女子中学生の立花響は、天羽奏と風鳴翼による人気ボーカルユニット「ツヴァイウィング」のライブを楽しんでいた。だがその最中、人を飲み込み炭素に変えてしまう認定特異災害「ノイズ」が発生し、観客達を次々と襲い始める。大混乱の会場で響が見たものは、歌を口ずさみながらプロテクターに身を包み、ノイズと戦うツヴァイウィングの2人の姿だった。まもなく逃げ遅れて重傷を負った響を救うため、奏は自らの命と引き換えにノイズを殲滅させる。
命がけの歌を聞けぇ!!
本作品はワイルドアームズなどの音楽でお馴染みの「金子彰史」と
作曲家である「上松範康」がタッグを組んで製作された。
二人とも普段は音楽を担当しており、アニメの制作に立つというのは
なかなかの異色なものだ。
その異色さは、作品にも影響されている(苦笑)
基本的なストーリーはバトルアクションアニメ。
ノイズと呼ばれる自然災害が発生している世界で、
そのノイズを唯一倒せる「シンフォギア」を持つものがいた。
主人公はとあるボーカルユニットのライブを見に行った際、ノイズに襲われる
だが、彼女を命がけで「シンフォギア」によって助けてくれた女性が居た・・・
というところからストーリー始まる。
始まって早々、二人の女性によるライブシーンという
マクロスもびっくりな始まりだ(笑)
しかしながら、そのライブシーンは作画も非常によく楽曲もいい。
ファンの描写に実写を取り込んでおり、妙な生々しさとともに
舞台に立つ「二人」の動きが繊細に描かれることで素晴らしい迫力を生んでいる
歌っている二人が「高山みなみ&水樹奈々」というコンビなのも
アニソンや声優好きな方には興味をそそられる組み合わせだろう。
「水樹奈々」さんの歌はもはやお馴染みな感じはあるものの
「高山みなみ」さんの歌はTWO-MIXを聞いていた世代にはたまらない。
ゲスト出演的な感じではあるものの「高山みなみ」さんの演技と歌は
もはや貫禄すら感じる存在感だ
そして、そんなライブシーンにノイズと呼ばれる怪物が襲ってくる。
そんな怪物に対して歌いながら戦う。
歌いながら戦うと聞くと、マクロスを浮かべる方は多いだろうが
本作品はマクロスはマクロスでもマクロス7に近い、
本当に歌いながら戦っているのだから(笑)
熱気バサラは歌いながらバルキリーで攻撃をすること無く歌っていた
彼は戦争の無意味さを戦場で「歌」を歌うことで表現していたが、
この作品における「歌」熱気バサラもびっくりな戦闘シーンといえるだろう
なにせ「歌いながら」戦っているのだから(苦笑)
作画的にもバトルシーン的にも迫力はある、アクションも非常にかっこいい。
しかし、口を動かし歌いながら武器を振り回しながら戦う女性がシュール過ぎる
「かっこよさ」と「シュールさ」が全力に振りきれており、
謎の「文字による必殺技」という演出の組み合わせが、妙に笑いを誘う。
ある意味、1話で「このアニメの見方」を教えられたような気分になる。
この笑いを誘う原因になってるのは敵のキャラデザのせいもある。
偽バルタン星人のようなキャラデザや妙に抜けているキャラデザ、
更には話数によっては「ギャラリー」と化している様子など
笑いを誘ってるしか思えない要素が多々ある。
人間に向かって体ごと突っ込んできたり、体液を吐いたりと独特の気持ち悪さがあり
戦闘シーンで妙に「グロ」いと感じるシーンも多い。
「かっこよさ」と「シュールさ」と「グロさ」この3つが
絶妙に妥協せずに描かれることで「戦姫絶唱シンフォギア」の雰囲気が強烈に
印象に残る。
1話から「自分の命を引き換えに放つ」必殺技まで描かれ強烈なインパクトを残す。
そんなインパクトを引きずったままストーリーが始まる。
この作品の根本にあるストーリーは王道だ。
未知の敵が襲ってきて、それを撃退する主人公。
その敵も実は人間があやつっていて、敵が味方になったりというような
この手のアニメとしてははっきりいってしまえば
悪い言葉を使うなら「ありがち」といえるストーリーといえるだろう
しかし、そんな根本にあるありがちな王道ストーリーを
様々なネタ要素で飾ることによって
王道な内容からネタ的な突飛なアニメに変貌している(笑)
