日常

たまゆら 〜もあぐれっしぶ〜

日常
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評価/★★★★☆(67点)

たまゆら 〜もあぐれっしぶ〜 評価

全12話
監督/佐藤順一
声優/竹達彩奈,茅野愛衣,阿澄佳奈,井口裕香ほか

あらすじ
瀬戸内の竹原を主な舞台として、写真好きの女子高校生である 沢渡楓とその友達が、それぞれのまだおぼろげな「夢」を追いかける物語。 『ARIA』のスタッフが中心になって製作されている。 竹原の町並みや風景を作中で忠実に再現している

かめらぶ!

本作品はOVAから続く「たまゆら」シリーズの2期。
メインスタッフやメインキャストに変更はない。
大きく違うといえば「新キャラ」が追加されたということくらいだろう

基本的なストーリーは日常。
父親がなくなったことがきっかけで父親との思い出の地である
「竹原市」に引っ越してきた「ぽって」
そんな「ぽって」と友達の3人の少女を中心に日常を描くという作品

見だして感じるのは1期よりもテンポが落ちたことだろう。
テンポが落ちたというのは悪い意味ではなく、
1シーン1シーン、1期以上に場面をじっくりと描写するようになっており
より、1シーン1シーンの印象が強く残るようになっている。
キャラクター同士の会話の中でまるで過去の写真を見返すように回想シーンに入り
1枚絵を連続して魅せるようなシーンも多く、
キャラクターの心理的描写がより身近に深く感じられるようになっている。
更に本筋ができた。
1期までは「女子高生の日常」でその中で登場人物の目標はふわふわしており、
何となくカメラだったり、何となく料理だったり、何となくポプリだったりと
明確に夢と呼べるものはなく、夢に向かって!というようなストーリーは無かった。

しかし、2期では1期でのキャラの成長を生かし、
「写真部を作る」という主人公である「ぽって」の目標ができ、写真部が物語の主軸になっている。
「ぽって」が新しい目標に動き出すことで新しいキャラクターとの交流やストーリー性が生まれ
より「たまゆら」という作品に深みが増した。

更に1期では「竹原市」を押しまくりで正直うざかったが、
2期ではOVAと同じくらいでちょうどいい塩梅になっている。
不自然じゃない竹原市の描写がより「たまゆら」の雰囲気を自然に強めており、
「竹原市」のイベントや場所がストーリーに良い影響を与えている。

それは桜だったり、バンブージョイハイランドだったり、向島だったり、
1期のゴリ押し「竹原市」では伝わらなかった魅力が2期ではしっかり伝わり、
それがストーリーの中できちんと生きており、
自然に竹原市の暖かnな雰囲気を作品中で感じることが出来る。

しかし、その反面でキャラ描写に偏りが生まれた。
1期では「ぽって」「かおる」「のりえ」「まおん」の4人が
バランスよく描写されており、その4人の日常という感じだったが、
2期ではOVAと同じで「ぽって」が中心になっており、更に「写真部」の活動が中心に描かれるため
新キャラの「かなえ先輩」とぽってが出ているシーンが多い。

そのせいで1期で活躍していた3人の描写が少なくなり、
ぽってを見守る3人という立ち位置になっているため
メインキャラのはずがサブキャラのような感じになってしまっている。
1期では各キャラを掘り下げる、いわゆる各キャラ担当回があったが
2期ではそういった各キャラ回はない。
新キャラである「かなえ先輩」が他3人のキャラを完璧に食ってしまった感じだ(苦笑)

しかし、キャラ描写を絞ったことで「ぽって」のキャラ描写が深まる。
彼女の父親とのエピソードや彼女が目標をきめて写真を撮る様は
キャラ描写を「ぽって」に絞ったことで強く感情移入することができ、
エピソードによっては思わず涙腺をくすぐられてしまう。

個人的には9話の「夏目」のエピソードが妙に響いた。
緑川光さんという実力派声優だからこそ、彼の語りが響く。
恐らく私の年代的なものもあるのだろうが、何故か妙に響いたエピソードだった

そして他3人のキャラを食う「かなえ先輩」関連のエピソードが良い。
彼女は3年になって、ぽってと一緒に写真部をすることになった先輩だ。
写真も何となく始めただけにすぎない。
そんな彼女が「写真部」としてぽってと活動し、徐々に変わっていく。

ぽってもぽっての周りの友達も自分の中に「何か」をもっており、何もない彼女は少し悩む。
写真部もせっかく楽しくなってきたところで、3年の自分だけ卒業してしまう。
そんな彼女が受験の願掛けのために「カメラを封印」したりする様は
この作品にコレまで無かった「終わる」「無くなってしまう」といった消失感を生んでいる。
しかし、そんな彼女が一歩を踏み出し、みんなに決意を話すシーンは
登場人物たちと同じように思わず暖かく「ほろり」と来るシーンだろう。

全体的に見て安定の2期といえるだろう。
1期で感じた「竹原市」の押し売りはなくなり、その分若干作画面で不安定なところはあったものの
毎話毎話、暖かいストーリーを展開し、その中で2期は「ぽって」の成長がきちんと描かれている。
そして「変化」も描かれた。

それは同時に「たまゆら」の終わりを予感させる。
確実に彼女たちの時は流れ、卒業する先輩を見送り、
主人公である「ぽって」は少しずつ成長し、変わっていく。
そして、それは「たまゆら」という作品の最終話が見えてきたということだ。

だからこそ、2期はストーリー性が極まりキャラ描写に偏りが出たものの、
そういった「変化」を感じさせるためと考えれば納得できる。
4人一緒だった1期から4人がそれぞれに動き出す2期。
「成長」や「変化」は同時に「別れ」にもつながっており
2期の最終話ではそれを示唆するシーンもあった。

またベテラン声優の演技力が光った2期とも言える。
1話限りの「緑川光」さんや、最終話での「緒方恵美」さんの演技は
声優歴4,5年ではできないような格を見せつけられた。
たまゆらにちょっと飽きているという人も
9話と最終話は見ていただきたいと感じるほどだ。

OVA,1期,2期と非常にいい流れだ。それぞれに欠点もありつつ良さがある。
物語の始まりのOVA,いつもの日常の1期、変化が訪れた2期、
だからこそ「締め」の3期を期待したい。
まだ決定!と言った情報もなく、3期が締めなのかも私の勝手な憶測だが
この作品は3期があってこそOVA,1期,2期が光ると感じている。

3期、待ってます。

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  1. リナロ より:

    いつも楽しくブログ拝見してます。
    たまゆら~もあぐれっしぶ~の9話は本当に大好きです。感動します。
    初めて見たときから3日連続で見て3日連続で泣きました。

    たまゆらで、お好み焼き屋で、冒頭からまかれた伏線をこれ以上ない美しさと、切なさで回収するシナリオは圧巻です。今まで見てきた何百(何万話)という作品の中でも指折りの1話です。
    本編で夏目さんが語っていたとおり

    「どうしようもなく 心に届く・・・」

    劇場版の3部でも大泣きしましたが、4部はこれで終わりかと思うとまだ見れてない・・・。
    これからもレビュー楽しみにしてます。