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「ルパン三世VS名探偵コナン THE MOVIE」レビュー

3.0
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評価 ★★★☆(59点) 全107分

劇場版『ルパン三世 VS 名探偵コナン THE MOVIE』予告編

あらすじ ある日、月島の宝石店に怪盗キッドがダイヤを盗みに入るが、本物のキッドである黒羽快斗はその様子を「誰だあいつ」と怪訝そうにうかがっていた。引用- Wikipedia

蘇る奇跡のコラボ

本作品は2009年にTVスペシャルで放映された「ルパンVSコナン」の続編的な劇場版。
監督は亀垣一、制作はトムス・エンタテインメント、だぶるいーぐる

VS

前作はVSといいつつも、全く持って対決要素はなかった。
しかし、今作は冒頭からしっかりとコナンとルパン三世のいち味が対決している。
怪盗キッドがいつものように宝石を盗み出したある日、
怪盗キッドが警察の手を掻い潜り逃げる中、コナンだけが怪盗キッドに追いついたところで、
「石川五右衛門」が現れコナンのスケボーを真っ二つにする。

怪盗キッドという要素をうまくつかい、
ルパン三世が彼に変装をすることで、コナンの世界で自然に
「ルパン三世」を登場させており、コナン映画らしい激しいアクションを描いている。
コナン映画ではもはや「伝統芸」とまで言いたくなるほど
お馴染みのスケボーアクションだ。

今回はコラボであるため若干控え気味ではあるものの、
スケボーで水の上を走り、
機雷をよけ追いかけまわる姿はこれぞコナン映画と感じるほど
素晴らしいスケボーアクションだ(笑)

前作でルパン三世とコナンが知り合ってるからこそ、
序盤から「怪盗キッドに変装するルパン」という
コナンとルパンのコラボ作品だからこそあり得るストーリー展開のおかげで、
序盤から一気に映画の世界観に引きこまれる。

オープニングではコナン映画ではお馴染みのキャラ紹介と簡単なストーリー紹介を
「コナンはルパン側のキャラ」を「ルパンはコナン側のキャラ」を紹介するシーンは
コラボ作品ならではの面白みだろう。

コラボ

そんな序盤からコラボ感満載だが、話が進めば進むほど
きちんとコラボとしての面白さがどんどんと出てくる。
特にコナン側のキャラクターである「佐藤刑事」、
彼女は過去のコナン映画でルパンを初恋の人と言っており、
そんなコナン映画の設定をこの映画でも上手く生かしている。

銭形警部と共にルパンを捕まえる役になる展開は思わず「そうきたか!」と思う展開だ。
彼女が必死でルパンを追いかけ何度か捕まられそうになるのだが、
それを「ルパン」が「ルパン」らしく回避していく様はルパンならでは面白さにもなっており、
ルパンの面白さとコナンのキャラクターの設定をうまく活かした内容にしあがっている。

ルパンもルパンで怪盗キッドに変装して宝石を盗む理由がきちんとあり、
その理由があるからこそ「コナン」と敵対する立場になっている。
前作よりも自然と2作品の世界観が混ざり合っている印象だ。

前作からの関係性である「次元大介」と「コナン」の
親子関係(笑)も継続しており、
二人で協力して蘭姉ちゃんを助ける姿はコナン映画らしさ全開だ。

少年探偵団もきっちりと今回は絡んできており、
コミカルに話を盛り上げてくれる。

灰原哀

意外な組み合わせというか当然の組み合わせともいえるのが、
灰原哀と峰不二子の関係性だ(笑)
若返りに興味のある峰不二子と、そんな薬を否定する灰原哀。

「女が若さに囚われたらおしまいなんじゃない?峰不二子さん」

峰不二子もたじたじにしてしまうほどの、
灰原哀というキャラクターの魅力と強さを感じさせる。
「VS要素」もきちんと最後まで存在する。

コナンはあくまで探偵であり、ルパン三世はあくまで泥棒だ。
今作は協力しつつも、きちんとコナンがルパンを
捕まえる手立てをいくつか用意しており、
終盤になっても、互いに銃口を向けあっている。

終盤で「本当に捕まりそう」と思う寸前までのところに行く展開は
VSとつけておいても問題ないくらいになっており、
前作の不満を見事に解消している部分といえるだろう。

