さぁ海賊の時間だ
アニメ化にともない「ミニスカ宇宙海賊」から「モーレツ宇宙海賊」に
タイトルが変更されている。
また監督は「機動戦艦ナデシコ」「宇宙のステルヴィア」で有名な佐藤竜雄氏。
ある意味、宇宙者が得意な監督さんだ
基本的なストーリーはSF。
合法の宇宙海賊が存在する時代、主人公は普通の女子高生
だが、ある日、自分が有名な宇宙海賊の船長の娘であることを知る
宇宙海賊の船長は世襲制で、自分の父親の死を知った彼女は
宇宙海賊への道へと進んでいく・・・という感じだろうか?
序盤のストーリーは淡々としている
主人公が「宇宙海賊」というものを殆ど知らず、いきなり「船長候補」と言われ迷う。
だが部活動である「ヨット部」を通じて自分の存在意義を見つめなおしていく
この1話から5話あたりまでの「海賊になるまで」を描くストーリーは非常に地味。
淡々という言葉が適しているが・・・・これが面白い。
きちんとねりこまれた設定を基板に展開するストーリーは
海賊同士の戦いなのに「情報電子戦」という地味な戦闘だ。
序盤から敢えて派手にせず、淡々と地味に、地味だからこそじわじわと湧き上がる面白さを感じさせる
確実に視聴者に「モーレツ宇宙海賊」という世界観を植えつけていく
女子高生と海賊の情報戦と情報戦にぶつかり合いがどんパチにはないジワジワっとした面白さを
ひしひしと感じさせる。
その後のストーリー展開もまるで「90年台」のアニメを見ているような
どこか懐かしく、硬派で、淡々しているのに面白いストーリーを展開している、
原作自体は2008年から開始されている作品なのだが、
SFと美少女という設定や「恋愛要素」が殆ど無い展開など最近のアニメとは風潮や方向性の違う、
90年台に放映されていてもおかしくないような懐かしさを感じる内容だ。
ただストーリー的には淡々としすぎてしまっている点もある。
「宇宙海賊」という言葉を聞くと、「野郎ども!」と言いつつ乗り込んで
金銀財宝をいただくぜ!みたいなのを想像する方もいるかもしれないが
この作品での「宇宙海賊」は少々違う
宇宙海賊自体はもはや金持ちたちに「襲われるステータス」のようなものが存在し
金をもらって長期航行している宇宙船を遅い、剣劇を披露する
宇宙海賊達による演劇のような営業行為や、荷物の運搬などが主な仕事で
拳銃でドンパチするようなことはめったにない。
更に主人公も序盤こそ「船長になる」かどうか迷うが早い段階で船長になってからはまっすぐだ。
「宇宙海賊王に俺はなる!」や「スペースワンピースを探す!」などというような
いつまでたっても終わりの見えないストーリーではなく、
大きな目的はなく上で書いた海賊営業を淡々とストーリーで描いていく
序盤は手堅く確実に女子高生が海賊の船長になるという展開と
この世界での独特な海賊稼業を描いている。
海賊という本来なら「殺伐」とした「撃ち合い」やアクションを想像しやすいが、
この作品は肩透かしを食らうような宇宙海賊アニメだ。
しかし、その肩透かしが不思議な魅力を生んでいる
特に主人公である「加藤茉莉香」の最初の海賊仕事はニヤニヤした顔で見てしまうほど面白い(笑)
更に序盤の最大の盛り上がりとなる「黄金の幽霊船」をめぐるストーリー。
近未来という設定とSF,そして宇宙海賊という設定が見事に融合した
王道のスペースオペラはそれまでの「じわりじわり」という湧き上がるようなな面白さを
明確な「面白さ」に確定付け、この作品は面白いと痛感させる。
1クール、13話で一度物語にきちんと区切りをつけるところも個人的には好きなポイントだ
だが中盤以降は「奇抜」さが増して行く。
序盤こそ歴戦の海賊たちの中に女子高生である主人公が船長として参加するというストーリーだが、
中盤以降は歴戦の海賊たちが「長期入院」(笑)、
主人公のクラスメイト達が海賊船にのりこみ海賊を行うことになる。
それまで危機的状況を優秀な海賊たちが解決してしまうパターンが多かったが
中盤で急に「女子高生」のみの海賊船という危うさがストーリーの緊張感を際立たせる
本当にこの作品は見ている側を飽きさせない。
真っ直ぐなアニメではあるのだが、ただ真っ直ぐなだけではなく
一見多いと感じられるキャラクターを上手く動かし、
ストーリーにきっちりとメリハリを付け2クール飽きさせないストーリー構成はかなり好感が持てた。
あまり間延びしないアニメというのは昨今珍しい。
最初から最後まで「女子高生が海賊の船長になる」という芯があり、
ユニークな海賊たちと可愛い女子高生というキャラクターが
本来は硬派になりやすい設定のSFを明るく楽しめる「海賊アニメ」にしあげていた
特に前半のおふざけ的な要素と、中盤の真面目な要素、
そして終盤の燃える要素とメリハリをしっかりとつけて
2クールという長さを飽きさせなかった。
最初から最後まできっちりと楽しめさせてくれる作品だった
全体的に見てかなり独特な作品だ。
本作品は確かに硬派なSFなのだが、営業する海賊だったり、女子高生が船長だったり
真面目なのか不まじめなのかわからないギリギリなバランスで面白さを出しており、
一見すると無茶苦茶なのだが、一見するとしっかり作られている。
懐かしい雰囲気もあるのに、新しさも感じる。不思議な作品だ。
ただ気にならない点がないといえば嘘になる。
宇宙船や宇宙の描写などはCGを使い迫力のあるものに仕上がっているのだが
キャラクターの作画が危うい時はたまにあり、色気のある描写は少ない
魅力的なキャラクターとキャラデザが多かった反面、
セクシシーンをもう少し打ち出して「刺激」を出しても良かったのでは?と感じる
しかし、逆に言えばそういう「媚びる」要素があまりなく
ストレートにストーリーの面白さ、世界観の面白さ、キャラクターの魅力で
作品を作り上げている作品といえる。
久しぶりに「スペースオペラ」を楽しめるアニメだった
昨今、宇宙を題材にした作品は少なくなった、
この作品はそういった意味でも貴重といえる。
まだまだ「スペースオペラ」は捨てたものじゃない!と感じさせられた
なんと本作品、劇場版が決定している(笑)
いやぁ、本当に楽しみだ。
作品として2クールできっちりとまとめてはいるものの、
いろいろな伏線や設定がまだまだ残っている。
話の広げようがいくらでもある作品というのは、つまらない作品では最悪だが
面白い作品で展開に自由のある作品は楽しみで仕方がない。
この後、モーレツ宇宙海賊はどうなっていくのか
劇場版、楽しみにしてます。
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