サッカーとバスケットボールの要素を織り交ぜた新スポーツ「ポケモン・バッカーズ」のワールドカップが開かれるクラウンシティを目指していたサトシ達は、その道中でヤルキモノの集団に追い詰められていたポケモン・ゾロアと出会う。ゾロアはテレパシーを使い、「マァを助けに行く」とサトシ達に言う。ピカチュウ達の説得もあって、サトシ達はゾロアに協力する事を決め、ゾロアと共にクラウンシティへと向かった。
幻影の覇者、その二つ名は伊達じゃない
ポケットモンスターとしては13作品目、ダイヤモンド&パールとしては4作品目で
シリーズ完結作品だ
基本的なストーリーはファンタジー。
サトシ達はポケモンたちが行うスポーツ「バッカーズ」の
ワールドカップを見にクラウンシティを目指していた。
その道中で「ゾロア」というポケモンに出会う。
というところからストーリーは始まる。
序盤から「バッカーズ」の試合模様が描かれる。
いわゆるサッカーとバスケットボールを合わせたようなスポーツで
ポケモンがボールを使いスポーツするさまは面白く、
「バッカーズ」が描かれるシーンは少ないのだが、
これだけで1本の映画が作れたんじゃないか?と感じるほど
面白そうな要素を含めたスポーツシーンだ。
そんなバッカーズに伝説のポケモンの3匹が参加している。
ライコウ・エンテイ・スイクンとポケットモンスター金銀をやった方にはお馴染みの
ポケモンがスポーツする様が描かれる。
3匹のポケモンを操っているのは「グリングス・コーダイ」と呼ばれるキャラだ。
このキャラは更にカメラすらも幻影を見せることが出来る
「ゾロアーク」を監禁し、何やら企んでいる。
序盤かしっかりと「ストーリー」に引き込まれる展開になっており、
この作品への期待感を高める。
そして、この作品のメインポケモンである「ゾロア」が可愛い。
「わるぎつねポケモン」である彼はポケモンや人に化けることができる
サトシ、タケシ、ヒカリなどの人間に化けたり、ポケモンに化けたりと
若干生意気な口調ではあるものの「ゾロアーク」のために奮闘するさまは可愛らしい。
更に「ゾロア」の進化形である「ゾロアーク」。
彼はゾロアを人質に取られたことにより、伝説のポケモンに化け街を襲う。
次々と伝説のポケモンに化けながら街を襲うシーンは映画ならではの迫力のあるシーンになっており
幻影を見せることが出来るという能力のおかげで伝説のポケモンが出ても違和感がない。
後半では本物の伝説のポケモンも現れ
幻影を使いながら戦うゾロアークの姿と戦闘シーンは激しく描写され迫力抜群だ
更に今作では「セレヴィ」が出る。
おまけ程度ではなくきちんとストーリーに絡んでくる「セレヴィ」は
今作では「敵の目的」と関連しており、出るだけのサービスポケモンではないのは好感が持てる
敵もわかりやすく「悪いやつ」だ。
彼なりの正義感などはなく、「セレヴィの力」を利用して未来を見ることができていたが
エネルギー切れで未来を見る力が薄まってきている。
その補充のために騒動を起こす。
子ども向けの「分かりやすい映画」にふさわしい「分かりやすい敵」だ。
しかしながら、掘り下げがしっかりしているため敵としてのキャラ立ちがしっかりしている
しかしながら内容はしっかりできているのに芸能人声優が多い。
ポケモン映画は恒例として芸能人が声優として起用されるが
かなり多くのキャラクターを芸能人が演じており非常に目立つ。
気にならない方は気にならないかもしれないが、
コレまで以上に芸能人声優が多いのは思わず首を傾げてしまう点だ。
内容がしっかりしているだけに気になりやすい。
ただ、その反面で「ポケモン」を演じる声優さん達の力量が光る。
ゾロアークを演じた朴ロ美の叫びだけの心情表現、
セレビィの可愛らしさを感じさせる釘宮理恵と
鳴き声だけできっちりと感情表現をシテイルお二方の演技は声優としての力量を感じさせた。
ストーリー展開も王道だが面白い。
ゾロアークとゾロアの親子愛、その親子愛を利用してセレビィの力を手に入れようとする悪者、
非常に分かりやすい構図ながらも王道な展開でストーリーを見せ、
1度は未来の見える敵が「セレビィの力」を手に入れたかと思ったら・・・という
どんでん返し展開もあり意外性のある展開も多い。
意外性のある展開もご都合主義ではなく、さりげなく伏線を張り納得の行くストーリー展開を見せる。
更にそこから敵も徹底して「悪」に徹するため冷酷な展開も描写される。
「ポケモンが死ぬ」というのを1度はリアルに視聴者に実感させる。
ゾロアークは敵に利用され街中のポケモンや伝説のポケモンから「敵」とみなされる。
様々なポケモンと戦い、伝説のポケモンとも戦い最後には「ゾロア」をかばう。
死の間際には敵を「幻影」にかけ倒すなど「幻影の覇者」の肩書を強く感じさせるポケモンだ
全体的に見てこれまでのダイヤモンド&パールの映画のポケモンは
「でかい」「強い」くらいの印象しかない伝説のポケモンばかりだったが、
ゾロアークはしっかりと「幻影の覇者」という強さを映画でしっかりと描写していた。
これぞポケモン映画だ。というのを改めて感じさせる原点回帰のような映画だったと言えるだろう
三部作や凝ったストーリー展開ではない。
ストレートにポケモンを描写し、そこにサトシたちをしっかりと絡める。
ポケモン映画はこれでいいんだ、これでこそポケモン映画だと感じられる作品だった。
ダイアモンド&パールシリーズ完結の最終章にふさわしい作品だったといえるだろう。
1つだけ欠点を言うならば、最後の最後は子ども向けのご都合主義だったといえるところだろう
しかしながら、「子ども向け」と考えれば王道の展開だ。
きちんとポケモンのかっこ良さと可愛さを描写し、そこに「人間」が関わったことによる
ストーリー展開は王道だがしっかりと楽しめる「ポケモン映画」だった。
ただダイアモンド&パールシリーズ完結の最終章というわりには
ヒカルとタケシの活躍はそこまで・・・(苦笑)
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