「ルパン三世」とのコラボだからこそ激しい銃撃戦も
繰り広げられており、銭形警部や石川五エ門もきっちりと活躍してくれる。
「FBI」な彼女達も参戦するところはコナンとコラボしたからこその展開だ。

更に協力ではなくVSだからこそ「敵」を追い詰めるためにそれぞれが画策している。
ルパン側がルパンらしく敵を追い詰め、コナン側はコナンらしく犯人を追い詰めた結果、
終盤で同じ場所でコナンとルパンと敵が対峙する。
ここまでのストーリーの流れは素晴らしく、
テンポの良さもあり思わずどうなるんだろうという期待感を煽られる。

前作

しかしながら、終盤でやらかしてしまった印象が強い。
「TVスペシャル」のストーリーと設定をあまりにも引きずってしまっている。
前作のTVスペシャルを見ていないと今回の敵の目的や
ルパンとコナンが何故助かったのかがよくわからなくなってしまっており、
更に言えば前作を見なおさないと忘れてしまっているような設定を
今作まで引きずってしまっているため終盤で「?」となる人は多いはずだ。

公開前に前作が再放送されてはいたが
TVスペシャルが2009年だったことを考えると覚えている人は少ないだろう。
私も見ながら、TVスペシャルの記憶を何とか思い出しストーリーを頭のなかでつなげ
見終わった後に調べて「あ、そういえばそういう設定だった」とようやく理解できたくらいで
この作品単独だけではストーリーがきちんと理解できないというのは残念な部分だ

簡単な説明こそあるものの「ヴェスパニア王国」での話を
見ていないとついていきづらくなってしまっているのは非常に
もったいなく感じてしまった。

だが、最後の最後で灰原哀が「あのセリフ」をいったことで
すべて許せてしまうような作品だ(笑)

総評:灰原哀ファン必見

全体的に見てコラボ作品としての面白さは前作以上だ。
ルパンとコナンの要素とキャラクターを上手く活かしたストーリー運びとテンポの良さ、
更にルパンならば盗みのシーン、コナンならばスケボーやとんでもないアクションと
それぞれの作品の大事な部分をうまく膨らませストーリーに取り込んでおり、
それがテンポよく展開するため2時間あっという間に過ぎてしまう作品だ。

しかしながら、根本のストーリーが前作を見ていないとわかりづらく
ルパンのやり方もコナンと戦わせるために若干周りくどい感じになってしまっており、
「え?なんでわざわざルパンそうしたの?」と思うところがある。
あくまでもコナンと戦うためのルパンの行動のようにも思えてしまったのは残念だ。

ただその点を除けばルパンらしくもありコナンらしくもある見事なコラボ作品だ。
特にキャラクターの使い方は「ルパンのTVスペシャルも見習えよ!!」と
2013年のTVスペシャルを見た後だと強く実感してしまうほど上手く使っており、
コナンとルパンがコラボしたからこそのキャラ同士の「セリフ掛け合い」の面白さは
両作品が好きならば思わずニヤニヤっとしてしまう所だ。

ルパン側がメインキャラだけだが、コナン側がメインキャラだけではなく、
今作では結構細かいキャラクターも出ており、
コナンのアニメや漫画を普段、見ていないと
忘れているようなキャラクターも出ているため、
ある程度両作品、特にコナン側の知識は必要かもしれない

前作は一部のキャラのキャラ崩壊ともいえるような部分も多かったが、
今作では控えめになっており、シンプルに2作品の
コラボを楽しめるように仕上がっている作品だった。

個人的な感想:灰原哀と峰不二子

これは私の個人的過ぎる感想かも知れないが
峰不二子と灰原哀の絡みは本当に良かった。
2つの作品のヒロインが台詞の掛け合いをし、
そして最後に灰原哀が峰不二子の「有名なセリフ」を拝借するシーンなど
私はあのシーンだけで「見に来たかいがあった」と思ってしまったくらいだ(笑)

コナンファンならばぜひ見て欲しい作品だ。
ルパンファンも声優が変わっており、
近年のルパン単独のTVスペシャルは無い方がマシなくらいの駄作だが、
この作品は私個人としては久しぶりに「ルパンらしい要素」を味わえる作品だった。

ウソ予告で次回作の予告もあったが、
残念ながら今作を皮切りに夢のコラボは生まれていない。
ぜひ、また2作品のコラボが見たいところだ。

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