特に司令のキャラクターは意味不明だ。
素手で攻撃を止めたり、主人公の修行をしたり、
敵の攻撃を触れずに受けとめたり、超絶ジャンプをしたり、
最後の敵にも素手で戦い、スキをつかれなければ恐らく勝っていたいたという超人だw
このキャラクターがシーンに介入するたびに、
王道なストーリー展開をB級アニメのように変貌させる。
熱血ロボットアニメにおける「司令」キャラはネタキャラなことも多いが
このアニメはロボットアニメでないのにもかかわらず、
数々の司令キャラを上回るネタ具合だ。
そのネタ具合も全力に振り切ることで王道ストーリーを「ギャグ」的にも盛り上げる
そんなネタな状況の中で「熱すぎる」展開が多い。
序盤の命を引き換えに放つ必殺技=「絶唱」の緊張感と迫力は素晴らしい。
使った後の描写が死にかけているのはわかるのだが、
目から口から血を流しまくる姿がグロいとか悲惨とかよりも、
思わずちょっと笑ってしまう描写になっているため命がけの技なのに笑ってしまう。
敵側も未知の敵であるノイズが序盤で
「人間が操っている」という設定が描かれるのだが、
目線や姿を隠して入るものの、その黒幕が声優で一発でわかってしまうというのも
B級アニメらしい(笑)
ある意味「スーパー戦隊」もののようなわかりやすさがある。
本筋のストーリーをわかりやすく、王道に、テンポよくしっかりと盛り上げる事で
この作品を飾り立てる「ネタ要素」が素晴らしいまでに引き立っており、
ストーリーの「わかりやすさ」すらもネタにしていることで
王道なストーリーがストレートに盛り上がってゆく。
更に終盤の盛り上がりも王道ながらに熱く描かれる。
戦闘シーンも迫力があり、命を犠牲にする「絶唱」の使い所も
「使うべき所」できっちりと使ってくれる、
「この展開で絶唱か!なるほど!」と納得できる使い方だからこそ
作品全体の「熱さ」に繋がっている
ただ、この作品がB級であることを自覚するかのように
敵の本当の目的の陳腐さというか意味不明さは、
ある意味この作品らしかったとも言える(笑)
しかしながら、伏線であった主人公の暴走や、ご都合主義全開のパワーアップなど
きっちりと作品全体にあった要素を活かしながらストーリーを締める展開は
B級アニメ感は拭えないものの、B級だからこそのやりたい放題で
最後まで貫き通した面白さがあった
全体的に見てこの作品は決して名作ではない、あえて言うならば迷作の中の名作だ。
アニメだから許される突っ込みどころのある内容をふんだんに使いながら、
王道なストーリーを突き進むことによって独特の面白さを醸し出し
すがすがしいまでの1クールアニメを作り上げていた。
ただ1つ難点を言えば、バトルシーンは激しく動いているのだが
作画は微妙に崩れていたり、敵が止まっていて観客になっていたりと
気になるポイントはいくつかあるが、だが逆にそういった部分も
B級急だからと割りきってしまえば、それもまたこの作品の魅力になっていた。
さらに言えば、メインキャラ以外の深みが薄い。
主人公のクラスメイトも最後の方では活躍したが掘り下げが甘く、
少ない登場人物の中で話を回している感じはあった。
もっと尺があれば、細かい部分をどうにかできただろうが、
逆に言えば細かい部分がきちんとしてないB級アニメらしいとも言える
色々な欠点は多いが、その欠点をうまい具合に「B級」具合でごまかしており
この作品のネタ的なノリで最後まで貫き通していた
ネタアニメとして重要な部分をきっちりと描写し、
王道な部分も余すこと無く描写することで
「戦姫絶唱シンフォギア」という世界観を作り上げていた
個人的には好きな作品だ。
全く期待せずに見だしたのだが、このB級具合は何とも言えず
いろんな意味で1本の芯の通った作品だった。
更にまさかの2期も製作され、2013年に放映された。
更に更にまさかの3期もされ、2015年に放映された
1期の1話を見て3期まで続く
アニメシリーズになると誰が想像できただろうか(笑)
少なくとも私はここまでこの作品がヒットするとは夢にも思ってなかった。
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