもモットガッツリ見たいという風に
もっと見たかったなと感じる部分が非常に多く、1クールの尺で収められてしまったことが本当に残念だ
掘り下げ不足とは本当は言いたくないのだが、
もっと見たいという意味での掘り下げ不足な点も目立ってしまっている。
しかしながら1クールですっきりと楽しめる作品だ。
絶対可憐チルドレンを見たことのある方ならおすすめだ、
絶対可憐チルドレンを見たことがない人でも若干説明不足な点はあるものの楽しめる。
「1つの作品」のスピンオフアニメとしては他に例を見ないほど完成度の高い作品だ。
ところで絶対可憐チルドレンの2期はあるのだろうか?
原作はもうかなりの巻数まで進んでいるようだが・・・・
スピンオフが作られるくらいだからそういった話があってもおかしくはないはずだ。
今後の「絶対可憐チルドレン」のアニメ情報に注目したい
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